10月29日に最新作『魔法律学校の麗人執事2 ブラッディ・バトル』が発売された小説家・新川帆立先生のインタビューをお届けします。
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■第1巻『魔法律学校の麗人執事1 ウェルカム・トゥー・マジックローアカデミー』を読んでいない人はこちらから!
 新川帆立先生と言えば、弁護士として活動する傍らで2020年にデビュー作『元彼の遺言状』で第19回“このミステリーがすごい!”大賞の大賞を受賞。2022年には同デビュー作を含む著作2作品が立て続けに“月9”枠でドラマ化。さらに2025年には『女の国会』で第38回山本周五郎賞を受賞するなど、注目を集めている小説家の1人です。
そんな新川先生が新たに執筆したのは――なんとライトノベル! 男装ヒロインとオレ様系ハイスぺ男子の関係を軸にした、恋と魔法と学園ファンタジー『魔法律学校の麗人執事』でした。
2025年8月の第1作に続き、最新第2巻『魔法律学校の麗人執事2 ブラッディ・バトル』も絶賛発売中。さらに12月には第3巻が発売予定と、怒涛の刊行スケジュールとなっています。
そんな新川先生に、「なぜライトノベルを書こうと思ったのですか?」といった直球の質問をはじめ、創作の裏側やキャラクター造形の秘密まで、いろいろな質問にお答えいただきました。
そんな新川先生が新たに執筆したのは――なんとライトノベル! 男装ヒロインとオレ様系ハイスぺ男子の関係を軸にした、恋と魔法と学園ファンタジー『魔法律学校の麗人執事』でした。
2025年8月の第1作に続き、最新第2巻『魔法律学校の麗人執事2 ブラッディ・バトル』も絶賛発売中。さらに12月には第3巻が発売予定と、怒涛の刊行スケジュールとなっています。
そんな新川先生に、「なぜライトノベルを書こうと思ったのですか?」といった直球の質問をはじめ、創作の裏側やキャラクター造形の秘密まで、いろいろな質問にお答えいただきました。
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 さっそくインタビュー本編を……といきたいところですが、『魔法律学校の麗人執事』を初めて知った人のために、まずは本作の物語を簡単に紹介します。新川先生のお話は、その後に続けてご覧ください。
索引
閉じる- 『魔法律学校の麗人執事』はどんな物語なの?
 - 「魔法と法律って、実は近い」元弁護士だから生まれた『魔法律学校の麗人執事』という作品
 - 新川先生が考える、ラノベと一般文芸の違い、そして業界の未来とは?
 - ビジュアルは作家にとって大きなモチベーション。悌太先生との『魔法律学校の麗人執事』イラスト制作秘話
 - 「中高生女子だけでなくバリキャリ女性にも読んでほしい」主人公・椿が男装することになった理由
 - 主人公・椿のキャラクター設計について。“好感度の鬼”にしようと考えた狙いとは?
 - 新川先生が「マリスをカッコよく書くのはちょっと恥ずかしい」と思ってしまうワケ
 - 「主人公のことが好きだという一点だけで好感度を支えているんです」伊織は書きやすいけど特殊なキャラクター
 - 「女とか男とか、そういうものとは別の次元で関係を築くため」椿と麗矢が戦う意味
 - 『魔法律学校の麗人執事』の世界観の作り方。リアリティラインを保つための思考法
 - 新川先生はゲーム好き!? どんなゲームを遊んできたの?
 - 待望の第3巻は“夏のドキドキ”がたっぷり詰まった臨海合宿編!
 - 【魔法律学校の麗人執事2 発売記念】感想キャンペーン開催中!
 
『魔法律学校の麗人執事』はどんな物語なの?
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 「私が男のふりをして、男子寮で暮らすんですか!?」
“全国模試1位&スポーツテスト1位”日本で一番優秀な15歳の女の子・野々宮椿。
生まれ育った修道院の経営危機を救うため、彼女が選んだ道は――
「おいド庶民。お前に俺の執事がつとまるわけないだろ」
魔法の天才・条ヶ崎マリスの執事になること。しかしそのご主人は傍若無人で傲岸不遜、名門一家の御曹司だった。
椿はマリスの尊大な態度に辟易しながらも、マリスとともに魔法と法律の学び舎・魔法律学校に入学する。契約通り、執事の仕事をこなそうとする椿だが……。
“全国模試1位&スポーツテスト1位”日本で一番優秀な15歳の女の子・野々宮椿。
生まれ育った修道院の経営危機を救うため、彼女が選んだ道は――
「おいド庶民。お前に俺の執事がつとまるわけないだろ」
魔法の天才・条ヶ崎マリスの執事になること。しかしそのご主人は傍若無人で傲岸不遜、名門一家の御曹司だった。
椿はマリスの尊大な態度に辟易しながらも、マリスとともに魔法と法律の学び舎・魔法律学校に入学する。契約通り、執事の仕事をこなそうとする椿だが……。
📚ショート動画公開!📚
— 『魔法律学校の麗人執事』(新川帆立:著)【公式】 (@MagicLawAcademy) October 30, 2025
これを観れば、『魔法律学校の麗人執事』が1分で分かる!?
ハセ先生(@hase_hiroyoshi)による、ショートマンガ動画を公開しました☆彡
ぜひご覧くださいね♪#麗人執事 #魔法律 #新川帆立 pic.twitter.com/zb9hWClNJd
「魔法と法律って、実は近い」元弁護士だから生まれた『魔法律学校の麗人執事』という作品
――新川先生は『元彼の遺言状』をはじめ、文芸作家としてご活躍されていますが、そもそもライトノベルを書こうと思われた経緯を教えていただけますか?
子どもの時から本を読むのが好きだったので、自分が子どものときに読みたかったような、年少者向けの本を書きたいという気持ちがずっとありました。それで、今の中高生ぐらいが読めるものを書こう、となったわけですが、その時に今の若者に何が読まれているのか? を考えたわけです。
実際のところ、若い読者のほとんどは漫画に取られていて、小説という媒体はメジャーではありません。若者に自分の物語を届けるための手法として、ライトノベルという形式であれば、普段漫画を読んでいる層にも届くかもしれない、と考えたのが最初のきっかけですね。
――実際に1巻読んでみて“契約”と“魔法”の組み合わせについて、ラノベのキャッチーさに加えて、非常にしっかりとした設定が備わっていると感じました。この部分の発想は、どのようなところから生まれたのでしょうか?
ライトノベルというジャンルで書くならどうしようか? と考えた時、やはりファンタジー系、特にライトなファンタジーが多いというイメージがありました。その中で自分が書くなら、専門分野である法律を生かせないかと考えたんです。実は私、以前から「法律と魔法は近い」とずっと思っていて。それを組み合わせてみよう、というのが発端です。
それとあわせて、私は元々ファンタジーオタクでもあるので、ファンタジーというジャンルに対してはかなり厳しい態度を取っているんです(笑)。中世以降の西洋社会の歴史を考えると、魔法のような非現実的な現象が起こるのには、大きく分けて2つのパターンしかありません。
――2つのパターンですか?
はい。中世以降の西洋社会は、キリスト教の影響を非常に強く受けていることを忘れてはいけません。魔法が可能となる1つ目は、神による“奇跡”として起こるパターン。そしてもう1つは、神とは対立する存在である“悪魔”から超自然的な力を授かるパターンです。悪魔から力を授かった人々を“魔女”と呼び、キリスト教の協議からすると異端に当たるので、宗教裁判としての“魔女裁判”につながる、というのが、非常におおまかな歴史的整理です。
フィクションで魔法を扱う際に、神による奇跡という設定だと少し扱いづらい面もありますので、悪魔から力を授かる方向で考えました。力を授かるために悪魔と契約を結ぶこと自体は、他の作品でもよく見るシチュエーションだと思います。ですが、この“契約”の部分をしっかりと描いているファンタジー作品は、過去のライトノベルを見てもあまりないな、と感じていました。
例えば、女性向けの作品で人気のジャンルに“契約結婚もの”があり、私もかなり読みました。ですが弁護士の立場を通して見ると、割と多くの作品において交わされる契約内容がかなり大雑把で……。「このトラブルは、契約書で事前に条項を決めておけば防げたはずなのに」と思ってしまうことが多かったんです。
他にもライトノベルを改めて読み進めると“契約”という言葉こそ頻繁(ひんぱん)に出てくるけれど、そこまで真剣に突き詰めている作品は少ないと感じました。だからこそ、悪魔との契約が本当にガチな――『魔法律』の世界を描いてみようと。この設定は、執筆のかなり初期段階で固まりましたね。
実はもうひとつ、“魔女裁判”をテーマにする案もありました。これも、西洋史における魔法の文脈を考えると自然な発想で、ライトノベル分野ですと、ガチな魔女裁判モノというのもまだあまり見たことがなかったので、攻め方としてはアリだと思ったんです。
ただ、歴史的な経緯を踏まえると、どうしても話が暗くなってしまいそうだったので、よりエンターテインメントとして明るく若い読者の皆さんに手に取っていただけそうな現在の方向を選びました。
――作品全体が、どこか切なくも明るい、青春の雰囲気に包まれているのが素晴らしいです。この“青春感”も、やはり意識してのことなのでしょうか?
