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アンビエントオクルージョンなゲーム開発Vtuberななな(七縹ななは)さんに聞く、ゲーム開発のお仕事。エフェクトを作るのにどのくらい時間がかかるの?【電撃ぴくせれ~ど!#3】

文:ことめぐ

公開日時:

最終更新:

 ゲーム開発Vtuberユニット“ぴくせれ~ど!”は、朱珠(しゅしゅ)ウララさん、うーたまぽよさん、七縹(ななはな)ななはさんによる3人組Vtuberユニット。そんな彼女たちを応援する特別連載“電撃ぴくせれ~ど!”をお届けします。

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 メンバーの
“七縹ななは(ななはなななは)”さんに、VFXアーティストのお仕事やアートディレクターを目指す思い等をお聞きするべくインタビューを実施!

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 メンバーの朱珠ウララさん、うーたまぽよさん、先輩の“BlackPixelade(ブラックぴくせれ〜ど)”の詩々鼠ちるさん、ニャンディ・ステラさんも同席し、和気あいあいとした雰囲気の中、たっぷりとお話を聞きました。

 今回は“ゲーム開発Vtuberの活動について・後編”をお届けします!

ゲーム開発YouTuber“ぴくせれ〜ど!”とは?


 
ゲーム開発Vtuberユニット“ぴくせれ~ど!”は、朱珠(しゅしゅ)ウララさん、うーたまぽよさん、七縹(ななはな)ななはさんによる3人組Vtuberユニット。

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 YoutubeとTikTokでゲームをつくってるリアルな作業風景やアイディア会議、ちょっとした雑談、ゲーム実況&分析などの動画を公開しています。

 
「自分たちのゲームをたくさんの人に楽しんでもらいたい!」という思いから、ゲームの開発を行っています。

 配信開始時の挨拶は
「こんぴく!」で、配信終了時の挨拶は「おつかれ~ど!」

  • ハッシュタグ:#ぴくせれ~ど
  • 配信タグ:#ぴくエスト
  • ファンアートタグ:#ぴくあ~と

七縹ななは~ほかのメンバーが自由すぎる

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七縹ななはさんは、書道の師範の資格を持つユニットのまとめ役。アートディレクションについても勉強中です。本業はVFXアーティスト。

  • 誕生日:4月10日
  • 身長:164cm(厚底込み)
  • 血液型:B
  • 好きなゲームジャンル:スローライフ系、パーティーゲーム
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  • 配信タグ:#なななクエスト
  • ファンアート:#ななはな絵巻

VFXアーティストとは?

ーーゲーム開発Vtuberということで、改めてどんな部分を開発しているのか教えて下さい。そもそも“VFX”とはなんなのでしょうか?

ななな
VFXアーティストなので、基本的な業務としてエフェクトをやっています。

 エフェクトとは……分かりやすいもので言うと、ゲーム内で魔法がキラキラ〜って出てくるのとか爆発だったり、画面効果、視覚効果みたいなものを作ってつけるというのがメインの業務になってます。

 で、それを『かくれ鬼』だと、幽霊からモヤモヤ〜って出てくる煙を作ったりそういう感じでやっていますね。あと、霊視した時に画面にノイズがかかったりするんですけど、そのノイズを作ったり、アイテムを使った時に画面が黄色くなるアレとかも作ってます。キャラクターや背景のモデル以外の動くものは、大体エフェクトが担当してますね。

ーーエフェクトによってゲームの気持ち良さが結構変わってきますよね。

ななな
『鋼の戦騎ARMIS』はプレイヤーの「当たった、やった」みたいな気持ちに直結するので、エフェクトがないと「当たったのかな?」みたいになってしまうんです。手応えにすごく直結するからこそ、こだわって作らないといけなくて。『かくれ鬼』も同じなんですけど、そこはエフェクターとしては絶対に外せないところですね。

ーーエフェクト作りに掛かる時間はどのくらいなんですか?

ななな
他のモデルを作ったり、キャラクターを作るのと同じではあるんですけど、絶対必要なもの……例えば殴った時のヒットエフェクト。当たったら出るものとか、絶対必要なものは優先度を高くして作っています。

 例えばヒットエフェクトは今までたくさん作ってきているので、これぐらいだったら5日とか1週間ぐらいでやれるっていう感覚ですね。作り方によってちょっと検証が必要だねっていうものは、長く掛かるという感じで。“チンダル”とかはマジで半日、一瞬で出来ます!(笑)

 自社開発で、ウチの会社はアート会社なので、みんなが色んなところのクオリティをチェックできるので、「ここもうちょっとこうだね」っていう話は他の先輩にも聞きながらやっています。

ちる
アニメーションチーム全員でやってるもんね。

ニャンディ
やってます。新人もアニメーション作ってます。

ーーアートディレクションはどういう心意気でやっていますか?

