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『ゴースト・オブ・ヨウテイ』プレイ感想:寄り道が自然と本筋に繋がっていく自由さ。ひとつの完成された時代劇に酔いしれた【Ghost of Yōtei】

文:シュー

公開日時:

 ソニー・インタラクティブエンタテインメントから2025年10月2日に発売を予定しているPS5用ソフトウェア『Ghost of Yōtei』(ゴースト・オブ・ヨウテイ)。

 この記事は、SIEから製品版コードを提供いただいたので、『Ghost of Yōtei』(ゴースト・オブ・ヨウテイ)全体の雰囲気や新たな戦闘スタイル、景色、音楽などなどのさまざまな視点からのレビューをお届けします。

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寄り道が自然と本筋に繋がっていく自由さ【Ghost of Yōtei(ゴースト・オブ・ヨウテイ)レビュー】


 思うこと……忘れもしない『Ghost of Tsushima』(ゴースト・オブ・ツシマ)冒頭の小茂田浜での合戦。自分が幼い頃から時代劇や侍などの“和”や刀が大好きで、そういうジャンルのゲームを好んで遊んできた身としては、映画のクライマックスかのような最序盤のシーンに感動したし、侍なりきりのゲームとして最高の入りでした。

 ただ、その時点ではまだ境井仁という人物像が掴めていないままゲームを進めていくことになる(仁もすぐに目的はハッキリするが!)のに対し、今作『Ghost of Yōtei』(ゴースト・オブ・ヨウテイ)は、のっけから両親の敵(かたき)という明確な目的と復讐心を持つギラついた篤という主人公の対比……ゲーム冒頭から篤の決意を感じ、とても良い感触でゲームを始められました。

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 本作のゲーム進行はかなり自由度が高く、広大なフィールドに着いてわりとすぐ羊蹄六人衆のおおよその位置が表示されるため、誰から倒すかの選択権が与えられていました。もちろん一直線に向かってもいいんですが、せっかくの風光明媚な蝦夷地をくまなく探索したいと思うのがゲーマーの性! やっぱりいろんな要素を拾って堪能&充実したいんです。

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 そんなプレイスタイルを熟知しているのか、各地を流浪していると羊蹄六人衆の情報が自然と集まっていくのが面白いところ。例えば、鬼はどこを根城にしている、狐は何が得意だなどなど。

 ときには宿場の人から、またときには野盗から助けた人から、さらに野営で集まってきた人から情報を得ることもあり、パターン化していない作り込みは素晴らしいの一言。賭場で遊んでいたら目的が更新されたなんてことも……。

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 多くの場合、メインクエストの進行中に対象となるボスの情報が解禁されていくものですが、こういった寄り道が後々の助けになっていくのは、僕のようなやれることは全部拾ってから先に進みたい症候群のゲーマーにはとても助かるシステムでした。

 なかでも野営は篤の体力や気力を回復させるだけでなく、料理をすることで一定時間ランダムな能力を得たりする恩恵がある要素。野営をしていると商人が来ることもあるほか、手配書の悪人が直接来ることもあったりと、とにかくイベントのパターンが豊富。流浪の旅が退屈しない作りになっていると感じました。

 探索という面で言えば、幼子の記憶がいまの自分にヒントをくれる"過去の追憶"というシステムもおもしろい。これは単にヒントというおもしろさだけでなく、復讐に燃えたいまの篤とは真逆の在りし日の純真な篤の姿が眩しいですし、この明るさを持った子が怨霊となってしまう想いの強さをより一層感じられたりと、"追憶"が起こるたびに感慨深くなります。

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 ここでしか亡き両親と出会えないのも悲しくもありますが、常に気を張っている篤の安らぎでもあるのかなと思える瞬間でもあります。

 と、探索は本当に自由で「いざ敵の本拠地へ!」とならない限りは、ひらすらに流浪の旅を続けられます。それでも旅をしているだけで楽しいですし、常に得るものがある作りになっているのが好感触でした。

斬るか斬られるか。剣戟の激しさは変わらず【Ghost of Yōtei(ゴースト・オブ・ヨウテイ)レビュー】


 武器は前作のような型は無くなったが、二刀や槍、大太刀に鎖鎌と複数の武器を使える楽しさが本作にはあります。また槍には二刀、巨漢の剛兵には大太刀と、いわゆる前作の型のような得意な相手が各武器には設定されています。

