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阿智太郎によるオトナ向けゲーム開発録:エチ神様の言うとおり!【第3回:仕様書? 何それおいしいの?】

文:電撃オンライン

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※この記事には成年向けゲームの話題が含まれています。そうした話題が苦手な方はご注意ください。
 というわけで(どんなわけなのかは前回のコラムを参照)無事に企画も決まり、本格的なゲーム開発が始まりました。
 ここで、まっとうなゲーム制作者であれば、“仕様書”の作成を始めることでしょう。さて、仕様書とはなんぞや? 一言で説明するならば、ゲームの詳細な設計図のことです。
 企画書が「こんなゲーム作りたい!」って夢を語るものなら、仕様書は「じゃあどうやって作る?」って現実を詰めるものって感じです。(ものすごくざっくりしていますが)

 実際、僕が勤務しているエンタメ系専門スクールにおいても、プランナー志望の生徒に、仕様書の書き方を有能な講師の方がそれはもう丁寧に教えています。そうでなければ、チームでのゲーム制作が不可能だからです。

 しかし僕は、今回のオトナ向けゲーム開発において、仕様書を作りませんでした。理由は単純にして明快です。

 作れないから

 です。作ったことがないからです。10年もゲーム会社に勤務し、その後もフリーでゲーム開発に携わってきたのに、仕様書というものを見たことすらありません。

 それもそのはず、僕がシナリオの仕事しかしてこなかったからです。そもそもとして、『RPGツクールMZ』でどんなことができるのか? すら、まだ把握していない段階で、仕様書なんて書けるはずもないのです。

 なので、もういきなり作り始めました。ゲーム会社ならこんなこと許されるはずがありませんが、個人製作だからやりたい放題でした。

 世界観設定やキャラクター設定はできていましたが、実際のゲーム性についてはまっさらな状態でのスタートでした。

“人妻に性欲を解消してもらいながら、ダンジョンを攻略する賢者のストーリー”

 ダンジョンでたまってしまった性欲を、人妻に頼んでエチエチなことをしてもらう。だってそうしないと弱くなってしまうから。

 問題は、どうやってダンジョンで性欲をためさせようか? でした。それすら考えずに、まずダンジョンを作り始めるなんて、見切り発車もいいところでした。

 当初考えていたのは、“歩数”・“ダンジョンに潜っている時間”・“撃破数”あたりが、性欲の上昇につながっていくように作れないかなと思ったのですが……。

 
しっくりきません。

 だって、ダンジョンのモンスターって、こういうのですよ。

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 こんなのと戦いながら、性欲をためられる主人公って……変態じゃないですか!

 それなら、出すモンスターは全員女性モンスターにしよう! そこで、ツクールの中に入っている女性モンスターを探したものの……。

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 す、少ない! そしてな~んかムラムラしない! さあ、どうしたものか? と悩む中、僕は見つけてしまいました。こんなステキな素材を。

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▲『著作権フリー レディモンスター素材集(1)』(Deseo様作/DLsiteにて購入可能)
 しかも、ダメージで着衣がはだけた素材も同梱されているとのこと。

 
これだあああああ!

 女性型モンスターの体力が50%を下回れば、アーマーブレイクしてエチエチな姿になってしまおう。そうなると、主人公の中のムラムラポイントが上がって、それが100に達すると、【賢者の罰則】という最悪のステート(状態異常)が発生し、HP・MPも含め、すべてのパラメータが半減してしまうなんていいんじゃないかな。

 さらに、敵を一撃で倒せた時は、(正確に言えば、モンスターの体力が50%を上回っている状況から、一撃で倒せた時は)このアーマーブレイクが発生しない。つまり、ムラムラポイントが上がらない! という仕様も思いつきました。それなら、弱点属性を作って、弱点魔法で攻撃をするという攻略法が生まれるからです。

 しかし、ここで大きな壁とぶつかりました。

 
敵を一撃で倒せた時はアーマーブレイクを発生させない!

 これが、うまく実装できない! 当たり前のことですが、倒されるということは、体力が50%を下回るということです。だから、消える瞬間に、アーマーブレイクが起こってしまうのです。

 倒されたモンスターは、消滅する直前に最後の意趣返しとばかりに、

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 いやーん♥ な姿を見せて、消えていくのです。当然ムラムラポイントも上昇してしまうので、攻略もへったくれもないのです!

 どうしよう?

 悩みました。教えてくれる人はいません。ひたすら考えて、考えて考えて、ツクールに触って触って触って、1週間ほどたった後、ふと気づきました。

 ん? ステート(状態異常)の中に、戦闘不能って言葉があるぞ!?

 そうです! 毒、スタン、睡眠、沈黙、と同じように、戦闘不能もまた、ステート(状態異常)のひとつだったのです!

