
5月29日に掲載した前編に続き、しろうるり先生&本条謙太郎先生の特別対談後編をお届けします。
軍隊において、戦闘を支える後方任務・兵站(へいたん)業務に焦点を当てた、しろうるり先生が描く異色のファンタジー小説『兵站将校は休みたい』。その書籍版1巻が5月29日に発売されたことを記念して実施されたこちらの対談。
前編では、片や中間管理職、片や国家最高責任者と社会的な役割がまったく異なる主人公たちの思わぬ共通点などについてお話しいただきましたが、後編ではその続きをお届けします。この記事のタイトルにもしましたが、“笑えるパワハラ上司”って……? 気になる方はぜひご一読ください。


索引
閉じる――作品の世界観を作るうえで、参考にした国や時代はありますか?
しろうるり
『兵站将校』はかなりごった煮です。軍勢は共和政ローマのレギオンで、階級の呼称は近代以降の軍隊。国自体に特定のモデルはなく、中世と近世の端境期ぐらいのヨーロッパ的な雰囲気に、オールドスタイルのファンタジー系TRPGの設定を持ち込んだようなイメージですね。
本条
『暗君』はシンプルで、“日本”です。
――予想していなかった答えで驚きました。フランスあたりなのかなと。
――予想していなかった答えで驚きました。フランスあたりなのかなと。
本条
確かに、諸々の出来事や、時代の技術、思想の状況などはフランスのアンシャン・レジーム期のものをガワとして被せていますが、実は国としての骨格は明治維新期の日本をモデルにしています。
――“魔法”という概念については、どのように扱いを決められましたか?
――“魔法”という概念については、どのように扱いを決められましたか?
しろうるり
「便利だけれども便利すぎない」「それだけですべてを解決できるものではない」というところを意識しています。
『兵站将校』にも魔法は出てきますが、まだ使える人間が少ないので、完全な体系化がなされていないんです。なので、「使える人を集めて軍隊で使おう」という発想が、そもそもまだ出てきていないような時期を想定しています。
『兵站将校』にも魔法は出てきますが、まだ使える人間が少ないので、完全な体系化がなされていないんです。なので、「使える人を集めて軍隊で使おう」という発想が、そもそもまだ出てきていないような時期を想定しています。
本条
私は、魔法は現実の物理学とは別個の法則体系上でしか存在しえないものだと思っていて。
そうなると、魔法ならではの体系をゼロから全部自分で作らなきゃいけないというこだわりが出てしまうのですが、自分にはそれをやる能力はないんですね。なので、そもそも「出せない」と判断しました。その結果、先ほどお話しした「ファンタジー色を薄くできる」というメリットもありましたし。
ただ、決して魔法の概念が嫌いなわけではなくて、いつかゴリゴリの魔法バトルアクションみたいなのも書いてみたいとも思っています。
そうなると、魔法ならではの体系をゼロから全部自分で作らなきゃいけないというこだわりが出てしまうのですが、自分にはそれをやる能力はないんですね。なので、そもそも「出せない」と判断しました。その結果、先ほどお話しした「ファンタジー色を薄くできる」というメリットもありましたし。
ただ、決して魔法の概念が嫌いなわけではなくて、いつかゴリゴリの魔法バトルアクションみたいなのも書いてみたいとも思っています。
しろうるり
本条先生が書くなら、絶対えげつない感じのものが出てきそうで期待しています(笑)。
――どちらの作品も、主人公の周りのキャラクターが優秀という共通点があります。主人公だけを活躍させないところは意識していたのでしょうか?
――どちらの作品も、主人公の周りのキャラクターが優秀という共通点があります。主人公だけを活躍させないところは意識していたのでしょうか?
しろうるり
そうですね。主人公は決してオールマイティーではなく、誰かの助けを借りながら頑張るというキャラクター像を当初から意識していました。
大体誰とでも付き合えるし、大抵のことはうまくやれるけど、決して万能ではなく弱点もある。それを周りに補ってもらうことを引け目に感じない主人公にしたいなと。
――優秀な人物が多い中で、途中で出てくるカウニッツ大佐が大好きです(笑)。
大体誰とでも付き合えるし、大抵のことはうまくやれるけど、決して万能ではなく弱点もある。それを周りに補ってもらうことを引け目に感じない主人公にしたいなと。
――優秀な人物が多い中で、途中で出てくるカウニッツ大佐が大好きです(笑)。
しろうるり
あれは戯画的なパワハラクソ上司ですね(笑)。幸い、現実であのレベルは見たことがないですが。
「パワハラ上司を出そう」というのは最初から決めていて、単に酷すぎるのもダメだと思ったので、「ギリギリ笑えるレベルのパワハラ上司」を狙って設定したのがカウニッツです。
――実際好きになっているので、まさに狙いどおりのラインに設定できていると思います(笑)。野上先生のビジュアルもイメージどおりで。
「パワハラ上司を出そう」というのは最初から決めていて、単に酷すぎるのもダメだと思ったので、「ギリギリ笑えるレベルのパワハラ上司」を狙って設定したのがカウニッツです。
――実際好きになっているので、まさに狙いどおりのラインに設定できていると思います(笑)。野上先生のビジュアルもイメージどおりで。
しろうるり
あれはいい顔していますよね。本当に素晴らしい仕事をしていただけたと思います(笑)。
――『暗君』はいかがでしょうか?
――『暗君』はいかがでしょうか?
本条
『暗君』の場合はちょっとベクトルが違っていて、主人公が王様なので「優秀かどうかの判断」は歴史的な評価に直結してしまうんです。
個人として能力が一定レベルに達しているようには描きましたが、各キャラクターの行動が本当に正しかったかどうかって、後にならないとわからないんですよね。なので「活躍したように見えても、本当にその人物が優秀だったかどうかは歴史が決める」ことを前提とした描き方をしています。
レフノールの場合は中間管理職なので、結果や上からの評価が見えやすい。だからこそ単調にならないよう物語が繊細に調整されていて、リアリティのある優秀さを見せてくれるところが『兵站将校』の好きなところです。
個人として能力が一定レベルに達しているようには描きましたが、各キャラクターの行動が本当に正しかったかどうかって、後にならないとわからないんですよね。なので「活躍したように見えても、本当にその人物が優秀だったかどうかは歴史が決める」ことを前提とした描き方をしています。
レフノールの場合は中間管理職なので、結果や上からの評価が見えやすい。だからこそ単調にならないよう物語が繊細に調整されていて、リアリティのある優秀さを見せてくれるところが『兵站将校』の好きなところです。
『暗君』ヒロイン4人のしろうるり先生の推しは?【兵站将校×汝、暗君を愛せよ 対談】
――作品の中で、一番読んでほしい、あるいは書きたかったポイントはどこでしょうか?
しろうるり
『兵站将校』は、カクヨムのキャッチコピー(異世界にだって、頑張っている社畜はいるんだ。)がほぼすべてですね。
「どこの世界にも無理な仕事を押し付けられて頑張っているやつはいるよ」と。「自分たちと同じような境遇の仲間(同類)がいるから、お互い頑張っていこう」ということを伝えたかったんです。
「どこの世界にも無理な仕事を押し付けられて頑張っているやつはいるよ」と。「自分たちと同じような境遇の仲間(同類)がいるから、お互い頑張っていこう」ということを伝えたかったんです。
本条
私のほうは、「可愛いヒロインを書きたかった」に尽きます。なので、読者の方に「このヒロイン可愛い。好き」と言ってもらえると、ガッツポーズをするくらい嬉しくなりますね(笑)。
しろうるり
『暗君』のヒロイン、4人ともめちゃくちゃいいですよね。あの書き分けができるのはすごいなと思っています。
個人的にアナリゼさんとゾフィさんは甲乙つけがたくて、中でも特典として加筆されているお話が良いんですよ! アナリゼさんと海辺で夕日を眺めながら話すシーンとかむちゃくちゃ好きですね。
個人的にアナリゼさんとゾフィさんは甲乙つけがたくて、中でも特典として加筆されているお話が良いんですよ! アナリゼさんと海辺で夕日を眺めながら話すシーンとかむちゃくちゃ好きですね。
本条
しろうるり先生、特典もしっかりとゲットしてくださっていますよね。
しろうるり
さすがにコンプリートまでは無理でしたが、確かに複数読ませていただいていますね。
本条
『兵站将校』もたくさん特典があるなと思っていたのですが、何本くらい書かれていたんですか?