これは、書いている途中で意識するようになりました。最初はライトノベルの作法がわからず手探りでしたが、執筆を進めるうちに、このシリーズが“人生のきらめき”のような、かけがえのない瞬間を切り取っている点がいいな、と自分でも思うようになっていったんです。それ以来、“人生のきらめきとしての青春”を、はっきりと意識して書いています。
ライトノベルでも一般文芸でも同じなのですが、シリーズが長く続くと、暗く、深刻な方向にいってしまう作品があり、私は明るい作品のほうが好きなので、一読者としては悲しく思っておりました。そういう個人的な好みもあって、今回のシリーズは根が明るい人じゃないと書けないタイプのエンタメになっているかもしれません。作中に闇を思わせる部分が出てくることもありますが、私が書きたいのは、あくまで“きらめき”の部分で、光をより輝かせるための対比として闇を描いています。
子どもの時から本を読むのが好きだったので、自分が子どものときに読みたかったような、年少者向けの本を書きたいという気持ちがずっとありました。それで、今の中高生ぐらいが読めるものを書こう、となったわけですが、その時に今の若者に何が読まれているのか? を考えたわけです。
実際のところ、若い読者のほとんどは漫画に取られていて、小説という媒体はメジャーではありません。若者に自分の物語を届けるための手法として、ライトノベルという形式であれば、普段漫画を読んでいる層にも届くかもしれない、と考えたのが最初のきっかけですね。
――実際に1巻読んでみて“契約”と“魔法”の組み合わせについて、ラノベのキャッチーさに加えて、非常にしっかりとした設定が備わっていると感じました。この部分の発想は、どのようなところから生まれたのでしょうか?
ライトノベルというジャンルで書くならどうしようか? と考えた時、やはりファンタジー系、特にライトなファンタジーが多いというイメージがありました。その中で自分が書くなら、専門分野である法律を生かせないかと考えたんです。実は私、以前から「法律と魔法は近い」とずっと思っていて。それを組み合わせてみよう、というのが発端です。
それとあわせて、私は元々ファンタジーオタクでもあるので、ファンタジーというジャンルに対してはかなり厳しい態度を取っているんです(笑)。中世以降の西洋社会の歴史を考えると、魔法のような非現実的な現象が起こるのには、大きく分けて2つのパターンしかありません。
――2つのパターンですか?
はい。中世以降の西洋社会は、キリスト教の影響を非常に強く受けていることを忘れてはいけません。魔法が可能となる1つ目は、神による“奇跡”として起こるパターン。そしてもう1つは、神とは対立する存在である“悪魔”から超自然的な力を授かるパターンです。悪魔から力を授かった人々を“魔女”と呼び、キリスト教の協議からすると異端に当たるので、宗教裁判としての“魔女裁判”につながる、というのが、非常におおまかな歴史的整理です。
フィクションで魔法を扱う際に、神による奇跡という設定だと少し扱いづらい面もありますので、悪魔から力を授かる方向で考えました。力を授かるために悪魔と契約を結ぶこと自体は、他の作品でもよく見るシチュエーションだと思います。ですが、この“契約”の部分をしっかりと描いているファンタジー作品は、過去のライトノベルを見てもあまりないな、と感じていました。
例えば、女性向けの作品で人気のジャンルに“契約結婚もの”があり、私もかなり読みました。ですが弁護士の立場を通して見ると、割と多くの作品において交わされる契約内容がかなり大雑把で……。「このトラブルは、契約書で事前に条項を決めておけば防げたはずなのに」と思ってしまうことが多かったんです。
他にもライトノベルを改めて読み進めると“契約”という言葉こそ頻繁(ひんぱん)に出てくるけれど、そこまで真剣に突き詰めている作品は少ないと感じました。だからこそ、悪魔との契約が本当にガチな――『魔法律』の世界を描いてみようと。この設定は、執筆のかなり初期段階で固まりましたね。
実はもうひとつ、“魔女裁判”をテーマにする案もありました。これも、西洋史における魔法の文脈を考えると自然な発想で、ライトノベル分野ですと、ガチな魔女裁判モノというのもまだあまり見たことがなかったので、攻め方としてはアリだと思ったんです。
ただ、歴史的な経緯を踏まえると、どうしても話が暗くなってしまいそうだったので、よりエンターテインメントとして明るく若い読者の皆さんに手に取っていただけそうな現在の方向を選びました。
――作品全体が、どこか切なくも明るい、青春の雰囲気に包まれているのが素晴らしいです。この“青春感”も、やはり意識してのことなのでしょうか?
これは、書いている途中で意識するようになりました。最初はライトノベルの作法がわからず手探りでしたが、執筆を進めるうちに、このシリーズが“人生のきらめき”のような、かけがえのない瞬間を切り取っている点がいいな、と自分でも思うようになっていったんです。それ以来、“人生のきらめきとしての青春”を、はっきりと意識して書いています。
ライトノベルでも一般文芸でも同じなのですが、シリーズが長く続くと、暗く、深刻な方向にいってしまう作品があり、私は明るい作品のほうが好きなので、一読者としては悲しく思っておりました。そういう個人的な好みもあって、今回のシリーズは根が明るい人じゃないと書けないタイプのエンタメになっているかもしれません。作中に闇を思わせる部分が出てくることもありますが、私が書きたいのは、あくまで“きらめき”の部分で、光をより輝かせるための対比として闇を描いています。
新川先生が考える、ラノベと一般文芸の違い、そして業界の未来とは?
――すでに一般文芸のフィールドで素晴らしいキャリアをお持ちの新川先生ですが、ライトノベルを執筆する上で、一般文芸との違いを感じることはありましたか?
いや、本当にまったく違うんですよね! “文章を書く”という行為こそ共通していますが、それ以外の競技ルールが全然違う、という感覚です。例えて言うなら……野球とソフトボールぐらい? いや、同じ球とバットを使うという点しか共通点がない、野球とクリケットぐらい違うかもしれません。
言語化するのが難しいですが、あえて言うとするなら、一番大きいのは“美学”が異なる点です。一般文芸で“ダサい”とされていることが、ライトノベルでは“正しい”とされることがありますし、その逆のこともあります。
――何か例を挙げていただいてもいいでしょうか?
例えば、一般文芸では、「そこまで説明しなくても読者は当然わかるだろう」という部分は、あえて書かずに省略する傾向にあります。あるイケメンが嫉妬する場面があったとして、嫉妬する状況さえ描写すれば、読者は「このキャラクターなら当然嫉妬するだろう」とそこまでの文脈から理解してくれる。そこをあえて言葉にしないでおくのが、文芸的な“おしゃれ”なんです。
逆に、嫉妬している心情を5行も6行も費やして克明に書くと、「書きすぎ」「説明しすぎ」としてマイナス評価につながることがあります。文学賞などではそういった部分が評価を下げて、落選の一因になることさえある。
ですがライトノベルの読者は、まさにその5行、6行の心情描写を読みたくてその作品を手に取ってくれています。だから、書かなくてもわかるかもしれないことまで、むしろていねいに書かなければいけない。実際に書いてみて、そこは大きな違いだと感じました。
――なるほど、そういった違いがあるのですね。その中でも、キャラクターをどう表現するのかにも違いがありそうですが、その点はいかがでしょうか?