 となると、話は簡単です。

※敵のHPが50%以下になった場合
※なおかつ! ステート【戦闘不能】になっていない場合
※アーマーブレイクの演出
※ムラムラポイントがX値、加算される

 このように、イベントを組んでいけば良いのです。これで、一撃で倒した場合は、条件を満たさないのでアーマーブレイクが発生せず、敵は消えます。ムラムラポイントも上がりません。

 やったね♪

 しかし、喜んだのもつかの間、また新たな問題に衝突しました。ムラムラポイントを可視化しようと、プラグイン(ゲームの仕様や動作を根本から変えることができる追加プログラムファイルのこと。JavaScriptで書かれていて、無料公開されているものが多い)を導入したのですが、

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 普通に実装すると、100を超える数字も表示されてしまいます。100で【賢者の罰則】が発動するので、100以上にならなくてもいいのですが、上限を設定する方法がないので、どんどん数値が加算されてしまうのです。ゲーム的に問題があるわけではありませんが、なんだかちょっと美しくありません。(あっ、人妻にご奉仕してもらえば、0に戻ります)

 どうしよう?

 ひたすら考えて、考えて考えて、考えて考えて考えて、1週間ほどかけて、こんなバトルコマンドをくみ上げました。

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 意味不明ですよね~(汗) 僕も、これを組んで1年半後の今、見返しても意味が分かりません。

 それでも、当時の記憶を思い出しながら紐解くと……

※ムラムラポイントが追加される(モンスターによって追加数値は変わる)
※ムラムラポイントの蓄積値が100を超えた場合
※100-(ムラムラポイントの蓄積値)=X
※(ムラムラポイントの蓄積値)+X=Y
※Yを画面に表示

 とまあ、こんな処理が行われています。例えば、ムラムラポイントが98の時、新たに9ポイント追加されてしまった場合は、

98+9=107
100-107=-7
107+-7=100
100を画面に表示

 というような計算が成り立つわけです。100を超えてしまった分だけ、100から引くことで、常に100を保つという仕様です。もっと効率的ないい方法もあるかもしれませんが、これしか思いつきませんでした。

 単純な数式です。中学生レベルでしょうか? もっと下? ですが、僕にとっては、ひたすら考えて考えて、考え抜いて作り出した
“奇跡の数式”でした。

 とまあ、こんな感じで、何か問題に衝突する度に、何日も何日も考え抜いて、ツクールを触って触って触って、どうにか答えを出し製作を続けました。言わば、ゲームを作りながらゲームの仕様を固めていくという、まず普通の開発現場では行わない(行えない、行っていいはずがない!)方法で、ひたすら効率悪く作り続けました。

 しかし、ゲームと数学というのはなんか仲がいいらしく、そこら中に数式が存在しています。よくもまあ、投げ出すことなく最後まで取り組めたものだと感心しています。

 あれだけ数学が嫌いで、テストで0点を取りまくっていた僕が、ひたすら数式と向かい合う日々。ひょっとしたら、
エロは奇跡を起こすのかもしれません

 なので、数学嫌い、算数嫌いの子供には、エロい問題を作れば、意外とがんばって取り組んでくれるかもしれません。(エロエロ計算ドリル、誰か作ってくれないかな?)

【問題1】
女性が8人います。3人加わり、2人帰り、さらにそのあと、5人加わりました。さあ、おっ●いの数はいくつ?

【問題2】
シコルスキーくんは、女優Aのオトナビデオで3回、●●●ーすることができます。しかし、女優Bのオトナビデオであれば5回、●●●ーが可能です。ある夜、シコルスキーくんは39回の●●●ーをし、ビデオの総本数は11本でした。この日彼が見た女優Bのオトナビデオは何本でしょうか? なお、どのビデオも女優Aまたは女優Bどちらか1人が出ているものとします。

 みたいな。……ちなみに、僕は問題1は解けますが、問題2を解くことはできません。先に答えを決めて逆算して問題文を作っただけです。どういった式を使うのかもわかりません。そんなレベルの数学力いや、算数力しか持っていないのです。

 Ci-enのコメントで数式と答えを書いてくれたら……尊敬します。しかし、シコルスキーくん、超人だな……。

 今回は、なんだか小難しい話(?)ばかりになってしまいすみませんでした。これを小難しいと感じている段階で、本職のプログラマー、スクリプターの方には笑われてしまうかもしれませんが。

 なので、Ci-enの“全力解放版コラム”では、イベントスチルの数々を大公開し、おわびのエチエチフェステバルを行おうと思います。
※リンク先は成年向けページとなります
 そして次回は、お待ちかね!

 
エチエチなシーンはどうやって書くの?

 について、説明したいと思います。この方法さえ知れば、誰でもエチエチなシーンを書き放題って裏技です! お楽しみに!

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