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エチ神様の言うとおり! ~阿智太郎、オトナ向けゲーム開発録~【第2回:愚痴から始まる叡智なゲーム制作の日々】

文:阿智太郎

公開日時:

※この記事には成年向けゲームの話題が含まれています。そうした話題が苦手な方はご注意ください。
 そもそも、なぜ僕がオトナ向けゲームを作ろうと思い立ったのか? コラム2回目は制作を思い立ったきっかけから、制作スタートまでの流れを、説明したいと思います。

 実は僕こと阿智太郎、数年前より、某エンタメ系専門スクールにて講師として働いています。受け持っている講義は、ゲームシナリオだったり、マンガシナリオだったり、マンガ原作だったり、パフォーミングアーツ(演劇・声優)学科に頼まれて、お芝居や朗読劇の脚本を書いたりもしています。

 所属としてはゲーム学科なので、講義とは別にゲーム学科の生徒のサポート業務も行っているのですが……事務作業とマルチタスクが
壊滅的(大袈裟ではなく本当)に苦手なので生徒にも、同僚にも迷惑をかけっぱなしです。(すみません……)

 そんなゲーム学科では、“チーム制作”という科目があります。生徒たちがチームを作って、ゲームを作るという科目です。
 ゲームクリエイターを目指す若者たちが、楽しそうにわいわいとゲームを作っている姿を見ていて、僕が感じたのは。

 夢を追う若者ってまぶしい! なんかキラキラしてる!
 彼らの夢が叶うよう、僕も全力でサポートしなければ!

という気持ちとともに、

 うらやましい! 僕もゲーム作りたい!

 という、強烈なまでの衝動、そして渇望でした。

 ああ、作りたい、ゲーム作りたい。どっかのチームに混ぜてくれないかな? 世界観設定とかシナリオとか、喜んで引き受けるよ。どうかな?

 なんて願ったところで、そんな夢が叶うはずもなく。ああ、ゲーム作りたいなあ。でもゲームの仕事なんて、なかなか来ないしなあ。依頼が来なくっちゃ、ゲームは作れないからなあ。という、悶々とした日々を送っている中、職場にアルバイトに来ていた若者に、そのことを愚痴ってみたところ……。

若者「阿智さん、何を言ってるんです? ゲームは、1人でも作れます。そしてそれを売れる時代ですよ」

 そして、彼は僕に、インディーズゲーム業界のことを教えてくれました。さらにさらに、

若者「阿智さんが、本気で作るなら、俺が絵回りやりましょうか?」

 とまで言ってくれたのです。(彼は、学生時代に友人数名でゲームを作って配布した経験の持ち主で、絵が描けて、他の絵描きさんの知り合いも多く、さらには音響の技術も持つ、スーパーマルチな若者だったのです)

 当然、僕の答えは決まっていました。

阿智「やるー!」

※ちなみにこの若者が、『賢者タイムのスッキリ人妻冒険記』のスタッフロールで、アートディレクター、サウンドディレクターとして名前が載っている、柴々。(しばしば)さんです。以降、この若者のこと、しば氏と書きます。
 まずゲームツールを何にするのかを決めました。“Unreal Engine”や“Unity”などが有名ですが、プログラムの「プ」の字も知らない僕が手を出すにはあまりにハードルが高く、除外。ノベルゲームを作るのに適している“ティラノビルダー”とRPGを作るのに適している“RPGツクールMZ”の2択に絞られました。

 で、迷うことなく“RPGツクールMZ”を選択しました。仕事で、ノベルゲーム、RPG、両方のシナリオ執筆を行ったことがあるのですが、ノベルゲームが必要とする文字数はとてつもなく多く! 大変だからです!(過去には100万文字という仕事も……ひいいい)

しば氏「RPGツクールなら、簡単ですから3日もあれば使えるようになりますよ」

 彼のこの言葉を信じ、その夜にRPGツクールMZを購入。とりあえず触りはじめました。(結論から言うと、3日では使えるようになりませんでした。基本的なゲームを作れるようになるまでに、3カ月はかかりました……物覚え、悪いからなあ)

 習作として作った作品を紹介します。

習作その1:『こんがりぷーすけ』

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 豚が主人公のゲーム、飼い主が戻ってくるまでに暖炉の火を強くして飛び込み、ローストポークになって飼い主を迎えるという感動ストーリー。

 室内には無数のアイテムをちりばめて配置してあるが、正解はベッドの下の『萌え萌え雑誌』。これを見つけて暖炉に投げ込むと、家が火事になるかと思うほどの火力が出る。

習作その2:『グリーンドラゴンを倒せ』

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 ちっとも冒険をしていないのに、大冒険をしたかのような感じでラスボス戦に突入するゲーム。

 マップが超絶に狭い。家を出て少し歩くともうグリーンドラゴンの住処。しかしグリーンドラゴンは世界の緑を守る番人で、特に悪いこともしていない。倒してしまった結果、世界は急速に砂漠化し、モンゴリアンデスワームとの戦いが始まるという後味の悪い展開で終わる。

習作その3:『リス美の酒場』

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 下級戦闘員であるゾンビのゾンすけが、魔王のパワハラに耐えかねて、危ないカクテルを飲んでパワーアップし、魔王を倒す下剋上ストーリー。

 ゾンすけは、アンデッド系モンスターの最上位、リッチへと進化を遂げ魔王を倒すも、カクテルの力が強すぎて爆死。その後、魔界は、リス美ママが支配するというよくわからないエンディング。(イラスト取り込み表示を試してみたく、なんか適当な絵を奥さんに描いてもらった。それがリス美ママ)

※3作品ともふざけているようですが、すごく真面目に作っています。
 3つの習作を作り上げた後、実際に販売を目指す作品の企画を立て始めました。(あっ、もちろんオトナ向けです。売るならオトナ向けがいいって聞いたので。それに、まだオトナ向けのシナリオは書いたことがなかったので挑戦したかった)

 そして渾身の企画、6本をしば氏に見せました。

●宇宙駆逐艦スペルマルス ~射精(エジュキレーション)砲を発射せよ!~
●珍棒鬼(ちんぼうき)サマと三人の乳巫女
●ごほうし学習塾
●両手両足骨折したオレが、女性たちにアッチのお世話もしてもらう件
●ボクのイケナイ夏休み自由研究
●賢者タイムのスッキリ冒険記

 で、しば氏が、「これがいいんじゃないの」と選んでくれたのが、『賢者タイムのスッキリ冒険記』(この時点ではまだ人妻という言葉は入っていなかった)で、本格的な開発がスタートすることとなりました。

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 選ばれなかった他の企画も個人的には気に入っています。あまりにエチエチすぎて詳細を書けないので、そちらはCi-enの『全力解放版コラム』で紹介しようと思います。気になる方は下記のボタンをポチっとお願いします。(どれもこれも、本当にエチエチですよ♪)
※リンク先は成年向けページとなります
 そしてそして、コラム開始記念の20%割引セールは、10/20(月)の23:59までやっております。まだ間に合いますので、興味を持たられた方、是非とも本編を遊んでみてください。

 次回、3回目では、実際の開発が始まってぶつかった“システムの壁”について、掘り下げていこうと思います。(いや、本当に、試行錯誤の連続でした……)

第1回はこちら

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