『ポケモン』30周年記念として、ポケモンが歩んできた歴史を私見と交えて辿っている連載コラム。これまで1996年~1999年までの4年間の流れを、その時代背景とともに綴って来ました。

今回、“ゲームボーイ”時代……第1世代と第2世代『ポケモン』の締めくくり、『ポケットモンスター クリスタルバージョン(正式名。以降『クリスタル』)』が発売された2000年を振り返ってみたいと思います。
これまでの、初代『赤・緑』『青』『ピカチュウ』、そして『金・銀』の歴史を綴ったコラムを未読の方は、ぜひ一度そちらをお読みいただけると、より一層楽しんでいただけることと思います。
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閉じる2000年の時代背景と1月
20世紀の終わり……ミレニアムイヤーと騒がれた2000年。前年より、コンピュータの誤動作が懸念された“2000年問題”は何事もなく1年がスタートしました。インターネットと携帯電話の普及が急速に進んでおり、ネットでは電子掲示板を使った情報のやり取りや意見交換が盛んに行われ、この年の流行語大賞には“IT革命”が選ばれています。
アムラーなどの初期コギャルブームを支えていた世代は、大学生や社会人になっており、“ヴェルファーレ(velfarre)”などの大型ディスコ店を中心に第3次パラパラブームの真っただなかにいました。街ですれ違う男子高生は、学生服やジーパンを腰までずり下げてはくファッション“腰パン”が流行っていた時代です。
ゲーム業界では、次世代機戦争のつぎの世代“プレイステーション2”や“ゲームキューブ(前年の開発発表当時はコードネーム:Dolphin)”の情報が飛び交い、21世紀に向けた新世代機が見え隠れしているなか、市場に先行投入されたセガの“ドリームキャスト”は孤軍奮闘中でした。
携帯ゲーム機では、『ポケモン』シリーズの後ろ盾もあり“ゲームボーイカラー”(1998年10月発売)が好調で、1999年5月より6,800円と価格を下げ順調にシェアを拡大。前年1999年3月、その携帯ゲーム機市場に鳴り物入りで登場した“ワンダースワン”(バンダイ)が一定数のシェアを獲得し、つぎの1手を待っているような状況です。
この“ワンダースワン”は、“ゲーム&ウォッチ”や“ゲームボーイ”の開発に携わった横井軍平(よこい ぐんぺい)氏率いる株式会社コトがアドバイザーとして関わっているゲーム機ということで、私的にもその動向に注目していました。

1月。子どもたちのあいだでは、前年11月に発売された『金・銀』の人気が絶好調で、年明けからの人気も衰えることなく続いていました。『ポケモン』のほかにもトミー(現:タカラトミー)の玩具シリーズ『ZOIDS(ゾイド)』人気も高まっており、また、新しくベイブレードやビックリマン2000の人気が出はじめた時期でもあります。
このほか、1月30日には、テレビシリーズとしてはじつに10年以上ぶりとなる仮面ライダーの新作『仮面ライダークウガ』の放送が開始され、子どもたちのあいだで人気を獲得していきます。この年より平成仮面ライダーシリーズ、そして令和仮面ライダーシリーズとして現在も放映中です。
そんななか『ポケモン』は、『金・銀』で新しく加わったジョウト100匹の話題が続きます。“バルキー”のような特殊進化のポケモンのことや、“アンノーン”のこと、“ミュウ”のように幻のポケモンは?…などなど、まだすべての情報は公開されておらず、相変わらずの人気ぶりです。
この時代、インターネットの普及が拡がっていると言うものの、SNSですぐに情報が拡散するといった状況もなく、まだまだゲーム雑誌や攻略本からの情報に頼るような時代です。そんなすぐには情報が入らない状況で、自力で新しいポケモンを探す楽しみや見つけたときの喜びは、いまとはまた違った喜びだったように思えます。
テレビアニメの『ポケットモンスター』は、ジョウト地方への冒険が前年の10月にはじまっているものの、サトシがキキョウシティでひとつめのウイングバッジを手に入れたタイミングで、まだまだこれからといったところです。
3月~7月 幻のセレビィと『結晶塔の帝王ENTEI』
3月4日。世界で史上最も売れた(2026年2月時点)ゲーム機 “プレイステーション2”が発売されます。発売後3日で販売台数98万台を売り上げ、その月には125万台を達成。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いでした。

