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『デジモンストーリー タイムストレンジャー』が『デジモン』初心者、いやRPG初心者にオススメな理由がある。育成とストーリーが楽しすぎて遊ぶ手が止まらないとこだけ要注意

文:Ak

公開日時:

 PS5/Xbox Series X|S/PC(STEAM)で発売中の『デジモンストーリー タイムストレンジャー』のレビューをお届けします。レビュー執筆時のプレイ時間は約10時間です。

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 遊ぶ手をいったん止めて、本作をストーリー、探索&バトル、育成&やり込み要素といった要素別に、プレイしてどう感じたのかを書いていきたいと思います。

ストーリー:未知のデジモンとの出会いと別れを描くストーリーに『デジモン』らしさを感じる!

 本作のストーリー序盤の舞台となるのは、現実世界の日本・東京。超常現象の解決&調査を専門とした特殊組織“ADAMAS”のエージェントである主人公が、ある事件の調査に東京に訪れるところから物語はスタートします。

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 そこから謎の爆発に巻き込まれ、主人公は8年前の世界に飛ばされてしまうことに! 感覚的には、この“8年前の世界”のほうが、現実世界のメインになりますね。そこから見ると主人公は8年後から来た未来人にはなりますが、未来といっても8年後なのでそこまで近未来感はないです。タイムトラベルものというよりは、あくまで物語を構成する要素のひとつにタイムトラベルがある感じ。

 服装がSFアニメチックなのもとある理由からで、こんな服装が近未来で当たり前になっているというわけでもなく……珍妙な服装として道行く人から突っ込まれまくります。コスチュームは変更可能ですが、変えた状態でも「何だあの服?」「何かの撮影か?」みたいなリアクションになるのは少々理不尽(笑)。

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 いかにも未来のエージェント(というかSFアニメ主人公)っぽい見た目の結城ダン(声優:下野紘さん)か、ミニスカのセクシーさが話題を呼ぶ結城カナン(声優:井上麻里奈さん)か、どちらのタイプを選ぶかは迷い……いや、筆者の場合はミニスカ目当てでカナン一択でしたが!

 デフォルトネームはそれぞれダンとカナンですが、ネーム変更はいつでも可能です。

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 ちなみにタイプ(性別)もいつでも変更可能で、選ばなかったほうのタイプはオペレーターとしてサポートしてくれます。プレイヤーキャラクターにしたほうは基本的に戦闘時以外はしゃべらないので、ボイスを聞きたいほうのタイプをオペレーターにするのもアリかも?

 性格についてもちょっと違いがありますね。プレイヤーが実際に操作するキャラは選択肢しだい、オペレーターになったキャラはクール系になりますね。個人的にはプレイヤーキャラクターをダンにするのがしっくりくる気がします。まあ筆者の場合はミニスカ目当てでカナン一択でしたが!(2回目)

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 会話の選択肢ではかなりトンチキなものも選ぶこともできますね。こういうのってついつい選びたくなってしまいます! とはいえ、基本的に展開が大きく変わるってことはなさそう。というか、たいていの場合「そうね、でも……」みたいに受け流されます。この世界(というかデジタルワールドも)の面々、スルースキルが高すぎる! 幼年期のデジモンにも受け流し気味に対応されるの、結構クセになってきますね。どんなリアクションされちゃうのか味わいたくて選ぶまである。

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 序盤からだいぶSF色の強いストーリー展開となっていますが、プレイ時間4~5時間ほどで“デジタルワールド”に到達してからが本番といった風情です。そこからはファンタジー色が強くなっていきます。“デジタル”ワールドなのでむしろSFと表現するほうが正しいのかもしれませんが、なんだか不思議と“ファンタジー”と表現したくなるような雰囲気があるんですよね、本作って。

 序盤こそ少々事情が入り組んでいるように感じた場面もあり、「複雑な物語が展開していくのかな?」と予想していたのですが、デジタルワールドでは“タイタン族との対立”というわかりやすい縦軸があるので、物語にスッと入り込みやすい印象です。

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 主人公たちは、現実世界への帰還と新宿で起きた事件の解決のためにデジタルワールドの各所を巡り、問題を解決していくことになります。

 未知のデジモンとの出会いと別れを繰り返していく流れは、まさにアニメ『デジモンアドベンチャー』をはじめとする『デジモン』作品らしい魅力にあふれていますね。単に問題を解決しておしまい! というだけではなく、ちょっとビターな展開も織り込まれていたりするので、見ごたえがあります。

