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『スパロボY』DLC第1弾感想。新規ストーリーのクロスオーバーが想像以上に濃密。◯◯◯を彷彿とさせる仮面ライダーWの性能にも驚かされた【スーパーロボット大戦Y】

文:米澤崇史

公開日時:

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 PS5/Nintendo Switch/PC(Steam)向けに発売中の『スーパーロボット大戦Y』のDLC第1弾の感想をお届けします。

※DLCのストーリー内容についてのネタバレは最小限にとどめています。まだプレイ途中の方もご安心ください。[IMAGE]
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ストーリー性やクロスオーバー要素が満載なDLC【スパロボY】


 いよいよ配信開始となった『銀河旋風ブライガー』『THEビッグオー』『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』が参戦する『スパロボY』DLC第1弾“~闇からの依頼~”。

 本編の発売からある程度経っていたので、DLCはいつ配信になるのかやきもきしていたプレイヤーも少なくないかと思います。筆者ももちろんその一人で、配信が始まってからすぐにプレイしました。


 DLCのストーリーはチャプター2で出現する“街角に微笑むは”という顔見せステージをクリアする(このステージのみDLCを未購入でもプレイ可能)と、以降DLCステージが出現するようになります。すべてのDLCステージをプレイするには、ある程度ゲームのチャプター自体を進める必要もあります。

 とりあえず遊んでみて一番の感想が、ストーリーが予想以上にしっかりしていたということ。

 というのも、『スパロボ』におけるDLCの追加参戦は今回が初めてではなく、前作『スーパーロボット大戦30』の時にも行われていたのですが、『スパロボ30』のDLCはストーリーのボリュームがあまりなかったんですよね。

 時折会話に顔を出すようにはなるものの、部隊の加入までの流れとパワーアップイベントが簡潔に描かれるくらいで、作品間のクロスオーバーみたいなのもあまりなく、新しいユニットが使えるという喜びはありつつも、『スパロボ』的な楽しみとしては物足りなかったのが正直なところでした。


 『スパロボY』のDLCは、そのあたりの反省点が活かされているようで、ストーリーやクロスオーバーがしっかりと描かれています。

 『スパロボ30』は、あくまでもユニットとキャラの参戦がメインで、オマケでストーリーがついてくる……みたいな感じだったのが、『スパロボY』では、DLC追加3作品のキャラクターたちが活躍するサイドストーリーが描かれ、その流れの中でユニット・キャラが自軍に参戦するという構造になっています。

 3作品とも、主要キャラクターが探偵や始末屋といったアウトロー的な位置づけという共通点があるのもあって、クロスオーバーはとくに濃密。

 『銀河旋風ブライガー』『THEビッグオー』も共に複数回『スパロボ』に参戦している作品ですが、いわゆる先輩アウトロー的なポジションとして、翔太郎たちにアドバイスするようなシーンもあったり、今まであまりないタイプの描かれ方をしているのも新鮮でした。

 注目は時系列的にすでに死亡しているはずの鳴海荘吉(仮面ライダースカル)で、実に『スパロボ』らしいファンサービスに溢れた展開も。メインキャラに大人が多いのもあって、『スパロボY』の本編とは毛色の異なる、ちょっとハードボイルドチックなストーリーも見どころです。

 『スーパーロボット大戦X』に登場したオリジナル敵のゴーレムが再登場、DLCストーリーのためのオリジナルの敵も新たに用意されます。話が進むにつれて、翔太郎たちが受けた行方不明の依頼人や、依頼人が探す人物の謎も明らかになっていくという流れで、1本の新規ストーリーとしてしっかり作られているので、本編クリア後でも楽しめる内容になっています。

 また、今回のDLCによって、ついに仮面ライダーが『スパロボ』参戦を果たした形になるのですが、コンパチヒーローシリーズからの流れで『スパロボ』に入った身としては、ガンダムとライダーが並んでいる光景がめちゃくちゃ感慨深かったですね。

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 惜しむらくは、ウルトラマン系からの参戦がないことですが、ここは円谷プロ繋がりということでグリッドナイトに代役を果たしてもらいましょう(ゴジラもいますし、今回は本当にウルトラマンに参加してほしかったところ)。

 以降は、DLCで参戦する3機の主役ユニットの性能について紹介していきます。

まさかのキリコ枠だった仮面ライダーW。“連撃”で何度も動けるのも便利すぎる


 まず、ついに『スパロボ』参戦を果たした仮面ライダーW。なんといっても目玉は専用特殊スキルである“風都の探偵”です。

 クリティカルダメージが1.5倍になるという、従来のシリーズで『装甲騎兵ボトムズ』のキリコ・キュービィーが所持していた“精密攻撃(クリティカルダメージアップ)”に相当する性能をしています。この能力のおかげでキリコは毎回最強クラスのユニットに位置づけられるくらいだったので、同種の能力を持つWもかなり強いです(加えて、“風都の探偵”には3000以上のダメージを与えると“分析”の効果がつくオマケつき)。


 ユニットサイズがSSなので、素のダメージは低めになるんですが、この“風都の探偵”のおかげでスーパーロボットにも劣らないダメージを叩き出せます。クリティカル率の上がるパーツや技量育成で可能な限りクリティカル率を高めたいところ。

 ユニット側の特殊能力である“仮面ライダー”も優秀で、気力130以上で“連撃”がターン開始時に掛かるという効果はなかなか破格です。とくにハードやエキスパートで、資金ボーナスが得られる5ターン以内のクリアを目指す際には非常に重宝する性能になっています。

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 ユニットサイズがSSなのも手伝って回避はかなり高いですが、HP・装甲共に低く打たれ弱いので、ボスを相手にする時は精神コマンドでのフォローは必須。

 “加速”を覚えないのはネックで、翔太郎とフィリップで精神が2人分使えたら言う事なしだったんですが、さすがに強すぎるので仕方ないかなと。その分、移動後に使えて射程2~5のトリガーマグナムが地味にありがたいです。

気力ダウンが優秀なビッグオー。サブパイロットでドロシーがいないのが新鮮であり惜しい


 『スパロボZ』シリーズ以来の参戦となるビッグオーは、高いHP・装甲にシールドを持つスーパーロボット。

 いつもはドロシーがサブパイロットになっているんですが、今回のドロシーはアシストクルー扱いになり、珍しくロジャーの一人乗りになっています。


 Lサイズで高装甲・高HPにシールド持ちとといかにも防御が高そう……な性能をしているのですが、スーパー系の中でも運動性が最低クラスなので攻撃を回避できず、初期ではロジャーが底力を一切取得してないのも合わさって、意外と打たれ弱い印象があります。

 格闘系武装の空中への地形適応も低めなので、フライトモジュールやAアダプターで底上げしたり、移動力が低いのでダッシュやブースター系のパーツをつけたり……と、少し運用に手はかかります。

 しかし、その分明確な強みももっていて、とくにロジャーの専用特殊能力“ネゴシエイター”は、“戦闘した相手の気力を-10”するという強力な性能。

 ジェットジャガーの“戦術アナライズ”にも同じ効果がありますが、ビッグオーの方がジェットジャガーより戦闘力が高いので、前線に放り込みやすいのが強みで、“モラルブレイク”も習得させて、気力を下げまくるユニットとして運用すると面白い活躍をしてくれます。

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 また、武装の構成がENと弾数を消費するもので良い感じにバラついていて、ENをそこそこ消費する射程と威力に優れた“クロム・バスター”を遠慮なく反撃にガンガン使っていけるのも使い勝手が良いポイントです。

 このあたり、いかにも「敵陣に放り込んで反撃させろ」みたいな性能をしているだけに、ロジャーが“鉄壁”を覚えないのが非常に惜しい。

 一方、ドロシーのアシストコマンドの効果が“鉄壁を付与する”というビッグオーの性能にも噛み合うものになっていて、助手であるドロシーがいることで完成する……というのはすごくビッグオーらしさがあって良いなと思いました(でも、できるならサブパイロットとアシストクルーに分裂して2人になって欲しい)。

専用特殊スキルがあまりに強力なブライガー。唯一の残念な点は性能ではなく……?


 ブライガーは、4人乗りで強力な長射程武器を豊富にもつスーパーロボット。今回登場するDLCの中では一番クセが少なく、非常に扱いやすいユニットです。

 ブライガー自体には特殊能力はないんですが、メインパイロットのキッドは専用特殊スキルである“始末屋”を取得していて、これが“撃墜時のクレジット1.1倍&HPが自機より高い敵に対してダメージ1.2倍”と、書かれている2つの効果がどちらもとんでもなく強いです。


 ブライガー自体のHPは高めなので、全部の敵に発動するわけではないのですが、序盤でもボスに対してはほぼ問答無用で発動しますし、後半になるにつれ雑魚敵のHPも多くなってくるので、どんどんダメージが1.2倍になる対象が増えていきます。

 加えて、キッドが最初からサポートアタック+援護攻撃Lv3を習得しているのも優秀。“始末屋”とあわせて、1.2倍補正のかかった確定クリティカルの援護攻撃を序盤から連発できるという、対ボス戦の援護役としては最強クラスのユニットと言えると思います。

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 防御系の能力がないので打たれ弱さはあるのですが、それも4人乗りの豊富な精神コマンドでカバーしやすく、熱血・加速・気合・鉄壁・不屈など使用頻度の高いコマンドの担当がいい感じに分散しているのもありがたいです。

 ただ、今回のDLC作品の中では唯一版権BGMが収録されていないのは残念なところ。やっぱり『ブライガー』といえば、オープニング主題歌の“銀河旋風ブライガー”が流れないと、どうしても物足りないところは出てしまいますよね(PS5・Steam版はエディットBGMを設定可能ですが)。

 なお、DLCの配信と同時にアップデートも実施されており、チャプター6でプレイできるボス級の敵が連続で出現する追加ミッション“バトルラッシュ”と、アタッカーなど一部のパイロットスキルに最上位の“EX”が追加され、よりやりこみ要素も増しています。

 EXスキルは習得にかなりの資金が必要になるので、スタメン全員に習得させるよりは、ピンポイントに自分の推しユニットをより強化するための要素という印象で、より自由度の高いプレイが楽しめるようになりそうです。

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 そして嬉しいことに、DLCには第2弾もまだ控えています。今回のDLC第1弾で、思っていた以上にストーリーが楽しめたのもあって、第2弾が自分の中でより楽しみになりました。それまではエキスパートをやりこみつつ、DLCの続報を楽しみに待ちたいと思います。

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米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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