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春アニメ『よう実』と『転スラ』の主題歌Wタイアップを手掛ける藍井エイルさんにインタビュー。『MONSTER』と『絵空事』の聴きどころは?

文:電撃オンライン

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 2026年4月から放送中のTVアニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ 4th Season 2年生編1学期』とTVアニメ『転生したらスライムだった件 第4期』。その両タイトルのオープニングを担当する藍井エイルさんのインタビューをお届けします。

▲藍井エイルさん
 藍井エイルさん自身初の同じクールで2タイトル同時タイアップとなります。

 この記事ではその2曲――『MONSTER(モンスター)』と『絵空事』に関するお話を中心にインタビューを行いました。インタビューでは楽曲についての話以外にも、ゲーマーとして知られる藍井エイルさんの最近のゲーム事情についてもお聞きしました。

▲藍井エイルさんのビジュアルを使用した【アーティスト盤】のほかに、【よう実版】と【転スラ盤】もリリースされます。

『MONSTER』は『よう実』綾小路の“化け物”な印象をそのまま歌詞にした

――今回、アニメ2作品のタイアップソングを担当されることになりましたが、心境はいかがでしょうか。

 今回のタイアップが決まる前は約1年間インディーズとして活動していました。その期間を経て、こうしてまたタイアップをさせていただけることはとてもありがたいなと思っています。すごく嬉しい! というのが率直な感想ですね。

――アニメ作品とのタイアップ自体が久々とのことですが、何か変わったと感じたことはありますか?

 10年くらい前と違って、今は配信サイトで見る人たちがとても増えたと思います。サービスや設定によってはOP/EDは飛ばされてしまいますが、歌っている側としてはOP/EDもぜひ飛ばさずに見ていただきたいです。楽曲ランキングでアニメタイアップソングが上位に入るのが珍しくなくなっていますが、アニメを見る人が増えたと実感しますね。改めてアニメは日本が誇る財産になっていると感じるようになりました。

――タイアップソングを歌う、作詞をする際に意識していることはありますか?

 基本的には台本や原作を読ませていただいて、その中で得られたものを曲に落としこむことを意識していますね。作詞をする場合は、同時に曲のテーマを設定して作っていく形が私のやり方です。


――今回の2曲はどういったテーマになっているのでしょうか。まずは作詞もされた『MONSTER』からお伺いしたいです。

 アニメ4期の『よう実』の物語は、主人公の綾小路がそれまで隠していたものを出すことが大きな見どころだと思っています。なので、そんな彼に対して周りがどうリアクションするのかをイメージして、それを歌詞にしたいと思いました。自分が見た綾小路の像は、クラスメイトたちが見た綾小路の像と通じる部分があると感じたので、その印象をタイトルの『MONSTER』に込めた形です。今までは主人公目線やそれに寄り添った目線で歌詞を書くことが多かったのですが、今回は意識して違った作り方をしています。


――なるほど。今のお答えを聞いたうえで歌詞などを見ると、おっしゃりたいことはとてもよく理解できます。

 歌詞そのものが彼への注意喚起になっていて「ヤツに気をつけろ!」というメッセージをこれでもか! と詰め込んでいます。

――綾小路にとってのクラスメイト視点とのことですが、これは特定のキャラクターの視点を意識したわけではないと思っていいのでしょうか?

 そうですね。イメージしたのはあくまでいちクラスメイトの視点です。もしも高度育成高校があっても私が入ることはできないと思いますが、もしそうなったら同じような感想を綾小路に対して抱くだろうなと。実力を隠していた綾小路には誰も気が付いていませんでしたが、それが「おかしいぞ?」とだまされているような感覚がおもしろくて、それを伝えるには、いつもどおりの“主人公目線やそれに寄り添った目線”で作るより、だまされている側の視点をモチーフにしたほうがうまく表現できると思いました。

――デジタルロックな曲調で、藍井さんが手掛ける楽曲としても珍しいタイプの印象です。

 後ろの音圧に負けないように歌うことが難しかったですね。『MONSTER』はいつもより激しめに歌う必要があったので、声量を出しつつ、あえて喉を痛めそうに聞こえる歌い方を演出として取り入れています。きちんと加減してのものではありますが、負担が多い曲ではありますね。もともと私は声が大きいタイプではないことも影響しています。ただ単に声を大きくして歌えばいいわけでもないので、必要以上に喉を酷使しないようにしています。

――『MONSTER』を歌うのはかなり大変そうに聞こえます。その他に注意した点はありますでしょうか?

 細かいテクニックの話をすると、姿勢を正すところから始まり、鼻腔共鳴するとか、頬を上げる感覚を保つとかいろいろとあります。声量について触れましたが、単に大きくがなるようにするのではなく、しっかりと感情を込めて歌うことは意識した点ですね。そうしないと、棒読みに聞こえてしまいますから。

――技術だけ磨けばいいというわけではないのですね。

 大事なのはバランスですね。それが難しいんですが……。技術に意識を寄せすぎると、情感が損なわれてしまう。でも、そもそも技術をしっかりと身に付けておかないとピッチなどが乱れてしまう。そのバランス調整がうまい方は尊敬します。私自身、この曲もライブではもっと激しく、歌い方を変えられるのではないかと思っていて、今後も進化していく曲だと思います。

――『MONSTER』の聴きどころとなるポイントはどこでしょうか?

 やはりサビですね! 同じフレーズが連続するところもすごくキャッチーになっていると思います。

――作詞の際に意識したワードはありますか?

 “hide(隠れる)”という言葉は意識して入れています。「モンスターが隠れている、気をつけろ」という意味でhidin’というワードが繰り返されています。そこが歌詞の中では注目してほしいポイントです。Bメロで初めてhidin’が登場して、サビでもhidin’が連呼されて、その単語自体では意味を持たないのですが、言葉遊びとしておもしろいと思って歌詞にしました。

――他のワードも独特かつ印象的なワードチョイスが目立ちます。

 “チート”というのもそうかもしれませんね。綾小路がそうしているというわけではなく、彼の実力を見た周囲の人間がとっさに抱きそうというか。

藍井エイル“らしさ”が詰まった楽曲『絵空事』について

――『絵空事』についてもお話を伺わせていただいてもよろしいでしょうか?

 『絵空事』はミュージックビデオに注目してほしいですね。洞窟で撮影をしていて、リムルが最初にスライムとして転生した場所をイメージしています。そこからリムルが作り守っていく王国に続くという内容のMVで、『転スラ』という作品のストーリーにマッチした映像になっています。広がりのある、未来への希望がこもった楽曲になっていますし、今までの藍井エイルらしい楽曲になっているはずです。

藍井エイル『絵空事』MUSIC VIDEO(TVアニメ『転生したらスライムだった件 第4期』オープニング主題歌)


――そうですね! 1回聞いただけで「これは藍井エイルの歌だ!」とわかるような、これまでの“藍井エイル像”と一致する曲だな、と感じました。

 私も歌いやすかったです。曲をいただいたときにはもうこの状態で、意識してくださった部分もあるのかなと。最初に聴いたときには難しい印象だったのですが、実際に歌ってみると全然そんなことはありませんでした。皆さんも聴いた後に自分で歌ってみると同じ感覚になると思います。

――MVを撮影された感想はいかがでしたか。

 洞窟での撮影は過去に『鼓動』という曲でも行っていたんですが、今回も久しぶりの洞窟での撮影で、今回はリムルの気持ちになって撮影させてもらいました。リムルはスライムだから寒いとか感じないのかなとか思いながら、私は洞窟の寒さに震えていました(笑)。

――今回タイアップするタイトルはどちらも4期目と長く続く作品です。プレッシャーなどはありますか?

 バトンタッチという意味ではプレッシャーを感じます。特に転スラの4期は戦いの多いシーズンとなっていて、楽曲もこれまでの転スラと違うテイストになっている印象です。そこを受け入れてもらえるかどうかにもプレッシャーを感じるところです。


――担当作品の過去の曲を聴いて、それに影響を受けることはありますか?

 リスペクトは持ちつつも、他の楽曲から影響を受けることはあまりないですね。結局のところ、自分が歌った曲は全部自分の曲らしくなってしまいますので、影響を受けようがないと言ったほうが近いかもしれません。そこはあまり意識せずに自分らしく歌うようにしています。

――今回はタイアップ作品が同時期に2つあります。これは珍しいと思いますがいかがでしょうか?

 私も人生で初めての経験でした。まだこのタイミングではアニメも始まっていないので途中ですが、1週間で2回も自分の曲がアニメで流れるという、こんな幸せなことはあるのかという気持ちが強いです。

――準備段階で大変だったこともあったのではないでしょうか。

 3日間でMVを2本撮影したスケジュールはハードでした。『MONSTER』のレコーディングはかなり前にやっていて、そこからライブをはさみ、『絵空事』を歌うという流れだったのですが、今改めて『MONSTER』を聴くと、ライブで得た経験をもとにもっと違う歌い方ができるように感じています。今後のイベントなどでは、それをもとにアップデートした歌い方で曲をお届けしたいですね。恐らく『絵空事』も未来には同じようなことを思っているかもしれません。

――どの曲も時間が経つと少しずつ変化が起きるということですね。

 例えば、デビュー曲の『MEMORIA』は今歌ったら全然違うものになっていると思います。それは音源ではなくライブでしか伝えられないところにはなってしまいますが、今後も成長していきたいと思うポイントです。

――ちなみに『MONSTER』はどんなところを変えて歌いたいと思っていますか?