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 要所要所で助っ人やボスとして人気デジモンのチラ見せがあるのもうれしい。「そうそう! これこれ、こういう展開大好物なんですよ!」と、まだ短いプレイ時間ながらテンション上がる場面がしっかりとありました。

 とくに序盤も序盤で助っ人にくるオメガモンが超頼りになるのは、初代『デジモンアドベンチャー』直撃世代としては胸熱すぎる! ちなみにイベントで登場するデジモンは結構なビッグサイズですが、仲間になるとそれなりのサイズに落ち着きます。そのあたり、“デジタル”モンスターならではですね。

探索&バトル:オートバトルが超快適でレベル上げがラクチン! ボス戦はギミックや相性が重要

 フィールド上のデジモンとはシンボルエンカウント形式でバトルに突入可能。ただし接近してくるスピードがそれなりに速く、地形によっては完全にスルーして進むのは厳しいと感じました。

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 フィールド上のデジモンへは、R2ボタンで“デジアタック”――いわゆる先制攻撃が可能です。難易度にもよりますが、デジアタックはかなりダメージが大きく、実力差によってこれだけで勝負が決まってしまうことも! もちろん、デジアタックだけで倒した場合でも問題なく経験値などは獲得できます。

 しかもこのデジアタック、とくに狙いを付ける必要もなく誘導性能が超高いのが便利すぎる! プレイヤーが視認できていない範囲にいるデジモンも勝手に攻撃してくれるので、とにかく使い勝手がいいです。ひとまず進みながら、適当にデジアタックするだけでも有利な状況でバトルに突入できます。

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 バトルではオート機能や倍速機能の充実によって、とにかくテンポよく戦うことが可能となっています。というより難易度さえ低ければ、道中のデジモン戦ならデジアタック+オートバトルでほぼ全部のバトルが速攻で終わります。

 RPGジャンルにおいて、近年は特に“道中をどうプレイできるのか?”はゲームの手触りに直結する部分だと感じていて、本作について言えば、どうすれば手軽に遊びたい人にも『デジモン』を楽しんでもらえるのか? をきちんと考えて作られているように思いました。

 コマンド選択形式のバトルをできるだけスキップしたい人はそうしたっていい。マニュアルでじっくりと遊びたいんだって遊び方ももちろん選べる。この辺はユーザーの好みに応じて遊び方を選んでいくといいと思います。

 それぞれのプレイスタイルにあわせて探索や育成を楽しめる点において、『デジモン』に触れたことがない人、あんまりRPGを遊んでこなかった人、最近RPGに重たさを感じる人をふくめ、万人にオススメできるRPGになっているなと感じました。

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 ただしもちろん、すべてのバトルがオートで大丈夫というわけではなく、ボス戦はしっかりと歯応えがありました。この辺はメリハリがありますね。敵の特定部位を攻撃して大技を阻止するなどのギミックが重要になってきます。またオートバトル中はアイテムを使用しないなどの欠点もあります。このへん、道中はさっくり、でもボス戦はしっかりと遊んでほしいという制作側のメッセージを感じました。

 しかし中には「どうしてもこういう形式のバトルが苦手で……」という人もいるでしょう。そんな人は難易度“ストーリー”で遊ぶのをおススメします。この難易度であればある程度ギミックを気にせずゴリ押しでもいけるバランスだと感じました。難易度“ストーリー”でプレイすれば「とりあえずオートで進めつつ、何だか旗色が悪そうだったら手動に切り替え!」という感じで大丈夫だと思います。

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 また戦闘後、しばらくその場で操作せずに放置するだけでHP/SPが回復する“リジェネレーションモード”も超便利。とくにSPが回復するおかげで、スキルを気にせず使えるのが快適です。

 デジアタック+オートバトル→リジェネレーションモードで回復という流れで、ラクラクバトルを継続できるのはかなりお手軽ですね。拠点に戻る必要すらないのがノンストレスです。

育成&やり込み要素:進化ルートは超多彩! 条件も明記されているので初心者でも安心

 『デジモン』シリーズといえば、もちろん豊富な育成要素も魅力のひとつ。

 デジモンは、基本的に“コンバート”で入手可能。道中でデジモンを倒すことで“スキャン率”を100%以上にすることで、コンバート可能になります。

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 弱らせて捕獲したり、特定の攻撃でデジモンを倒したりなどのプロセスは必要なく、デジモンを倒し続けることでスキャン率を上げてコンバートが可能になるのでシンプル! 基本的にはお目当てのデジモンがいたらそのエリアでバトルを繰り返してみるのがオススメですが、そこまで意識しなくてもスキャン率は上がっていくバランスになっています。

