電撃オンライン

『モンハンストーリーズ3』インタビュー。“知らない世界を知る”ことが物語の大きなテーマに。今後の『ワイルズ』からの登場モンスターは?【モンスターハンターストーリーズ/TGS2025】

文:Ak

公開日時:

 2026年にNintendo Switch 2/PS5/Xbox Series X|S/ PC(Steam)で発売予定の『モンスターハンターストーリーズ3 ~運命の双竜~(モンハンストーリーズ3)』。そのインタビュー記事をお届けします。

[IMAGE]

大黒健二氏『モンハンストーリーズ3』ディレクター。『鬼武者』シリーズや『ロストプラネット』シリーズの開発に携わり、『モンハンストーリーズ』シリーズでは初期からディレクターとして参加している

若原大資氏『モンハンストーリーズ3』リードゲームデザイナー。『モンハンストーリーズ』からゲーム開発に参加し、『モンスターハンターライズ』や『モンスターハンターライズ:サンブレイク』にも携わる。

辻本良三氏『モンスターハンター』シリーズ初期から開発に参加するシリーズプロデューサー。プロデューサーとしては『モンスターハンターポータブル2nd』からシリーズに携わる。

キャラクターカスタマイズはより細かく! 前作以上の水準に【モンハンストーリーズ】


――大黒さんと若原さんは、『モンスターハンターストーリーズ』シリーズにどのように関わってきたのですか?

大黒
僕は1作目からディレクターとして関わっており、『1』『2』と担当してきました。

若原
私は1作目に関わっていて、今回3作目で再び関わらせていただくことになりました。

――若原さんは、一度シリーズを離れてから戻ってこられたのですね。

大黒
そうなんです。1作目をやっていた時は、彼はまだ業界に入ったばかりの若手でした。その後、『モンスターハンターライズ』や『モンスターハンターライズ:サンブレイク』で経験を積んで、モンハンの知識もゲームの知識も得てきたので、3作目ではリードゲームデザイナーとして助けてもらっています。恩返しをしてもらっている感じです。

若原
『1』の時は本当にいちスタッフだったのですが、『3』では大黒から声をかけてもらい、設計段階から関わることができました。すごく良い経験だったと思っています。

――今回、試遊版では主人公のカスタマイズができませんでしたが、製品版ではどのくらいの幅でカスタマイズが可能なのでしょうか。

大黒
まず、主人公は王子あるいは姫という形で性別を変えられます。髪型など、変えられる項目は前作とほぼ同じですが、その中身、細部のカスタマイズはすごくこだわっています。

[IMAGE]

――前作よりもカスタマイズのバリエーションは増えているのでしょうか?

大黒
細かいところが触れるようになっているかな、と。はい。

若原
詳細をお答えするのは難しいのですが、少なくとも前作の水準以上にカスタマイズはできるようになっていると思います。

“知らない世界を知る”ことが物語の大きなテーマになる【モンハンストーリーズ】


――今回のストーリーは、あらすじを読むと“知る”ということが大きなテーマになっていると感じました。なぜこのテーマを選ばれたのでしょうか。

辻本
まず、『モンスターハンターストーリーズ』が3作目になるにあたって、『1』や『2』では“モンスターハンターをRPGに落とし込む”ライダーという種族から見たハンターを描く”といったことをテーマにしていました。それを経て、『3』では『モンスターハンターストーリーズ』という世界をちゃんと描いていこう、というコンセプトを置いています。

大黒
なので、よりスケール感を大きくしています。これまでは村という単位で、ハンターの世界の中にじつはライダーもいたという形でしたが、今回はそうではありません。ライダーの世界規模も広がり、その中で生態系が崩れつつある状況に対して、レンジャーという職業の者が“なぜこれが起こっているのか”を調査し、生態系を取り戻そうとします。

――主人公は最初からベテランのレンジャー隊長という設定ですね。

大黒
はい。過去2作のように新米が先輩に教わりながら成長していくのではなく、最初から国随一のレンジャー隊長としてスタートします。その人物が、とある大きな出来事をきっかけに、自分は王族として国のことを、レンジャー隊長として生態系のことを、そして仲間のこともいろいろ知っていると思っていたけれど、じつは「知らないことだらけだった」と気づくんです。

――それが“知る”というテーマにつながるのですね。

大黒
そうです。この“知らない世界”に冒険していこう、という気持ちは、主人公もプレイヤーのみなさんも同じようにワクワクするところだと思っています。RPGとして最後まで進んでいく引力として、すごく大事な部分だと考えました。

[IMAGE]

――PVでは戦争のようなシーンもありました。主人公は王子という立場上、モンスターを兵器として扱うような国との関わりも出てくるのでしょうか。

大黒
はい、出てきます。そこがまさしく、王子としては戦力として見なされる部分です。国随一のエースライダーですから。でも、本人はレンジャーとして生態系を保護したいし、モンスターのことが本当に好きなんです。兵器になんてしたくない。そこにも葛藤がありますし、そうではない価値観の人もいる。いろんな人の思いがぶつかり合っていきます。

――物語はかなりシリアスな展開になりそうですね。

大黒
なりますね。主人公の年齢を上げたのも、スケール感を広げていくなかで、そういったシリアスな物語を描くため、という両方の側面があります。

――物語のきっかけとして、フィールドが石化していく“石化現象”が描かれています。なぜこの現象をテーマに選んだのでしょうか。

大黒
何か異変が起きた、というなかで、どういう変化が本当に怖いだろうか、と考えた時に“石化する”というのは1つ面白いんじゃないか、と。石になったら元に戻らないという絶望だけではなく、調査すれば生態系を取り戻せるかもしれない、という希望の光も入れたいと思いました。

[IMAGE]

