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『ガンダム ジークアクス』7話感想:聞き覚えのありすぎるBGMに興奮せざるを得なかった…。ニャアンの思考に困惑するも、よく考えると納得しかない(ネタバレあり)

文:電撃オンライン

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 放送中のTVアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ガンダム ジークアクス)』第7話“マチュのリベリオン”の感想記事をお届けします。

[IMAGE]【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『ガンダム ジークアクス』7話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。

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 『Zガンダム』からバスク・オムやゲーツ・キャパが登場。さらに連邦の強化人間であるドゥー・ムラサメも新たに登場して盛り上がっていた第6話。

 その展開を受けての7話では、あまりにも想像を超えた展開が多すぎて、ちょっと言葉を失いかけていました。冒頭から、今回のクランバトルは戦いのフィールドがコロニー内に設定されるというかなり不穏な幕開けとなりました。

 まずキシリア・ザビとサイド6側のシーンでは、クランバトルの運営が実はサイド6政府だという衝撃の事実がここにきて判明。

 いくらハッキングでカメラをごまかしているとはいっても、さすがにあれだけ大規模なことをして開催を続けるのは無理があるんじゃない? とは感じていたのですが、そもそも政府がバックにいるのならまったく話は変わってきます。


 また、キシリアとの会話で、荒廃した地球環境の修復に“ソーラ・レイ”を使うといった趣旨の話題が出ていたのも気になった点。

 『機動戦士ガンダム』に出てくる“ソーラ・レイ”はコロニーを丸々レーザー砲に改造したとんでもない兵器なので、地球環境を破壊はできても修復はできないはず。

 ありそうなのは巨大な太陽光発電装置を“ソーラ・レイ”と呼んでいる可能性で、地球のエネルギー不足にジオンが協力する計画なのかなと想像しました。

 ただ、ジオンの懐事情がさほどよろしくないことはこれまでも何度も語られているにも関わらず、地球に対して慈善事業のようなものをやるとは思えないんですよね。キシリア派とギレン派での対立が激化している最中なのでなおさらです。

 カムランたちも何か裏の意図があるんじゃないかと勘ぐっていた通り、表向きは太陽光発電用でも、“ソーラ・レイ”本来の用途は別にあるのでは……と考えると、こちらもめちゃくちゃ不穏な要素です。


 一方のマチュはというと、いきなりジークアクスをニャアンに任せて1人で行動を開始します。

 あれだけジークアクスに固執していたマチュが、自分からニャアンにコクピットを譲るような行動をとったのか、最初理解できなかったんですが、その後のマチュが金を盗みに入ってシーンで「なるほど」と納得しました。

 ニャアンがジークアクスを動かしていたことにアンキーたちが気づかないままだったのを逆手にとって、その場にいないはずのマチュが盗みを働くというのは、ちょっとしたミステリーのトリックのようになっていて、マチュもなかなか考えたなと。

 ただ、運が悪かったのは、その前にシャリアがジークアクスのパイロットが2人いることに気付いて、それをアンキーに聞いていたこと。前回のやり取りがこんな形で生かされるとは想像していなかったです。

 シャリアとのわずかなやり取りで気付いたアンキーはさすがといったところで、出る言葉の数々も、ジオンにいた頃にいろんな場数を踏んだことを想像させます。

 普通から脱したいマチュにとって、大人の女性として自立していて、なおかつ普通に縛られないアンキーという存在は、それなりにまぶしく映っていたんでしょうね。だからこそそんなアンキーに言われた「男で身を滅ぼすなんてダサすぎるんだよ」という言葉は、マチュにとってかなりクリティカルだったんだろうなと。

 実際、客観的に見てもアンキーの言葉は正しく、今のマチュはシュウジのために恵まれた生活を捨てて、破滅の道を進もうとしているように見えます。

 アンキーとしては、大人としてマチュに引き返す最後のチャンスを与えようとした形でしたが、結果もっとも痛いところを突いてしまい、よりマチュを追い詰めてしまうという、いろいろ裏目に出てしまった感があります。

 それにしても、7話前半のマチュは、その行動やアンキーにあんな“捨て台詞”をぶつけて出ていくあたりまで含めて、“思春期で周囲のことを見る余裕がない少女”として非常に秀逸に描かれていたと感じました。

“マチュを捨てる”という衝撃の選択をしたニャアン。直前のシーンがポイント?