(ライトノベルと一般文芸では)キャラクターに対する考え方は根本的に違いますね。一般文芸の世界には“書き割り”という……言ってしまえばこれって、悪口なんですけど。元々は演劇で使われる、背景を示すための平面的に描かれた、板で作られたセットのことなのですが、キャラクターに深みがなく平面的だと、そう揶揄(やゆ)されてしまうんです。ライトノベルの世界で「キャラ立ちしている」と言われるキャラクターは、一般文芸で“書き割り”と揶揄される書き方がされていることが多いと思いました。
逆に、一般文芸で「いいキャラクターですね」と評価されるような人物の描き方は、ライトノベル読者からすると、まるで“湯豆腐”のように感じられるだろうと思います。上品で繊細かもしれないけれど、なんだか味がはっきりとしない。だから、何かの機会にたまに食べるくらいで十分だし、好きこのんで毎日食べようとは思わない。
それぞれ異なる手法で、異なる目標に向けて書いている“別競技”なのですが、テキストでストーリーを書くという表面的な形式が共通しているために、相互に自分のところのルールで他方を判断して、誤解が深まっているように思います。
――新川先生は漫画の制作もされていますね。漫画にも大人向け、子ども向けなどいろいろあるかとは思いますが、ご自身で描かれてみて、ライトノベルと文芸のどちらに近いと感じましたか?
実は、ライトノベルを書くために漫画の制作を始めた、という経緯があるんです。文芸とライトノベルではキャラクターの作り方があまりにも違うので、漫画から学ぼうと思って。ライトノベルは漫画を参考にしている部分が多いですから。
ただ、最近は漫画の読者も書き手も年齢層が上がっていて、漫画の“文芸化”が進んでいる側面もあると思いますね。私が文芸の人間だからだと思いますが、私に制作依頼をくださる漫画編集の方からは、文芸っぽい、大人向けの漫画を求められることが多いです。「その題材を漫画で書くなら、それはいっそ小説を書いたほうがいいのでは?」と思うこともあります。
――漫画が文芸化しつつある、とお話しいただきました。その前には文芸とライトノベルについての違いもお話しいただきましたが、その垣根も昔よりはだんだん低くなりつつあるように感じます。新川先生のように、今後文芸からライトノベルに挑戦する作家は増えると思いますか?
どうでしょう……。私の世代の作家は、だいたいみんなゲーム・漫画・ラノベを通って育ってきているので、カルチャーの素養は持っているんです。ラノベのようにエンタメ性の高いものを書きたい、という気持ちもあるんです。ただ、いざやろうとなった時に、ライトノベルをスキップして、漫画原作の道に行ってしまうケースが多いように感じます。
漫画業界も常に原作者を探している状況ですし、最近ではネーム(絵コンテ)が切れなくても、テキストのプロットだけで受け入れてくれる場合も多くなっています。作家側からすると、すべての描写を自分で文章化するよりも、ある程度のエッセンスを渡せば漫画家が上手く表現してくれる漫画原作のほうが、作業工数として楽な部分があるのは事実です。
それにそもそもの話として、ライトノベルを書く作家の多くが、その先のコミカライズやアニメ化といったメディアミックスを目指しています。それなら、最初からコミック原作に行ったほうが早い、という判断になるのも自然な流れかもしれません。なので、私と同じように文芸からライトノベルへ、という流れが大きく増えるかというと……あまり増えないのではと思います。
ただ、もちろん融合の動きはあって、一般文芸の書き手がライトノベルのテクニックを文芸作品に取り入れるケースは増えています。一般文芸とライトノベルの中間にあたるような“キャラクター文芸”や“ライト文芸”といったジャンルも非常に盛況です。そこの書き手の方たちが、よりライトノベル寄りに進むのか、それとも文芸寄りに進むのか。いろいろな動きの中で、新しいなにかが生まれていく可能性はあると思います。
いや、本当にまったく違うんですよね! “文章を書く”という行為こそ共通していますが、それ以外の競技ルールが全然違う、という感覚です。例えて言うなら……野球とソフトボールぐらい? いや、同じ球とバットを使うという点しか共通点がない、野球とクリケットぐらい違うかもしれません。
言語化するのが難しいですが、あえて言うとするなら、一番大きいのは“美学”が異なる点です。一般文芸で“ダサい”とされていることが、ライトノベルでは“正しい”とされることがありますし、その逆のこともあります。
――何か例を挙げていただいてもいいでしょうか?
例えば、一般文芸では、「そこまで説明しなくても読者は当然わかるだろう」という部分は、あえて書かずに省略する傾向にあります。あるイケメンが嫉妬する場面があったとして、嫉妬する状況さえ描写すれば、読者は「このキャラクターなら当然嫉妬するだろう」とそこまでの文脈から理解してくれる。そこをあえて言葉にしないでおくのが、文芸的な“おしゃれ”なんです。
逆に、嫉妬している心情を5行も6行も費やして克明に書くと、「書きすぎ」「説明しすぎ」としてマイナス評価につながることがあります。文学賞などではそういった部分が評価を下げて、落選の一因になることさえある。
ですがライトノベルの読者は、まさにその5行、6行の心情描写を読みたくてその作品を手に取ってくれています。だから、書かなくてもわかるかもしれないことまで、むしろていねいに書かなければいけない。実際に書いてみて、そこは大きな違いだと感じました。
――なるほど、そういった違いがあるのですね。その中でも、キャラクターをどう表現するのかにも違いがありそうですが、その点はいかがでしょうか?
(ライトノベルと一般文芸では)キャラクターに対する考え方は根本的に違いますね。一般文芸の世界には“書き割り”という……言ってしまえばこれって、悪口なんですけど。元々は演劇で使われる、背景を示すための平面的に描かれた、板で作られたセットのことなのですが、キャラクターに深みがなく平面的だと、そう揶揄(やゆ)されてしまうんです。ライトノベルの世界で「キャラ立ちしている」と言われるキャラクターは、一般文芸で“書き割り”と揶揄される書き方がされていることが多いと思いました。
逆に、一般文芸で「いいキャラクターですね」と評価されるような人物の描き方は、ライトノベル読者からすると、まるで“湯豆腐”のように感じられるだろうと思います。上品で繊細かもしれないけれど、なんだか味がはっきりとしない。だから、何かの機会にたまに食べるくらいで十分だし、好きこのんで毎日食べようとは思わない。
それぞれ異なる手法で、異なる目標に向けて書いている“別競技”なのですが、テキストでストーリーを書くという表面的な形式が共通しているために、相互に自分のところのルールで他方を判断して、誤解が深まっているように思います。
――新川先生は漫画の制作もされていますね。漫画にも大人向け、子ども向けなどいろいろあるかとは思いますが、ご自身で描かれてみて、ライトノベルと文芸のどちらに近いと感じましたか?
実は、ライトノベルを書くために漫画の制作を始めた、という経緯があるんです。文芸とライトノベルではキャラクターの作り方があまりにも違うので、漫画から学ぼうと思って。ライトノベルは漫画を参考にしている部分が多いですから。
ただ、最近は漫画の読者も書き手も年齢層が上がっていて、漫画の“文芸化”が進んでいる側面もあると思いますね。私が文芸の人間だからだと思いますが、私に制作依頼をくださる漫画編集の方からは、文芸っぽい、大人向けの漫画を求められることが多いです。「その題材を漫画で書くなら、それはいっそ小説を書いたほうがいいのでは?」と思うこともあります。
――漫画が文芸化しつつある、とお話しいただきました。その前には文芸とライトノベルについての違いもお話しいただきましたが、その垣根も昔よりはだんだん低くなりつつあるように感じます。新川先生のように、今後文芸からライトノベルに挑戦する作家は増えると思いますか?
