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『NINJA GAIDEN 4』開発陣スペシャルインタビュー。アクション制作で意識したこと、ヤクモのデザインやリュウとの違い、Team NINJAとプラチナゲームズのタッグによって生まれたシナジーとは?

文:シュー

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※『NINJA GAIDEN 4』は、CERO Z(18歳以上のみ対象)のソフトです。 ※18歳未満の方は購入できません。

 コーエーテクモゲームスのTeam NINJAとプラチナゲームズによる共同制作で開発が進められている、Xbox Game Studiosより10月21日に発売される『NINJA GAIDEN 4』。

 メディア向けのプレビューハンズオンイベントが開催され、実機プレイのほか開発陣へのインタビューが行われました。この記事ではTeam NINJAの平山正和氏とプラチナゲームズの中尾裕治氏の両名をはじめ、アートディレクター・西井智子氏、リードコンポーザー・宮内正宏氏、レベルデザイン&環境リード・阿部雄大氏らにインタビューを行った模様をお届けします。

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 電撃オンラインのYouTubeチャンネルでは『NINJA GAIDEN 4』の動画を公開しており、別の記事では本作のプレイレビューも掲載しているので、そちらもあわせてご覧ください。

意味があるところに青色が使われているデザイン性【NINJA GAIDEN 4 インタビュー】


――黄色い目印やメインルートに照明が焚かれていたりと導線が丁寧に敷かれている印象がありましたが、そのあたりは意識されたのでしょうか?

阿部
はい。まずは狙ったとおりに感じてくださっているようで非常に安心しました。

 そういった視認しやすい要素に加えて、プレイヤーが無意識に感じている体験を自然に辿っていくだけでゴールに導かれる仕掛けも入れています。

 あとは、基本的にはこの進行方向から敵がバンバン来るようになっているので、敵と戦っていればゴールにたどり着けるという、ちょっと『NINJA GAIDEN』らしい目印は入れていますね。

――ヤクモのデザインについてお聞きします。カラスの意匠が要所要所に取り入れられたりと、リュウとは異なる方向性を強く感じました。このデザインについてこだわりを教えてください。

西井
ヤクモはまさにカラスをテーマにしています。走っているときや飛んだときに腰から出ている帯が羽の印象になるように意識したり、手先足先にも黒を持ってきて、カラスらしさを強調しましたね。

 あとは、裏テーマとして野山の鳥というよりはちょっと都会寄りの印象を含んでいたりします。

――プレイしていて気になったのが腰についている独鈷杵(とっこしょ)。あれはどんな装備なのでしょう?

阿部
じつはあれが武器に変化しているんですよ。 ヤクモは血を武器に変質させているので、あの独鈷杵が変化しているんです。なので、武器を持っているときはしっかり腰の独鈷杵も消えていたりします。ヤクモ用の特殊な装具というか武具であるとお考えいただければいいかなと。

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――黒龍の巫女として登場するセオリは、どんな設定があったうえでデザインされたのでしょうか?

西井
セオリは設定がはじめからガチっと決まっていて、そこからキーワードを絵に落とし込んだすえの最終的な出力があのような形になりましたね。なので、途中から設定が追加されたとかではなく、最初から“黒龍の巫女です”というところからデザインをスタートさせています。

守るべき少女であるとかナビゲーターであるとか、ヒロインにもいろいろなジャンルがあると思うんですけれども、セオリは比較的最初の方から"導くお姉さん"っていう方向性がありましたね。

 ただ、そのセオリが導く方向は黒竜の巫女なので、闇に導く女性なんですね。光へ導くよりは暗がりへ導くお姉さんという部分もあって、今回のようなデザインに仕上げています。黒龍の巫女なのに髪が白いのも理由があったりしますが、今の段階ではまだ秘密です!

――縛られたようなあのデザインにも何かしらの意味があるのでしょうか?

西井
はい! あれもフェチ的なものではなくとある設定に由来しており、プレイをしていただければ、ストーリー上の必要であるからあのようなデザインに落とし込まれているとわかり、「なるほど!」と納得していただけるかなと思っています。縄の色が青なのもしっかりと理由があったりします。

 あとはセオリに限らず、今回採用されている青色は「格好良いから青色を使おう」というよりは、しっかりと意味があるところに青色を使うようにしています。なので、「ここで青色が使われているな」と意識をして見ていただけると、ストーリーがより楽しめるかもしれません。

――暗闇で雨が降っている雰囲気に映画『ブレードランナー』のようなサイバーパンクらしさを感じますが、そのあたりの影響もあるのでしょうか?