しろうるり
全部で8本書きました。5本書いたところで「残り1本だ!」と思っていたら「すいません、もう2本追加でお願いします」とリクエストが入ったりして(笑)。1本3,000字くらいはあるので、合計で2万4,000文字くらいは書いたんじゃないかと思います。
本条
たくさん書かれましたね…。『兵站将校』の特典は、コンプリートを目指します!(笑)
――主人公とヒロインの関係性を描くうえで、どういったところを意識されていましたか?
――主人公とヒロインの関係性を描くうえで、どういったところを意識されていましたか?
しろうるり
一方的な関係にならないようにしたいと思っていました。ある面では片方が優位でも、別の面ではもう片方が優位になる。お互いの不足している部分を補えるような関係であってほしいなと意識しています。
本条
私のほうは3つほどあって、1つが“立場の二重性”ですね。個人としての立場と公人としての立場が混ざり合っているんだけれど、恋愛MAXでもないし、政略MAXでもないという。
2つ目が本音と建前。キャラクターそれぞれに心の中の表層と深層、自分でも意識していない部分があり、それらがいろんなところで矛盾しながら出てくるという関係性です。
3つ目が時代性です。あの時代の王と王妃だったらどういう関係であるべきかという社会的なコードをちゃんと見せることを意識して書きました。
――『暗君』は複数ヒロインがいますが、特に執筆が大変だったキャラクターはいますか?
2つ目が本音と建前。キャラクターそれぞれに心の中の表層と深層、自分でも意識していない部分があり、それらがいろんなところで矛盾しながら出てくるという関係性です。
3つ目が時代性です。あの時代の王と王妃だったらどういう関係であるべきかという社会的なコードをちゃんと見せることを意識して書きました。
――『暗君』は複数ヒロインがいますが、特に執筆が大変だったキャラクターはいますか?
本条
アナリゼ一択ですね。本当に書くのに苦労したキャラクターでした。
ブラウネ、メアリ、ゾフィにはそれぞれ物語上の役割や、人間としての類型みたいなベースがあったのですが、アナリゼだけはそれがないままに書き始めていて、いわば「骨がない」キャラクターだったんです。
ただ、それがある意味プラスに作用した部分もあり、書籍版でガンガン加筆している理由でもあります。 最初は「外国から嫁いでくるお姫様」という設定だけがあり、書いていく中でキャラクターを獲得して肉付けされていったヒロインでしたね。
ブラウネ、メアリ、ゾフィにはそれぞれ物語上の役割や、人間としての類型みたいなベースがあったのですが、アナリゼだけはそれがないままに書き始めていて、いわば「骨がない」キャラクターだったんです。
ただ、それがある意味プラスに作用した部分もあり、書籍版でガンガン加筆している理由でもあります。 最初は「外国から嫁いでくるお姫様」という設定だけがあり、書いていく中でキャラクターを獲得して肉付けされていったヒロインでしたね。
「間違いじゃないか?」と思った“このラノ”の1位【兵站将校×汝、暗君を愛せよ 対談】
――連載していく中で、「この作品はいけるんじゃないか」と手応えを感じた瞬間はありましたか?
しろうるり
カクヨムコンの中間集計というか、ランキングが出始めるタイミングですね。 その初日の前日にたまたま獲得できたポイントが高かったおかげで、いきなり部門ランキングのトップになり、PVが前日の5倍、10倍になったんです。
それまでもジワジワ読んではいただけていたのですが、カクヨムのトップページに載ったことでたくさんの方たちの目に触れ、そこからずっと読んでもらえるようになりました。 読者の評判も良かったので、「これは読者選考はいけたかもしれない、ワンチャン賞もあるかも」と手応えを感じていました。
――ストーリー的な盛り上がりのタイミングも重なったりしたのでしょうか?
