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『終末トレインどこへいく?』11話感想。いざ葉香に会うとヘタれてしまう静留の人間くささよ。ポチは想像を超える強さだった。最終回どうなるの?(ネタバレあり)

文:米澤崇史

公開日時:

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 2024年6月10日(月)に放送されたTVアニメ『終末トレインどこへいく?』11話“もう無理かな……”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『終末トレインどこへいく?』11話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。[IMAGE]

池袋に着いて早々に葉香と再会するも、静留のメンタルに大ダメージが【終末トレインどこへいく? 11話感想】


 吾野からの長い旅の果てについに池袋へと辿りついた静留たち。チラッとフクロウになった池袋住人たちも映っていましたが、雨の代わりに鯖が降ってくるのは当たると痛そうだし地面は生臭くなりそうだし、想像以上に地獄そう。

 今までの駅は何かしら一つの異常が起こっていたのに対して、池袋はそんなレベルではない状態に変貌しているので、葉香の力で異常がどんどん増えつつあるのかもしれません。


 ゴーヤを前にした葉香は、どこか懐かしさを感じている様子。とはいえ吾野でゴーヤが取れるようになったのは7G事件の後のはずなので、葉香の記憶の中にゴーヤ=吾野のイメージはないはずなんですよね。懐かしい匂いみたいなものをゴーヤから感じとったのでしょうか(それにしてもポチは割烹着が似合っています)。

 池袋についたはいいものの、ここからどうやって葉香の居場所を知ることになるんだろうと思っていたら、なんと自警団から逃げた先でいきなり葉香と再会を果たすことに成功。静留と会った瞬間に記憶が戻りかけていた様子がありつつも、やはりそう簡単にはいきません。

 これまでの旅の中で大分素直になってきた静留ですが、いざ葉香本人を前にするとまだ躊躇いみたいなのが見え隠れしています。葉香が自分に対して怒っていると真っ先に思うあたり、自分のやってしまったことは分かっているはずなのに、その先が口にできない。


 このもどかしさが静留というキャラクターの魅力でもあるんですが、葉香から面と向かって「とても嫌な気分」と言われたのはめちゃくちゃ堪えたでしょうね。11話は総じて静留がネガティブ状態に入っていましたが、たぶんこの時の言葉をずっと引きずっていたんじゃないかという気がします。

 ちょっと気になったのは、7Gのスイッチを葉香の部屋で見つけた時の「鳥頭」というポンタローの発言と、口笛でポチが呼ばれていたこと。状況的に「鳥頭」はポチに向けて言った言葉だと思いますし、以前の「今は飛べない」という発言を加味すると、ポチが7G事件前は鳥類だったという可能性がかなり濃厚になってきました。

 そして今回一番度肝を抜かれたゴーヤを使った善治郎たちとの通話シーン。まさかゴーヤが吾野からずっと根を張っているというのは予想外すぎました。

 一瞬、吾野側のシーンで静留の母や、1話で撫子を襲いかけていたマレーグマのマサさんの姿も映っていましたが、善治郎たちに協力して7Gについて調べているのでしょう。こういう細かい描写を入れてくれるのは嬉しいです。

静留たち3人を相手に圧倒するポチの強さ。7Gのスイッチは葉香が押さないとダメ説【終末トレインどこへいく? 11話感想】


 その後は、まさかの黒木とゾンビたちが再登場。電車で移動していた静留たちよりも先に池袋に着いているのはさすがにゾンビの移動速度早すぎじゃないかと思ったんですけど、アニメ内では描かれなかった停車駅での出来事もあったようなので、黒木たちと別れたあと、静留たちはどこかの駅で大幅にタイムロスしていた可能性もあるかなと。

 ゾンビたちの反応から、7G回線をオフにするスイッチがデパート(おそらく西武池袋本店のこと)にあることを突き止めますが、肝心の静留が以前のウジウジモードに戻ってしまっていました。

 一度は葉香に謝ることを決めていたにも関わらず、いざ本人を前にしてしまったら踏ん切りが付かなくなり、意味のない言い訳を口にして決断から逃げようとする。自分自身も思い当たる節がめちゃくちゃあって、ここまで人間臭い主人公もなかなかいないんじゃないかと思います。


 デパートの中で、「見てるだけです」といって店員を追い払うのもあるあるで面白かったですが、何よりも絵画に頭突きする晶が、全然効いてないのも含めてかわいすぎました。

 そして凄まじかったのが、その後の静留とポチの格闘シーン。本作が始まって以来、おそらく初めてのガチな殴り合いで、作画もかなりの気合の入りっぷりでした。ポチがここまで強かったのも予想外で、ここまで常人外れの身体能力を見せつけてきた静留たち3人を同時に相手取って圧倒しているのはとんでもない。

 ポンタローはポチが自分をよく思っていないことも見抜いてそうなのに、未だ頼りにしているのは、よほどまともな部下がいないのかなと思っていたんですよね。ただこの強さを見ると、それでもポチを重宝している理由が分かるような気がします。

 それでも静留たちが時間を稼いでいる隙に晶たちが7Gのボタンを押すことに成功したものの、結果何も起こらず。葉香の意志で池袋が変わっていっていることを考えると、今の世界を作った主体は7Gよりも葉香側にありそうなので、葉香が自分の意志でボタンを押さないと意味がないのかも。

 ただ、ポンタローの言っていた通り、もし世界を変えてしまったのが葉香であるなら、世界を元に戻すとなると犯人の一人である葉香もただでは済まなさそうなのも事実。

 まだ静留たちはそこまで気付いてなさそうですが、最終話で直面する問題になってくるかもしれません。


 池袋についたらアポジー号の出番はここまでかと思っていたんですが、ポンタローたちを追いかける必要ができたことを考えると、まだ活躍シーンがありそうな予感がします(今のままだと線路が繋がっていない問題はありますが)。

 吾野から始まった静留たちの旅も、いよいよ次回が最終回。7Gで変わった世界と、静留と葉香の関係はどのような結末を迎えるのか、しっかりと見届けたいと思います。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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