阿部
おっしゃられたとおり、『ブレードランナー』のようなサイバーパンクと雨は格好良い組み合わせなので、それが環境として印象づける狙いはありました。

 とくにそのコントラストをしっかり見せようというのは、チーム内でキーワードとして頻出していましたね。魅せるポイントとしてはずせない部分でした。サイバーパンクといえば『ブレードランナー』ですし、すべてのベースにあるものだと思っていますから非常に参考にしました。

 ただそこがスタート地点なのではなく、今作のコンセプトに"逆境"という、環境すべてが自分に対して牙をむいてくるような感覚を指す示すための呪いの象徴として雨を採用したことが始まりなので、その雰囲気のモチーフは何がいいだろうっていうようなところからサイバーパンクのデザインにたどり着いています。

――街中で流れる音楽にもそれらのこだわりを感じました!

宮内
まさしく先ほどからおっしゃられている『ブレードランナー』や『攻殻機動隊』の影響がありますね。あとはサイバーパンクで洋風のサウンド感も使っているんですけど、そのなかでも和の雰囲気もしっかりと採用しています。

 また今回は挑戦できた新しいものとしては、ボス戦で盛り上がるようにメタルの部分に力を入れてます。細かい話になりますが、メタルはジャンルが幅広いんですが、そのなかから2025年に流行っている現代メタルをテーマにしています。あくまで今回は近現代の作品であるというところから、その時代にあった新しめのジャンルというのをかなり意識して作っています。

 いわゆる格調高いものよりは、ダーティーな部分にフォーカスしています。街中の雰囲気にあわせてちょっと雑多感とかも出していますね。

――本作ではどのようなアピールポイントがあると思っていますか?

阿部
ファンの方に向けては、従来どおりの『NINJA GAIDEN』らしいプレイ感はありつつ、さらに歯ごたえのある体験が提供できると思っています。

 新規ファンの方に関しては操作性の向上をはじめ、シリーズのプレイが初めてでも上手になれるようレベルデザインも設計しており、間口を広げてあります。あとは"鵺の型"という武器切り替えも、これまでにはないメカニクスの1つかなと思っているので、これまでのファンの方も新しいファンの方も等しく進化が感じられる作品になっていると思います。

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西井
アート面では、従来のファンに「あのアクションが帰ってきたな!」ってアートからでも感じてもらえたらいいなと思いますね。見た目的な表現で言えば、バッサバッサ敵を斬って血がいっぱいバーッて出てみたいな、ゴア表現の感覚をつかんでいただけたらと。

 新規ユーザーにはアクションのテンポが速すぎて何が起きてるかわからないかもしれませんが、なんか格好良いな! という部分がパッと目に入って、理解できるようにいろいろとグラフィックを作っていますので、まずはその一瞬の印象に残っていただけたら嬉しいです。

宮内
サウンド的にも先ほど言ったように、パッと感じられる格好良さを追求しているので、没頭してしまう体験をお届けできるかなと!

 直感的というか、思ったことがすぐできるようなスピード感が本作にはあります。それにぴったりの曲を用意していますので、あわせて楽しんでいただければと思います。

――最後にお三方に、ここを見てほしい、もしくは推したいポイントがあれば教えていただけますか?

宮内
ボス戦は、敵のデザインも含めてかなりバリエーション濃く作られていますし、それらが盛り上がるように各ステージごとに異なる音楽も用意しているので、それらまるっと楽しんでいただきたいです。

阿部
しいて言うなら"逆境"という感覚をどのように表現しているかをみなさんにご注目いただけると嬉しいなと思っています。

 とくにボス戦で起こる演出の変化や、より強敵の場合の背景や音楽、ライティング、キャラクターすべてで表現しているので、そこの緊張感は本当に会心の出来かなというふうに思っています。

西井
私はキャラクターに個人的な関心が向く方でもありますが、このゲームは戦闘が一番楽しい部分、いわゆるメインディッシュだとも思っています。ですから、戦闘中のヤクモやリュウの格好良いところをたくさん見てほしいですね。

 フォトモードでいろいろ撮れそうな場面もありますし、ハイスピードな戦闘の中の一瞬の技やインパクトをたくさん撮って欲しいですね。

『NINJA GAIDEN 2』を柱に各作品の良い部分を吸収【NINJA GAIDEN 4 インタビュー】

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▲平山正和氏。
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▲中尾裕治氏。

――プレイして『NINJA GAIDEN 2』の雰囲気を強く感じましたが、やはり意識されていましたか?

