バンダイカード事業部が展開するアーケードカードゲーム「機動戦士ガンダム アーセナルベース」。本作を熱心にプレイするトッププレイヤーたちによる座談会の模様をお届けします。

「機動戦士ガンダム アーセナルベース」のプレイヤーが集い、作品への想い、現環境、そして目前に迫る全国大会について熱く語る座談会を実施しました。
今回参加していただいたのは、先日「VE03」の最速分析コラムを寄稿してくれた“コアラ師範”さん、そして全国大会でも活躍している“ささみ”さん、さらに1月の第4回全国大会では見事優勝を果たした“りょび”さんの3名。
さらに、電撃オンライン編集部から「こんな座談会をやろうと思うのですが……」と企画についてお声がけしたところ、本作のプロデューサーを務める大岩尚生さんが興味を示してくださり、「参加しませんか?」とお願いしてみたところ、急遽参加いただける想定外の運びとなりました。
話題が尽きず、2時間を超える大ボリュームの座談会となったため、記事は前編と後編の2回に分けてお届けします。前編では、新シリーズ「WAVECHOES」のゲームシステムや、新カード、現在の環境を中心としたトークの模様を掲載します。
ぶっちゃけどうなの? 今の「アーセナルベース」。トッププレイヤーたちが思うところをストレートに大岩Pにぶつけてみた座談会
コアラ師範
まずは各々、自己紹介からいきましょう。コアラ師範と申します。「アーセナルベース」の実績で言うと、第1回・第2回の個人戦全国大会に出場させていただいた他、現在はYouTubeで「アーセナルベース」の配信をやっています。ぜひチャンネル登録と高評価をよろしくお願いします!
……という冗談はさておき、全シーズンでニュータイプランクから外れたこともないので、それなりにお話しできることは多いんじゃないかなと思っております。今回の座談会では司会も務めさせていただきますので、よろしくお願いします。

ささみ
ささみです。よろしくお願いします。実績としては第1回・第3回・第4回の全国大会に出場しています。稼働開始時から「アーセナルベース」をプレイしており、シーズン3からはずっとランカーを維持しています。
コアラ師範
ささみさんは個人戦の全国大会に3回出場している、まさに“化け物”と言えるプレイヤーです。関東の強豪たちがひしめく中でも一目置かれています。使われるデッキもご自身で構築された独特なものが多く、“ささみさん自体の対策”を考えなければいけないほどの方です。
直近で行われた個人戦の全国大会でも、プレイングで会場や視聴者を沸かせて、本大会のMVPを受賞しました。では次、りょびさんお願いします。
直近で行われた個人戦の全国大会でも、プレイングで会場や視聴者を沸かせて、本大会のMVPを受賞しました。では次、りょびさんお願いします。