どうでしょう……。私の世代の作家は、だいたいみんなゲーム・漫画・ラノベを通って育ってきているので、カルチャーの素養は持っているんです。ラノベのようにエンタメ性の高いものを書きたい、という気持ちもあるんです。ただ、いざやろうとなった時に、ライトノベルをスキップして、漫画原作の道に行ってしまうケースが多いように感じます。
漫画業界も常に原作者を探している状況ですし、最近ではネーム(絵コンテ)が切れなくても、テキストのプロットだけで受け入れてくれる場合も多くなっています。作家側からすると、すべての描写を自分で文章化するよりも、ある程度のエッセンスを渡せば漫画家が上手く表現してくれる漫画原作のほうが、作業工数として楽な部分があるのは事実です。
それにそもそもの話として、ライトノベルを書く作家の多くが、その先のコミカライズやアニメ化といったメディアミックスを目指しています。それなら、最初からコミック原作に行ったほうが早い、という判断になるのも自然な流れかもしれません。なので、私と同じように文芸からライトノベルへ、という流れが大きく増えるかというと……あまり増えないのではと思います。
ただ、もちろん融合の動きはあって、一般文芸の書き手がライトノベルのテクニックを文芸作品に取り入れるケースは増えています。一般文芸とライトノベルの中間にあたるような“キャラクター文芸”や“ライト文芸”といったジャンルも非常に盛況です。そこの書き手の方たちが、よりライトノベル寄りに進むのか、それとも文芸寄りに進むのか。いろいろな動きの中で、新しいなにかが生まれていく可能性はあると思います。
ビジュアルは作家にとって大きなモチベーション。悌太先生との『魔法律学校の麗人執事』イラスト制作秘話
――ライトノベルの大きな特徴として、カバーイラストなどキャラクターのビジュアルを前面に押し出す点がありますが、そのことで執筆に変化はありましたか?
本来なら、ビジュアルがあることを前提に書き方を変えるべきだったのに、最初はまったく対応できていませんでした。一般文芸の感覚だと、キャラクターの見た目は私が文章で説明しない限り、誰にも伝わりません。だから、どうしても細かく書き込んでしまうんです。でも、ライトノベルでは表紙や挿絵にキャラクターがしっかり描かれているので、「あっ、ここまで書かなくてよかったな」と後から気付きました。
それともうひとつ。ビジュアルは何よりも、作家としての大きなモチベーションになりました! 私が用意したキャラクターの資料をイラストレーターさんにお渡しすると、こちらの意図を深く、正確に理解してくださって、本当に素晴らしいキャラクターデザインに仕上げてくださるんです。それを見るのが本当に嬉しくて、執筆の大きな励みになりました。
結局、書店などで見て表紙がいいと思ってもらえなければ、中身を読んでもらえませんから。イラストレーターさんは本当にありがたい存在です。
――イラストレーターの悌太先生とは、どのようなやり取りをされているのでしょうか? 具体的なエピソードがあればお聞きしたいです。
かなり分厚い設定資料をお渡しして、各キャラクターの性格や背景を細かくお伝えしています。その上で「この性格を表現するビジュアルにしてほしい」といった……改めて話してみると、かなり無茶ぶりに近いお願いをしてしまっています。
例えば、伊織について簡単に言うと「表面上はクールだけど、内面には野心に近い情熱を秘めているキャラクターなので、その二面性をビジュアルで表現してほしい」と――言われるほうからすると「そんなことできるわけないでしょう!」と言いたくなるようなお願いをしてしまったのですが、悌太先生は片方の目の下に泣きぼくろを描くことで、左右で顔の印象が変わるようにデザインしてくださったんです! 右から見た時と左から見た時で、彼の違う側面が見える。これには本当に感動しました。
本来なら、ビジュアルがあることを前提に書き方を変えるべきだったのに、最初はまったく対応できていませんでした。一般文芸の感覚だと、キャラクターの見た目は私が文章で説明しない限り、誰にも伝わりません。だから、どうしても細かく書き込んでしまうんです。でも、ライトノベルでは表紙や挿絵にキャラクターがしっかり描かれているので、「あっ、ここまで書かなくてよかったな」と後から気付きました。
それともうひとつ。ビジュアルは何よりも、作家としての大きなモチベーションになりました! 私が用意したキャラクターの資料をイラストレーターさんにお渡しすると、こちらの意図を深く、正確に理解してくださって、本当に素晴らしいキャラクターデザインに仕上げてくださるんです。それを見るのが本当に嬉しくて、執筆の大きな励みになりました。
結局、書店などで見て表紙がいいと思ってもらえなければ、中身を読んでもらえませんから。イラストレーターさんは本当にありがたい存在です。
――イラストレーターの悌太先生とは、どのようなやり取りをされているのでしょうか? 具体的なエピソードがあればお聞きしたいです。
かなり分厚い設定資料をお渡しして、各キャラクターの性格や背景を細かくお伝えしています。その上で「この性格を表現するビジュアルにしてほしい」といった……改めて話してみると、かなり無茶ぶりに近いお願いをしてしまっています。
例えば、伊織について簡単に言うと「表面上はクールだけど、内面には野心に近い情熱を秘めているキャラクターなので、その二面性をビジュアルで表現してほしい」と――言われるほうからすると「そんなことできるわけないでしょう!」と言いたくなるようなお願いをしてしまったのですが、悌太先生は片方の目の下に泣きぼくろを描くことで、左右で顔の印象が変わるようにデザインしてくださったんです! 右から見た時と左から見た時で、彼の違う側面が見える。これには本当に感動しました。
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 あとは、私のこだわりが強すぎて、お手数をおかけしたこともあります。例えば、如月スミレという“いじめっ子のお嬢様”というキャラクターがいます。当初、スカート丈は長め、裾が膝にかかるくらいの、品よく制服を着こなしているラフを頂きました。“お嬢様”という属性を意識してのことだろうと思います。元のデザインもたいへん素敵だったのですが、スクールカースト上位の女子は、スカートを短くする“権利”があるので、「もう少しスカートを短くしてください」とお願いしました。スカートが短いほうが可愛いからではなく、こういういじめっ子のキャラはスカートが短いだろうなと。
マリスの前髪についても、実はお願いしていました。伊織のような……ストレートに言うと少し根暗なキャラクターは、絶対に重めの前髪にしてほしかったのですが、マリスのような自信満々なキャラクターが顔を隠すような前髪をしているはずがない、と。「おでこを少し見せてほしい」とお願いしました。「こういうキャラクターがこういう見た目をしているわけがない」といったようなこだわりが私の中にあって、悌太先生にはいろいろとお願いをしてしまいました。
マリスの前髪についても、実はお願いしていました。伊織のような……ストレートに言うと少し根暗なキャラクターは、絶対に重めの前髪にしてほしかったのですが、マリスのような自信満々なキャラクターが顔を隠すような前髪をしているはずがない、と。「おでこを少し見せてほしい」とお願いしました。「こういうキャラクターがこういう見た目をしているわけがない」といったようなこだわりが私の中にあって、悌太先生にはいろいろとお願いをしてしまいました。
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「中高生女子だけでなくバリキャリ女性にも読んでほしい」主人公・椿が男装することになった理由
――主人公の野々宮椿は、タイトルにもあるように“男装の麗人”という設定ですが、この発想がどこから生まれたのかお聞かせいただけますか?
女性向けのライトノベルは、ものすごく大雑把にわけると、2つのタイプに分類できると思っています。1人の王子様と一対一の関係をじっくり深めていく物語と、あらゆるタイプの男性から好意を寄せられるハーレム型の物語です。
どちらの方向性でいくか初めに選択する必要があって、『魔法律学校の麗人執事』はハーレム型でいこうと決めました。そのハーレム型の物語を作るうえでの有効な見せ方として“男装もの”を選んだ、というのが経緯ですね。ただ、これは今思うと少し判断を誤ったかも……と思ってしまうこともあります。
――そう思った理由をお聞かせいただいてもいいですか?