それまでもジワジワ読んではいただけていたのですが、カクヨムのトップページに載ったことでたくさんの方たちの目に触れ、そこからずっと読んでもらえるようになりました。 読者の評判も良かったので、「これは読者選考はいけたかもしれない、ワンチャン賞もあるかも」と手応えを感じていました。
――ストーリー的な盛り上がりのタイミングも重なったりしたのでしょうか?
しろうるり
まったくそんなことはなくて、本当にカクヨムのトップに載ったのがすべてだと思います。
カクヨムコンって、コンテストの部門ランキング3位までが表紙としてトップに表示されるのですが、カクヨムコン10からランダムではなくランキングの上位で固定される仕組みになったんです。その時、たまたま初日に1番いいポジションにいたおかげで今があると思っています。
カクヨムコンって、コンテストの部門ランキング3位までが表紙としてトップに表示されるのですが、カクヨムコン10からランダムではなくランキングの上位で固定される仕組みになったんです。その時、たまたま初日に1番いいポジションにいたおかげで今があると思っています。
本条
私の場合は、賞などをいただいているわけではないので、明確なポイントはないのですが、プロの漫画家や小説家の先生方がたまたま読んでくださっていて、Xで「面白いよ」と紹介していただけたタイミングかなと思います。「おっ、そうなんだ」と驚いて、これはいい感じなんじゃないかと実感が湧いてきて。
実は『暗君』って、トップ層の作品に比べたらポイントやランキングって全然高くなかったんです。伸びたのはいろんな方々が広めてくださったおかげで、SNSの威力みたいなものを感じましたね。
――ただ、『暗君』は2026年の『このライトノベルがすごい!』の新作単行本・ノベルズ部門で1位を獲得されていますよね。心境はいかがでしたか?
実は『暗君』って、トップ層の作品に比べたらポイントやランキングって全然高くなかったんです。伸びたのはいろんな方々が広めてくださったおかげで、SNSの威力みたいなものを感じましたね。
――ただ、『暗君』は2026年の『このライトノベルがすごい!』の新作単行本・ノベルズ部門で1位を獲得されていますよね。心境はいかがでしたか?
本条
最初に思ったのは「間違いじゃないか?」ということでした(笑)。
担当のコハラさんは敏腕編集者だからそんなミスはしないだろうとは思いつつ、連絡があった時は内心では「別の作品と間違えていません……?」と。これはもう、かなり本気で疑ってしまいました。もちろんめちゃくちゃ嬉しかったのですが、それくらい現実感がなかったですね。
――近年のファンタジー小説の主人公は「転生者」か「現地人」かで大きくわかれると思います。それぞれのメリットやデメリットについて、どういったお考えを持たれていますか?
担当のコハラさんは敏腕編集者だからそんなミスはしないだろうとは思いつつ、連絡があった時は内心では「別の作品と間違えていません……?」と。これはもう、かなり本気で疑ってしまいました。もちろんめちゃくちゃ嬉しかったのですが、それくらい現実感がなかったですね。
――近年のファンタジー小説の主人公は「転生者」か「現地人」かで大きくわかれると思います。それぞれのメリットやデメリットについて、どういったお考えを持たれていますか?