りょび
りょびです。全国大会で言うとハーフイヤーや第1回の2on2、個人でも2回出場し、直近で行われた第4回大会でようやく優勝することができました。昔からずっとプレイしているので、たくさんお話しできることがあると思います。本日はよろしくお願いします。
コアラ師範
ありがとうございます。りょびさんは全国大会で優勝しただけでなく、全国大会の出場回数でもトップクラスで、関東の激戦区を何度も勝ち抜いているすごいプレイヤーです。「アーセナルベース」の稼働当初、1/2/2編成を使いこなし、すさまじいRPを稼いでいたのも印象的です。立ち回りがとにかく上手いプレイヤーで、独特な動きと考え方を持っているため参考にしているプレイヤーも多いです。
りょび
正直なところ、私はささみさんみたいにゼロからデッキを作るのがあまり得意ではなくて。人のデッキを参考にしながら立ち回りをどんどん強化していき、自分の形に落とし込んでいく方が得意かもしれません。
コアラ師範
お2人には、直近で行われた2on2の全国大会“WAVECHOES CUP”のエリア予選に向けてフレンドマッチに付き合っていただいたのですが、1回勝ってもすぐに別の対策を立ててくるので、こちらとしても非常に有意義な練習になりました。後ほどその全国大会のお話もじっくり伺えればと思いますので、よろしくお願いします。
そしてなんと! 今回の座談会にはスペシャルゲストが来てくださっていますので、自己紹介をお願いします。
そしてなんと! 今回の座談会にはスペシャルゲストが来てくださっていますので、自己紹介をお願いします。
大岩P
「アーセナルベース」のプロデューサーを担当している大岩と申します。本日はトッププレイヤーの方々が日頃思っていることやご意見を真摯にお聞きしたいので、よろしくお願いいたします。
コアラ師範
まさかの大岩Pが駆けつけてくれました! プレイヤー目線からすると、開発の方と直接お話しできる機会なんて本当に滅多にないことなので、めちゃくちゃ嬉しいです。僕らを含むプレイヤーからすると「実際に開発へ声が届いているんだろうか?」と疑問に思うこともありますし、逆にユーザーの声を反映させすぎるとバランスが崩れてしまうゲームも世の中にはたくさんありますが(笑)、今日はぜひいろいろと切り込んでお聞きできたら幸いです。
大岩P
ありがとうございます。こちらもこういった貴重な機会をセッティングしていただけて、とても嬉しいです。
コアラ師範
公式Xでも“#教えて大岩P”といった企画を展開されているので、出張版“#教えて大岩P”として、後ほどじっくり伺おうと思います。まずは、大岩Pがこれまで「アーセナルベース」にどう携わってきたかをお聞きしたいです。
大岩P
先日、電撃オンラインさんの記事で初めて自己紹介と顔出しをさせていただきました。プロデューサーとしてはUNITRIBEからですが、その前の2022年の「LINXTAGE SEASON :03」あたりからアシスタントプロデューサーとして開発に携わっておりまして、現在に至ります。
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その前は別の企業でアーケードカードゲームのプランナーやディレクターを担当しており、バンダイに入社してからはそのノウハウを生かし、“大人向けのアーケードカードゲームとして面白いものを作る”という目標のもと、今日まで「アーセナルベース」に関わってきました。
コアラ師範
カードの性能を考えたり、調整したりするのも大岩Pが担当されているのですか?
大岩P
自分だけでなく、バトルシステムを考える人間もいれば、チューニング専門のスタッフもいるのですが、カードの性能に関しては“ソムリエ”と呼ばれる方が重要なポジションとして存在します。例えば、こちらでカードの性能を考えてその方に提出し、5段階評価で裁定してもらうんです。開発想定では“星5”のつもりだったのに、見てもらったら“星3”だったということもよくあります。そういった時に議論を重ねて調整を進めていく流れになります。想定外の評価をもらった時は、開発チーム一同「どうしよう……」と、よく頭を抱えていますね(笑)。
コアラ師範
個人的に気になっていたことがあるのですが、「アーセナルベース情報局」の対戦動画でプレイしている方って、その開発スタッフの方なのでしょうか?
大岩P
その通りです。
コアラ師範
そうですよね! 過去の公式対戦動画を見た時に、「明らかにニュータイプランクレベルの人がプレイしてるよね!?」と、プレイヤーの間でもめちゃくちゃ話題になっていました(笑)。誰がプレイしているのか、非常に気になっていたんです。
大岩P
開発メンバーもプライベートで普通にプレイしていますので、もしマッチングすることがありましたらよろしくお願いいたします。
数々のシリーズを超えて、「WAVECHOES(以下、VE)」へ突入した今の「アーセナルベース」への率直な感想

コアラ師範
直近の全国大会で、ささみさんとりょびさんが出場して見事MVPと優勝を飾ったのは記憶に新しいところです。その大会は「FORSQUAD(以下、FQ)」の最終シーズンで行われましたが、FQからVEへと変わる予告動画を見た時、あるいは実際にプレイした時に、VEに対してどういった印象を受けましたか?

ささみ
全国大会の時のことで言えば、やはり“デスティニーガンダムSpecⅡ(VE01-020)(以下、デスティニー)”と“共鳴戦術技”の発表に、会場がどよめいていましたね(笑)。デスティニーから急に3体出てくるだけでなく、それが1回じゃなくて2回も使えるというのは衝撃でした。内心では「あんなに強そうなのが連発できるなんてありえない。絶対にどこかに弱点があるだろう!」と思っていたのですが、実際にプレイしてみたら「めちゃめちゃ強い!」と認識を改めました(笑)。

りょび
私もささみさんと同じ目線だったのですが、別の視点から言うと「ゲーム自体が結構難しくなるんじゃないかな?」と思っていました。EBLv.の数値管理については、最初に動画を見ただけだとどういう仕組みなのか全然想像がつきませんでしたね。
コアラ師範
僕が初めて見た時の印象としては、シンプルにLv.が上がっていくシステムなので、動きが固定化されてしまわないかという心配がありました。ただ、その後に公開された対戦動画で、EBLv.が上がった時のバフ(強化)効果が判明したんです。それを見て「これは計算できるぞ!」となって、1時間くらい電卓を叩いていました(笑)。

