ホラーゲームの開発を行う株式会社FORCESの仁平孝佳氏が体験または聞いたオカルトエピソードをお届けするコラム“怖い話してもいいですか?”。
今回は幽体離脱についての話をお届けします。
今回は幽体離脱についての話をお届けします。
※場所や人物を特定できないよう、エピソード内にあえて脚色をくわえている場合があります。幽体離脱は安全? 幽霊に狙われてしまった会社員Aさんの話
日本でVRが話題になりはじめた頃、僕たちもホラーVRを手がけ、大型ショッピングモールなどでイベントを開催していました。
宣伝らしいことはほとんどしていなかったのに、思いのほか反響は大きく、気づけば全国100箇所以上で催しを行った実績を得ることができました。
そうした活動の中で、自然と“ホラーに関わる人たち”と知り合う機会が増えていったのですが――その中に「幽体離脱について話を聞いてほしい」という相談が、いくつかあったのです。
今回は、その中でも今でも時々思い出すお話を一つ。
ある夜、夕飯を兼ねた打ち合わせという形で、陰陽師と一緒に幽体離脱について話したいと語る女性と会いました。
彼女は普通の会社員でした。ただ、半年前なんとなくネットで見た“幽体離脱の方法”を試したら、本当に抜けてしまった――と、静かに語りました。
会社員Aさん
「座っている自分の身体が見えたんです。それで、あ…成功したんだって思いました」
会社員Aさん
「最初は怖くてたまらなかったのですが、でもそれ以上になぜか好奇心が勝ってしまいました」
会社員Aさん
「そのまま外に出てみたんです。そしたら……世界が白黒になっていました」
会社員Aさん
「誰もいませんでした。生きている人は見えなかった。音もなくて、すべてが止まっているような感覚でした」
会社員Aさん
「でもその中に……私と同じように幽体離脱している“誰か”がいたんです」
――冷たい空気が、喉を這い上がってきたような感覚がありました。
想像したこともなかった。幽体離脱した者同士が、そこで出会ってしまうなんて。
――冷たい空気が、喉を這い上がってきたような感覚がありました。
想像したこともなかった。幽体離脱した者同士が、そこで出会ってしまうなんて。
会社員Aさん
「会話はできなかったけれど、意思疎通はできたような気がしました。触れてみたいという気持ちが伝わってきて……私も、そうしてみたんです」
会社員Aさん
「……信じられないくらい、気持ちよかった」
会社員Aさん
「全身の毛穴から何かが解放されるような感覚で、この世のものとは思えなかった」
この世のものではない、言い得て妙な話だ。
この世のものではない、言い得て妙な話だ。
会社員Aさん
「でも怖くなって途中で止めて、自分の体に戻ったんです」
会社員Aさん
「戻ったら……失禁していました」
彼女は、さらっと笑いながら言った。
彼女は、さらっと笑いながら言った。
会社員Aさん
「それから癖になってしまって。週に一度はやってます」
まるでスポーツジムに通うような口調だったのが、強烈な違和感を生んでいました。
僕はふと尋ねました。
まるでスポーツジムに通うような口調だったのが、強烈な違和感を生んでいました。
僕はふと尋ねました。
仁平
「幽体離脱って……安全なんですか? それと、“時間が止まってる感じ”って…?」
それに答えたのは陰陽師でした。彼はいつものニコニコ顔で言います。
それに答えたのは陰陽師でした。彼はいつものニコニコ顔で言います。
陰陽師
「安全なわけがありません。時間が止まって見えるのは別の次元に入り込んでいるからです。あなたが見えなかった“生きた人間”は、そこには存在していないだけです」
つまり、幽霊の領域にいたということか。
つまり、幽霊の領域にいたということか。
陰陽師
「ちなみに何度かやってると仰ってましたが、何か怖いと感じるものが見えたことは?」
会社員Aさん
「……あります。前回です。遠くで人影が動いているのが見えて、あっ……って。時間が動いてるって思いました」
