電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、2024年にBitSummitアワードで大賞に輝き、1月15日にSteam他でリリースされたパズルRPG『CASSETTE BOY / カセットボーイ』の開発者インタビューをお届けします。
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お話をお聞きしたのは、Wonderland Kazakiriの誉田潔さん。ストーリー、デザイン、サウンド、プログラム……すべての開発工程を一人で担当したという誉田さんに、本作に込めた想いから開発中のエピソードまで、さまざまなお話を伺いました。
なお、電撃オンラインでは尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
――早速ですが『カセットボーイ』を開発するに至った経緯を教えてください。
本作は僕が作ってきたインディーゲームの3作目にあたります。これまでの2作はボクセルを使ってゲームを作ってきたんですが、3作目は何か新しい表現ができないかな、と考えていました。
いくつかアイデアを出している中で、ある時“3Dボクセルでドット絵に見える”という表現ができないかと思いつきました。実験してみたら意外とおもしろくできたので、この表現方法を使ってゲームを作ろうと考えたのがきっかけです。
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――量子力学的な世界観や“シュレーディンガーシステム”も同時に思いついていたんでしょうか?
いえ、実は思いつくまでにかなり悩んだ期間がありました。
グラフィックは早いうちから完成していたので、「回すとおもしろいね」とはなっていたんです。しかしそれは絵がおもしろいだけなので、この要素をどうゲームに取り入れるべきか? としばらくの間悶々としていましたね。
でもある日、何も考えずにシャワーを浴びていたらアイデアがふっと湧いてきたんです。すぐにシャワーから出て家族に「すげーの思いついたんだ! おもしろいよ!」と興奮気味に話して、そこからは2、3日で一気にシステムを組み上げました。
もともと宇宙とかの話が好きだったので、ゲームとは関係ないところにあった「好き」が何かの拍子に繋がったのかな、なんて思っています。
――世界を回す能力や、シュレーディンガーシステムといった独自のシステムを実現するにあたって、工夫した点はありますか?
錯視……いわゆる騙し絵のようにはならないように、マップのデザインに気を付けました。
あくまで3Dの世界をベースとして視覚的に2Dに見えているというだけなので、気を抜くとどっちがどの方向なのか、わかりにくくなってしまうんですね。
いえ、実は思いつくまでにかなり悩んだ期間がありました。
グラフィックは早いうちから完成していたので、「回すとおもしろいね」とはなっていたんです。しかしそれは絵がおもしろいだけなので、この要素をどうゲームに取り入れるべきか? としばらくの間悶々としていましたね。
でもある日、何も考えずにシャワーを浴びていたらアイデアがふっと湧いてきたんです。すぐにシャワーから出て家族に「すげーの思いついたんだ! おもしろいよ!」と興奮気味に話して、そこからは2、3日で一気にシステムを組み上げました。
もともと宇宙とかの話が好きだったので、ゲームとは関係ないところにあった「好き」が何かの拍子に繋がったのかな、なんて思っています。
――世界を回す能力や、シュレーディンガーシステムといった独自のシステムを実現するにあたって、工夫した点はありますか?
錯視……いわゆる騙し絵のようにはならないように、マップのデザインに気を付けました。
あくまで3Dの世界をベースとして視覚的に2Dに見えているというだけなので、気を抜くとどっちがどの方向なのか、わかりにくくなってしまうんですね。
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シュレーディンガーシステムでは、消えるものと消えないものの線引きを厳密に行いました。
極端な話、見えなくなったものをなんでもかんでも消してしまうと、地面も消えることになってしまうんですよね。そうなるとゲームとして成立しなくなってしまうので、あくまで“大切なもの”のみ消えるという考え方で線引きを行いました。
あとは、絶対に消したくないものはいっそ隠せないようにする、ですね(笑)。
例えば鉄格子なんかは消せてしまうと謎解きがおもしろくなくなるので、どれだけ回転しても隠れることがないように、鉄格子の周りは壁が低くなっているんですよ。
コンセプトは“レトロに見えて新しい”【『カセットボーイ』インタビュー】
――本作には“シュレーディンガーシステム”以外にも“カセット”というギミックが登場します。“カセット”というモチーフはどこから来ているものでしょうか?