そうしたら、EBLv.が上がるとSPゲージの上昇スピードも上がっていることに気付いて……。ささみさんとずっとDMで会話しながら火力やSPゲージの検証を重ねていき、「めちゃめちゃ強いぞ!! だけど一本道にはならないか?」と。カードがまだ公開されていない段階だったので、これはスキップSP(※EBLv.を1から3へ上昇させる、通称スキップSP)のカード次第だなと思っていました。
逆に、お2人ともFQやABの環境を極められたわけじゃないですか。それらとVEを比べて、最初はどちらが強いと思いましたか?
ささみ
まあ、VEだろうなと思っていましたね(笑)。FQはラッシュのゲージを溜めてからがスタートで、ゲージを溜めるためだけの行動にコストを使うようなところがあり、そこでの読み合いもあったのですが、盤面に関係のないところでSPを使わなければいけないといった場面もありましたからね。
りょび
FQ同士の対戦だと、時間稼ぎをしなければならない場面もあり、ゲームとしては“ゲージを溜めたもん勝ち”みたいなところもありましたよね。それがVEになってからゲーム性がガラリと変わって、自分から仕掛けに行けるデッキも増えました。デスティニーの強力な共鳴戦術技もあって、爽快感はハネ上がりました(笑)。
コアラ師範
最初は慣れるまで大変でしたよね。あと、1試合が超疲れる(笑)。試合が長いと言うと語弊があるかもしれませんが、FQやAB環境の時って、序盤でゲームがほぼ決まってしまうことが多かったんですよね。当時はAB編成が流行っていたので、ABに対してFQ側がどう捌くか、捌けない場合はABの勝ち、みたいな。
FQ同士の対決に関しても、開幕で上手く綺麗にSQゲージを溜められたほうが勝ち、という流れでした。そこからまくる(逆転する)のはほぼ無理だったので、VEになってまくるチャンスが明確に増えたなと思いました。
FQ同士の対決に関しても、開幕で上手く綺麗にSQゲージを溜められたほうが勝ち、という流れでした。そこからまくる(逆転する)のはほぼ無理だったので、VEになってまくるチャンスが明確に増えたなと思いました。
3人が出場したエリア大会の話から、スキップSPが導入された開発秘話が飛び出す!

コアラ師範
お2人は前回の全国大会に向けて頑張っていたと思うのですが、FQ環境で練習していたところから急にVE環境(EBシステム)が追加され、ちょうど直近で行われたエリア大会に出場されましたよね。結果は3人とも残念な形に終わりましたが(笑)。ただ、大会に向けた考え方や取り組み方は、以前と比べて大きく変わったと思うんですよ。実際にどういったことを意識するようになりましたか?


りょび
2on2の大会ということで、そもそも“ペア内で同じカードを1枚しか使えない”というルールに非常に苦労しました。現在のカードプールだと、やっぱりデスティニーが強かったり、大会直前には『機動戦士ガンダムSEED』のブースターパックVol.3が発売されて“プロヴィデンスガンダム(BP07-003)”や“マイティーストライクフリーダムガンダム(BP07-008)”なども追加されたりと、強力なカードが増えていた時期でした。それらをどうやって2人で分けて、両方が強いデッキを持っていけるか、というバランス取りがめちゃくちゃ難しかったです。
特に、EBシステムが初めて導入された中での2on2大会だったので、「先鋒にどれだけ強いカードを渡して、次鋒はどう調整しようか?」といったアプローチに、各チームの特色がすごく出ていた大会だったなと思います。
特に、EBシステムが初めて導入された中での2on2大会だったので、「先鋒にどれだけ強いカードを渡して、次鋒はどう調整しようか?」といったアプローチに、各チームの特色がすごく出ていた大会だったなと思います。
コアラ師範
そうですよね。「共鳴戦術技の強いカードをどちらが使う?」とか、「相手の強力な共鳴戦術技を、普段使わないカードでどうやって守る?」といった部分はめちゃくちゃ意識したと思います。ささみさんはどうですか? FQの頃との違いで言うと、立ち回りやデッキ構築、あるいは練習方法など、何か変化はありましたか?