ななな
この『かくれ鬼』の開発を通して本格的に触れる……とまではいかないですけど、先輩がやっている後ろ姿を見てはいるんですが、自分でどんどん発信していくっていうのは、この『かくれ鬼』を土台にしながら今進めています。

 本当に手探りというか、右も左も分からないまま……ちょっとおずおずと今差し出してるような状態なんですけど、絶対これをやり切ったら自分にとって大きい成長になるなと思ってます。

 自信はないけれど、それをこう自信のなさを払拭するような感じで、どんどん頑張っていかなきゃなって、ちょっと焦ってます(苦笑)。

ーーアートのディレクションというと、上がってきたものをチェックしたりしてるのでしょうか?

ちる
そうですね。企画は仁平さんの方でやっているので、企画を交えて「ここはこういうのが欲しい」っていう話を直接ぽよに言って、「じゃちょっと描いてみるわ」って描いてもらったものをみんなで見て、みたいな感じですね。そんなになななが〜とか、ちるが〜というより、みんなでやるという感じです。

 ちょっと今アート全体の方針、トンマナみたいなところを出しつつある状況なので、そこもみんなと相談しながら「『かくれ鬼』にはこういうのがいいよね」みたいなのを話しつつやっています。

ーーそこで取りまとめるのもアートディレクションとして重要なところですね。なななさんがそれを決めていくみたいなことが?

ななな
……できるようにしたい。できるようにします。

ーーなかなかゲームを怖くないようにするわけにもいかないですよね?(笑)

ぽよ
怖いかどうかのチェックは私を通ります!

ウラさん
ぽよの他にもあともう1人、ホラーめちゃくちゃ好きな先輩がいるんですよ。

ななな
私が見てて「うわ、無理!」って思ったらそれは怖いのかなって(笑)。でも、だんだん作ってるとやっぱり慣れてくるんですよね。まだいける、まだいける! って。ただ見る分にはいいかも。ウワッ! ってなるのが嫌だから。……でも、そのうち慣れちゃうかもしれない。

ウラさん
慣れるし、なんだったらちょっと愛着湧いてくるよね。モーションとか作ってたらたぶんそうでしょうね。

ななな
リファレンスを調べた時が1番嫌でした。そのVFXの動画見ながら、もうやだやだ〜! って(笑)。リファレンスの壁、あるよね。

ニャンディ
リファレンスの壁、あるある!

ーー“リファレンス”というのは、どういうものなのでしょうか?

ニャンディ
モーションだと、例えば一番重要な走りの動き作りたい、でも人によって、性格によって走りの型が違うじゃないですか。リファレンスは調べて、こういう性格の人の動画をいっぱい見て、こんな感じに走るかなって、参考にしながら作るとかも全然あるので。

ななな
参考資料みたいな感じですね。

ニャンディ
そうです。

ーーそれをチーム内で共有したりしているんですね。

ちる
はい。エフェクトとかだとね、ホラーだと血作ったりするので、スプラッターホラーを観ながら(笑)。

ーーこっちより『Rebirth(リバース)』の方が、血の表現は強そうですね。
※『Rebirth(リバース)』はBlackPixeladeが開発中のホラーゲーム。3Dでリアルなキャラクターが登場する。

ちる
はい。もう『Rebirth(リバース)』は結構リアルな表現するので、ロケにも行かなきゃねーって。

ーーロケとはどういうことですか?

ちる
舞台が現代なので、参考になるようになる場所や、ホラー系のオカルトスポットにも行っています。

 あと、人体の中身って生で見ることできないので、本当にやるんだったら、動物の頭買ってきて解体してやる。本当にやるスタジオもあるんです。ここで解体しよう!

ニャンディ
嫌だ。

ぽよ&ウラ 怖い〜!

ちる
ま、本当にリアルなもの描くってなったらそこまでやります(笑)。

ーー『かくれ鬼』は“血”の表現は多いですか?

ななな
お化けの表現とかかな? でも血は流れないです。

エフェクトを教えてもらったら“楽しい”と思えた


ーー子どもの頃になりたかった職業はなんですか? また、なぜゲーム開発のお仕事についたのでしょうか?

ななな
子供の頃、具体的にこれになりたいっていうのが実はずっと全然なかったんです。でも絵を描くのはずっと好きだったので、漠然とクリエイティブな職に就きたいなみたいな感じで思っていた気がします。

 絵が描くのが好きだったっていうのもあって、高校を卒業した後に専門学校に入ったんです。そこでもあんまり具体的な将来のビジョンというか、どういう会社に就職するんだろうみたいなのが見えていないままだったんです。

 でもちょっとご縁があって、この会社でトライアル入社試験みたいなのを受けて、合格っていう風になって。

 本当に正直なことを言うと、合格ってなった後も、「じゃあどこのパートに入りますか?」って言われても「え、どうしよう」みたいになってしまって。「じゃあちょっとエフェクトやってみない?」っていうことで、エフェクトを教えていただいてたら、「あ、楽しい」って思えたんです。

 成り行きじゃないですけど、本当にご縁があって今ここに来て、ゲーム会社にいる。昔の自分ではたぶん考えられなかったですね。

ーー結構特殊な入り方なのかもしれませんね。

ななな
ゲームももちろんずっと好きだったんですけど、とにかく絵を描くのが好きだったし、クリエイティブなことも好きで、このスキルがとにかく活かせるところがいい、活かせる職に就きたい。それだったら正直何でもいいみたいな感じだったんです。

 けど、エフェクトを教えてもらったら、最終的な絵の完成みたいなのも考えなきゃいけないし、それ以外の新しい技術もどんどん吸収していく感じが楽しいなと思ったので、エフェクトを頑張ってやってるという感じです。

ーー絵を描いていた経験は、エフェクト制作に活きていますか?