空気が一瞬で冷えたような気がしました。
空気が一瞬で冷えたような気がしました。
陰陽師
「それを……怖いと感じましたか?」
会社員Aさん
「はい。幽体離脱していた“あの人”は怖くなかったけど、その影は……何か怖いモノという感覚でした」
陰陽師
「それ、“この世のもの”じゃありません」
陰陽師の断言は言葉の重みというより、温度のない重さでした。しかしまたこれも笑顔で言うので違和感がすごいことに。
陰陽師の断言は言葉の重みというより、温度のない重さでした。しかしまたこれも笑顔で言うので違和感がすごいことに。
陰陽師
「はっきりとは言えませんが狙われています。あなたの肉体を奪おうとしていると言うのが分かりやすいかもしれません」
会社員Aさん
「え……?」
ぞっと背筋をなぞるような寒気が背中に落ちていきます。
ぞっと背筋をなぞるような寒気が背中に落ちていきます。
陰陽師
「霊視ってありますよね。あれ、幽霊の姿が人によって違って見えるのと同じで、幽霊側も人間のことはよく見えてないんですよ」
それで“顔を近づけてくる”ような描写があるのか。
それで“顔を近づけてくる”ような描写があるのか。
陰陽師
「そうです。近くまで来て、『これは人間か?』って確認してるんです」
会社員Aさん
「じゃあ、どうやって向こうが“こっち”を人間だと認識するんですか?」
陰陽師
「自分から幽体離脱して相手と同じ次元に入れば当然視られています。霊感が強かったり、感情が揺れていたり、不安定なときも向こうから視えやすくなります」
会社員Aさん
「怖がると、視られるんですか?」
陰陽師
「そうです。心の揺らぎ、特に恐怖は向こうに伝わりやすいんです」
会社員Aさん
「じゃあ……もし視られてしまったらどうすれば」
陰陽師
「息を止めて、しゃがんで、目を閉じて。いなくなるまで何も考えず我慢してください」
会社員Aさん
「……それでもいなくならなかったら?」
陰陽師
「そのときは――走って逃げてください」
会社員Aさん
「それで……逃げ切れるんですか?」
陰陽師
「まぁ、たいてい無理でしょうね笑」
笑顔で話しているけど、あまりにも淡々と返されたその言葉に誰も笑えませんでした。
笑顔で話しているけど、あまりにも淡々と返されたその言葉に誰も笑えませんでした。
陰陽師
「さっきの“触れたら気持ちいい”というのは当然なんです。肉体という物理の制約がなく、魂そのものが剥き出しで触れ合っているわけですから」
会社員Aさん
「……はい」
陰陽師
「でももうやめてください。あなたは狙われています。何より――帰ってこられなくなりますよ」
会社員Aさん
「それって……つまり」
陰陽師
「死ぬということです」
女性は、静かにうなずきながら、少しだけ寂しそうに笑いました。
そして立ち上がると、何かに納得したような安堵にも似た表情で去っていきました。
きっと彼女はわかっていたんです。もう行ってはいけない。
――でもそれでも止めてくれる誰かが欲しかったのだと思います。
女性は、静かにうなずきながら、少しだけ寂しそうに笑いました。
そして立ち上がると、何かに納得したような安堵にも似た表情で去っていきました。
きっと彼女はわかっていたんです。もう行ってはいけない。
――でもそれでも止めてくれる誰かが欲しかったのだと思います。
【株式会社FORCES】発売・開発中のゲームタイトル
『鋼の戦騎ARMIS』10月8日発売
『鋼の戦騎ARMIS』は、Vampire Survivorsなどで知られるローグライトのゲームジャンルに、日本の往年のロボットアニメを彷彿とさせる重厚なドラマと個性豊かなキャラクターたちの物語を組み合わせた“群像劇(ドラマチック)ローグライトアクション”です。
プレイヤーは、鋼鉄の戦騎“ARMIS”に乗り込み、無数の敵との熾烈な戦いを繰り広げながら、様々なキャラクターの運命と向き合うことになります。
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