ささみ
デッキをVEに変えた段階では、最初にVE01で登場した、SPゲージの溜まる速度が上がる“キラ・ヤマト(VE01-051)”が印象的でした。あれはすごく強いのですが、共鳴戦術技に即繋げるためには、EBLv.1を上手く維持しなければいけない。“1→3→1”というようなサイクルですね。その維持の仕方もそうですし、SPゲージの状況を細かく確認する工程が増えたことで、考えることが本当に多くなったなと感じています。
コアラ師範
自分のSPゲージの溜まっている量をめちゃくちゃ意識するようになりましたし、極端なことを言うと、残り秒数をすごく見るようになりましたよね。
僕はFQの時代はSPの使用回数を数えるのが大事だと思いSPゲージが溜まるカウントの推移を良く見ていましたが、今は開幕の秒数を非常にしっかりと見ています。最初のSPを使える162秒や、相手が作戦カード“小さな協力者”を使った際の167秒など、やっぱりEBLv.の動く最初の秒数はとても意識しています。
EBLv.1の時間をどれだけ長く維持するか。今でこそ追加されたカードがあるから「EBLv.3の状態のままでいいや」という選択肢もありますが、最初の頃はいかにEBLv.1を維持して綺麗に回し、「永久にSPを使い続けてやる!」という勢いでやっていました(笑)。
僕はFQの時代はSPの使用回数を数えるのが大事だと思いSPゲージが溜まるカウントの推移を良く見ていましたが、今は開幕の秒数を非常にしっかりと見ています。最初のSPを使える162秒や、相手が作戦カード“小さな協力者”を使った際の167秒など、やっぱりEBLv.の動く最初の秒数はとても意識しています。
EBLv.1の時間をどれだけ長く維持するか。今でこそ追加されたカードがあるから「EBLv.3の状態のままでいいや」という選択肢もありますが、最初の頃はいかにEBLv.1を維持して綺麗に回し、「永久にSPを使い続けてやる!」という勢いでやっていました(笑)。
りょび
どれだけ綺麗にSPを回せるか、というゲーム感ですよね。
コアラ師範
そう、立ち回りの面で一番そこが変わりましたよね。SPをポンポンと連打するための動きなど、すべてが変わったなと思っています。
ささみ
逆に、相手にそれ(SP連打)をやられてしまうと一気にEBLv.3に上がられて軽減も付くので、こちらも使わないと耐えられない。そういった駆け引きがすごい難しいですよね。
コアラ師範
いや、間違いないです。コストももらえて「1から3へのスキップは強すぎるでしょ(笑)」と、なりましたね。
大岩P
これ、実は開発スタッフ内でも実装するか議論がありました。
コアラ師範
ええっ、そうなんですね! いや、確かにプレイヤー間でも「これはヤバいだろう」と話題になっていました。もらえるものが多すぎますし、いいことしか書いてないので(笑)。コストもSPももらえるから「これ、結局1下がってから3上がるせいで、1ずつ段階を踏むよりも得じゃん」となって。だからもう「入れない理由がないよね」というところから始まって、「これが複数枚ないと、止められた時にゲームが終わるな」という思考になっていきました。
大岩P
スキップ前提のような環境になってしまったので、ちょっと難易度が上がってしまったところはありますかね。
コアラ師範
デッキ構築も少し固定化されるようになっちゃいましたね。特にプレイされている方ならご存知かとは思うのですが、基本構築として“スキップSPを持つユニットを2体入れる”みたいな形がテンプレのようになっていて。その中で「どうやってデスティニーを止めようか」というアプローチの構築になっているので、確かに難しくはなりましたね。
りょび
ちょっとお聞きしたいのですが、開発内で「議論があった中で、それを出した理由ってあったのですか? インフレを恐れているといった理由があったと思われるのですが。
コアラ師範
ぶっ込むね(笑)。
大岩P
インフレを恐れて見送るという議論はもちろんありました。また、「スキップSPが今後の弾の大きな売りになるんじゃないか?」という話もありまして。ただ、1弾を最大限に盛り上げるには、この「EBLv.の上げ下げ」の楽しさを体験してもらうのが一番ですし、そこにスキップSPも入っていたほうがもっと面白いんじゃないかと。WAVECHOESの“WAVE”は、レベルを上げ下げする波のことなので、1から3に上がる大きい波を最初から用意したかったんです。
コアラ師範
でも、実際めちゃくちゃ面白いですね(笑)。EBLv.3に上げて綺麗にコンボが決まった時の、あの脳汁が出る感覚はすごいです。
大岩P
スキップSPを駆使することで、共鳴戦術技を複数回出せるという戦略性は、リアルタイムストラテジーというゲームジャンルにおいて非常に面白い要素に仕上げられたのではないかと思って導入しています。また、スキップSPを持っているMSがお互いに軸になっているというところが逆に分かりやすいと判断しました。
コアラ師範
そのせいというか、そのおかげで中盤以降はマジで頭を使うようになりました(笑)。ストレートに言うと中盤以降の“EBLv.1→3→1→3”が強すぎるので、それを通すためにどこで我慢するのか、という判断がすごく難しいんですよね。やっぱり我慢しないと母艦が落ちてしまうので。そのあたりは以前の環境からガラリと変わったなと思います。ただ、その我慢さえしっかりしていれば、最後に大きな逆転ができる。これはプレイヤーとしてすごく嬉しい要素ですし、「なんか勝てた!」というドラマのある試合が生まれるので、そこがすごく面白いなと思っています。
「WAVECHOES」で流行っているカードについてぶっちゃけ討論

コアラ師範
ここからはVE01から今日までに活躍したカード群について切り込んでいきましょうか。ちょっと燃えそうな気がしてしょうがないんですけど(笑)、もうストレートに行きましょう! とりあえず“デスティニーガンダムSpecⅡ”の強さは誰もが知るところですので、今回は性能そのものを語ることは置いておいて、せっかく大岩Pがいらっしゃるので、このカードが生まれた経緯をお聞きしたいです。
大岩P
まず、共鳴戦術技の“分身”を、増援としてちゃんと盤面に残したいって言い出したのは僕なんですよね。“デスティニーガンダムSpecⅡ”の性能を考える際、企画のリーダーが「エフェクトで分身が出ていればいいんじゃないか?」と提案してくれたのですが、自分が「いや、増援でしょ。増援が3体出るのがいい!」と。毎回僕が結構な無茶を言うのですが、開発チームがちゃんとうまく形に落とし込んでくれています。
コアラ師範
ありがとうございます。実際にPVで初公開された当初から今日まで、デスティニーが今の「アーセナルベース」の中心にいますし、この話を続けるとこれだけで終わってしまいそうですね(笑)。ではここからは、デスティニー以外で各々が思う“印象的だったカード”を1枚ずつ挙げていこうと思います。まずはささみさんからお願いします。
ささみ
自分はやっぱり“アリュゼウス(VE01-013)”ですかね。

コアラ師範
やはり最初はアリュゼウスですよね(笑)。僕の知り合いの間でも、「アリュゼウスはVEシーズンの最後、集大成として出すレベルのカードじゃないか!?」と、出た当初からずっと話題になっていました。
ささみ
スキップSPを持っていて、敵をスタンさせつつ、本体も高い火力を持っているという。さらに閃光のハサウェイのLINK ABILITYが発動していれば、火力が1.45倍になるという点もすさまじいですね。
コアラ師範
ちなみに大岩Pにストレートにお聞きしたいのですが、アリュゼウスに“アスラン・ザラ(VE01-057)”を乗せるということは、開発段階から想定されていましたか?

大岩P
開発チームの中の1名は想定していました。本来、遠距離型のユニットに近距離特化のパイロットを乗せるというのは、今までの「アーセナルベース」のセオリーではありえない組み合わせだったのですが、バフ(ステータス上昇効果)目的だけで採用される可能性は高い、という認識でしたね。
コアラ師範
この流れでアスランにも触れておこうと思うのですが、アスランも相当ヤバいですよね。
りょび
エリア大会でもアスランにはかなり苦しめられましたね(笑)。まず「自分たちのペアのどちらが使う?」という相談から始まり、「相手に来たらどう対処する?」といった感じで、大会期間中は終始考えさせられました。
大岩P
開発チーム側のお話をすると、これまでの「アーセナルベース」ではアスランの大会環境で活躍するカードがなかなか作れていなかったので、強いアスランが求められているお声に応えるべく「とにかくすごいアスランを作ろう!」というスローガンのもと、現在のカードデザインになったという経緯があります。
コアラ師範
僕の友人に大のアスランファンがいるのですが、これまでは新しく出るアスランを使うたびに(性能面で)諦める……というのを繰り返していたんです。それが、VE01で出たアスランの強さには本当に感激していましたね(笑)。りょびさんは他に、VEのカードで印象的だったものはありますか?

りょび
私は、稼働初日から注目していた“ガンダム(GQ)(VE01-036)”ですかね。正直、最初に紹介動画を見た時は「え、これ体が大きくなるだけで強いの?」みたいに思っていました。当初はそれこそデスティニーばかりに注目が集まっていましたが、環境が進むにつれて、みんなガンダム(GQ)を殲滅枠に入れるようになっていきましたね。

コアラ師範
稼働当初、僕は“インフィニットジャスティスガンダム弐式(VE01-023)”を使っていたのですが勝てない相手が多く、そんな時にガンダム(GQ)を使ったら「あれ? なんかガンダム(GQ)ヤバくね?」となった記憶があります(笑)
りょび
本当にそれくらいのパワーがありましたね(笑)。ガンダム(GQ)がいることで有利になる編成が明確に出てきたんですよ。それまで強かった1/2/2や1/3/1といった編成に大体勝てるようになって、VE01の環境ではずっと使い続けていました。
コアラ師範
VE02で出た“サイコ・ガンダム(GQ)(VE02-037)”も強いですよね。

りょび
サイコ・ガンダム(GQ)は私もエリア大会で使っていたのですが、かつて環境で強かったデストロイガンダムに結構似ている性能だなと感じました。VE環境って、基本的には強力な共鳴戦術技を駆使しないと爆発的な強さにならないイメージですが、このサイコ・ガンダム(GQ)は通常のSPを使うだけで相手を殲滅できるような能力を最初から持っています。あらゆる場面で自ら攻めに行けるという意味で、すごく新鮮で面白く、そして強いなと思って使っていました。

コアラ師範
消費SP2で使用できるという点も、取り回しが良くて使いやすいですよね。僕の直近の話で言うと、SEEDブースターに収録されていた“プロヴィデンスガンダム”が出た時に、プレイヤー間で「これヤバくね?」という話をよくしていました。ここについても大岩Pにお聞きしたいのですが、VE03でプレイした際、プロヴィデンスガンダムが共鳴戦術技発動後に“怯み無効”状態が発動しているように思ったのですが正しいでしょうか?
大岩P
我々の開発フローとして、仮データで一度ゲームを作った後、先ほどお話ししたソムリエにプレイしてもらって5段階評価をつけてもらうんです。その際、我々が“星4”や“星5”のつもりで設計したカードが“星3”だと評価されたときに、追加で能力に調整をすることがあります。(笑)
コアラ師範
つまり、あの追加性能はいわば“トッピング”みたいなものなんですね?
大岩P
そういう感じになります。VE環境になってから火力がどんどんインフレしていくことは我々も認識しており、一撃の攻防が非常に重要になる中で、ほんのわずかな隙が敗北に直結するようになっています。
コアラ師範
実際にそういうゲームバランスになりましたね。

大岩P
その“隙を少なくする”という意味での調整だったので、プロヴィデンスガンダムへの仕様追加については、開発チーム内でも異論はありませんでした。先ほどの評価の話に戻ると、プロヴィデンスガンダム単体だと“星3”や“星4”だったんです。これも開発チーム内でのテーマとして「とにかく強いプロヴィデンスガンダムを作りたい!」という想いのもとで生まれたカードです。2023年のLINXTAGE時代は大会環境ではあまり活躍できていなかったため、プレイヤーの方々から強いプロヴィデンスガンダムを出してほしいというお声があることは認識しておりました。
ささみ
先ほどのアスランと同じような背景があったのですね。

大岩P
ちょっと『機動戦士ガンダムSEED』の話ばかりになってしまいますが、やはりプロヴィデンスガンダムとクルーゼという、ラスボスとして非常に人気のある機体とキャラクターに対して、「最前線で戦える強いプロヴィデンスガンダムがいない」という状況が気がかりだったんです。なので、それこそ無理を言って共鳴戦術技の演出も含めて豪華に作ってもらいました。
コアラ師範
では、あの“怯み無効”は、プロヴィデンスガンダムがVE03以降の環境でもしっかりと戦えるようにするための調整だったということですね。
大岩P
そうなります。
コアラ師範
実際、プロヴィデンスガンダムも本当に強いですよね。油断していると秒単位で母艦が撃沈してしまうので、相手にいると本当に冷や汗が出ます(笑)。
りょび
ただプロヴィデンスガンダムは、ガンダム(GQ)と違って(コスト面などの兼ね合いで)弱点も明確なので、対策しやすいという点では他の強力なカードとも綺麗に差別化できている印象です。
コアラ師範
他はどうでしょう? “戦国アストレイ頑駄無(VEB01-013)”なんかも環境MSとして挙げられそうですが。

りょび
戦国アストレイ頑駄無も、私はめちゃくちゃ使っていました。「SP消費2でこんなに能力をもらっちゃっていいの?」と思わされる性能ですよね(笑)。
コアラ師範
これもバージョンの最後を飾るような、破格のカードですよね(笑)。
りょび
近距離戦において「こいつを超えられるカードって他にあるのかな?」と思うレベルです。アビリティの倍率もすごいですし、SPでかかる倍率もとんでもないことになっています。

コアラ師範
戦国アストレイ頑駄無の一番偉いところって、作戦カードの“小さな協力者”を使った立ち回りの選択肢を広げたことじゃないかなと思っています。このMSが出るまで、作戦カードはメインが“エネルギー送電システム”、サブが“緊急事態”のセットくらいしか選択肢がなかったのですが、「小さな協力者でユニットを前出しして、もし無視するなら拠点をへし折るよ?」という、非常に強力な攻めの選択肢が増えました。
りょび
エリア大会でも、結構採用されている方がいらっしゃいましたね。
コアラ師範
僕は実際に使っていました。ささみさんも戦国アストレイ頑駄無を使っていましたが、実際に使用感はどうでしたか?
ささみ
実際、戦国アストレイ頑駄無をエリア大会で使いました。懸念点として、こちらがじっくり待ってしまうと、相手がアリュゼウスだった場合に止められてしまうんですよね。なので、“小さな協力者”を使って先にSPの差をつけ、こちらが先手を打っていくという立ち回りも用意していました。
VEは相手の行動を見てから備える“待ち環境”であるか否か?
コアラ師範
その立ち回りで言うと、やはりVEになってから待ち環境が加速したと言われているじゃないですか。実際、この待ち環境についてどう思いますか? 本当に待ち環境だと思います?
りょび
率直に言うのであれば、強い待ち戦法もあれば、強いガン攻め戦法もあると思います。
ささみ
VE02までで言うのであれば、先ほどの戦国アストレイ頑駄無の戦法もあるので、待ち環境一辺倒だとは思いません。ただ、VE01のみに関しては、アリュゼウスの影響で待ち環境であったと思われます(笑)。
りょび
プレイヤー層でも流行っている戦術が分かれているのかなと思うところもあり、あんまりプレイされない方とか、ランクで言うとレジェンドランクとかガンダムランクの最初のタイミングとかだと、ユニットの出し方がわからなくて、出してみてボコボコにされて「自分も待とう!」となるんじゃないかなと。なので、グッと待ち合うプレイヤーが増えて、待ち環境って言われるようになっているんじゃないかなと思っています。
ささみ
逆に上手いプレイヤー層の方ですと、攻め方みたいなのも分かっていて、最初はもちろんやっぱりコストを溜めて待って防衛出して、またコスト溜まってから行動を考えるというのはあるんですけど、そこから自分がユニットを先に出して、相手にカード出させて、そこからもう全部滅ぼすみたいな立ち回りとかもありますね。
りょび
やはり、そういう難しい立ち回りができるようになってくれば、攻めやユニットの出し方が変わってくると思います。あまりプレイされていない方の場合は待ったほうが展開が有利になりやすいところはあると思うんで、そういったところで待ち環境と言われているのではないのかと。
コアラ師範
「アーセナルベース」はゲームシステム上、後出しがめちゃくちゃ強いですからね。だけども“早期出撃ボーナス”があるから開幕攻めたほうが強い時もあります。昔であれば先に出したほうが2コスト多くもらえるから、1回目の全国大会は早期出撃ボーナスを得るために、指をスライドする練習をずっとしていましたよ(笑)。
ささみ
そんな時代もありましたね。全国大会でそのコンマ1秒争うのはきついですよね(笑)。
コアラ師範
第1回全国大会の1回戦なんか、僕スカしましたからね。「あーーーーーーーっ!!!」ってなったけども、相手もスカして、2人とも「あーーーーーーーっ!!!」ってなって、あわてながらも先に出せた僕がボーナスを得て勝ったということもありました(笑)。
一同:(笑)
一同:(笑)
コアラ師範
話が脱線しましたが、基本的に後出しが強いゲームである以上、待ち環境になるのはしょうがないことだと思います。しかも、EBというシステム的にSPを溜めれば溜めるほど強いじゃないですか? そうなっちゃうと、どうしても最初それを溜めるために待ちます。で、そこから展開できるかどうかはお2人のおっしゃった通り、できる人とできない人がいますとかはありますね。このゲーム特有の話ですけど、編成を隠したほうが強いので。
りょび
なるべく先に編成を晒したくはないですよね。
コアラ師範
中級者層とかがこれを知る情報がないし、真似る先もないというのは、課題点として挙げられると思われます。
りょび
上手い方やたくさんプレイしている方が知り合いにいれば、聞くことができると思うのですが、やはりプレイ環境によってはそういった“聞く”ということが難しいと思うんですよね。なかなか声をかけることも大変ですし。
コアラ師範
こんなおっさんがゲームセンターで荒っぽく声を上げながらプレイしているところなんて、誰も話しかけられないと思います(笑)。ささみさんみたいに、誰でも受け入れるみたいな方も多いというわけでもないと思うので。
大岩P
でもコアラ師範はYouTubeを通じていろんな方に発信してくださっているのは非常にありがたいと思っています。
りょび
確かに、YouTubeが1つのコンテンツとして、初~中級者に情報を発信できるというのはいいことだと思います。
コアラ師範
逆になのですが、YouTubeで配信されたデッキばかりになっちゃうこともあるんですよね。それもそれで深い部分までは伝えにくいので、それも含め“待ちやすい環境”なのかなという気はしています。
固定化されつつある作戦カード。今後テコ入れされる可能性は?