最近売れている女性向けの作品は、『薬屋のひとりごと』や『わたしの幸せな結婚』のように、ほとんどが一対一の物語なんです。女子が本当に読みたいのは、そっちだった可能性も十分ありますね……。男子向けのライトノベルではハーレム型は定番ですが、今の女性向けの流行とは少し違います。でも、流行とまったく同じものを書いても読者は喜ばないかもしれない、という思いもあり、あえて違う路線を選びましたが、正しかったかどうかはわかりません。
――実は本作の編集担当の方と少し話ができたのですが、本作の企画書には「バリキャリの女性がきちんと成果を認めてもらえるような作品を書きたい」ということも書かれていたと伺いました。
ええ。読者層としては中高生女子を意識していますが、作者自身の実感がこもっていないとおもしろくならないし、本気で書かないと読者には伝わらない、と思っています。私の周囲には、大学を卒業していい仕事に就き、なんでもできるのに、なぜか恋愛だけがうまくいかない……というハイキャリアの女性が多いんです。
彼女たちからよく聞くフレーズのひとつが「(私が)男だったらモテるのに」という言葉。仕事ができて、決断力もあって、頼りになる。そういう自分の性質が、男性としてなら魅力的に映るはずなのに、と。それを聞いて「じゃあ、男になってモテる話にしよう」と思いついたんです。それがすべての始まりでしたね。「男だったらモテる」と言うからには、一対一の関係より、たくさんの人にモテるほうが説得力があるだろう、と考えてハーレム型を選んだといった経緯もあります。
女性向けのライトノベルは、ものすごく大雑把にわけると、2つのタイプに分類できると思っています。1人の王子様と一対一の関係をじっくり深めていく物語と、あらゆるタイプの男性から好意を寄せられるハーレム型の物語です。
どちらの方向性でいくか初めに選択する必要があって、『魔法律学校の麗人執事』はハーレム型でいこうと決めました。そのハーレム型の物語を作るうえでの有効な見せ方として“男装もの”を選んだ、というのが経緯ですね。ただ、これは今思うと少し判断を誤ったかも……と思ってしまうこともあります。
――そう思った理由をお聞かせいただいてもいいですか?
最近売れている女性向けの作品は、『薬屋のひとりごと』や『わたしの幸せな結婚』のように、ほとんどが一対一の物語なんです。女子が本当に読みたいのは、そっちだった可能性も十分ありますね……。男子向けのライトノベルではハーレム型は定番ですが、今の女性向けの流行とは少し違います。でも、流行とまったく同じものを書いても読者は喜ばないかもしれない、という思いもあり、あえて違う路線を選びましたが、正しかったかどうかはわかりません。
――実は本作の編集担当の方と少し話ができたのですが、本作の企画書には「バリキャリの女性がきちんと成果を認めてもらえるような作品を書きたい」ということも書かれていたと伺いました。
ええ。読者層としては中高生女子を意識していますが、作者自身の実感がこもっていないとおもしろくならないし、本気で書かないと読者には伝わらない、と思っています。私の周囲には、大学を卒業していい仕事に就き、なんでもできるのに、なぜか恋愛だけがうまくいかない……というハイキャリアの女性が多いんです。
彼女たちからよく聞くフレーズのひとつが「(私が)男だったらモテるのに」という言葉。仕事ができて、決断力もあって、頼りになる。そういう自分の性質が、男性としてなら魅力的に映るはずなのに、と。それを聞いて「じゃあ、男になってモテる話にしよう」と思いついたんです。それがすべての始まりでしたね。「男だったらモテる」と言うからには、一対一の関係より、たくさんの人にモテるほうが説得力があるだろう、と考えてハーレム型を選んだといった経緯もあります。
主人公・椿のキャラクター設計について。“好感度の鬼”にしようと考えた狙いとは?
――新川先生が思い描くメイン読者像は女性とのことですが、男性の私が実際読んでみると、主人公の椿は、女性読者だけでなく男性読者からも好かれそうだと感じました。椿のキャラクター作りにおいて心がけている点を教えていただけますか?
椿については、本当に気をつけて書いています。というのも、女性読者は“女子に嫌われる女子”に、ものすごく厳しいんです。特に、たくさんのイケメンから求愛されるハーレム状況のヒロインに対しては、もっとも厳しい目が向けられます。ですから、女子から反感を買う要素を、徹底的に排除しないといけないと考えました。その結果、いわば“好感度の鬼”のような形にせざるを得なかった、という側面があります。
少しでも意識的にあざとい部分や、意地悪な部分、いわゆる“女臭さ”のような、女性読者が嫌うだろう要素は可能な限り取り除いています。その結果、かなり中性的なキャラクターになり、それが男性読者からも共感されやすくなったのかもしれません。
椿については、本当に気をつけて書いています。というのも、女性読者は“女子に嫌われる女子”に、ものすごく厳しいんです。特に、たくさんのイケメンから求愛されるハーレム状況のヒロインに対しては、もっとも厳しい目が向けられます。ですから、女子から反感を買う要素を、徹底的に排除しないといけないと考えました。その結果、いわば“好感度の鬼”のような形にせざるを得なかった、という側面があります。
少しでも意識的にあざとい部分や、意地悪な部分、いわゆる“女臭さ”のような、女性読者が嫌うだろう要素は可能な限り取り除いています。その結果、かなり中性的なキャラクターになり、それが男性読者からも共感されやすくなったのかもしれません。
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 本当に些細(ささい)なことですが、例えば男性キャラクターからの告白に対して、はっきりと「ノー!」と言わないだけでも、「思わせぶりな態度を取るな!」と思われてしまうこともあります。そういった行為を椿にさせないようさせないよう積み重ねていって、今の椿が形作られていきました。
新川先生が「マリスをカッコよく書くのはちょっと恥ずかしい」と思ってしまうワケ
――主人公以外のキャラクターの中だと、1巻では特にマリスと伊織が印象的です。まずは椿が執事として仕えるマリスについて聞きたいと思います。マリスを書くうえで気をつけていることはありますか?
マリスは、実は一番書きづらいキャラクターです。なぜかというと、一番自分に似ていると思っているからです。自分に似ているキャラクターをカッコよく書くのって、すごく難しい。なんだか気恥ずかしくて(笑)。
私と似ていて、もしかしたら彼の愛されるポイントかもしれないと感じる部分は、親切なことをしているのに、それをすごく不愛想な顔でやってしまうところですね。「なんでそんなに嫌そうな顔で優しくするんだろう?」と周りに思われるようなところは、自分にもあるなと思っています。
例えば、作中で椿が風邪を引いた時、マリスは心配して様子を見に来て「飯はどうするんだ?」と嫌そうな顔で聞くシーンがあります。読んでくださった方はわかるのですが、マリスとしては「何か食べたいものはあるか?」というニュアンスで聞いているのですが、椿には「俺の飯はどうするんだ?」と、まるで自分のご飯を要求しているように見えてしまう。病人を気遣っているセリフだと肝心の椿に伝わらないんです。そのようなツンデレゆえの不器用さや、それによって生じる誤解が、彼の愛されポイントなのかもしれません。
――読者視点だとそういう部分もよくわかりますし、とてもコミカルな部分として読めました。加えて本作では、マリスの心情もていねいに描かれています。ですので、女性向けの作品を読み慣れていない男性でも、読むうちにマリスがなんだか可愛いやつだなと思える部分もありました。
ありがとうございます(笑)。この物語は、男性向けハーレムものの主人公を女性にしたような構成ではありますので、展開の気持ちよさという点では、男性でもスッと入っていきやすいのかもしれません。
――電撃オンラインの読者は『ガンダム』作品が好きな人が非常に多いので、あえて作品名を挙げて例えると『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のグエルのようなキャラクターが好きな人は、マリスの魅力にもすぐに気が付くだろうなと思いました。
『水星の魔女』は私も視聴しましたが、確かにグエルも男性から絶大な人気がありましたよね。不器用で、プライドが高いけれど、根は優しい。最初は嫌なやつだなあと思うのですが、後半どんどん可愛く見えてきました。そういうキャラクターは、性別を問わず共感を呼ぶのかもしれません。
マリスは、実は一番書きづらいキャラクターです。なぜかというと、一番自分に似ていると思っているからです。自分に似ているキャラクターをカッコよく書くのって、すごく難しい。なんだか気恥ずかしくて(笑)。
私と似ていて、もしかしたら彼の愛されるポイントかもしれないと感じる部分は、親切なことをしているのに、それをすごく不愛想な顔でやってしまうところですね。「なんでそんなに嫌そうな顔で優しくするんだろう?」と周りに思われるようなところは、自分にもあるなと思っています。
例えば、作中で椿が風邪を引いた時、マリスは心配して様子を見に来て「飯はどうするんだ?」と嫌そうな顔で聞くシーンがあります。読んでくださった方はわかるのですが、マリスとしては「何か食べたいものはあるか?」というニュアンスで聞いているのですが、椿には「俺の飯はどうするんだ?」と、まるで自分のご飯を要求しているように見えてしまう。病人を気遣っているセリフだと肝心の椿に伝わらないんです。そのようなツンデレゆえの不器用さや、それによって生じる誤解が、彼の愛されポイントなのかもしれません。
――読者視点だとそういう部分もよくわかりますし、とてもコミカルな部分として読めました。加えて本作では、マリスの心情もていねいに描かれています。ですので、女性向けの作品を読み慣れていない男性でも、読むうちにマリスがなんだか可愛いやつだなと思える部分もありました。
ありがとうございます(笑)。この物語は、男性向けハーレムものの主人公を女性にしたような構成ではありますので、展開の気持ちよさという点では、男性でもスッと入っていきやすいのかもしれません。
――電撃オンラインの読者は『ガンダム』作品が好きな人が非常に多いので、あえて作品名を挙げて例えると『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のグエルのようなキャラクターが好きな人は、マリスの魅力にもすぐに気が付くだろうなと思いました。
『水星の魔女』は私も視聴しましたが、確かにグエルも男性から絶大な人気がありましたよね。不器用で、プライドが高いけれど、根は優しい。最初は嫌なやつだなあと思うのですが、後半どんどん可愛く見えてきました。そういうキャラクターは、性別を問わず共感を呼ぶのかもしれません。
「主人公のことが好きだという一点だけで好感度を支えているんです」伊織は書きやすいけど特殊なキャラクター
――続いては、伊織についてもうかがっていきたいと思います。彼は椿にとって、また物語にとって、どういう存在なのでしょうか?