中尾
はい。かなり強く意識しています。とくに、今回から"絶技引導"が再び使えるようになったという点も相まって、『NINJA GAIDEN 2』の良いところはリスペクトしています。一方でほかの作品をないがしろにする気は当然なくて、 これまで良かった部分をいろいろ継承しつつも、柱に置いているのは『NINJA GAIDEN 2』です。

――過去作のいい部分を取り込んだ『NINJA GAIDEN』の上に、プラチナゲームズの要素がしっかりと乗っている印象がありました。このバランスを実現させるまでにどんな話し合いがあったのかをお聞きしたいです。

平山
バトルのサイクル的な部分ですと、『NINJA GAIDEN』のコアシステムである"滅却"や"絶技"をどのように『NINJA GAIDEN 4』のシステムに落とし込むかは、何度も議論を重ねました。

 また、どんなに理不尽と感じるような状況でも超忍アクションでさばいていく体験も重要だと思っていますので、そういった意味で、このステージ中のこのバトルで襲いかかってくる頻度やパターン、苛烈な状況をどう作っていくのかについては、かなりやりとりしましたね。

中尾
ほとんど平山さんがおっしゃっていたとおりではあるんですけど、加えて『NINJA GAIDEN』は、私の中では作り始めの時点でほぼすべてが完成されたタイトルでしたので、ただ単に新しいものを追加すると、絶妙なバランス感で成り立ってる敵との攻防の面白さがなくなってしまう心配もありました。

 いろいろと試行錯誤をしながら、新しいシステムを溶け込ませて、もともとあったバランス感やバトルの苛烈さのようなところを維持するのかは、かなり苦労しながらチューニングしていましたね。

 「今回"鵺の型"があるからこのシステムあえて弱くしよう」というような考えは一切なく、もともとのものは“良さ”として残しつつ、"鵺の型"を導入することで、新たな攻略のきっかけを作る狙いもありました。

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――2025年のアクションゲームとして過去作からここはアップデートさせたい、という要素はありましたか?

平山
昨今、パリィやジャスト回避を軸としたアクションゲームは多いですが『NINJA GAIDEN』はどちらかに偏ったものではありません。フルコントロールなアクションという表現が近しいかもしれませんね。自分が思ったとおりに動かせる部分が重要なゲームだと思っています。もちろん、特定のアクションがないと攻略できないというようなバランスには基本的にはせず、自分の思ったとおりに動かせる操作性を何よりも重要視して調整しました。

 一方でチェックポイントの考え方やリトライ制の常識などは常に進化、変化していると感じていたので、そういうところは積極的に取り入れました。とくに今回、新規ナンバリングということもあり、多くの方に遊んでいただきたいのも含め、“ヒーローモード”を用意しました。オートガードシステムをはじめ、補助的なシステムが有効にできるモードになっていて、初心者でもプレイしやすくなっています。

 ただ、“ヒーローモード”でスタートしても、任意でオフにできるようになっています。少しずつステップアップしていただけるほか、じつは常時、難易度も変更できるようになっているので、チャプター1で上手くなったらチャプター2で上の難易度に挑戦しようとか、そういった遊びやすさにも力を入れています。

――前作が13年前になりますが、その間に進化したハードウェアによって、ゲーム性や演出も大きく変わったのではないでしょうか?

平山
武器種をシームレスに切り替えられるようになったのは、ハードウェアの進化の賜物かなと思っていますね。アクションの横の広がりというか、幅を出せたポイントですね。

中尾
あの常に雨が降り続ける空間もありますが、やはり血の表現、演出でしょうか。一見するとグロテスクなんですが、おぞましい感じというよりは、スカッとするような表現を目指して作りました。その血を表現したいことへの自由度というのはかなり上がったかなと感じています。

 ゴア表現は突き詰めれば残忍な表現になってしまうじゃないですか。でもそれを残忍に行き過ぎないぐらいに求めるバランス、アクションの手触り、気持ち良さにつながる見せ方を何よりも重要視しています。

平山
今までのシリーズもそうではあるんですけれども、内臓が出るようなグロテスクさを求めているわけではありません。あくまでもバサッと斬れる刀らしい爽快感、あのバッサリ感と言いますか、バイオレンスの中の気持ちよさがアクションの手触りにつながってくるかなと思ってるので、そこはシリーズ通じてとても大切にしてるところだと思っています。

――ハードモードがただ敵が硬くなっただけではない歯応えを感じましたが、細かな調整が加えられているのでしょうか?