ななな
活きているかなと思いますね。形だったり、色だったりとか。エフェクトに落とし込むってなると、またちょっと感覚が違うところもあるけれど、好きで描いてなかったら、完成系のイメージとかできなかっただろうなと。そこは活きてるところはあるなと。

ーーウラさんもVFX系をやられていて、絵心もあるように見えますが、エフェクト作りにはデザインセンス等の経験が活きてくるのでしょうか?

ウラさん
さっきなななが言ったように、絵を描いていたから最終的にどういうエフェクトにしようっていうのを、パパッとイメージを描いてしまうっていうことが、絵を描いていたからできてたんです。

ちる
プログラマーさんとエンジニアの人がエフェクトやり始めるっていう人もいるぐらい、絵のセンスもなんですけど、それを実際に実装するってなったら、割とプログラマー寄りなんですね。

 なので、どれだけその絵的ないろんなものを見ているかとか、引き出しがあるかっていうのも大事だし、それを実現するための情報をどれだけ得てるかっていうのがすごい大事で。

 でも逆に、いい絵を生み出すことはできない。どれだけその技術が優れていて、「こういうことができます」ってなっても、見た目が表現できないんだった見れるものにはならないので、どっちかというとこっち(技術)は後からできるようになるものなので、こっち(デザイン)をもっともっと膨らましていけるといいねっていう感じで教えています。作り方は自分で調べて、大体のことはできるから! って感じです(笑)。

ウラさん
任せとけ!

先輩“BlackPixelade(ブラックぴくせれ~ど)”の2人はどんな仕事をしてる?

ーー先輩の“BlackPixelade(ブラックぴくせれ~ど)”のお2人は、どんなお仕事をしていますか? 仕事に関するエピソードがあれば教えてください。

ななな
ニャンディさんはアニメーターの方で、ちるさんは私の直の先輩です。先輩がさっきにも言ってたんですけども、本当に全てを教えてもらっていて、全てを吸収していくような感じで。基本的に会話擬音が多いんですけど。

 「シュー!」ってなって「バン!」ってなって「ドーン!」だよって(笑)。

ちる
分かる、分かる! 「これさぁ、もうちょっとバシッ! っていかないの?」とか(笑)。

ななな
エフェクトあるある。擬音で会話しちゃう(笑)。

ーーエフェクト系のアートディレクションもちるさんはやっているんですか?

ななな
そうですね。アートディレクションもやっぱこういう考え方で進めるんだよみたいな。まずこれ用意して、これ用意してみたいな。本当に進め方、手取り足取り教えて頂いてるっていう感じですね。

“アンビエントオクルージョン!”

ーーゲーム開発Vtuberならではの、専門的で難しい用語が入った頭が良さそうに聞こえる決めゼリフをお願いします!

ななな
では……アンビエントオクルージョン! ……意味は調べてみてください(笑)。これ私、昨日知ったんですよ。VFXの単語じゃなくて、CG用語です。

ちる
3Dグラフィックスで、オブジェクトの隙間や折り目、角とかに自然な影を追加して、より立体的な感じを出す技術です。

 (※目の前にあるウェットティッシュケースを使いながら)こういう所のここを焼き込んで、擬似的にそういう影のテクスチャーを作って。平面なんだけど、テコ入れしてないんですけど、テコ入れしてるように見せるっていう。

ななな
アンビエントオクルージョン!……“エクスペクト パトローナム!”みたいな感じですね(笑)。



 なななさんへのインタビューはまだまだ続きます!

 次回は絶賛開発中のゲーム『かくれ鬼』についてのお話をたっぷりお届け予定ですので、お楽しみに!

ゲーム開発会社社長のホラー体験コラム「怖い話してもいいですか?」連載中


 ホラーゲームの開発を行う株式会社FORCESの仁平孝佳氏が体験または聞いたオカルトエピソードをお届けするコラム「怖い話してもいいですか?」を連載中です。ホラー好きの方はぜひ読んでみてください。

ホラーゲームイベント“HORROR GAME SHOW 2025”に『かくれ鬼』が出展!


 ホラーゲームに特化した展示・体験イベント“HORROR GAME SHOW 2025”が、11月15日に福岡市博多区の西林寺にて開催されます。

 会場では、ゲーム開発Vtuber“ぴくせれ~ど!”とマルチプレイで一緒に遊べます。また、試遊した方へのプレゼントも用意されているそうなので、イベントに行った人はぜひ立ち寄ってみてください!

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