しろうるり
物語世界の外側との接続点になるかどうかがポイントだと思っています。「世界の外側から知識を持ち込める」という部分を作劇上活かせるなら転生者は大きなメリットになりますが、物語世界だけで閉じたお話にするのであれば現地人のほうが向いていると思っています。
外部から何かを持ち込むと、元の世界とのギャップや今いる世界との軋轢が生じるので、そこをきちんと書くのは大変そうだなというのが、現状自分が現地人主人公しか書いていない理由だったりもします。本条先生の『暗君』は、そのあたりが物語の土台として息づいているのがすごいし、羨ましいですね。
外部から何かを持ち込むと、元の世界とのギャップや今いる世界との軋轢が生じるので、そこをきちんと書くのは大変そうだなというのが、現状自分が現地人主人公しか書いていない理由だったりもします。本条先生の『暗君』は、そのあたりが物語の土台として息づいているのがすごいし、羨ましいですね。
本条
私も、今のしろうるり先生のお話と完全に同意見です。転生者など外から人を引っ張ってくる時は、作品世界に“穴”が空いている状況なので、統一感みたいなのを出すのが難しくなるんですね。
でも逆に、現地人だけでお話を作った場合、現代の常識や言葉を使わずに、その世界を納得できるように説明して、読者に理解してもらう必要があって、こちらはこちらで難しいんですよね。
下手にやると「現地人なのに中身は現代人っぽい」と感じられてしまいますし、振り切りすぎると読者が置いてきぼりになってしまう。
しろうるり先生から感銘を受けているのはそこで、常に現地人のお話を描きながら、現代の我々にもギリギリ理解できる絶妙なラインを攻めてくるんですよ。 あの調整は私にはできないので、すごいなと思いながらいつも拝読しています。
でも逆に、現地人だけでお話を作った場合、現代の常識や言葉を使わずに、その世界を納得できるように説明して、読者に理解してもらう必要があって、こちらはこちらで難しいんですよね。
下手にやると「現地人なのに中身は現代人っぽい」と感じられてしまいますし、振り切りすぎると読者が置いてきぼりになってしまう。
しろうるり先生から感銘を受けているのはそこで、常に現地人のお話を描きながら、現代の我々にもギリギリ理解できる絶妙なラインを攻めてくるんですよ。 あの調整は私にはできないので、すごいなと思いながらいつも拝読しています。
ランキングが急上昇した時には、プレッシャーで眠れない夜も【兵站将校×汝、暗君を愛せよ 対談】
――お2人の作品を読んで「自分も小説を書いてみたい」と思う方に向けて、Webで小説の連載をやっていくうえで気をつけておいたほうがいいポイントはありますか?
しろうるり
大して実績もない作家の言うことを真に受けるもんじゃないですよ、というのが一番役に立ちそうなアドバイスかなと思ったりするんですけど(笑)。それでもあえて言うなら2つほどあります。
1つは、まず何を目標にするのかはある程度決めたほうがいい、ということです。似たような趣味の人に刺さればいいのか、ランキングを駆け上がって書籍化を目指すのか、コンテストに挑むのか。
ランキングを上げたいなら調べればある程度方法は出てきますが、賞を狙うのならまた違ったアプローチが必要になってくると思うので、目標に合わせたやり方でやっていく、というのを意識するのは損はないと思います。
もう1つは、特にランキングや書籍化を狙う方に知っていただきたいのが、作品が読まれ始めると、その事実が自分に対して大きな影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、僕は前作がランキングを上がっていく過程で、眠れなくなっていた時期があって。もちろん全然平気な方もおられると思うのですが、大勢の人に読まれることが、必ずしも自分にとって良いことばかりではないという心構えは事前にしておいたほうがいいのかなと思います。
――それは主にプレッシャーであったり……?
1つは、まず何を目標にするのかはある程度決めたほうがいい、ということです。似たような趣味の人に刺さればいいのか、ランキングを駆け上がって書籍化を目指すのか、コンテストに挑むのか。
ランキングを上げたいなら調べればある程度方法は出てきますが、賞を狙うのならまた違ったアプローチが必要になってくると思うので、目標に合わせたやり方でやっていく、というのを意識するのは損はないと思います。
もう1つは、特にランキングや書籍化を狙う方に知っていただきたいのが、作品が読まれ始めると、その事実が自分に対して大きな影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、僕は前作がランキングを上がっていく過程で、眠れなくなっていた時期があって。もちろん全然平気な方もおられると思うのですが、大勢の人に読まれることが、必ずしも自分にとって良いことばかりではないという心構えは事前にしておいたほうがいいのかなと思います。
――それは主にプレッシャーであったり……?
