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『ROAD59 摩天楼モノクロ抗争』はまさかのループ物だった! 裏切りや絶望を超えて成長するショウに感動、バーでのバイトは一色や静らの意外な姿が見られる夢の時間に(ネタバレあり感想)

文:電撃オンライン

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 Nintendo Switch/Steam向けに発売中の『ROAD59 -新時代任侠特区- 摩天楼モノクロ抗争』。表の社会からは見えない抗争、警察組織の暗躍、そして伝承の影までもが交錯する、“任侠の世界”を新しい形で描くビジュアルノベルゲームです。

 舞台は、東京湾に浮かぶ眠らない街・天海区。

 ここでは“ジンギ”と呼ばれる異能を持つ任侠者たちが、それぞれの信念と生き残りを懸けてぶつかり合います。
※記事には『ROAD59 -新時代任侠特区- 摩天楼モノクロ抗争』のネタバレが含まれています。
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▲主人公の氷室ショウ。極道の家の跡継ぎとして生まれた身ながら、平凡な日常を望む。
 主人公は狛浪組の若き組長代行・氷室ショウ。

 姉の静、妹の涼香、幼なじみの汐音に支えられながらも、望まずして“極道の家”を背負わされたショウは、黒条組や春雲組、そして予期せぬ勢力に翻弄されていきます。

 今回の記事では
第1弾レポートの続きとして、ゲームで感じた“体験”と“感想”を中心に綴ります。

 記事内には物語の核心に触れる話題や、流血表現を含むスチルへの言及がありますので、苦手な方はご留意ください。

■『ROAD59 -新時代任侠特区- 摩天楼モノクロ抗争』OP映像

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信じていた兄貴分の裏切り──そして回帰【ROAD59 摩天楼モノクロ抗争】


 望まぬまま組長の座を歩んでいくくショウの姿を見ていて一番強く感じたのは、“優しさ”が武器であり、同時に弱点でもあるということでした。

 極道の家の跡取りに生まれながらも、彼の心根は限りなく普通の青年に近い。その人間らしさに何度も救われつつ、彼がその優しさゆえに決断を鈍らせてしまうのを見て、胸がざわつきました。

 なかでも、いちばん堪えたのは、兄貴分として慕ってきた一臣に銃口を向けられる場面です。

 信じていた相手に裏切られる瞬間、画面の前で息をのむしかありませんでした。

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 ショウが信じていた人に銃を向けられる光景は、胸を押し潰されるような強い衝撃があり、「どうして」「なぜ」という問いが渦を巻き、思考も凍りつきます。

 守りたかった「家族」が血の海に沈む絶望の中、ショウ自身も銃弾に倒れる――。

 非常にショッキングなシーンのまま、物語がここで終わってしまうか? と思いました。

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▲無常な運命に時だけが過ぎていきます。
 しかし、物語は思わぬ形で動き出します。

不器用なショウの奮闘と希望の断片【ROAD59 摩天楼モノクロ抗争】


 狛浪組全滅という地獄の闇に包まれた世界から一転、目を覚ましたショウが目にしたのは自室で迎える穏やかな朝。

 プレイヤーとしては驚くと同時に、「あの絶望的な状況から助かったのか?」という期待が一気に膨らみます。

 ただし、新たに迎えた朝から始まる日常はショウに“既視感”を感じさせ、そのおかげでショウは日常のトラブルを回避していきます。

 ショバ代回収の場面ではラーメン屋の地下賭博を見抜き、黒条組との小競り合いでは蓮花と彩愛を相手に被害を抑える。

 1度目と同じだけど、ショウの行動によって少し変わるできごとの数々によって、プレイヤーは「実は仁侠×ループものだったのか!」という隠されていた本作の真実に気づきます。

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▲ついにループしていることに気づくショウ。
 狛浪組の未来で起こりうる悲劇を止めるためにショウは行動を開始します。

 しかし、静や仁に“一臣の危うさ”を伝えようとしても、互いの想いのすれ違いによりショウの言葉は届きません。

 そして「なぜ一臣が狛浪組を裏切ったのか?」「一臣は本心から自分たちを裏切ったのか?」2周目ではショウはそんな問いを常に抱えています。

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▲映画に例えて一臣の本音を探ろうとするショウ。いやいや、無理があるでしょう!
 「頼むから伝わってほしい!」「お願いだから本心では裏切っていないでほしい」と画面に向かって叫びたくなる場面の連続です。

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▲学生の頃の仁・静・一臣。堅い絆で結ばれていた3人に何があったのか? ショウとしてはいろいろと探りたいところです。
 そして迎えた2周目の終盤、狛浪組は再び追い詰められる状況に。

 けれど、最後の最後で一臣がショウに「逃げろ」と伝えてきたのです。その一言に、プレイヤーとして少し希望の光が見えてきました。

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▲重大な真実に気づくショウ。一臣は裏切ってないのかも!
 完全な裏切りだけでは説明できない、複雑な事情があるのかもしれない。2周目で灯った小さな希望は、先へ進むための支えになりました。

