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ドラマ『ウイングマン』4話感想。令和の『ギャバン』ショーはレアすぎて興奮する健太の気持ちが分かった。無自覚な感情の間で揺れ動くアオイが面白い

文:米澤崇史

公開日時:

 テレビ東京系にて放送中のドラマ『ウイングマン』4話の感想をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『ウイングマン』4話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。 [IMAGE]

指ぬきグローブがめちゃ似合う藤岡真威人さんの凄さ【ウイングマン】


 学校での騒動は収まったものの、キータクラーこと北倉先生が健太に意味深な台詞を告げて満足そうに去っていく、ちょっと不穏な流れで幕を閉じていた第3話。

 4話からは、健太の衣装が腕まくり学ランに指ぬきグローブ+白いブーツという、なかなかにアクの強い姿に変わりました。

 おそらく普通の人が着たらちょっとコメディ感出ちゃう組み合わせだと思うんですが、健太役の藤岡真威人さんが着ると、そういう衣装として普通にありそうだなと納得できるのがすごいなと(福本がドン引きしてるあたり、ちょっと痛々しさを演出する意図もあるんでしょうけど)。

 ちょっと昭和の名俳優っぽい雰囲気があるというか、若い役者さんでここまで指ぬきグローブが似合う方ってなかなか居られないんじゃないかと思います。


 その後は北倉の発案で、原作のヒーローアクション部に相当すると思われるアクション演劇部を立ち上げることに。

 原作ではすでに部が存在していて、健太はそこに勧誘されるという流れでしたが、アクション演劇部の方は健太が創設メンバーで部長のようなポジションにいるようなので、かなり健太自身の活動へのやる気が違います(桃子は一体どこに待機して二人の話を聞いていたんだとツッコミたくなりましたが)。

 福本とアオイに関しては関係性として誘いやすいので分かるものの、自分が好意を寄せている相手でもある美紅を何の躊躇いもなく趣味の部活に誘えるのが健太のすごいところ。オタクではあるんですけど、タイプ的にはめちゃくちゃ“陽”なんですよね。


 また印象的だったのが、ウイングマンが実在し、健太が変身していることに感づき初めている久美子の動き。

 明らかに健太の正体を探っていることをアオイたちに感づかれそうな発言をしていたのはちょっと迂闊に見えましたが、スマホに動画は残っていても久美子自身の記憶はないままなので、まだ自分でも確証が持てない状態なんでしょう。

 久美子は北倉との思惑ともまったく関係ないところで独自に動いているので、アクション演劇部の中でどういった動きを見せていくのかはドラマ版ならではの見どころとなりそう。個人的には、第3のヒロインみたいに活躍してくれたら面白いな……という願望もあったりします。

あの主題歌まで流れる『ギャバン』ショーに大興奮【ウイングマン】


 4話はアオイの狙い通り、健太と美紅の距離が一気に縮まった回でもありましたが、健太の趣味に理解を示すどころか自分から興味を持ってくれる美紅、あまりにもオタクにとって女神すぎる。こんな事言われたら、絶対に好きになってしまうこと請け合いです。

 一方で健太が「DVDじゃなくて……」という話を始めた時は、当時と同じブラウン管+VHSじゃないとダメという面倒くさいオタクムーブをするんじゃないかと心配になりました(普通にブルーレイで良かった)。

 今回はキータクラーが途中で撤退してしまったので戦闘シーンは短めでしたが、冒頭でも特訓していた翼を使った空中アクションがめちゃくちゃカッコいい。思えば、名前は“ウイング”マンでも今まで空を飛べないまま戦っていたのはちょっと面白いです。

 3話でも不自然な撤回の仕方をしていたキータクラーは、ドリムノートを成長させるためにウイングマンに戦いを経験させることが狙いだっと判明して、アクション演劇部を立ち上げたところ含めていろいろと合点がいきました。キータクラーの方針を認めないリメルに対して不満を隠さなかったり、ポドリムス人側もまったく一枚岩ではないことも分ってきました。


 そして予告からずっと気になっていた『宇宙刑事ギャバン』もついに登場。さすがに本人ではなくヒーローショーという形ではあったものの、この令和に『ギャバン』のショーが復活していることがあまりにすごすごぎて、テンションがおかしくなっている健太の方に共感していました。

 ドラマ版の健太は当然リアルタイムの『ギャバン』は見てないはずなので、今回が生まれて始めて体験する『ギャバン』ショーだったかもしれないと考えると、美紅よりショーを優先してしまう気持ちは正直分かるなと。特撮史の残る名曲でもある主題歌が実際に流れるのも最高すぎました(登場したギャバンは「よろしく勇気」をひたすら連呼していて、若干パチモノ感も漂っていたのには笑いましたが)。

 また4話では、スーツの洗濯を頼んだり、気を利かせて先に帰ったりと、アオイが美紅と健太の間を取り持つようなムーブを随所で見せていたのも印象的でした。

 逆に3話では、健太に助けられた時の美紅の記憶を消すという、二人の関係に嫉妬したのではないかと推測できるような行動もとっていたアオイ。その結果、アオイの中で美紅に対する負い目みたいなのがどこかに生まれていて、その埋め合わせをしようと4話での立ち回りに繋がったと考えると、個人的にはすごく納得が行くところだったりします。


 一度キータクラーに攫われたあと、健太に助けられたシーンで見せた笑みとか、照れ隠しで古典的なツンデレヒロインみたいなムーブするところとか、結局気になってヒーローショーに行く健太たちの後をつけてみたりとか、考えてそうなこと行動にある種の矛盾が感じられるのが、アオイ自身が自分の感情をコントロールできてないようも見えてかわいいなと。

 健太は結構感覚が常人離れしているところがある分、アオイは人間らしい感情みたいな部分が繊細に描かれているのが対照的で、ドラマ版ではヒロインと同時にもう一人の主人公的な存在でもあるのかもと印象が変わりつつあります。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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