中尾
ただ火力を上げるだけとか、そういう簡単ものとかではないんです。ルーチンを変えたり時には技を応用してくる敵など、経験は生きるけど体験そのものがキツくなるように調整しています。

平山
バトルの思考や攻撃パターンの変化、配置の変化というのは、確かに難易度で変わる仕様ではあります。ですが、2周目をプレイする際に、また同じような感じになってしまうと、プレイヤーにとっても楽しみが少ないかなと思っていたので、同じステージでも別の体験ができるのは重要だと思っています。

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――こうして制作を重ねていくなかで、お互いにタッグを組んであらためてよかったと思う部分はありましたか?

平山
Team NINJAだけで続編を作っていたらおそらく出なかったであろうアイディアが非常にたくさんありました。例えばヤクモという新主人公もプラチナゲームズさんからのアイディアで始まったものですし、"血殺"のようなダイナミックなケレン味はプラチナゲームズさんの魅力の1つかなと思っています。

中尾
ほとんど同じ感想です。開発の初期の頃には、「あ、こういう仕掛けを入れてくるんだ」というようなことや、驚くことも多かったですね。アクションゲームとして面白かったり、派手だったり、すごく綺麗さがあったりというところはいいなと思いつつも、でもちょっと『NINJA GAIDEN』シリーズとしての源流に戻していくという議論の連続でした。

 一番多かったのは役割をしっかりつけること。要はその派手にしていくところと実直にしていく部分を棲み分けるための『NINJA GAIDEN』をどう今回の仕組み、新システムを入れながら成立させるかの整理はけっこう多かったかもしれないですね。

 なのでここを大味にするのはよくないけど、ここに関しては逆にとにかく派手にしていこうみたいなバランス感覚を、我々が両方派手にしちゃった場合は片方を少し下げて、といった感じで調整をしていました。

――リュウ・ハヤブサはストーリー中でも使えるのでしょうか?

平山
具体的にどのあたりで出てきますというのは、ストーリーにおいて大事な部分なのでお伝えできませんが、メインストーリーはヤクモだけでなく、リュウのストーリーもしっかり展開するのでそこで操作が可能になっています。

 チャプターセレクトでは好きなチャプターをヤクモ、リュウどちらを選んでもプレイできます。ヤクモでプレイしたステージをリュウで遊び直すこともできますので、そちらでも存分に楽しんでください!

――現代風忍者(ヤクモ)と伝説の超忍(リュウ)は、デザイン面でも対比させてる部分はあるのでしょうか?

平山
すべてを対比させてるわけではありません。共通させている部分と対比させている部分があって、自然とそういうふうに見えているかもしれませんね。

 若き忍と熟達した超忍という対比を筆頭に、ステージに関しても、これからのヤクモの成長を描いているので、どんどん上り詰めていく構成になっています。どちらかというと自分が追っていくというような、そういうシチュエーションですかね。

中尾
対比というよりは、ハート、クール、ドライみたいな心情の良さは、しっかりと引き継ぎたいなと思っていたので、どちらも寡黙な忍であるのは柱として統一させてたりしますね。

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――本作の発売を楽しみにしているユーザーに一言お願いします!

平山
まずは十数年ぶりのシリーズをみなさんに発表できることを嬉しく思っております。今回、新主人公のヤクモというキャラクターが登場しますが、リュウとは違う手触りでありながらも、『NINJA GAIDEN』らしい攻防の手触りを体験できるキャラクターになってますので、ぜひお楽しみください。

 また、ヤクモだけでなく、リュウ・ハヤブサもしっかりとプレイアブルキャラクターとして遊べますので、彼らの超忍アクションを楽しんでいただければと思います。今後のさらなる情報をお待ちいただければと思います。

中尾
我々プラチナゲームズがかかわったしても絶対にブレちゃいけない『NINJA GAIDEN』らしさというのを、ずっと心に留めながらTeam NINJAさんと一緒に作らせてもらいました。十数年ぶりに出たナンバリングタイトルとはいえ、触っていただいた時に間違いなく、「ああ、『NINJA GAIDEN』だ」と思ってもらえる内容になっていますので、ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。

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