伊織は、女性読者からの人気が一番高いキャラクターです。私の周りにいるバリキャリ女子の好みを反映していて、彼女たちは自分より仕事ができる上司(マリスタイプ)か、自分を陰で支えてくれる優しい同僚(伊織タイプ)のどちらかを好きになる傾向があります。伊織はマリスよりもサポーティブで、共働きしてくれそうな男性、というイメージです。読者ペルソナがハッキリしているので伊織は書きやすいですね。ですが、一方でかなり特殊なキャラクターでもあります。
――どのあたりが特殊だと感じているんですか?
彼の好感度が、“主人公のことを好き”という一点だけで支えられている点ですね。それ以外の言動を見ると、他のキャラクターに厳しかったり、態度が悪かったりと、決していいやつではない。でも、その“私にだけ優しい殺人鬼”のような危うさがたまらない! と感じてくださる読者もいるようです。
私は伊織の、そういう性格の悪いところが好きで、いつも楽しく書いています。一方で男性読者からは「伊織の魅力がよくわからない」と言われることもありますが、女性からすると、彼の抱える闇の部分も魅力のひとつ。あれがなければ、ただの“優しい人” “都合のいい男”になってしまい、キャラクターとしての深みがなくなってしまうと考えています。
読者の皆さんからも「伊織君には幸せになってほしい」というコメントをよくいただきます。みんな、彼の薄幸なところを心配してくれているんですね。
――物語が進んでいくと、今挙げたマリスや伊織以外にも“五摂家”に属する十二月田麗矢や明智左衛門といった魅力的なキャラクターが多く登場します。彼らについても、どうやって生まれてきたのかなどを少しお聞かせいただけますか?
伊織は、女性読者からの人気が一番高いキャラクターです。私の周りにいるバリキャリ女子の好みを反映していて、彼女たちは自分より仕事ができる上司(マリスタイプ)か、自分を陰で支えてくれる優しい同僚(伊織タイプ)のどちらかを好きになる傾向があります。伊織はマリスよりもサポーティブで、共働きしてくれそうな男性、というイメージです。読者ペルソナがハッキリしているので伊織は書きやすいですね。ですが、一方でかなり特殊なキャラクターでもあります。
――どのあたりが特殊だと感じているんですか?
彼の好感度が、“主人公のことを好き”という一点だけで支えられている点ですね。それ以外の言動を見ると、他のキャラクターに厳しかったり、態度が悪かったりと、決していいやつではない。でも、その“私にだけ優しい殺人鬼”のような危うさがたまらない! と感じてくださる読者もいるようです。
私は伊織の、そういう性格の悪いところが好きで、いつも楽しく書いています。一方で男性読者からは「伊織の魅力がよくわからない」と言われることもありますが、女性からすると、彼の抱える闇の部分も魅力のひとつ。あれがなければ、ただの“優しい人” “都合のいい男”になってしまい、キャラクターとしての深みがなくなってしまうと考えています。
読者の皆さんからも「伊織君には幸せになってほしい」というコメントをよくいただきます。みんな、彼の薄幸なところを心配してくれているんですね。
――物語が進んでいくと、今挙げたマリスや伊織以外にも“五摂家”に属する十二月田麗矢や明智左衛門といった魅力的なキャラクターが多く登場します。彼らについても、どうやって生まれてきたのかなどを少しお聞かせいただけますか?
 デフォルメされているように見えるかもしれませんが、基本的には私の周りにいる“よくいるエリート男子”をモデルにしています。「こういう人いるよな」という実在の人物をサンプリングして、その人の魅力的な部分と、そうではない部分の両方を取り入れています。麗矢も左衛門も、みんなモデルがいます。
例えば私の知り合いに、曜日ごとに違う彼女を家に呼んでいる男がいるんです。月曜日はAさん、火曜日はBさん、というように。仕事においては非常に優秀で、信頼できるのですけど、プライベートについては正直ドン引きですね。
本人に「なんでそんなシフト制みたいなことをしてるの?」と聞くと、「帰ってきたとき家に誰もいないと寂しいから。でも、1人の人にずっといてもらうのも申し訳ないし」と真顔で言うんです。
――なかなか理解しづらいですね……。
ですよね(笑)。そういった現実の強烈なエピソードを、かなり丸めて、エンタメに落とし込んでいる部分はありますね。
――キャラクターの造形についてはもう1点、執筆を進めるうちに変化していったキャラクターがいるのかも気になるのですが、そうしたケースはありますか?
最初に決めた設定で進んでいくことが多いですが、スミレは読者の反応で変わっていったキャラクターですね。最初は椿をいじめるただの“嫌なやつ”として書いていたのですが、担当さんから「もっと嫌なやつにしたほうがいい」とアドバイスをいただいてさらに意地悪にしたら、なんだかツンデレな感じになってしまって。それが好きな方も多いようです。
例えば私の知り合いに、曜日ごとに違う彼女を家に呼んでいる男がいるんです。月曜日はAさん、火曜日はBさん、というように。仕事においては非常に優秀で、信頼できるのですけど、プライベートについては正直ドン引きですね。
本人に「なんでそんなシフト制みたいなことをしてるの?」と聞くと、「帰ってきたとき家に誰もいないと寂しいから。でも、1人の人にずっといてもらうのも申し訳ないし」と真顔で言うんです。
――なかなか理解しづらいですね……。
ですよね(笑)。そういった現実の強烈なエピソードを、かなり丸めて、エンタメに落とし込んでいる部分はありますね。
――キャラクターの造形についてはもう1点、執筆を進めるうちに変化していったキャラクターがいるのかも気になるのですが、そうしたケースはありますか?
最初に決めた設定で進んでいくことが多いですが、スミレは読者の反応で変わっていったキャラクターですね。最初は椿をいじめるただの“嫌なやつ”として書いていたのですが、担当さんから「もっと嫌なやつにしたほうがいい」とアドバイスをいただいてさらに意地悪にしたら、なんだかツンデレな感じになってしまって。それが好きな方も多いようです。
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「女とか男とか、そういうものとは別の次元で関係を築くため」椿と麗矢が戦う意味
――発売されたばかりの2巻では、椿と麗矢がいわゆる『ガチバトル』します。この作品では女性も男性もどちらも本気で戦う描写がありますが、その点について意識している部分はありますか?