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 もちろん必ずしも得意な武器を構える必要はなく、技術があればずっと二刀で遊ぶことも可能です。このあたりは前作と同様に自由ですし、自分のプレイスタイルに寄っているのが嬉しいところ。僕のお気に入りは二刀です。片方を逆手持ちにするスタイルに、僕の侍魂が光りました。

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 ちなみに武器は我流で覚えるのではなく、各地にいる師匠に教えてもらう形式。各武器ごとで異なる修行シーンがあるので、ここはお楽しみに!! 個人的には人との繋がりを深く築こうとしない篤が、誰かに師事する姿がちょっと新鮮でした。

 近接戦闘の難易度も相変わらず。焙烙玉や目潰し玉などの搦め手を使わず、剣戟のみだと気が抜けない戦闘に! とくに複数戦相手は瞬時の判断力と経験が物を言うと思います。

 おまけに今作では黄色く光る“武器落とし”もあり、見極める部分が増えています。青く光る攻撃は防御ができず、受け流しか回避を必要とし、赤い光は防御と受け流しができずに回避のみ。複数戦ではこれらを瞬時に判断していくことになるので、目が慣れないうちはあっさり倒されてしまうような難易度が標準です。

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 とはいえリトライも早く、自動で戦闘開始時に戻るので、「覚えて見極めていく」のも『Ghost of』シリーズのおもしろさかなと個人的に思っています。とくに今回は、確率で狼が助けてくれることもあるので、画面が暗転するまで諦めてはいけません。

 装具という分類でいうと、見た目の変更も相変わらず楽しめます。最序盤からいろいろな装具が手に入り、衣装から武器の見た目などの着せ替えが楽しめます。

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 なかでも嬉しいのは、カットシーンは自動でお面や兜が外れ、篤の素顔を見ながら会話が進む点。前作はお面や面頬をつけたままだと仁の表情がしっかり確認できず、カットシーンがありそうな重要なところでは外していましたが、その煩わしさが消えました。

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 とくに今作は細かな表情に注目してほしいです。例えば苦虫を噛み潰したかのような顔がほんの一瞬入ったり、逡巡したかのような迷いの目配せだったり。これは篤だけでなく、羊蹄六人衆や重要キャラの面々で見て取れるので、キャラクターの表情は細部まで見逃せない重要部分です!!

景色に音色。触覚の楽しさも取り入れたゲーム体験【Ghost of Yōtei(ゴースト・オブ・ヨウテイ)レビュー】


 本筋をあまり通らず道草ばかりしていますが、どの地域でもとにかく景観がいい。前作でも確か800枚ほどスクリーンショットを撮りましたが、今作でも絵になる場所で撮影を開始して、ゲームを進める手が止まることも珍しくありませんでした。

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 また決闘前や重要場面でのカットシーンでかき鳴らされる三味線の激しさが、とてつもなく格好良い。大一番のようなシチュエーションですし、その場にいる篤の心情のような激しさを感じます。

 その一方で篤が引く三味線は旅をしていると旋律が増えていき、穏やかさ、厳かさ、優しさなどを感じ、どれもが心地よい。温泉や神社など特定の場所へと案内する誘い風にもなるので、この三味線の旋律は覚えておくと探索がスムーズになるかもしれません。

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 ちなみに三味線の習得には、コントローラのタッチパッドを駆使したギミックを用います。弦の上の手を滑らすようにパッドをなぞる……、このタッチパッドを活用した要素は三味線だけでなく、野営時の火起こしや料理、墨絵などにも使われるなど、ここまでタッチパッドを活用しているゲームも珍しく、なかなかの臨場感と同時に貴重な体験をしたなと感じさせられました。

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 復讐の怨霊となった篤の物語……決して悲しいだけでなく、激情にかられているだけでなく、蝦夷地に舞い戻った1人の流浪人としてゆく先々で新たな出会いや発見が決意と癒やしとを与えてくれる。そんな印象を受けましたね。

 刀を振るうものの矜持や佇まいに偽りなく、ひとつの完成された時代劇と言える『Ghost of Yōtei』(ゴースト・オブ・ヨウテイ)。10月2日に発売予定です。ぜひ期待していてください!!

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