コアラ師範
SPやコストを溜めるほうが強いという話に直結するのですが、その影響で現在の作戦カードってメインは“エネルギー送電システム”一択じゃないですか? 直近において、お2人は他の作戦カードを試しましたか?
ささみ
EB編成を使う時は1回だけ他の作戦カードを試して、すぐ送電システムに戻す、というのを繰り返していますね(笑)。
大岩P
開発チームからも「このEBを導入するのであれば、作戦カードは送電システムばかりになりますよ?」とは言われていたのですが、「いや、大丈夫!」みたいに返していました(笑)。
コアラ師範
FQやABの編成を除いて、体感95%以上は送電システムになっていますが、大岩Pはどう思いますか?
大岩P
開発に役立てるために統計データなどは常にチェックしているのですが、ちょっと「うーん、どうしたものか」という状況ではありますね。
コアラ師範
ランカーたちの間では、「VEシーズンで送電システムそのものが削除されるんじゃないか?」とすら話題になっていました。
大岩P
開発チーム内でも削除する案は出ましたね。ただ、送電システム自体が初心者にとっても非常にわかりやすい効果の作戦カードとなっていたため、そこを懸念して残す流れになりました。また、“中盤に強い”というEBのコンセプトを確立させるためには、送電システムが必要不可欠だったという点もあり、現状維持としています。
りょび
確かに、もし送電システムが無かったら以前のFQ環境と一緒で、結構展開のゆっくりしたゲームになっちゃうかもしれませんね。
コアラ師範
あと、序盤にABに滅ぼされる可能性もありますね。今日も俺トラと当たりましたが、かなり危ない試合でしたので、もし無くなったら影響は相当ありそうです。
大岩P
元々の設計としては、序盤に強いAB、終盤に強いFQ結束という関係性に対して、EBをどう位置付けるかという部分で、最初はFQより先に共鳴戦術技を1発使えるからそれでリードを取る。ただ、2回目の共鳴戦術技はFQ結束の爆発力よりは弱いから、FQが攻めてくるのに対して今度はEBで守る。そういった“最初にリードを取れるかどうか”という面白さのバランスで考えていました。

コアラ師範
ここに関しては、以前のインタビューでもおっしゃっていましたよね。ただ、現状は「EB強いな~」というバランスに着地しているので、やはり調整って難しいですよね。結局のところ今って、作戦カードが3つくらいしか使われていない感覚で、メインは送電システム、サブで“小さな協力者”“緊急事態“以外はあまり見かけません。たまにサイコ・ガンダム(GQ)を使っている方であれば、“中立の支援者”が選択肢に入ってくるのかなと。
りょび
エリア大会ですと“姫の威厳”を使っていた方もいましたね。ゲージなどで負けている相手に対して、一発逆転狙いで姫の威厳を使って一気に滅ぼしてやろう、というような。
コアラ師範
それで言うと“暴走する悪意”は、今はあまり使われていないかな、くらいの感覚はありますね。全体的に火力が高すぎて、暴走する悪意のデバフ(弱体化)量では全然太刀打ちできないのかなと思いつつ、今後の作戦カードの調整は楽しみにしたいところです。
座談会の第1回はここまでとなります。第2回では、さらにさまざまなキャンペーンのお話や、「アーセナルベース」のカードが持つ魅力といったものに迫っていこうと思います。ここでしか聞けない話もいろいろとありますので、ぜひご期待ください!
座談会の第1回はここまでとなります。第2回では、さらにさまざまなキャンペーンのお話や、「アーセナルベース」のカードが持つ魅力といったものに迫っていこうと思います。ここでしか聞けない話もいろいろとありますので、ぜひご期待ください!