そのお話をする前提として、麗矢についてまず言うと、彼は女好きですから、普通に“可愛い女の子”として接すればきっと恋人という関係にはなれるんです。ただし、その方法ではその他大勢の女の子の1人、“ナンバーワン”にはなれても、1人の人間として“オンリーワン”にはなれないでしょう。女性はナンバーワンより、オンリーワンになりたい人のほうが多いと思うんです。麗矢にとってのオンリーワンになるには、“可愛い女の子”という枠から抜け出す必要がありました。
だから麗矢と戦って、彼にとって椿がオンリーワンだと認めさせなければならなかった。第2巻には麗矢を攻略するという側面がありましたが、そのためには対等な立場で、本気でぶつかり合う必要があったんです。バトルは、彼に認めさせるために必要不可欠でした。
そこで一度認められれば、女だからとか男だからとか、そういうものとは別の次元で関係を築けます。これは、性別によって判断されることもまだ多い現代の女性たちが、心の中で望んでいることだと思うんです。実力で戦って認められるというストーリーを、女性自身が読みたいはずだと。
――なるほど! 大変理解できました。だからバトルシーンに迫力があり、しっかりと読みごたえがあったのですね! そのあたりを執筆するにあたって、何か特別な準備はされたのでしょうか?
アクションシーンをよく書かれている先輩作家さんに、空手の道場を主催されている方がいらっしゃるので、アクションシーンを書くために道場に入門しました。自分で身体を動かして試してみるだけでなく、道場の先輩方にも、「こういう状況ならどう動きますか?」と質問したり。さらに、命を狙われる危険のある要人を警護している本物のプロの方にもお話を聞いて、「こういう場合はどう対処するのがベストですか?」と教えていただきながら書きました。
例えば1巻で、椿がマリスに一撃を入れる前に、目潰しのようなフェイントを入れるシーンがあります。実は、目潰しって、実際に目に指を当てるのはほぼ不可能だそうなんです。手が近づけば、人間は反射的に目を閉じて身を引くので。では何のためにやるかというと、相手の体勢を崩させて、次の本命の打撃を当てやすくするためなんです。そういった、プロの知見を随所に盛り込んでいるので、バトルシーンのカッコよさにも注目していただけると嬉しいです。
そのお話をする前提として、麗矢についてまず言うと、彼は女好きですから、普通に“可愛い女の子”として接すればきっと恋人という関係にはなれるんです。ただし、その方法ではその他大勢の女の子の1人、“ナンバーワン”にはなれても、1人の人間として“オンリーワン”にはなれないでしょう。女性はナンバーワンより、オンリーワンになりたい人のほうが多いと思うんです。麗矢にとってのオンリーワンになるには、“可愛い女の子”という枠から抜け出す必要がありました。
だから麗矢と戦って、彼にとって椿がオンリーワンだと認めさせなければならなかった。第2巻には麗矢を攻略するという側面がありましたが、そのためには対等な立場で、本気でぶつかり合う必要があったんです。バトルは、彼に認めさせるために必要不可欠でした。
そこで一度認められれば、女だからとか男だからとか、そういうものとは別の次元で関係を築けます。これは、性別によって判断されることもまだ多い現代の女性たちが、心の中で望んでいることだと思うんです。実力で戦って認められるというストーリーを、女性自身が読みたいはずだと。
――なるほど! 大変理解できました。だからバトルシーンに迫力があり、しっかりと読みごたえがあったのですね! そのあたりを執筆するにあたって、何か特別な準備はされたのでしょうか?
アクションシーンをよく書かれている先輩作家さんに、空手の道場を主催されている方がいらっしゃるので、アクションシーンを書くために道場に入門しました。自分で身体を動かして試してみるだけでなく、道場の先輩方にも、「こういう状況ならどう動きますか?」と質問したり。さらに、命を狙われる危険のある要人を警護している本物のプロの方にもお話を聞いて、「こういう場合はどう対処するのがベストですか?」と教えていただきながら書きました。
例えば1巻で、椿がマリスに一撃を入れる前に、目潰しのようなフェイントを入れるシーンがあります。実は、目潰しって、実際に目に指を当てるのはほぼ不可能だそうなんです。手が近づけば、人間は反射的に目を閉じて身を引くので。では何のためにやるかというと、相手の体勢を崩させて、次の本命の打撃を当てやすくするためなんです。そういった、プロの知見を随所に盛り込んでいるので、バトルシーンのカッコよさにも注目していただけると嬉しいです。
『魔法律学校の麗人執事』の世界観の作り方。リアリティラインを保つための思考法
――本の中で幕間部分にさまざまな設定が開示されます。あれも本作の世界観を感じ取れるものとして、本作の大きな魅力になっていると思います。これらの設定や世界観は、どの段階で構築されているのでしょうか?
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/dengeki/55732/a87f13fbe978fafa054e5b2e144efc0ae.jpg?x=1280)
私は、設定が固まらないと書けないタイプなんで、書き始める前にかなり一生懸命考えています。ファンタジーオタクなところもあって、「作中にこれを出したいけれど、どういう世界設定だったらあり得るだろうか?」というのを突き詰めてしまうんです。
逆に出さなかった例を挙げてしまいますが、いろいろと考えた結果、私は「現代日本に魔女はいない」という結論に至りました。魔女という概念は、キリスト教における“異端”という考え方があるからこそ生まれるものです。キリスト教が西洋ほど根付いていない日本では、そもそも魔女という概念が生まれようがない、と。だから、この作品には魔女という言葉は一度も出てきません。
魔法を扱うこと、そして学園が舞台であることなどから「『ハリー・ポッター』シリーズみたい」と言われることもあるのですが、実は自分の中ではそこが明確な違いです。「現代日本に魔女はいない」という考えのもとで、舞台を日本にする以上、なんの理屈もなしにホグワーツのような学校を置くことはできません。ではどうすれば、日本にヨーロッパ風の魔法学校が存在することに説得力を持たせられるか?
そこで思い至ったのが、“旧制一高”をモデルにすることでした。明治・大正時代のエリート校は、オックスフォードやケンブリッジといった海外の名門校を参照して作られている部分があります。ヨーロッパの影響を受けた建築様式の学校があってもおかしくないし、ヨーロッパ的文化を継受していても不自然ではない――自分の中で「これだったら納得できる」と理屈をつけてリアリティラインを保ちつつ、本作の設定をひとつひとつ作っていきました。
ちなみに、『ハリー・ポッター』シリーズも、オックスフォードやケンブリッジといった名門校のカレッジ文化を下敷きにしています。『魔法律〜』も、同じ参照先を参照しているから、近しい学校様式になっているだけで、『ハリー・ポッター』シリーズの真似をしているわけではありません。私自身が強火のハリポタファンなので、この点は明確にしておきたく。
新川先生はゲーム好き!? どんなゲームを遊んできたの?
――電撃オンラインはゲームメディアなのでちょっと聞いてみたいのですが、新川先生はゲームを遊ばれたりしますか?
はい、遊びます。ただ、アクションゲームが本当に下手で……。『モンスターハンター』のようなゲームは、全然先に進めなくて挫折してしまいます。『スプラトゥーン』も好きでプレイしますが、とにかく下手ですね(笑)。
なので、遊ぶのは反射神経があまりいらない、ほっこり系のゲームが多いです。小学生の時に『ポケットモンスター』が発売された世代なので、『ポケモン』はずっとやっていますね。あとは『どうぶつの森』や『ピクミン』も好きです。
それから、電源を使わないアナログゲームも大好きです。元々囲碁部で全国大会に出たこともありますし、大学時代には麻雀にハマって、卒業後に1年だけプロ雀士として活動していたこともあります。最近はスマホのアプリで『数独』をやるのが日課ですね。マーダーミステリーのような、みんなで集まってやるゲームも得意です。作家仲間でやったら、私はとても強かったです(笑)。
――確かにマーダーミステリーや『人狼』といった、弁論を主体にするゲームは結構強そうなイメージがありますね。そうしたゲーム経験が、創作に影響を与えている部分はありますか?