 というか、スキャン率は集まりすぎるくらい集まりまくります。とくに成長期以下のデジモンはスキャン率が上がりやすいので、ガンガンコンバート可能です。

 余ったデジモンを消費することで経験値を得ることもできますが、レベル上げの敷居はそこまで高くないのでそこまで使う必要もなさそうな印象。というか、幼年期以下のデジモンを消費してしまう罪悪感がすごいです(笑)。

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 そして何より、デジモンといえば“進化”ですよね! 歴代『デジモンストーリー』シリーズのなかでも膨大なボリュームの進化ルートが用意されており、育成のやり応えが圧倒的です。

 シリーズで定番の進化ルートは守りつつ、本作独自のものも用意されており、やり込めるワクワクを感じます……。こういう“遊びこめる要素”があるのも、RPGの楽しみなんですよね。

 進化ルートはかなりあるものの、ルートをすべて把握しなくても、進化条件がハッキリ明記されているので育成は快適です。シリーズ経験者であれば定番を知っているのでやりやすいでしょうが、初心者にとっても親切設計で遊びやすいように思います。

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 ただし進化条件のエージェントランクだけは、“アノマリーポイント”を一定数消費しないと上がりません。“アノマリーポイント”は、メインミッションやサイドミッションを達成することで獲得可能です。

 実質的には、ストーリー進行がデジモンの進化のキャップになっているように感じました。進化を先の段階に進めたいという思いと、ストーリーにのめり込んで続きを見たいという思い。その2つがシーソーのようになって遊ぶ手が止まらない。プレイ時間の目安としては難易度選択などにもよりますが、筆者の場合はおよそ4~5時間で成熟期、10数時間で完全体に進化させることができました。

 ちなみにデジモンは“退化”させることも可能で、退化&進化を繰り返すことで才能値の上限が上がるなど、育成の伸びしろを上げられます。ただ、ストーリー攻略をするくらいであればとくに必要ないバランスではありそうですね。

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 なお、成熟期以降のデジモンには“デジライド”して移動することが可能になります。すべての成熟期以降のデジモンに乗れるようになるわけではないですが、そこそこの割合のデジモンに乗れる模様(メニュー画面のレベルの横のマークで判別可能)。

 一部浅瀬などで移動スピードが下がらないなどのメリットはあるものの、降りた状態でも十分に移動速度が速いので正直そこまで利用は必須ではないんですが……デジモンとの一体感が味わえるので、可能な限り使いたくなりますね。ただお気に入りのグレイモンは、ノシノシと歩くので体感的に遅く感じます(笑)。まあ多分デジモンによる速度の違いはないんですが、やっぱり四足獣型のデジモンのほうが軽快な気がしてきます!

 個人的には、ツチダルモンなど肩に抱えるタイプのデジライドがお気に入り。……何だか包まれているようで安心するんですよね(笑)。

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 育成以外のやり込み要素としては、カードゲームも遊べます。こちらはリアルの『デジモンカードゲーム』のような本格仕様ではなく、昔の携帯ゲームだったころの『デジモン』の対戦要素を抜き出したような演出が特徴的な、シンプルなゲームになっています。

 相性の要素はありますが、強い数字を出したほうが有利で勝った回数に応じてカードを入手可能。気軽に挑めてデメリットもなく、収集要素として楽しい! とくにイラストが昔のままなのが、シリーズファンには刺さりますね。

まとめ:『デジモン』世界の入門編としてこのうえない正統派かつ、誰にでもオススメできるRPG! まずは序盤体験版から遊んでみては?

 膨大な量の登場デジモンを搭載しつつ、手軽なバトルバランスで遊びやすさを実現した『デジモンストーリー タイムストレンジャー』。ストーリーは独立しているので、本作から『デジモン』シリーズに触れてみるのもオススメです。

 レビュー内でも触れましたが、初めて『デジモン』に振れる人でも進化ルートなどで戸惑わずに遊べる工夫があったり、「RPGって正直ダルくね?」と思っている人を意識したと思われる調整(特に戦闘まわり)があったりとなど、“ゲームに没入してもらえるにはどうするのがいいのか”をしっかりと考えているように感じられました。

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 引継ぎ可能な序盤体験版も各プラットフォームで配信中なので、まずはそこから触れてみてはいかがでしょうか?

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