日本一ソフトウェアから7月30日に発売される生活シミュレーションゲーム『ほの暮しの庭』の開発者インタビューをお届けします。

本作は、『夜廻』シリーズを手がけた“TEAM夜廻”による完全新作で、山あいの集落・彼ヶ津村(かがつむら)で田舎ぐらしを満喫できます。
ただ、この村にはちょっと不穏な“八つの掟”が存在し、のどかな暮らしの裏側に奇妙な気配が漂っているのも本作の特徴。今回、そんな『ほの暮しの庭』を手がけるおふたりに、独占インタビューをする機会をいただきました。
お話ししてくださったのは、企画・ゲームデザインを担当する溝上侑さんと、開発責任者を務める勝又美桜さん。
溝上さんは『夜廻』シリーズの生みの親。勝又さんは『探偵撲滅』や『BARステラアビス』などでキャラクターデザインを手がけてきた方です。
村の世界観の着想から、ホラーが苦手な人への配慮、そして本作ならではの“ヒリヒリ感”まで、たっぷり語っていただきました。
村の世界観の着想から、ホラーが苦手な人への配慮、そして本作ならではの“ヒリヒリ感”まで、たっぷり語っていただきました。
村の世界観は民話から【ほの暮しの庭】
――今回の舞台は日本の田舎の村ですが、着物を着ていたりサングラスをかけていたりと、少し不思議な世界観でもあります。彼ヶ津村をデザインするうえで取材した場所や、参考にした土地・風習はありますか?
溝上
デザインというより、私はシナリオを担当しているのでその観点になるのですが、全体的に古い風習や民話的なものが残っているイメージですね。メインシナリオを、そうした民話的なもので広げていきたいという思いがありました。
なので、特定の場所や物を参考にしたというよりは、さまざまな民話や風習、それから民俗学的な日本に古くから伝わる因習のようなものから、いろいろと着想を得て作っていった、という感じです。
なので、特定の場所や物を参考にしたというよりは、さまざまな民話や風習、それから民俗学的な日本に古くから伝わる因習のようなものから、いろいろと着想を得て作っていった、という感じです。

溝上
キャラクターのデザインについても、舞台はあくまで現代ではあるのですが、あまりに今っぽいおしゃれな服を着せると“田舎”という説得力がなくなってしまうんです。
なので、その中でも古めかしい雰囲気のものや、流行を意識しすぎない機能的な服といった方向で統一してデザインしていきました。
――私も田舎暮らしなので、既視感があります。
なので、その中でも古めかしい雰囲気のものや、流行を意識しすぎない機能的な服といった方向で統一してデザインしていきました。
――私も田舎暮らしなので、既視感があります。
溝上
そう言っていただけると、とてもうれしいですね。
掟を守れば、暮らしは安心【ほの暮しの庭】
――“あんしん暮しモード”は、怖いことが起こらないモードですよね。では、通常モードでも村の掟を一切破らず、いい子に暮らしていれば、ほぼ安心して暮らせるのでしょうか?
溝上
意図的に破らなければ、ある程度は安心して暮らせますね。
――なるほど、ある程度。
――なるほど、ある程度。
溝上
ある程度、です。