 『MONSTER』はもっと勢いよく歌えたのではないかと思っています。声の大きさをコントロールしつつ、暴走させつつ、みたいな。内なる化け物の感覚をもっと増幅させた歌い方にしたいですね。どんどんクセが強くなっていくかもしれません。

――そういった意味ではファンからすると、CDや配信だけでなくライブで曲を聴くのが楽しみな方も多いかと思います。

 そうですね。『絵空事』なんかはコール&レスポンスになりそうな箇所もあるのですが、歌詞が難しいから掛け声だけにしてもらおうとか、いろいろライブパフォーマンスも考えたくなってしまいます。

――同時収録されている『DRUM(ドラム)』『Decay(ディケイ)』の2曲についてもお伺いしたいです。まずは『DRUM』からお聞かせください。

 『DRUM』はラウドロックのような楽曲になっていて、音域が広いわけではないのですが、ピッチが低めのところもあり、少年ボイスのような聞こえ方をする楽曲です。私は高音が多いイメージがあるかと思いますが、それを覆すようなイメージの楽曲に仕上がっています。

――『Decay』にはどういった想いを込めているのでしょうか。

 『Decay』は朽ちるという意味合いで、結構悲しい楽曲になっています。自分の居場所を探している人たちがいて、それが見つからないまま毎日が過ぎ去っていくという内容です。出だしのコードは悲しい感じなのですが、ラスサビは明るい印象が強くなって、コードに合わせて歌詞も明るい内容に変わっていき、最終的にハッピーエンドを迎える形になっています。

――『Decay』は作詞も担当されています。この詞を作るにあたってのエピソードをお聞かせいただけますか?

 詞の作り方としては、テーマを先に考えたのですが、私の友達には自分の居場所を見つけられない人がいて、似た境遇の人も世の中にはたくさんいると思います。それが問題視される中、原因となる問題は他のところにあって、それが解決しないとその人々の問題も解決しないわけです。そういう人たちの居場所を見つけてあげたい、という想いを込めた楽曲になっています。

――オリジナルで作詞をする際は『Decay』のように周囲の人がテーマのイメージ像になることが多いのでしょうか?

 毎回そうというわけではありません。イメージしているときもあれば、ないときもあります。どんな人をというよりは、どんなテーマで作詞をするのかを重要視しています。

藍井エイルさんの最近のゲーム事情

――藍井エイルさんといえばゲーム好きでも知られていますが、最近のゲーム事情もお伺いしたいです。

 最近は変わらず『VALORANT』と『Apex Legends』ばかり遊んでいます。ゲームする仲間のサーバーに入って待機しているとすぐにパーティの誘いが来て、仲間たちと遊んでいます。

――同じFPSでも毛色の違う2タイトルですよね。

 私は結構カジュアルにゲームをすることが多くて、『Apex Legends』はライトに楽しめて、雑談しながらサクサクプレイできるので、コミュニケーションメインでゲームも楽しむって感じですね。

 一方で『VALORANT』は試合時間も長くてガチでやる人も多いので、私もしっかり集中してプレイします。頑張っているのですがなかなかうまくいかず、前に1人でコンペティティブ(ランク)に潜った際にバチバチに怒られまして……(笑)。

――チームゲームのソロプレイあるあるですね……。

 そこからソロ恐怖症で、今はフルパーティでやることが多いです。それでも、ちょっとチームプレイを乱すことをしてしまうとパーティのメンバーからお叱りを受けることもあり、反省してばかりです。私はまだ『VALORANT』では怒られ担当でまだランクも低いですが、活躍できるように精進しています。

――ゲームではありますが、良いメンタルトレーニングになっていそうです。

 もうプレイ中は震えが止まりませんよ。気持ちはしょうがないので、せめて体温では震えないようにしようとエアコンで室温30度にしてプレイしています(笑)。

――大勢の前でライブパフォーマンスできる方でも、ゲームでは緊張してしまうんですね。

 そうなんです。ゲームでは緊張して震えでエイムがまったく定まらないような状態になってしまっています。

――今後遊びたいゲームはありますか?

 4月17日に発売の『The Ember Guardian』というタイトルは友人と遊ぼうと話していて心待ちにしています。以前からサバイバルゲームではよく遊んでいるのですが、フィールドで迷ってそのまま死んでしまうことが多くて、全然街が発展しなくて困っています。発展させるゲームなのに、常に最低限の生活をしているみたいな。今回は友達に誘ってもらったのですが、私は今回も家の門番が仕事になりそうです。

――基本的にはマルチプレイの作品を遊ぶことが多いのでしょうか?

 そうですね。マルチプレイの作品で遊ぶことが多いです。でもソロプレイの作品も遊ぶこともあって、前には『ライザのアトリエ』をやっていました。怖いのは苦手ですが、『バイオハザード レクイエム』とかも遊んでみたい作品の1つです。『バイオハザード7』のVRで怖い思いをしてからシリーズのプレイは止まってしまっていますが、再チャレンジしてみたいです。

――ありがとうございました。最後に今後の活動への意気込みをお願いします。

 もう15年くらい歌手として活動させてもらっていますが、少しずつ自分の中で臆病な部分が出るようになっている気がします。それは自分の敵だと思っていて、今はそれと戦いながら歌っている状態です。そこで、戦いながら歌っている藍井エイルが、その戦いの末に強固になっていく姿を皆さんに見届けてほしいです。今回の曲はタイアップということで作品に寄り添って歌わせてもらったので、皆さんにもアニメを楽しんでいただけたら嬉しいです。私もアニメは追いかけていくので、一緒に楽しんでいきましょう。

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