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『BREAK ARTS III』レビュー。バトルとレースを融合させた新感覚のメカアクション。メカ好きの“癖”に刺さりまくるカスタマイズの自由度が凄すぎた【電撃インディー#1133】

文:米澤崇史

公開日時:

 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、MercuryStudioが開発し、PLAYISMより発売中のメカカスタマイズアクションゲーム『BREAK ARTS III』のレビューをお届けします。

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 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!


レース・バトル・バトルレースの3つのルール


 9月19日にPC(Steam)向けに発売となった、メカカスタマイズアクションゲーム『BREAK ARTS III』。

 ロボットのカスタマイズ要素とバトル要素を含む独自のレースが特徴的な『BREAK ARTS』シリーズの最新作で、『III』では”メカカスタマイズ総合競技“へと進化を遂げ、レースだけに留まらない遊びが詰まったタイトルです。

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 シングル用のミッションや、オンライン対戦をこなすと、報酬としてCpというクレジットを獲得でき、このCpを使って自分が搭乗するロボットである“アーキテクチャ”のパーツを購入し、より高性能な機体へと強化しながら、さらに難易度の高いミッションに挑む……というのが主なサイクルになっています。

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 そんな本作の最大の特徴といえるのが、レースとバトルレース、バトルの3種のゲームルールの存在。

 レースは文字通り、アーキテクチャ同士で行う純粋なレースで、規定のコースを周回し、最初にゴールに辿り着いた参加者が勝利となるというもの。一番シンプルながら、本作はレースを前提としていることもあってか、ブーストを使ってほぼ常時加速し続けることができるようになっていて、凄まじいハイスピードレースを楽しめます(早すぎて制御の方が難しいです)。

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 一方のバトルは、指定されたエリア内でバトルロワイヤル形式で複数のプレイヤー同士が戦うルール。敵を撃破するとポイントを獲得でき、制限時間内にもっともポイントが多い参加者の勝利となります(撃破された場合はすぐにリスポーンが可能)。

 ある程度視点を合わせると自動でロックオンされるのですが、レースと同様にブーストの使用に制限はなく、自分も敵もほぼ常に高速で動き回っているので、敵に狙いを合わせるのはなかなか大変。3つのルールの中ではバトルが一番難易度が高めだと感じました。

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 3つ目のバトルレースは、その名の通りレースとバトルを融合させた『BREAK ARTS』シリーズならではのルール。

 レースゲームでも、妨害アイテムなどを使って相手を攻撃することがありますが、本作ではバトル用に搭載しているアーキテクチャの武装をすべてレース中も使用可能で、他の参加者を攻撃して、一時的に走行不能にすることができます。

 攻撃とレースの両方を同時操作するのは難しそう……と感じる方もいるかもしれませんが、バトルレース中にのみ、敵をロックするとCPUがある程度自動で武器を使ってくれるので安心。プレイヤーはレースの操作がメインになります。

 レースとは別に、他プレイヤーを撃破するなどでバトルポイントが溜まっていき、レース用のポイントとバトル用のポイントの総合値で最終的な順位が決まります。なのでレースの順位が低くても、他の参加者を撃破しまくっていると、最終順位が逆転することも大いにありえます。

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 当然ながら、レースで先頭を走っている時は後ろにいる他のプレイヤーを攻撃できる機会が少ないのでバトルポイントが溜めにくく、あえて2位以下を維持することにもメリットがあったり、独特の駆け引きがあって面白いです。

 また、プレイヤーが搭乗できるアーキテクチャには、極力武装を廃してありったけの加速性能を高めたレース向け、重量オーバーを承知で武装をてんこ盛りにしたバトル向け、その中間的なバランス型といった、それぞれのルールに適したカスタマイズのパターンがあります。

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 レース特化とバトル特化ではかなり性能に差があり、性能とマッチしないルールでは大幅に不利を背負うので、ルールにあわせてカスタマイズを変えるのが基本です。

 ただし、1戦目がレース、2戦目はバトルレースといった、複数のルールが組み合わさったパターンも多いので、どのルールでも戦えるようにバランスをとれたものにするか、特化させて1つのルールでポイントを一気に稼ぐのを狙うのかなど、悩ませられます。

メカ好きの“癖”に刺さりまくる自由度の高いカスタマイズ


 そして自分が本作で何より感動したポイントが、アーキテクチャのカスタマイズの自由度の高さです。

 ロボットゲームにおけるカスタマイズは、頭部や腕部、胴体といったカテゴリごとにパーツが用意されていて、それを組み合わせる……という仕様が多いですが、本作のカスタマイズは一風変わっています。

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 まず、上半身・下半身・頭部といった機体の基礎にあたるような部位は、用意されたパーツを組み合わせるというお馴染みの形式なのですが、本作では、そこに“モジュール”と呼ばれる追加パーツを装着します。

 多くのモジュールには、見た目だけではなく耐久力やシールド値などのパラメータも設定されていて、機体の性能の大部分はこのモジュールによって決まります。

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 モジュールを装着できる箇所はかなり多く、モジュールの上にさらにモジュールをつけて拡張したりもできるので、性能・デザインの両面で自由度の幅は尋常ではありません。

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 作れるのは機体の本体部分だけではなく武器も同じで、コア部分である“エミッタ”というモジュールに、バレルなどのパーツを取り付けることで作れます。装填できる弾の種類は限られますが、手持ちだけではなく本体と直結した固定武装も搭載可能です。

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 ロボットゲームに登場するさまざまな性能のパーツや武器を、デザイン面・性能面の両方でプレイヤーが自作できるようになっている……と考えると、本当に凄まじいです。

 下半身には重量の上限が設けられており(超過すると機動力が低下)、その制限の中でモジュールの見た目と性能のバランスをどう取るか……という悩みが楽しいポイント。

 またすごいのは、モジュールにはいろいろな条件を設定できるパーツもあり、ブースターや武装の使用時など、特定の条件に応じて形状が変わるといった、ロマンが詰まったギミックをプレイヤーが自作できてしまうところ。

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 武装がオーバーヒートしている時だけ機体のカラーリングを変える……みたいな設定も可能で、ロボット好きの“癖”に刺さる要素が満載。メカ好きのかゆいところに手が届く作りになっていて、「こんなところまで設定できるのか」と感動しまくっていました。

 自由度が高くて奥深いぶん、一般的なロボットゲームよりもカスタマイズのしがいがあって、性能と見た目のバランスを考えながらアーキテクチャ1機を作り上げるのは結構な時間がかかることも。そのぶん、自分のイメージした通りの機体が出来上がったときの喜びは格別です(ベースになるプリセットは用意されているので、そのあたりが苦手な人も安心)。

 自作した機体を好きな角度やポーズで撮影できるジオラマモードもあり、メカ好きだとこのカスタマイズだけで一生遊べるんじゃないかと思えるくらい、カスタマイズが楽しいです。

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 プレイしていて、制作者の方がいかにメカが好きかという愛とこだわりをひしひしと感じました。メカ好きには是非とも一度体験していただきたいゲームです。

製品情報


■タイトル:BREAK ARTS III
■開発元:MercuryStudio
■販売元:PLAYISM
■ジャンル:メカカスタマイズアクション
■対応プラットフォーム:PC(Steam)
■発売日:2025年9月19日
■販売価格:1,800円(税込)
■対応言語:日本語・英語・簡体字・繁体字

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