しろうるり
そうですね。ランキングが上がり始めた当初は、逆にテンションがハイになりすぎて眠れないこともあったのですが、次第にプレッシャーに変わっていって、そのせいで眠れなくなったりもしました。前作を書いている時はどうにもできなくて、連載を完結させたことで解放されたような形でした。
本条
私の場合、連載を完結させた後で皆さんが読んでくださるようになったパターンなので、そういうランキングが上がるプレッシャーみたいなのとは無縁でしたね……。
その分、「自分にしか書けないものを書きたい」ということだけはいつも言い聞かせていました。自分だけの色が出せないものは一切書きたくないというタイプなんです。
――そのこだわりにはどういった理由が?
その分、「自分にしか書けないものを書きたい」ということだけはいつも言い聞かせていました。自分だけの色が出せないものは一切書きたくないというタイプなんです。
――そのこだわりにはどういった理由が?
本条
そういう“軸”を持っていると、いざという時に踏みとどまれるんです。たとえ一般的に面白いと思ってもらえなかったとしても、自分の中では満足できる痕跡を残せる。
もう1つあるとすれば、文章を書く、言葉を紡いでいくという行為自体に快感を見出していくこと。その心地よさ、面白さ、素晴らしさを感じられたら、たとえ人気になろうがなるまいが、そこで得た喜びは経験として残り、価値のあるものになると自分は思っています。
もう1つあるとすれば、文章を書く、言葉を紡いでいくという行為自体に快感を見出していくこと。その心地よさ、面白さ、素晴らしさを感じられたら、たとえ人気になろうがなるまいが、そこで得た喜びは経験として残り、価値のあるものになると自分は思っています。
しろうるり
思い出したのが、本条先生が書かれた『地に落ちて死なずば』(※『暗君』の“ぼく”が登場する、現代日本が舞台のスピンオフ)の、主人公が物語を書き始めるシーンがものすごく好きなんです。うまくいかなかったとしても恥じなくていい、と決意を固めて書き始める姿が本当に大好きで。
本条
あれは私自身の創作論を小説にしたような作品でもあるので、そう言っていただけるのはとてもうれしいですね。
――最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。
――最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。
しろうるり
『兵站将校』に興味を持ってくださりありがとうございます。
受賞からだいぶお時間をいただいてしまいましたが、その分パワーアップしてお届けできると思います。 特典を本当にたくさん書いたのもあって、全体としては結構えぐい加筆になりました(笑)。
サンテネリ市民の皆様にも、王様とはまた違うレイヤーで頑張る主人公をお楽しみいただけるかと思いますので、ぜひ『暗君』と一緒に読んでいただければと。
受賞からだいぶお時間をいただいてしまいましたが、その分パワーアップしてお届けできると思います。 特典を本当にたくさん書いたのもあって、全体としては結構えぐい加筆になりました(笑)。
サンテネリ市民の皆様にも、王様とはまた違うレイヤーで頑張る主人公をお楽しみいただけるかと思いますので、ぜひ『暗君』と一緒に読んでいただければと。
本条
『汝、暗君を愛せよ』は、去年の夏に1巻が発売され、今年の4月には3巻、そして夏頃に4巻が発売される予定です。
このタイミングで1巻から読んでも、すぐに追いつけるコンパクトな作品、ということを最大のアピールポイントにしていきたいなと(笑)。今後はコミカライズの予定もありますので、情報が出たらぜひ見ていただければ嬉しいです。
最後にサンテネリ市民の皆さんに向けて――「『兵站将校』も、『暗君』も愛せよ!」……ということで、締めさせていただきたいと思います。
このタイミングで1巻から読んでも、すぐに追いつけるコンパクトな作品、ということを最大のアピールポイントにしていきたいなと(笑)。今後はコミカライズの予定もありますので、情報が出たらぜひ見ていただければ嬉しいです。
最後にサンテネリ市民の皆さんに向けて――「『兵站将校』も、『暗君』も愛せよ!」……ということで、締めさせていただきたいと思います。