 そして、個人的に今回一番驚いたのがニャアンの変化でした。

 前回の6話では、シュウジを独占したいマチュに対して、ニャアンは3人での関係性を大切に思っている様子が対比として描かれていたので「マチュもガンダムも捨てて2人で逃げよう」と言い出した時、本当に前回までのニャアンと同一人物なのか、最初は理解が追いついていませんでした。

 ただ、時間が経ってくるとニャアンの考えが段々と推測できてきました。

 回想として描かれている、マチュがニャアンに「アジトがバレたからシュウジを逃がすのに手を貸して」と頼むシーンで、マチュの心境が変わっていたのではないかなと。

 その後のシーンで、斡旋をしていたマーゴが逮捕、ニャアンも裏の仕事をしているのがバレて、サイド6にいられなくなっているのが明かされるのですが、マチュからシュウジを逃がすための話があった時には、もうその状態になっていた……と仮定すると、ニャアンからすれば「自分も大変なのに、マチュはシュウジのことしか考えてない」と感じてしまうのも無理はないと思うんですね。


 その前にも、良かれと思って勇気を出してジークアクスに乗ったのに、マチュから邪魔者のように扱われたのも前フリとして効いていて、ニャアンはマチュを大切な友達と思っているのに、マチュにとってはそうじゃなかった……と捉えてもおかしくない前フリが丁寧に積み重ねられています。

 結果、あのシーンでニャアンがマチュに愛想を尽かしたと考えると、その後のマチュに対する冷たい態度や、マチュを置いて逃げようとしたことも納得がいくんですよね。

 ただ、シュウジはというとそんな事情は知られていないので、いつもと違うニャアンの態度に終始困惑してそうな様子でした。

 そもそも、マチュとニャアンは3人での関係性を大切にしていたと思いますが、シュウジは2人に対する執着は大してなさそうなんですよね(もちろん好きか嫌いかでいえば好きだとが思いますが)。

 だからこそ、今回“ゼクノヴァ”が起きた時、何のためらいもなくニャアンを残して向こう側へと行ったんだろうなと。

 アジトがバレたらシュウジはすぐにサイド6からいなくなってしまうと思ったように、シュウジが本当に価値を感じているのはキラキラの世界であることは、マチュはなんとなく察していたと思いますが、ニャアンはマチュほどキラキラをシュウジと共有していたわけじゃないので、まだシュウジのことを理解しきれていなかったのかなという印象も受けました。

 とはいえニャアンがかわいそうだな……と思ってしまうのが正直なところで、マチュを捨ててまでシュウジを選択しようとしたのに、シュウジはアッサリと自分を置いてどこかに行ってしまったわけですからね。

 マチュはニャアンが自分を捨てようとしたことは一応知らないままですが、ニャアンとしては後ろめたさと絶望感でマチュとも顔も合わせられなくなり、その場から逃げ出してしまったのも理解できます。

5年前の機体で無双するシャリア・ブルの圧倒的な強さ。すべてを失ったマチュはどうなる?

 6話で衝撃の登場を果たしたドゥー・ムラサメとサイコ・ガンダムはというと、こちらもいろんな意味で驚きの連続でした。

 まず大暴れが始まるシーンで、『Zガンダム』の劇伴曲でもある『モビルスーツ戦 ~交戦~』が流れた時はシビれましたね。やっぱり三枝さんのBGMは良すぎる……!(※エンディングのスタッフロールでは『モビル・スーツ』と書かれていました)

 ゲーム(とくに『スーパーロボット大戦』)の影響もあって、『Zガンダム』の戦闘曲といえば、この曲のイメージが強いですが、カラーのXのツイートで、どうやら庵野さんの案でチョイスされていたのを知った時は笑いました。