――その生態調査がゲームプレイにもつながっているのですね。

大黒
はい。このレンジャーのロールプレイを、お話だけでなくゲームプレイでもリンクさせたいという強いこだわりがありました。“生態系を取り戻す”ということをゲームプレイに入れたい、と。ディレクターとして「人が刺さるようなワードを言って、なんかいい企画案ないか」と若原に投げかけたりもしました(笑)。でも、彼から手応えのあるアイデアをもらえたので、「これはいける」と。物語だけでなく、ゲームプレイでも石化現象と向き合う体験ができるように世界を考えていきました。

『モンハンワイルズ』からの登場モンスターは今後も発表予定【モンハンストーリーズ】


――先日発表されたモンスターのなかでは、レダウがとくに評判だったかと思います。本作ではどのような立ち位置になるのでしょうか。

若原
『モンスターハンターワイルズ』でも人気のモンスターですし、ユーザーさんの反響も大きかったので、ストーリー上でも中ボスというか、プレイヤーのみなさんの壁として立ち向かうことになるかなと思います。もちろん、オトモンにすることもできます。

辻本
『ストーリーズ3』と『ワイルズ』は並行して作っていた時期があったので、『ワイルズ』のモンスターを入れるかどうかの議論もありました。片方を作りながらもう片方に入れるのは難易度が高かったのですが、チームのメンバーが「入れたい」と言ってくれて、レダウやチャタカブラを登場させることができました。ほかにも『ワイルズ』から来ているモンスターがいるかどうかは、楽しみに待っていてください。

[IMAGE]

――前作では、フィールドギミックを解くためのオトモンと、強いオトモンでパーティが固定されがちだった印象があります。今作では改善されていますか?

若原
はい。その点は改善点として取り組んでいます。本作では“アスレチックライド”を導入しており、1体のオトモンでできることの幅を広げてもいいんじゃないかと考えました。例えばリオレウスなら、ブレスも飛行もできますし、ジャンプは共通アクションとしてあります。1体のオトモンでできることを増やすことで、好きなオトモンが活躍できる幅を広げ、ずっと一緒にいられるようにしたいと思っています。

――過去作とのつながりについてですが、例えば過去作のキャラクターが登場することはあるのでしょうか。

大黒
あまりそういうところで絡みを作ってしまうと、逆に制限になってしまうので、意識していません。『ストーリーズ3』として本当に作りたいものを全面に押し出して作っています。

辻本
これは『モンスターハンター』シリーズ全体で目指していることですが、どこから入っても楽しめるタイトルにしたいんです。『ストーリーズ』も『1』や『2』をやっていなくても楽しめる作りになっています。

――では、ナビルーが登場しないのも、そういった理由からでしょうか?

大黒
ナビルーは今作では登場しません。一番大きな理由は、今作の主人公が“喋る”ようになったことです。主人公自身が感情や考えを話すので、前作で喋らない主人公の代弁者役だったナビルーの役割が薄くなります。

[IMAGE]

――作風の変化も関係していますか?

大黒
はい。作風を少しシリアスにしたかったというのもあります。ただ、重たいだけではしんどいので、息抜きも必要です。ナビルーはギャグテイストが強みでしたが、今回はギャグというよりは“ユーモア”という風味に変えていきたかった。ナビルーの良さを薄めたくはなかったので、キャラクターを一新することにしました。マスコットキャラの役割は、新たなパートナーである“ルディ”が担いますが、彼は代弁者ではなく、あくまでレンジャー部隊の一員として主人公を支えてくれます。

気持ちよさが連鎖していくバトルを目指した【モンハンストーリーズ】


――バトルシステムについてお伺いします。前作までは、いわゆる“じゃんけん”の癖を読めば完封できてしまう側面もありました。今作ではどのような変化がありますか?

若原
おっしゃる通り、モンスターの癖を読むことが楽しいゲームですが、それが単調さにつながってしまう部分もあったかと思います。それに対するアプローチとして、今回取り入れた“流気ゲージ”が答えの1つです。

――流気ゲージとは、どのようなシステムでしょうか。

若原
今回のバトルは“気持ちよさが連鎖していくバトル”を目指しています。ただ真っ向勝負に勝ち続けるだけでは、少ししんどくなってくる場面が出てきます。そこで重要になるのが、流気ゲージをいかに早く削るか、です。例えば、特定の部位を破壊すると流気ゲージが大きく削れます。

[IMAGE]

――なるほど。戦略性が増しているのですね。

若原
はい。「部位を破壊するために、どの武器種を使うか」というように、プレイヤーの中に計画が生まれます。そして計画通りに部位を破壊し、流気ゲージを0にすると、新しい要素である“シンクロラッシュ”が発動します。これは仲間全員で一斉攻撃する気持ちいい表現で、絆ゲージを大きく上げる効果があります。絆ゲージが溜まればライドして絆技が撃てる。絆技を撃てば、さらに流気ゲージを大きく削れる。このように、プレイヤーが思い描いた計画を達成すればするほど、バトルがどんどん気持ちよくなっていく。それが今回目指したバトルの方向性です。

――最後に、みなさんが今作でお気に入りの絆技の演出を教えてください。

若原
今公開されている範囲だと、トビカガチの絆技ですね。ベタにかっこいいというか。派手でスパークするところが面白いなと。パートナーのキャラクターごとのコミカルな演出も必見です。

辻本
僕はまだ発表されていないモンスターですね……(笑)。

大黒
私はどれか1つというより、同じモンスターでも乗るパートナーによって演出がちょっと変わるところを見てほしいです。そういう“ちっちゃいこだわり”に「すげえな」って思ってもらいたいですし、『ワイルズ』から登場する初めて見るモンスターがどんな演出なのかも、期待して待っていてほしいなと思います。

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります