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怒った祖父の遺影がうっすらと…〇見様と陰陽師のお話完結編【怖い話してもいいですか?】

文:電撃オンライン

公開日時:

 ホラーゲームの開発を行う株式会社FORCESの仁平孝佳氏が体験または聞いたオカルトエピソードをお届けするコラム“怖い話してもいいですか?”。

 前回に引き続き、親友の御祖父さんが大切にしていた“〇見様”という像の話をお届けします。

※場所や人物を特定できないよう、エピソード内にあえて脚色をくわえている場合があります。[IMAGE]

悪さをしていたのは“〇見様”ではなかった!?


 東京から2時間ほど、相変わらず辺りに何もない駅を降り、レンタカーに乗り込みました。

 その道中でも「あ、親友Aさんちはあそこですね」と、何も言ってないのに当ててしまったり。

 「うわ、なんかあの辺すごい力を感じる」と言って、こちらからでは見えない位置にある大きな戦没者慰霊碑の場所を当てるなんてことがありました。

 本当に退屈しない。

 そんなことがありつつ、いよいよ親友Aの実家に着きました。

 平日の昼間なので、家の人は全員出払っていて、静かなのは当然なのですが、何ともいえない重圧というか、重苦しい空気を感じました。

 学生時代に何度も来ているのに、まるで別の場所にすら見えます。親友Aが玄関の鍵を開けたところで陰陽師が言いました。

陰陽師
「仁平さんが先にお一人でどうぞ」

仁平
「やですよ!」

陰陽師
「折角ですから体験してください。大丈夫です、ちゃんと後ろにいますから」

 本当にやだ。

親友A
「あの突き当たりの部屋が、◯見様がある爺ちゃんの部屋です」

 嫌だと思いつつも興味もあるので、僕が先頭に立ちました。

 少し昔の作りをしたお家で、玄関の直ぐの場所に、2階に続く階段があります。

 すぐ右にお茶の間、続いてもう一つ部屋があり、奥に見える襖がその部屋なのでしょう。

陰陽師
「どうぞ、開けてください」

 奥の襖の前に立ったところで陰陽師が促しました。

仁平
「開けますね」

 襖に手をかけ、思い切って開きましたが、少し拍子抜けというか、当たり前ですが普通の部屋です。

 仏間にしてあって、床に置かれたテーブルの上には、お爺さんとお婆さんの遺影が飾られていました。

 例の◯見様の像は見当たりません。

陰陽師
「あれ、どうしました仁平さん?笑」

仁平
「…なんだこれ?」

 動かない。嘘だと思うでしょうが、部屋に入ろうとしても足が前に出ないんです。足と肩など一定の部分にストッパーを掛けられたような感覚でした。

陰陽師
「守護霊がヤバい危険を察知して止めてくれてるんですよ」

 そう言いながら自分はスタスタと中に入っていきました。

 陰陽師が部屋に入ったのをきっかけに僕の体も動くようになり、すんなり中に入れました。

 最後に部屋に入った親友Aが部屋を見渡しながら「うわ、すげー久しぶりに入ったわ」とお祖父さんの遺影を見るその目は、実に嫌そうでした。

陰陽師
「像はここですね」

親友A
「はい、開けます」

 そう言って親友Aが遺影の後ろにある押入れを開いたところで、僕はまた動けなくなりました。像と聞いて30センチ程度のものを想像していました。

 とんでもない。◯見様と呼ばれるその像は120センチ、小学二年生くらいのサイズもある大きなものだったんです。

 「やっぱ怖いわ」親友Aが言います。

 ◯見様は押入れの中段に腰掛ける形で置かれており、剣を握る右手は本来頭上に掲げられているはずなのでしょうが、肘が折れてぶら下がっています。

 そんな状態にあって表情の無い顔が余計に恐怖を駆り立てました。

 正直、こんなものが置いてある家には住みたくない。もしかしてじゃなくて絶対呪われてる。

陰陽師
「でもこの像が原因じゃないですよ」

 そう言って陰陽師は廊下に戻ると、右手の二本の指を立て、それを玄関から続く廊下をなぞるようにして何度か動かしました。

陰陽師
「ここに霊道が通ってるんです。でも突き当たりの部屋で流れが止まってしまい、悪いものが溜まるようになっていました」

陰陽師
「◯見様の像は本来ちゃんとこの家を守ってましたが、そのせいで悪いものになってしまっていました。今霊道を地下に通したので像はもう大丈夫です、次に行きましょう」

 今度はスタスタと2階に上がっていき、そこから全部の部屋を回って印を組んでいました。

 その途中もいつものようにニコニコしていましたが、その笑顔とは裏腹に彼は汗だくになっていました。

仁平
「いうほど余裕じゃない感じですか?」

陰陽師
「相手の強さは関係ありません、僕はいつも全開で戦います。万が一相手の戦力を間違えると僕だったり家族に被害が及んでしまうので」

 その後、外に出るよう促され、3人で車に乗りました。

陰陽師
「全部終わりましたが5分待ちます。それで何もなければもう大丈夫です」

仁平
「え、もう鬼とか般若とかも祓ったんですか?」

陰陽師
「それはここに来る前に祓ってました」

 そんなことできるの!!

陰陽師
「お妾さんも狐もすぐ終わりました。今様子を見ているのは大蛇です。一番厄介でしたねぇ」

 5分経って僕たちは再度◯見様の像のある部屋に行きました。

 気持ちの問題かもしれませんが、部屋が明るく感じたのを覚えています。もう◯見様を見ても何の恐怖も感じませんでした。

親友A
「爺ちゃんが笑ってるのを初めて見た」

 窓の外を見ていたら、親友Aのそんな言葉が聞こえてきました。

仁平
「…笑ってる」

 怒った表情だったはずのお祖父さんの遺影が、うっすらと笑っていました。

 親友Aの涙を僕はその時初めて見ました。

陰陽師
「さて、じゃあこのまま仁平さんのご実家にも行きましょうか」

仁平
「ええ!?」

 まだ続くんだこのツアー…

【株式会社FORCES】開発中のゲームタイトル

『鋼の戦騎ARMIS』


 『鋼の戦騎ARMIS』は、Vampire Survivorsなどで知られるローグライトのゲームジャンルに、日本の往年のロボットアニメを彷彿とさせる重厚なドラマと個性豊かなキャラクターたちの物語を組み合わせた“群像劇(ドラマチック)ローグライトアクション”です。

 プレイヤーは、鋼鉄の戦騎“ARMIS”に乗り込み、無数の敵との熾烈な戦いを繰り広げながら、様々なキャラクターの運命と向き合うことになります。



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 ビットサミット版のレビュー記事も掲載されているので、気になる方はぜひそちらもご覧ください。

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 インディー開発者主催のインディーゲーム展示会
“東京ゲームダンジョン”が8月3日(日)に開催されます。

 この“東京ゲームダンジョン”に『鋼の戦騎ARMIS』が出展します。

 出展場所は【3G-6】なので、気になる方はぜひ行ってみてください。

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