 従来のサイコ・ガンダムにはなかった、装甲部分をパージしてリフレクタービットの代わりに使うギミックが搭載されていて、展開後の姿に疑似シン化した状態のエヴァ初号機を連想したのは自分だけではないはず。

 『Zガンダム』の時より、機械というよりは生物的な怪物や怪獣感が増していて、かなりおぞましい存在として描かれていました。


 しかしそのサイコ・ガンダムが、まさかマチュの乗ったジークアクスと戦うことなく、シャリア・ブルの乗るキケロガに撃破されたのは完全に想定外。

 サイコ・ガンダムと一緒に『Zガンダム』のモビルスーツであるハンブラビも、ゲーツの乗機として登場したのは驚きましたが、こちらもキケロガの前にあっけなくやられてしまいました。

 『ジークアクス』の連邦はジオンにモビルスーツ開発技術で劣っていますし、『Zガンダム』よりも2年前ということを考えると、『Zガンダム』の時ほどの性能はないとは思われるものの、キケロガは今から5年前の一年戦争時代に作られた機体なんですよね。

 その古い機体で、最新鋭と思われる2機を瞬く間に片付けたシャリアは、いかに化け物じみた強さをもっているかが分かります。


 またビックリしたのが、キケロガの中にキケロガが入っていたこと。

 ……というと、意味がわからない方もおられると思うんですけど、『機動戦士ガンダム』でシャリアが乗っていたのはブラウ・ブロという名前で、キケロガという機体はゲームなどに登場した、まったく別の機体なんですね。

 見た目も武装もほぼブラウ・ブロなので、なんで名前がキケロガになっているのか、今まで結構疑問だったのですが、その疑問の答えが今回明かされて「だからキケロガだったんだ」と、無茶苦茶納得できました。


 また、サイコ・ガンダムにキシリアが襲われそうになった時に現れたギャンのカッコよさも忘れてはならないポイント。

 『ジークアクス』では、元々コンベを争ったゲルググが、ガンダムのリバースエンジニアリングの影響でほぼジムみたいな見た目になっていたので、ギャンはどうなったのか気になっていたんですが、かなりアレンジされていながらも、見た瞬間に「ギャンだ!」とわかる姿で現れてくれたのは嬉しかったです。


 『ジークアクス』の世界でも、同じようにコンペが行われ、ゲルググが勝利したという設定になっていたので、ゲルググのコンベの相手はこのギャンだったのかなと推測できたりもします。

 もしそうだとするなら、名前以外は完全に別物になっているのに、世界が変わってもまたライバルになるって、もう運命の赤い糸で結ばれた者同士ですよね……。

 1話で、ビットが使えた時の赤いガンダムに、まともにサイコミュが動かないジークアクスで互角にやりあっていたエグザべも、回を重ねるごとに「実は強かったんじゃないか?」と勝手に株が上がり続けてたんですが、やっぱり本当に強かった。

 ただ、そのあとにエグザべがあのキャラをジオンにスカウトするという展開もまた、あまりにも想定外すぎました。

 シャリアはジークアクスのパイロットが2人いることに気づいていましたが、エグザべはロッカーの一件でマチュはパイロットではないと結論付けているので、おそらくジークアクスはニャアンがずっと操縦していると勘違いしたままなんですよね。

 ニャアンを保護したキシリア派の人たちも同じように認識してそうなので、これが今後どういった形で物語に絡むかも気になるところ。

 そしてマチュはというと、シュウジとニャアンは2人ともいなくなり、軍警からは指名手配され、ジークアクスごと捕まって営巣に入れられる、まさにすべてを失ったドン底に叩き落されることに。個人的に、こういう主人公がすべてを失ってからもう一度立ち上がるまでの話が大好物なので、可哀想とは思いつつも、ついテンションが上がってしまっています。

 家にも戻れなくなったマチュがここからどう立ち直って、何と戦うようになるのか。今後に注目したいです。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。


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