ですが、2026年2月時点で国内の累計販売台数はSwitchが3812万台で首位となっており、世界累計販売台数も1億5537万台(PS2は1億6000万台)となっています。後継機となるSwitch2が発売されてはいるものの、現役機でもあることから今後の結果が気になるところです。
4月。『ポケモン』人気は変わらず。“月刊コロコロコミック”でも『金・銀』は“発売中で欲しいゲーム”の1位をキープしており、まだまだ指をくわえて待っている子どもたちがいることが分かります。
この4月には、世界的にも有名なボードゲーム『モノポリー』とコラボした『モノポリーポケットモンスター』がトミー(現タカラトミー)から発売されています。『ポケモン』のボードゲームは1997年にオリジナルルールの作品が、同じくトミーから発売されていたのですが、私は『モノポリー』に馴染みがあり、こちらを購入して遊んでいました。

6月になると、ついに『金・銀』幻のポケモン、図鑑ナンバー251“セレビィ”が大々的に発表されます。このときの入手方法は8月25日~27日に幕張メッセで開催される“NINTENDOスペースワールド2000”で10万人プレゼントでした。「やっぱりそう来るよなー」と思った次第です。
私はこのときの“スペースワールド”には行けなかったのですが、もらえたのはLv.5の“セレビィ”で、おや名は“スペース”か“ワールド”。覚えているわざは、やどりぎのたね/ねんりき/いやしのすず/じこさいせい、だったようです。
7月。ポケモン映画の3作目となる劇場版『ポケットモンスター 結晶塔の帝王ENTEI』同時上映『ピチューとピカチュウ』が公開されました。
特典付き前売りチケットは限定10万名で3月より発売されており、特製ポスターが付いていました。
さらに、このときは入場特典として先着450万人に『ポケモンカード★ネオ』の限定カード2枚組が配られています。

興行収入は48.5億円で2000年邦画での首位を獲得。洋画と合わせると、『M:I-2(ミッション:インポッシブル2)』が97億円で首位。2位が『グリーンマイル』の65億円、3位に『結晶塔の帝王ENTEI』が入っており、相変わらずの人気ぶりを見せます。
この7月には、“ニンテンドウ64”タイトル『ポケモンスタジアム金・銀』の情報、さらに派生ゲームとしてパズルゲーム『ポケモンでパネポン』が“ゲームボーイ”で9月に発売される情報が出ています。
また、7月21日にはピカチュウが大きく造形された特別モデルの“ピカチュウ ニンテンドウ64”本体が2色カラーで発売されました。
8月~10月 『クリスタル』の情報と『ポケモンでパネポン』
8月になると前述した“NINTENDOスペースワールド2000”が開催され、それに先立ち1999年9月に開発中と話題が出た次世代ゲームボーイ“ゲームボーイアドバンス”が2001年3月21日に発売されることを開催前日に発表。
さらに、任天堂が出す新世代機“ゲームキューブ”を2001年7月に発売予定(実際は9月に発売)として開発しているのを正式発表しました。
任天堂が21世紀の新たな世代に向けて動き出していることが垣間見えてきた時期となります。
この“NINTENDOスペースワールド2000”の会場では、『金・銀』に続いて第2世代のポケモンから『ポケットモンスタークリスタル(仮称)』(このときは仮称で、まだ”バージョン“が付いていませんでした)が約4カ月後の12月14日には発売することが電撃発表されており、体験コーナーも設置。このときより、各メディアも報じます。
新たに女の子キャラ(のちに主人公で、性別が選べることが判明)のビジュアルや、バトルシーンでポケモンがアニメーションして登場するという新情報が飛び交い、映画熱からまだ冷めてないこの時期に、いやがおうにも『クリスタル』への期待が高まります。

そんな注目が集まるなか、9月21日には派生タイトルで“ゲームボーイカラー”専用タイトル『ポケモンでパネポン』が発売。ポケモンの派生タイトルとして初となるパズルゲームです。
この『パネポン』とは、1995年10月に“スーパーファミコン”で発売されたアクションパズルゲーム『パネルでポン』の略称で、これまでに多くの任天堂プラットホームに移植、配信され、また『ヨッシーのパネポン』のように、ほかキャラクターとのコラボタイトルでも展開されています。
『ポケモンでパネポン』には、いろいろなモードがあるのですが、“ひとりであそぶ VS COM”では、各地のジムでジムリーダーと『パネポン』勝負して進んで行きます。最初に手持ちとしてチコリータ、ヒノアラシ、ワニノコが仲間になっていて、3匹とも倒されるとリトライになります。
このジムリーダーと戦っているときに、ある一定の条件(例えば、6個同時消しなど)を満たして倒すと、その成功した条件によって挑戦者が現れます。その挑戦者を倒すと、挑戦者が使っていたポケモンを使えるようになります。