組長代行、バーテンダーになる【ROAD59 摩天楼モノクロ抗争】


 3周目に入った瞬間、まず目に入ったのは画面右上に表示された“DAY01”の文字でした。

 ショウ自身がループを自覚していることを示す演出であり、いよいよ本格的なやり直しが始まるのだと実感しました。見慣れたはずの日常に、これまでと違う緊張感が走ります。

 そしてここで登場するのが、2周目で華夜を救った際に受け取った“バーROAD59のコースター”。この世界ではまだ手に入れていないはずのものが、なぜか手元に残っていたんです。

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 “バーROAD59のコースター”はVIP待遇の証であり、春雲組に頼れる切り札になる……はずでした。

 このコースターの店が事態解決の鍵になると考え、バーROAD59に向かうショウ。……でしたが、まさかの展開に。店主である謎のバーテンダーに騙され借金を背負わされたショウは“バーテンダー”として働かされることになってしまいます。

 血で血を洗う抗争のただ中で「いらっしゃいませ」と、ぎこちなく接客しているショウの姿には、緊迫感よりもおもしろさに軍配が。シリアスとコメディの落差に思わず笑ってしまう、それもこの物語の魅力だと思える瞬間でした。

キャラの本音が見えてくる接客イベント


 バーテンダーとしてカウンターに立つショウは、訪れる客たちの注文を受けながら会話を重ねていきます。

 客たちはお酒やジュースを片手に、抗争の中では決して見せない素顔をちらりと覗かせてくれます。血なまぐさい日常を生きている任侠者たちの“人間らしさ”が、お酒の席では際立っていました。

 印象的なのは、普段は強気なキャラが酔ってくだを巻いたり、クールな人物がふと弱さを漏らしたりする瞬間です。抗争の渦中で見せる顔とは全く違う、柔らかい一面に触れられるのが、このイベントの醍醐味でした。

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▲すごい早口で門崎の推しポイントについて語る一色。普段は真面目なのにとんでもないギャップです!
 私のお気に入りは汐音が酔っ払うシーン。同じ話を何度も繰り返し、ショウの簡単な変装すら見抜けない様子があまりにも可愛くて、つい笑ってしまいました。緊張続きの物語の中で、ほっと肩の力が抜けるような場面です。

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▲ショウに気づかずにベロベロの姿を見せる汐音。とっても可愛い!
 静はまるで別人のように柔らかく、包み込むような愛情を見せてくれました。厳しい姉しか知らなかった分、その姿に不意を突かれ、「惚れてしまう!」とつぶやきたくなるほどでした。

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▲酔った姿も美しい。さすがみんなの姐さんですね。
 また、厳しい姉として描かれてきた静が、ここでは思わず見惚れるほど優しくて色っぽい。冷徹な一面しか知らなかった分、深い家族への愛情を語る姿には不意を突かれました。

 抗争に翻弄される物語の中で、カウンター越しのやりとりはまるで救いのように温かく、プレイヤーの心も穏やかにしてくれました。

ほぼすべてのキャラとのバーシーンが存在。なかにはとあるルートでしか出会えない人物も!


 敵である黒条組や天海区特別警察のメンバーまで客としてやってくるバーROAD59には「この店にはどんな秘密があるのか」と思わずにはいられません。

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▲ショウと敵対関係にある賢誠は、特に本音を聞き出したい相手かも。
 ただし、接客できる人数には限りがあります。誰と話すかを選ばなければならない場面で、「あの人の秘密も気になる、でもこの人の話も聞きたい」と毎回本気で迷ってしまいました。選択肢ひとつで結末が変わるゲーム性も相まって、ドキドキ感は最高潮です。 

 キャラクターたちとのバーでのひとときは、抗争の物語とはまるで別物。普段は見せない心情がこぼれるだけで、一気に距離が近づいたような気持ちになれます。

 接客を通じてキャラたちの裏の顔や矛盾を知ることで、ただの任侠抗争に留まらない“人間ドラマ”が広がっていくのを感じました。

 誰を選ぶかでプレイヤーの各陣営やこの世界への印象も変わっていく──それがこのパートの最大の魅力です。

 あえて「バットルート」に入らないと出会えない客や、読むことができないエピソードもあるので、メインストーリークリア後も何度でもやりこみたい要素でもあります。

バッドエンド&ベネディクト様降臨【ROAD59 摩天楼モノクロ抗争】


 3周目に入ると、選択肢の一つひとつが重くのしかかってきます。ちょっとした判断ミスがそのままバッドエンドにつながるので、画面を前に「これで本当に大丈夫なのか」と手が止まってしまう瞬間が増えました。

 緊張感が一気に高まって、息をのむような感覚です。

 
そして失敗するたびに現れるのが、PHOENIXのベネディクト様。

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▲バッドエンドを救いたいと語るベネディクト様。何やら意味深です。
 「あなたは○○を選んだから失敗したのデス」

