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『着せ恋』23話感想。推しのジュジュ様の新たな一面に胸がときめく

文:米澤崇史

公開日時:

 アニメ『その着せ替え人形は恋をする』第23話(2期11話)“自分の人生には良い事なんて起こらないと思ってた”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『その着せ替え人形は恋をする』第23話(2期11話)の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。[IMAGE]

何かと共通点の多い旭と五条くん【その着せ替え人形は恋をする】


 前回の10話では、『棺』の合わせの後に五条くんへの告白を決意した喜多川さん。

 その続きがどうなるか気になっていたところですが、11話はまだ合わせの当日ではなく、事前準備が描かれたエピソードでした。

 まず、今回主に焦点が当たっていた一人が緒方旭。

 冒頭では旭の過去が明らかになりましたが、今まで出てきた『着せ恋』キャラの中でも、とくに辛い境遇に置かれていたようです。

 自分の好きなものを否定される過去という点は、五条くんや姫野あたりとも同じですが、二人の場合はまだ家族の理解がありました。

 一方の旭は、完全に自分の好きなものを身近な家族から否定され、オタク友達ができたのも短大で出会った涼香たちが初めてだったようなので、その間ずっと周囲の目を気にして、自分の好きなものを隠し続けてきたんでしょうね。


 ただ、喜多川さんや姫野たちとはまたオタクとしてのタイプが違ってそうで、子どもの頃に好きだった作品がひたすら好きだったり、造形をひたすら突き詰めたり、深く狭くのタイプなんだとも感じました。

 五条くんが喜多川さんと出会って救われたように、旭にとっては涼香と都がそんな存在だったんでしょうね。

 また、小道具の作業のためとはいえ、五条くんが自分の部屋に喜多川さん以外の人を招き入れるのってかなり珍しい気が。

 五条くんも周囲には自分が雛人形を作っていることを内緒にしていましたし、何かと通じる部分があるので、どこか馬が合うというか、仲良くなるのも納得がいきます。


 しかし、五条くんには雛人形作りという下地がありましたが、旭の場合あの家庭の厳しさを考えると、それまで造形に関わりそうなことは何もやってなさそうですよね。限られた期間で五条くんからあれだけ尊敬される技術を習得していることを考えると、ものすごい才能の持ち主です。

実は自己肯定感低めだったジュジュ様がかわいすぎた【その着せ替え人形は恋をする】


 そして、今回のもう一人の主役ともいえるのがジュジュ様。個人的にジュジュ様推しの身として、かわいいジュジュ様が見られて満足の回でした。

 ブラックロベリアといえば、1期で喜多川さんがジュジュ様の合わせでコスプレしていたキャラクター。その時からジュジュ様は「自分には似合わないからコスプレしない」というスタンスで一貫していました。


 オタクとして信念を持ってコスプレしない決意を固めていただけに、サプライズは絶対逆効果だろうと思っていたら、やはり案の定の展開に。ブラックロベリアのコスプレをしない理由を知った上でのサプライズなので、ジュジュ様がキレるのは実にもっともだと思います。


 「あの時はどうかしてて……」とジュジュ様に謝る涼香に、都が「いつもでしょ」とツッコミを入れていたシーン、やっぱり涼香はオタク友達内でもちょっとぶっ飛んだ人扱いなんだということが分かってちょっと安心(?)。

 ジュジュ様の認識をコスプレの大先輩である都が変えていく流れは少し意外でした。いろんな人とどんどん新しい繋がりを作っていく陽キャな喜多川さんと違い、ジュジュ様は心寿以外の付き合いがほとんどなさそうなのもあって、世界が広がらないままになってしまっていたんでしょうね。


 初めての谷間ができたことを無邪気に喜んだり、ブラックロベリアのコスプレをした直後の自信なさげで不安げな様子が破壊力満点。ジュジュ様ってこんな表情もできたんだ……と、ますます好きになりましたね。

 思えば、性格が結構強気なのでそういう印象がなかったんですが、ジュジュ様も意外と自己肯定感が低いタイプなんだなと。心寿がなかなかコスプレに踏み出せなかったのも自己肯定感の低さとかコンプレックスから来たものでしたし、やっぱり二人って姉妹なんだなと改めて認識しました。


 ただ、ジュジュ様と心寿のシーンが感動的な雰囲気になっていただけに、その後のローアングラー×3の構図がいろんな意味で台無しすぎる!

 凄まじい早口なので台詞は聞き取れませんが、文字として流れている3人の台詞をよく読むと、「ありがたすぎて寿命が伸びる」「一生白米だけで生きていける。いや何も食べなくても生きていけるかも」と、涼香だけレベルの違うことを言っていて、やはり年季の入ったオタクは強いな……とも感じました。

 どれだけ歳を重ねても、好きなものは好きなままっていう話題は、コスプレに限らずあらゆる趣味に通じる話でもありますよね。

 実際自分も、子どもの頃に好きだったものがずっと変わらなかったからこそ、この業界で仕事をしているところがあるので、涼香たちの話には心から共感できました。

 今は大人がアニメやゲームを好きっていうのを普通に言える時代にもなりましたし、オタクにとってはすごく生きやすい環境になったんじゃないかと感じます。


 今回はジュジュ様と旭の二人に焦点が当ったエピソードでしたが、旭が喜多川さんを避ける理由は最後まで判明せず。

 喜多川さんの予想した通り、苦手で避けているなら、先に姫野と一緒に事情を聞いているであろう五条くんがあんなに親しくするわけがないので、あまり心配はしていません。

 とはいえ、残すはもう最終話だけなので、どのような着地を迎えるか気になるところ。前回決意した喜多川さんの告白はどうなるかという最大の注目ポイントもありますし、最終話はとくに目が離せません。

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米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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