勝又
たとえば、すでに公表されているもので“夜に出歩いてはいけない”という掟があるのですが、ほの暮しモードだと夜に出歩けてしまうタイミングが発生するんです。
でも、ユーザーさんの意思で出歩かず、起こされてもそのまま寝てしまうこともできる。そうすれば、怖いことは起きません。いい子に暮らしていれば、まあ、ちょっと怖いくらいかなと思います。
でも、ユーザーさんの意思で出歩かず、起こされてもそのまま寝てしまうこともできる。そうすれば、怖いことは起きません。いい子に暮らしていれば、まあ、ちょっと怖いくらいかなと思います。
溝上
そうですね。ただ、掟とシナリオがかなり密接に結びついているので、シナリオを見たいとなってくると、勇気を出す必要が出てくる、という感じですね。
何年でも続けられる村ぐらし【ほの暮しの庭】
――暮らしていると、年数がどんどん進んでいきますよね。何十年もプレイしたらどこかで終わりが来るような、時限性はあるのでしょうか。
勝又
時限性はないですね。
溝上
ないです。基本的に、何年でもプレイは可能です。一応メインシナリオがあって、それをクリアする……というか、一旦の区切りがつくタイミングはあるのですが、それ以降も引き続きプレイできる仕組みになっています。
農場を発展させていって、どこかでバツンと打ち切られることもありません。普通の生活シミュレーションと同じようなシナリオ進行になっていますので、安心してプレイしていただければと思います。
農場を発展させていって、どこかでバツンと打ち切られることもありません。普通の生活シミュレーションと同じようなシナリオ進行になっていますので、安心してプレイしていただければと思います。
怖さの正体は“違和感”の積み重ね【ほの暮しの庭】
――怖いのは苦手だけれど、キャラクターがかわいいし雰囲気もいいから遊びたい、という方もいらっしゃると思います。心構えのために少しだけヒントをいただきたいのですが、本作の怖さはどんな種類なのでしょうか。ジャンプスケア的なものか、日常の中の違和感が積み重なるじわじわ系か、いわゆる“ひとこわ”系か……。
勝又
本作は、比率が高いのは違和感のほうですね。“ひとこわ”とまではいかないかもしれませんが、「なんでこの人はこんなものを欲しがっているんだろう」「なんでこの人はこの時間にここにいるんだろう」といった、ちょっとした違和感の積み重ねは、間違いなく本作の見どころだと思います。
逆に、『夜廻』ほどのジャンプスケアや不意打ちの脅かしは、かなり少なくなっています。というのも、今作はファームゲームのファンの方をかなり意識して作っていて、農場系が好きな人がホラーも得意とは限らない、というのは最初からわかっていたんです。
なので、ホラーが苦手な人でも、ここまでなら遊べるだろう、というところに落とし込んでいます。
逆に、『夜廻』ほどのジャンプスケアや不意打ちの脅かしは、かなり少なくなっています。というのも、今作はファームゲームのファンの方をかなり意識して作っていて、農場系が好きな人がホラーも得意とは限らない、というのは最初からわかっていたんです。
なので、ホラーが苦手な人でも、ここまでなら遊べるだろう、というところに落とし込んでいます。

溝上
いわゆる、がっつり幽霊が出てきて戦うような、よくあるホラーゲームとは違うんです。本作はあくまで農場シミュレーションの中に、ちょっと不穏な箇所があるイメージで作っています。なので、ホラーゲームというよりは“不穏ゲーム”ですね。
勝又
ホラーゲームだと思って身構えると、そこまでではないかもしれません。
溝上
「わっ!」と驚かせるような演出は、できる限りなくしていますので。
シナリオが気になるファームゲーム【ほの暮しの庭】
――では、アクション要素のようなものは特にないのでしょうか。
溝上
そこまで難しいアクションはないと思います。『夜廻』でも、ちょっと追いかけられるような場面はありますが、まあその程度ですね。
勝又
どちらかというと、因習と言いますか、村のちょっと怪しい感じが楽しめる、という感じでしょうか。
溝上
それがずっと続いていって、どんな秘密があるのか、掟を破るとどうなるのか、といったことがどんどん展開していく感じですね。
――ホラーというよりは、ちょっとミステリー感がありますよね。
――ホラーというよりは、ちょっとミステリー感がありますよね。
溝上
かなりそんな感じです。今回は登場人物がとても多いので、『夜廻』と比べてもシナリオは大きく違っていて、群像劇とまではいかないですが、これまでの『夜廻』のイメージとは異なるシナリオになっています。そこも見どころかなと思います。

――シナリオは気になりますね。妙にお若い村長の秘密とか。
溝上
そうなんですよ。今作は、ファームゲームではありますが、シナリオがちゃんと気になる感じになっています。ファームゲームは、シナリオに引っ張られることが少ないジャンルだと思うのですが、今作はその点も含めて楽しんでいただけると思います。
勝又
結局やりたかったこと、コンセプトとしては、ちょっと怪しい村で暮らす、というのが本作の軸なんです。その怪しい村の一員として、いろいろなことを体験するという部分は、十分楽しんでいただけるかなと思います。
――ミステリー好きの方にも勧めたくなりますね。
――ミステリー好きの方にも勧めたくなりますね。
勝又
そうですね。ぜひぜひ。
本作ならでは、狩猟のヒリヒリ感【ほの暮しの庭】
――本作は、ファームゲーム好きの方も注目しているはずです。すでに、自由に暮らせることは伝わってきたのですが、その中であえて「こんな偏った過ごし方もあるよ」というご提案を一ついただくとしたら、どんな暮らし方でしょうか。
溝上
勝又がファームゲーム好きなんですよ。今作は、私が“夜廻チック”な部分を担当していて、勝又がファーム部分を見ているのですが、私が「こんなことしていい?」「みんなが育てた動物を手にかけちゃっていい?」なんて聞くと――
勝又
それは確かに、絶対にダメですね。
溝上
「それをなくしたら損になるから」と、彼女が判断してくれるんです。