ゲーム経験由来かはわかりませんが、ルールが曖昧なものは嫌いです。ゲームでも創作物でも、ルールや設定がふにゃっとしていると、すごく気になってしまうんです。「この場合はOKで、この場合はダメ」という境界がはっきりしていないと、モヤモヤしてしまいますよね。そこは、ゲームで遊んできたからなのかもしれません。自分の作品でも、設定やルールに矛盾がないように、と常に意識しています。
はい、遊びます。ただ、アクションゲームが本当に下手で……。『モンスターハンター』のようなゲームは、全然先に進めなくて挫折してしまいます。『スプラトゥーン』も好きでプレイしますが、とにかく下手ですね(笑)。
なので、遊ぶのは反射神経があまりいらない、ほっこり系のゲームが多いです。小学生の時に『ポケットモンスター』が発売された世代なので、『ポケモン』はずっとやっていますね。あとは『どうぶつの森』や『ピクミン』も好きです。
それから、電源を使わないアナログゲームも大好きです。元々囲碁部で全国大会に出たこともありますし、大学時代には麻雀にハマって、卒業後に1年だけプロ雀士として活動していたこともあります。最近はスマホのアプリで『数独』をやるのが日課ですね。マーダーミステリーのような、みんなで集まってやるゲームも得意です。作家仲間でやったら、私はとても強かったです(笑)。
――確かにマーダーミステリーや『人狼』といった、弁論を主体にするゲームは結構強そうなイメージがありますね。そうしたゲーム経験が、創作に影響を与えている部分はありますか?
ゲーム経験由来かはわかりませんが、ルールが曖昧なものは嫌いです。ゲームでも創作物でも、ルールや設定がふにゃっとしていると、すごく気になってしまうんです。「この場合はOKで、この場合はダメ」という境界がはっきりしていないと、モヤモヤしてしまいますよね。そこは、ゲームで遊んできたからなのかもしれません。自分の作品でも、設定やルールに矛盾がないように、と常に意識しています。
待望の第3巻は“夏のドキドキ”がたっぷり詰まった臨海合宿編!
――12月には第3巻となる『魔法律学校の麗人執事3 シーサイド・アドベンチャー』が発売されますが、読みどころを教えていただけますか?
本当に筆が乗りました! 第3巻で椿たちは臨海合宿をするんですが、これも旧制一高の行事にちなんだものだったりします。椿と伊織のデートをはじめ、南の島を舞台にした“夏のドキドキ”が満載という感じです。冒頭では伊織と椿がデートをしますし、南の島で水着合宿など、見どころが満載です。第3巻で注目してほしいのは……左衛門ですね。ようやくしっかりと出てきますので。ぜひ楽しみにしていてください。
普段からライトノベルをたくさん読んでいる方には、「おっ、やっとラノベとしてエンジンがかかってきたな」と感じていただけるはずです。1~3巻を通して読んでくださると、私のライトノベル技術も上がっているので、その成長も体感していただけると嬉しいです。
本当に筆が乗りました! 第3巻で椿たちは臨海合宿をするんですが、これも旧制一高の行事にちなんだものだったりします。椿と伊織のデートをはじめ、南の島を舞台にした“夏のドキドキ”が満載という感じです。冒頭では伊織と椿がデートをしますし、南の島で水着合宿など、見どころが満載です。第3巻で注目してほしいのは……左衛門ですね。ようやくしっかりと出てきますので。ぜひ楽しみにしていてください。
普段からライトノベルをたくさん読んでいる方には、「おっ、やっとラノベとしてエンジンがかかってきたな」と感じていただけるはずです。1~3巻を通して読んでくださると、私のライトノベル技術も上がっているので、その成長も体感していただけると嬉しいです。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/dengeki/55732/af207e0f825122792d94e6c53d5cdfcb3_vbgWvT3.jpg?x=1280)
――3巻では、ミリタリー的な描写もすこし記載されていると伺いました。もしかしてそちら方面もお好きなのでしょうか?
詳しくはないのですが、調べるのはまったく苦ではないので、好きなのかもしれません。単純に、メカ系は好きです。機械式時計の内部の機構が動いている様子を、YouTubeでずっと見ていたり。なので、ミリタリー系の兵器なども、調べ始めると楽しいです。
だから、絶対に車にだけは手を出さないようにしています。間違いなく好きになって、お金をつぎ込んでしまうと思うので(笑)。
――なるほどです(笑)、ありがとうございました。続いて、今後のシリーズ全体の展望について、お話しいただける範囲で教えてください。
椿たちの卒業までの物語を描くつもりでいます。そうなっていくと、椿に後輩ができたり……なんてこともあるかもしれません。実は、具体的なアイデアもすでにあるんですよ。あっ、後輩のこととかはまだ担当編集にもお話ししていないのですが……。
――横でびっくりしていますね(笑)。
これからの新しい人間関係にも期待してもらいたいです。
――せっかくの機会なので質問です! 新川先生が最近読んだライトノベルや、注目の作品を教えていただけますか?
女子向けの作品だと、野いちごジュニア文庫の『総長さま、溺愛中につき。』シリーズですね。これはもう……「天才だ……」と言うほかないくらいおもしろいんですよ。他には、MF文庫Jの『ようこそ実力至上主義の教室へ』シリーズ。ハーレムものとしてのおもしろさもありつつ、プロットが巧みでストーリー展開に工夫が凝らされているんですよね。
最近読んだもので言うと『シャーロック+アカデミー』が好きですね。こちらもハーレムものなんですが、謎解き部分が本格ミステリーとして正統な、しっかりとしたものになっていておもしろいです。パッと出てきたものを3つ挙げましたが、他にもメジャーなものは結構読んでいます。
――それでは最後に、これから『魔法律学校の麗人執事』を読む読者へメッセージをお願いします。
この作品は、意外なほど老若男女問わず「おもしろい!」と言っていただけています。「女子向けかな?」「自分の好みとはちょっと違うかも……」と思っている方も、ぜひ一度読んでみてほしいです。設定などにもかなりこだわって書いていますので、ファンタジー系のRPGなどがお好きな方なら、気に入ってくれるんじゃないかなと。
中高生向けに書いた作品ですが、実際にハマってくださっているのはアラサーの女性、というケースも非常に多いです。「私向けじゃないかも」と決めてしまったり、恥ずかしがったりせずに手に取っていただけると嬉しいです。
詳しくはないのですが、調べるのはまったく苦ではないので、好きなのかもしれません。単純に、メカ系は好きです。機械式時計の内部の機構が動いている様子を、YouTubeでずっと見ていたり。なので、ミリタリー系の兵器なども、調べ始めると楽しいです。
だから、絶対に車にだけは手を出さないようにしています。間違いなく好きになって、お金をつぎ込んでしまうと思うので(笑)。
――なるほどです(笑)、ありがとうございました。続いて、今後のシリーズ全体の展望について、お話しいただける範囲で教えてください。
椿たちの卒業までの物語を描くつもりでいます。そうなっていくと、椿に後輩ができたり……なんてこともあるかもしれません。実は、具体的なアイデアもすでにあるんですよ。あっ、後輩のこととかはまだ担当編集にもお話ししていないのですが……。
――横でびっくりしていますね(笑)。
これからの新しい人間関係にも期待してもらいたいです。
――せっかくの機会なので質問です! 新川先生が最近読んだライトノベルや、注目の作品を教えていただけますか?
女子向けの作品だと、野いちごジュニア文庫の『総長さま、溺愛中につき。』シリーズですね。これはもう……「天才だ……」と言うほかないくらいおもしろいんですよ。他には、MF文庫Jの『ようこそ実力至上主義の教室へ』シリーズ。ハーレムものとしてのおもしろさもありつつ、プロットが巧みでストーリー展開に工夫が凝らされているんですよね。
最近読んだもので言うと『シャーロック+アカデミー』が好きですね。こちらもハーレムものなんですが、謎解き部分が本格ミステリーとして正統な、しっかりとしたものになっていておもしろいです。パッと出てきたものを3つ挙げましたが、他にもメジャーなものは結構読んでいます。
――それでは最後に、これから『魔法律学校の麗人執事』を読む読者へメッセージをお願いします。
この作品は、意外なほど老若男女問わず「おもしろい!」と言っていただけています。「女子向けかな?」「自分の好みとはちょっと違うかも……」と思っている方も、ぜひ一度読んでみてほしいです。設定などにもかなりこだわって書いていますので、ファンタジー系のRPGなどがお好きな方なら、気に入ってくれるんじゃないかなと。
中高生向けに書いた作品ですが、実際にハマってくださっているのはアラサーの女性、というケースも非常に多いです。「私向けじゃないかも」と決めてしまったり、恥ずかしがったりせずに手に取っていただけると嬉しいです。
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— 『魔法律学校の麗人執事』(新川帆立:著)【公式】 (@MagicLawAcademy) October 31, 2025
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