音楽の“カセット”とゲームの“カセット”という二重の意味を持たせて、プレイヤーを少し勘違いさせたかった、という狙いがあって“カセット”にしています。
だから、ゲーム内で手に入れる順番は“世界を回す能力”よりも“ヘッドホンとカセット”の方を先にしているんです。
「『カセットボーイ』って、音楽のカセットを使って何かするゲームなんだ」とプレイヤーに思わせておいて、実は……みたいな。
――まんまと騙されました(笑)。
世界が回転するのは、ゲームをある程度楽しんでからの方が感動するかなと考えたんです。なので“世界を回す能力”を手に入れるタイミングには、かなりこだわりましたね。
――カセットといいドット絵といい、全体的にレトロな雰囲気を感じるのですが、やはりレトロライクを意識しているのでしょうか?
そうですね。でもコンセプトは、“レトロに見えて新しい”です。
グラフィックはドット絵だし、謎解きも箱とスイッチが主だし、一見すると普通のレトロゲーのように思えます。
しかし実際謎解きをしようとすると、“箱をスイッチに置く”などといったお約束の解法では解くことができません。そこに“隠す”という新しい要素を取り入れなければ、先に進めないようになっています。
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制作中も“レトロに見えて新しい”を常に念頭に置いて、そのコンセプトをもとに音楽などのいろいろな要素も決めていきましたね。
“規則正しい生活”がゲーム完成の秘訣【『カセットボーイ』インタビュー】
――開発の際に苦労した工程があれば教えてください。
一番苦戦したのは、今回初挑戦となったサウンドです。作曲は5年ぐらい前から身に着け始めたスキルなので、自分が持っているスキルセットの中ではまだまだ新しい部類に入ります。
デザインやプログラムに関しては、「このマップ作ったから次はこのシステム」といったふうに自分の中でスイッチを切り替えながら並行作業ができるんですが、サウンドではそういった切り替えがうまくいかなくて……。
なので途中からは、“音楽だけに集中して取り組む2週間”みたいな感じで時間を区切ってやるようにしていました。
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――一人で開発を進めていくなかで、モチベーションの保ち方などがあれば教えてください。
いや、正直かなり難しいですよね(笑)。
でも自分は案外“規則正しい生活”を大切にしているかもしれません。クリエイターは不規則な生活をしていると思われがちですが、僕は毎朝8時に家を出て、夕方5時に帰宅して、夜10時ぐらいに寝る。そういう生活を大切にしていました。
あとは、イベントに参加してプレイヤーに楽しんでもらうこともモチベーションに繋がります。でもそこに焦点を当てすぎると燃え尽きてしまうので、心身ともにバランスを保てるように気を付けていました。
“歩き回って世界を理解する”楽しさを味わってほしい【『カセットボーイ』インタビュー】
――プレイした感想の中には“次のダンジョンを見つけるのが難しい”という声をよく見かけました。確かに現代によくあるゲームと比べるとヒントが少ないなと感じるのですが、意図的なものなのでしょうか?
僕のゲームの原体験は、T&E SOFTの『ハイドライド』や日本ファルコムの『ソーサリアン』といったPC-8801mkIISR時代のゲームにあります。
あの時代のゲームはヒントが本当にないので、世界を隅々まで探索して試行錯誤しながら進めていくしかなかったと記憶しています。現代では、もしかしたらそういう部分が“難しい”と感じるのかもしれませんね。
でも僕は“探索しながら世界を理解していく”という過程が好きなので、本作でもゲームの世界を歩き回ってもらいたいなと考えたんです。だから色々な種類のダンジョンやフィールドを用意しましたし、たどり着くためのヒントも少なくしています。
でもその代わり、毎度探索するのにそこまで大変にはならないぐらいのマップの大きさにはしたつもりです。
――個人で開発を進めるときならではの難しさとして、客観的なフィードバックを得にくいという点があると思います。その点についてはどのように解消しましたか?
この2、3年は国内外問わず、見つけられる限りのゲームイベントに片っ端から参加して、多くの人にデモプレイしてもらうようにしていました。
僕はプレイしているみなさんをじっと見つめて「あ、そっち行くんだ」とか「ここ難しいんだな」といった反応を観察し、そこからフィードバックを得ていました。
あとは、僕の息子にプレイしてもらうと中々率直な意見をもらえるので(笑)。そういうふうに身近な人にプレイしてもらって、難易度を調整したりしましたね。
――イベントでのデモプレイが、ゲームに影響を与えたんですね。
例えばバグを探すのが好きな方がデモプレイしているときに、自分では思いつかないようなやり方で扉の上や壁の上に主人公を乗せてるのを見て「逆にこれを利用して裏技作れないかなあ」なんて考えたりしました。
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僕は昔のゲームとかによくある、バグのように見えるちょっと怪しげな裏技が好きなんです。例えば、こんなところを通り抜けられるなんてバグかなと思ったら、実は隠しルートへの入口だった! みたいなものが、昔のゲームだと結構ありますよね。
『カセットボーイ』内にもそういった要素を仕掛けていますので、たくさん試行錯誤して歩き回って、発見できたらニヤリと楽しんでくれたらうれしいです。
観測できない人の心は、ないのと同じなのか? “シュレーディンガーシステム”に仕掛けられた意味【『カセットボーイ』インタビュー】
――本作のストーリーは、かわいらしい見た目に反して悲しく切ないことが多いように感じました。
ちょっと報われないことが多い感じですよね。僕がそういうのを作りたいっていうのもあったんですけど、実は別の意図も存在します。
例えば途中、“???”が結構酷いことを言うんですけど、あれは別に“???”の性格が冷酷無比なわけではなくて、あくまで“世界のルールを守ろうとしている”だけなんです。決して誰かを傷つけたり、悲しませたりしようとしているわけではありません。
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でもその心の動きは、主人公からは観測することができない。だから、プレイヤーからすると「どういう意図なんだ?」と疑ってしまう。
“シュレーディンガーシステム”は物質的なものだけでなく、他人からは見ることのできない人の心にもかかってくるんです。
ただ、あんまり僕がここで言いすぎると皆さんの想像の余地がなくなってしまうので、実際プレイしてみた感覚を大切にしてほしいと思います。
――個性豊かなキャラクターが多数登場しますが、お気に入りのキャラクターはいますか?
お気に入りというよりは、「この子は自分だな」と思うキャラクターがいます。主人公のゲーム好きの友人・クインです。
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他のキャラクターはストーリーが進むにつれてセリフが変化していくのですが、この子だけはずっとブレずに「このゲームおもしろいよ。やろうよ」としきりに誘ってきます。
なんだかそういうところが僕そっくりなので、僕自身として見てほしい気持ちはありますね。
これからも自分の好きを追求していきたい【『カセットボーイ』インタビュー】
――BitSummitアワードの大賞を受賞したとき、どんなお気持ちでしたか?
どこかで「どうせ賞なんて取れない」と思っていたフシがあったので、報せを聞いたときも信用できなくて(笑)。
最初はかなり戸惑ったんですが、あとから実感がわいてきてかなりうれしかったですね。
――次回作について、何か構想はありますか?
自分の好きなゲームを作っていくというのが、僕の基本的な開発スタンスです。
ジャンルとしてはこれまでローグライクやアクションRPGを作ってきたので、今度はシミュレーションゲームでも作ろうかな~とか考えています。
――最後に『カセットボーイ』を遊んだプレイヤーに向けて、メッセージをお願いします。
『カセットボーイ』を楽しんでくれたという皆さんの言葉の一つひとつが、僕にとって本当に大切な宝物になっています。
皆さんが言ってくれる「おもしろい」という言葉が、次のゲームへの自信に繋がっています。
本当に、ありがとうございます。
そして、このゲームにはまだまだ隠されたことがいっぱいあると思うので、もうちょっとだけ探検してみてください。
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