――犬と猫は無事、というのも安心材料ですね。
勝又
そこはちゃんと言っておかないと、『夜廻』だから犬と猫がひどい目にあうのでは、と思っている方も多いと思うので。そこはちゃんとしていますよ、と。
溝上
とはいえ、そう言っても、我々がこれまでふざけすぎてきたので、「そんなこと言ってもなあ」と思われてしまうかもしれません(笑)。
勝又
そうですね。「犬猫は……ということは、それ以外は……?」と(笑)。
溝上
そうなってしまうんですよね。
勝又
ユーザーさんからも、そういう声が上がっていましたしね。そんな中でおすすめの暮らし方ですが、野菜を育てたり、家畜を育てたり、釣りをしたり……というのは、言ってしまえば無難というか、よくある感じになると思います。ただ、本作特有のものとして、やっぱり狩猟があるんです。
溝上
そうですね。特に推したいところです。

勝又
狩猟をメインにして暮らすこともできるようになっています。ただ、小さなリスやタヌキだとそこまでの稼ぎにはならなくて、だんだんイノシシのような巨大な生き物が出てくるんですね。
そういった相手は一撃で仕留めてくることもあるので、リスクを取って強い獲物に挑むと、いい素材が手に入る。それを売って生計を立てることもできます。そこは、わりと今作ならではかなと思います。
そういった相手は一撃で仕留めてくることもあるので、リスクを取って強い獲物に挑むと、いい素材が手に入る。それを売って生計を立てることもできます。そこは、わりと今作ならではかなと思います。
溝上
意外と、暮らしの中にあるヒリヒリした感じですね。
勝又
昼間の要素なのに、お化けではないのに――
溝上
ちょっとヒリヒリする、という。
いろいろやりたい、だから時間が大事!【ほの暮しの庭】
――ちなみに、イノシシなどに吹っ飛ばされてやられてしまうと、その日はスキップになるのでしょうか。それともゲームオーバーですか。
溝上
あ、それはですね、一定の時間を消費する、という形になります。
勝又
動けなくなるので。
溝上
診療所に運ばれます。
――お金のロスなどはないんですね。
――お金のロスなどはないんですね。
勝又
そうですね。何時間か、時間が消費される形です。
――本作は、時間がとても大事ですものね。出歩ける時間が限られていますし、やりたいこともたくさん。
――本作は、時間がとても大事ですものね。出歩ける時間が限られていますし、やりたいこともたくさん。
勝又
そうですね。ですから、診療所に運ばれると少し時間が経ちますが、その日が終わってしまうということはないです。
ホラー好き、ファームゲーム好きへのメッセージ【ほの暮しの庭】
――最後に、読者へのメッセージを2パターンいただけますか。ひとつは純粋に村ぐらしを楽しみにしているユーザーさんへ、もうひとつはホラー方面を期待している方へ、お願いします。
勝又
村方面については私から。私自身ファームゲームが好きなのですが、本作はファームゲームの部分だけを抜き出しても、十分に楽しめるクオリティに仕上がっていると思います。ホラーが苦手な方も“あんしん暮しモード”で存分に楽しめますので、ぜひ手に取っていただけるとうれしいです。

溝上
ホラーのほうは、ご覧のとおり、農場シミュレーションとホラーの融合のような形になっています。たぶん、ほかにはあまりないと思うのですが、この両輪のおもしろさを感じてもらえるとうれしいですね。
このゲームでしかできない、ホラーというか、ちょっと気持ちの悪い表現――つまり、緊張と緩和のバランスです。農場シミュレーションを普通に遊んでいるな、と思ったところに、ぴゃっと冷や水をかけられるような演出が入る仕組みになっています。
このゲームならではのホラー表現を、ぜひ楽しんでいただければと思います。お楽しみにしていただけるとうれしいです。
このゲームでしかできない、ホラーというか、ちょっと気持ちの悪い表現――つまり、緊張と緩和のバランスです。農場シミュレーションを普通に遊んでいるな、と思ったところに、ぴゃっと冷や水をかけられるような演出が入る仕組みになっています。
このゲームならではのホラー表現を、ぜひ楽しんでいただければと思います。お楽しみにしていただけるとうれしいです。
