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『青ブタ』マイスチューデント編感想。好きとは何か考えさせられる

文:米澤崇史

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 アニメ『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』マイスチューデント編(8~10話)の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』マイスチューデント編(8~10話)の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。[IMAGE]

加西と姫路の幼馴染という関係性には想像が膨らむ【青春ブタ野郎】


 咲太の塾の教え子・姫路紗良にスポットがあたったマイスチューデント編も、第10話で完結となりました。

 ナイチンゲール編のラストで明らかになった、麻衣に危険が迫っているという霧島透子関連のストーリーが並行しつつも、咲太と姫路のつながりでもある塾に関係したキャラクターたちが印象的なエピソードでもあったなと。

 まず意外な形でストーリーに絡んできたのが、双葉の教え子である加西。もう双葉のことが好きなのは、咲太に限らず視聴者にもバレバレ。国見にとってはバスケ部の後輩で、馬鹿真面目でお人好しそうな感じが、どことなく国見に似ている雰囲気もあり、国見に惚れていた双葉に片思いするという構図に運命じみたものを感じます。


 そんな加西、姫路とは友達以上恋人未満の幼馴染という、お前はどこのラブコメ主人公だとツッコミたくなる関係性だったようですが、双葉に恋をしてしまったことで、実は姫路への想いは恋愛感情ではなかったと気づいてしまった様子。

 一方の姫路はというと、そんな加西への感情を今も引きずっているようで、今までとっていた男を弄ぶような行動の数々は、自分を振った加西への意趣返し的な感情も少なからずあったのかなと。

 咲太は姫路の加西への感情も恋愛ではなかったのではと突っ込んだりもしていましたが、加西に振られるきっかけを作った双葉に露骨に嫌悪感を隠さなかったあたり、恋愛感情だったかどうかはともかく、姫路にとってかなり大切な存在だったのは間違いなさそうです。


 ほぼ直接の会話が描かれなかったので想像するしかないですが、姫路と加西の関係は、ラブコメでくっつかなかった主人公と幼馴染の未来のようでもあり、いろいろ想像が膨らみました。

 その二人と並んで印象的だったのが、山田と吉和の咲太の教え子コンビで、伏線は張られていたとはいえ、想定していた以上に吉和が山田にベタ惚れでした。水着の日焼けあとの話を咲太が切り出した時、嫌がるかと思えば、本当に実行しそうな反応をしていました。この二人が今後どうなっていくのかも気になります。

大学生編を通じて感じる麻衣の成長。あまりにも面倒見が良すぎる…【青春ブタ野郎】


 マイスチューデント編では、麻衣の活躍も注目のポイントでした。

 今までのエピソードでも、咲太が他の女の子のところに行くのを許容する女神っぷりをこれでもかというくらい見せていましたが、今回はさすがに思うところがあったのか、クリスマスイヴの咲太と姫路のデートに乱入するという大胆な行動に。


 ただ咲太の浮気が見過ごせなかったというわけではなく、咲太の話を聞いて姫路に思うところがあったのと、一緒に温泉に行けるかまだ分からない状態だったので、どんな形であれ、咲太とイヴを一緒に過ごす時間を作りたかったのかな……と想像すると、やっぱりかわいいですよね。

 また、強く感じたのが麻衣自身の成長です。咲太と出会って間もない、周囲に対し心を閉じていたような頃から考えると、咲太を誘惑しようとしている姫路に対して、あんな優しく接するようになるとはなかなか想像できなかったです。

 忙しい時間の合間を縫っては咲太やのどかを車で送ってあげていたり、とくに大学生編に入ってから、麻衣の面倒見の良さみたいな一面をとくに強く感じます。


 姫路とのやり取りも印象的で、ある意味麻衣って、姫路が欲しかったものをすべて手に入れているんですよね。麻衣は人に好かれることで一時的な自尊心を満たせても、結局その先に何もないことを知っているので、姫路を放っておけなかったのかなと。

 姫路の思春期症候群が解消された理由は、いろいろ解釈ができそうですが、麻衣とのやり取りを通じて、自分が本当に咲太を好きになっていることを自覚したのも、一つの要因かなと思いました。麻衣と咲太の関係が揺るぎないものだと、千里眼で知ってしまうのが怖くなり、結果として力が失われた……というのはありえそうです。

 もっとも、大学に受かって姫路が告白したとして、咲太に受け入れられる可能性はほぼないと思われますが、加西と同じように、振られても諦めないくらい確かな「好き」という気持ちを持てるようになったのは、前に進めたと言ってもいいんじゃないかと思います。


 ラストの温泉のシーンでは、麻衣が温泉に足を入れるシーンの演出が素晴らしく、「たまんないです!」という咲太の気持ちと完全にシンクロしていました。決して露出が多いわけじゃないのに、この圧倒的な色気には制作陣のこだわりを感じます。

 そして『青ブタ』2期も、残すはサンタクロース編のみに。今まで霧島透子だと思っていたサンタクロースは、実は霧島透子ではなかった……という可能性も出てきて、ここから物語がどういう結末を迎えることになるのか、非常に楽しみです。

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米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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