 冷たい笑みを浮かべながら、選択を一つひとつ丁寧に解説してくるのですが、その語り口があまりに親切すぎて、プレイヤーにとっては救済になり得る展開でした。

 本来ならプレイヤーとして恐怖を感じでもおかしくないのに、ベネディクト様の不思議なテンポに癒やされるという体験です。

 血なまぐさい抗争のただ中に、不意に差し込まれるユーモラスなやり取り。この落差が『ROAD59』らしさを際立たせていて、ただのシリアスな物語では終わらない懐の深さを感じました。

成長するショウと、揺さぶられるプレイヤー【ROAD59 摩天楼モノクロ抗争】


 何度もやり直し、失敗を繰り返す中で、ショウの姿は少しずつ変わっていきました。

 かつては「俺は組長ちゃう」と弱音を漏らすばかりだった彼が、カウンターに立ち、人の本音に耳を傾けるうちに、弱さを抱えながらも確かに強くなっていく……。その姿は、胸が熱くなるほどの説得力を持っていました。

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 不器用さや説明が苦手なのは相変わらずで、焦って空回りする場面も多い。それでも「家族を守りたい」「運命を変えたい」という想いはどんどん強くなり、彼を前へと突き動かしていきます。その真っすぐさが、少しずつ周囲の人間さえ変えていくのだと実感しました。

 ループを重ねるごとに、プレイヤー自身もまた彼と共に成長しているような感覚に包まれます。気づけばショウの目を通して世界を見て、彼の焦りや葛藤を自分のものとして感じてしまうのです。

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▲ショウが任侠に生きる者としての“スジ”について伝える場面も。
 1周目では信じていた兄貴分に裏切られ、心をえぐられる絶望を味わい、2周目では「逃げろ」という一言に救われ、信じることの意味を突きつけられました。

 そして3周目では、バーテンダーとしてキャラクターたちの本音に触れたことで、人の弱さや矛盾を知りながらも、新たな希望を見出すことができました。

 
笑って、焦って、落ち込んで──それでもまた立ち上がる。

 そんなショウの不器用な背中は、プレイヤーに「次こそは必ず運命を変えてみせる!」と信じさせる強さを持っていました。

まとめ:この世界の真実を見届けてほしい【ROAD59 摩天楼モノクロ抗争】


 メインストーリーのエンディングは1つのバットエンドと2つのトゥルーエンドが存在します。トゥルーエンドはどちらも「切なさ」を感じるものであり、かつ「なぜその結末に至ったのか?」を知りたいと思わせるものでした。

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 その答えとなるのが、メインストーリー後にプレイ可能になる2つのEXTRAストーリーです。

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 EXTRAストーリーはメインストーリーの裏側でおきていた「天海区特別警察」と「黒条組」の組織内のできごとが濃密に描かれており、3つのエピソードすべてを体験することで、本当の物語の全貌が見えてきます。

 それぞれの譲れない「生き様」があり、それ故にぶつかりあわざるをえない。

 たとえ、その結果が血塗られたものであっても、自身の大切なもののために極道の道を選んでいく。

 『ROAD59』のキャラクター達に共通するこの生き様を見て、ジンギやループ物といったSF的な要素がありながらも、本作は正しく「仁侠物」だということを思い出します。

 まさに『ROAD59』は「生き様が交錯する物語」のビジュアルノベルだといえるでしょう。

 ぜひ、ゲームをプレイしてショウの生き様を見届けてほしい。それが最大の願いです!

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『ROAD59 -新時代任侠特区- 摩天楼モノクロ抗争』作品概要

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ゲームストーリーあらすじ


 東京湾に浮かぶ眠らない摩天楼、天海区では"ジンギ”と呼ばれる人ならざる力を持つ任侠者達が自らの生き残りをかけて血で血を洗う抗争を繰り広げていた。

 狛浪組の跡取りとして産まれた平凡で心優しい主人公、氷室ショウは厳しい姉・静の命令により不本意ながら組長として背負うことになる。

 しかし先代亡き後、勢力が弱まる一方の狛浪組を天海区で存在感を増す黒条組が襲撃する。

 大切な家族を守るため、ショウは裏切りと欲望が渦巻く天海区での抗争の中で、自らの手で“選べない選択”を重ねていくこととなる。

 果たしてショウが自らの選択の果てに手に入れたものとは――――。

キャスト・スタッフ


【CAST】
砂川脩弥/七海ひろき/美波わかな/相羽あいな/北村諒/末野卓磨
井上正大/工藤晴香/岡田夢以
君沢ユウキ/河内美里/前田誠二/白又 敦/鮎川太陽/山本康平
蒼井翔太/渡辺和貴/加藤里保菜
石川由依/津田健次郎/佐々木李子/谷江玲音/小林親弘

【STAFF】
企画・原作:ブシロード
キャラクターデザイン・メイングラフィッカー:ぎどら
開発:ロケットスタジオ

データ


ジャンル:ビジュアルノベルゲーム
対応機種:Nintendo Switch/Steam
プレイ人数:1人
ボイス:パートボイス
対応言語:日本語(英語、繁体字、簡体字の字幕にも対応予定)


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