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『終末トレインどこへいく?』9話ネタバレあり感想。とうとう静留の口から素直な言葉が出てきた感動。事情に詳しすぎるスワン仙人は一体何者なのか

文:電撃オンライン

公開日時:

 2024年5月27日(月)に放送されたTVアニメ『終末トレインどこへいく?』9話“思ってたよりつまんないみたいな”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『終末トレインどこへいく?』9話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。


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葉香の視点が描かれたことで、様々な謎の真相が明らかに【終末トレインどこへいく? 9話感想】


 第9話は、まさかの池袋にいる現在の葉香の視点でスタート。すっかり別人のようになっていると思いきや、そこまで大きな変化はなく。ただ、記憶を失っていることが判明しました。今の葉香には池袋をより大きく改変できる、一種の神に近い力が宿っており、ポンタローはその葉香の力を利用したがっているという構図のようです。


 ポンタローたちが池袋を元に戻したがらないのは、7Gのことを抜きにしても、日頃から非人道な実験をたくさんしてそうですし、会社について詳しく調べられたら自分は終わりだとも思っているからなのかも。

 気になるのは、葉香の世話を焼いている“ポチ”を名乗る謎の人物。名前や葉香を大事に想ってそうなことを考えると、犬のポチさんを思い出しますが、そのポチさんは静留たちと一緒に池袋に向かっている最中。ポチさん本人である可能性はかなり低いでしょう。


 ヒントになりそうなのは、「大きな身体になりました」「飛んだりすることは今となっては難しくなってしまいましたが」という、葉香と話した時の最初の頃の台詞。

 ここから考察するに、ポチは人間ではなく、小さい身体の空を飛べる動物、つまりは鳥類の何かなのかなと。吾野では人間が動物になっていたのと逆で、動物が人間に変わるという現象が7Gの影響で起きたと考えれば、まったく不思議はありません。

 記憶を失っている葉香でしたが、吾野という単語に反応したり、天文用語であるダークマターのことを知っていたりと、根底にはかつての日々のことが残っている様子。静かな街は嫌いなのかという話題をポチから振られた時に言い淀んだのは、静留と喧嘩した日の夜のことを僅かに覚えているからではないでしょうか。

 今まで静留たちは、葉香がなぜ一人で池袋にいったのかを疑問に思っていましたが、静かなままだと落ち込んでしまいそうになる気持ちを少しでも前向きにするために、人が多い池袋に行こうとしたと考えると、いろいろ辻褄が合うような気がします。

結構考えさせられるスワン仙人の言葉。"変わらないものはない”ことを静留は受け入れられるのか【終末トレインどこへいく? 9話感想】


 一方、池袋を目指す静留たちは、久しぶりにスワン仙人との再会を果たしました。

 8話では、ポチさんが途中から一切映ってないことを気にする感想を書いていましたが、今週は普通に電車内いたので、100%自分の杞憂だったようです。おそらく、8話でも画面に映ってない位置にいたということなんでしょう。


 また、先週に引き続いて撫子が吾野弓術の使い手らしい活躍も見せてくれましたが、あの不安定なポートで固定されたロープを、固定具もなしに素手だけで渡ってきたスワン仙人の度胸と体力もなかなかぶっ飛んでいる気がします。落ちたらほぼ即死しそうな高さでしたし。

 スワン仙人からの情報で、静留たちも池袋を取りまく状況を理解しつつありますが、彼は本当に何者なんでしょうか。

 各駅の情報を知っていたのは旅の成果として百歩譲っていいとしても、このまま池袋を放置していると大変なことになるという、7Gの影響についてまで詳しいんですよね。

 あの日池袋にいて、運良く逃げ出せたという話からしても、実は善治郎のように、事件が起きる前から何らかの形で7Gの研究に関わっていたんじゃないかと思えてきます。

 ただ、そのスワン仙人が最後に言っていた、「永遠や不滅は存在せず、変わらないように見えているだけ」という言葉は、普通になるほどと納得させられました。友達や家族など自分の周りにあるものはずっと変わらずに有り続けると思ってしまいがちなんですが、何も変わらない人間なんて存在しないですからね。

 もし静留が今の関係のままずっと葉香と一緒にいたくて、宇宙を目指そうとする夢を否定したんだとすると、このスワン仙人の言葉はめちゃくちゃ効いたんじゃないかなと。


 一方、葉香に記憶を取り戻されると困るポンタローは、静留たちをなんとしても池袋に近づけたくないようなんですが、ラストシーンの葉香は、明らかにはっとなにかを思い出したような素振りを見せていました。

 もしかすると、あれで記憶が戻った可能性もありますが、バレるとポンタローがなにか手を打ってくることになるでしょうし、静留たちがもう近くにまで来ていることなんて知るよしもないので、そう簡単に合流とはいかなさそうです。葉香とポンタローの間にいる、ポチがどう動くかに注目したいですね。

 いろんな謎が解決された9話でしたが、個人的に好きなのが、静留が3人に対して「ありがとう」を伝えて、撫子が自分の意思でついてきたと返すシーン。今まで静留は、自分の気持を素直に表現できず、思わず「ついてきてなんて頼んでない」という発言を度々して撫子たちを怒らせていましたから、かなり大きな進捗です。


 ただ、それも静留が100%悪かったかというとそうではなく、たぶん撫子たちも心のどこかで、「静留が心配だったからついてきてあげていた」っていう他責的な気持ちがどこか残っていたんじゃないかと思うんですよね。

 それを考えると、このシーンは静留が自分の気持に素直になりつつ、撫子たちも静留に責任を押し付けず、自分の意思で電車に乗ったことを認める、お互いが歩み寄ったすごくいいシーンだったんじゃないかと思います。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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