“スーパーファミコン”の『パネルでポン』は、SwitchとSwitch2有料サービスの“Nintendo Switch Online”を利用していると無料で遊ぶことができます。
10月。1998年4月より“ポケモンセンタートウキョー”の運営会社として任天堂、ゲームフリーク、クリーチャーズの共同出資により設立されていたポケモンセンター株式会社が、株式会社ポケモンに商号変更。ポケモンを永続的なブランドとして育てる担い手となり、ポケモンがより大きく羽ばたくことになります。
20世紀の終わり『クリスタル』『ポケモンスタジアム 金・銀』
12月14日。突然の発表から約4カ月。『ポケットモンスター クリスタルバージョン(正式名。以降『クリスタル』)』と『ポケモンスタジアム 金・銀』が同時発売され、この年の年末商戦を彩ります。

この年末商戦では、同じく“ゲームボーイカラー”専用タイトル『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ4 最強決闘者戦記』や『ゲームボーイ ドラゴンクエストⅢそして伝説へ・・・』といった人気タイトルが発売され、“ゲームボーイカラー”のシェアがさらに拡大します。
『クリスタル』はゲームボーイカラー専用タイトルとなり、『金・銀』より多くの変更点が盛り込まれました。
パッケージに描かれた“スイクン”の謎に迫るメインストーリーの強化に加え、主人公に女の子キャラを選べるようになりました。
またバトルでのポケモン登場時やステータス画面でポケモンがアニメーション演出されるようになっています。

このほかにも、“わざおしえオヤジ”の初登場や、“アルフのいせき”のエリア追加、図鑑の説明文など、大小さまざまな要素が盛り込まれ、『金・銀』を遊んだ人でもまた新鮮に冒険ができるようになっています。
また、このあと2001年1月に発売される“モバイルアダプタGB”に対応しており、“ゲームボーイカラー”と携帯電話を繋いで通信機能を使ったポケモン交換やバトルなど、さまざまな遊びが提供されました。
このシステムを使ってゲーム内でセレビィを入手できるイベントを発生させることができることなど、いまでは普通になっているシステムを先取りしているのが分かります。

『クリスタル』と同時発売された“ニンテンドウ64”タイトル『ポケモンスタジアム 金・銀』は、これまでの『ポケモンスタジアム』と『ポケモンスタジアム2』から続いたシリーズで、『金・銀』『クリスタル』に対応する最新作です。

本作では『金・銀』『クリスタル』に登場する全251匹が使用可能となりました。さまざまなバトルモードのほかにも、新しいミニゲームの追加など、これ単体で遊べる要素が豊富に用意されています。
GBパックを使用してのボックスやどうぐ整理などの便利機能もアップグレードされ、おなじ世代のソフトであればどうぐの移動も可能になりました。また第1世代と第2世代のソフト間でポケモン移動も可能(第1世代に登場しないポケモンや、存在しないわざを覚えたポケモンは移動できません)で重宝しました。
このほかにも、ポケモン講座にある“しりょうしつ”ではポケモンのさまざまな資料を覗くことができます。この資料は……進化や生息地、出現率や出現時間などはもとより、タマゴグループやタマゴわざなどといった普通では知りえないことまで載っており、痒いところに手が届く圧巻の情報量となっています。

余談ですが、今回のコラムで使う画像の撮影のためにとても久しぶりに起動したのですが、当時一緒に冒険したポケモンたちが多く眠っており、思わず「ここに居たのか!」と飛び上がって喜びました。すっかり記憶から抜け落ちていたので感涙です。
この『ポケモンスタジアム 金・銀』はSwitchとSwitch2有料サービスの“Nintendo Switch Online+追加パック”を利用していると無料で遊ぶことができますので、遊んだことがない方はぜひ一度触ってみてください。
20世紀の終わり……ミレニアムイヤーの2000年は、『クリスタル』の登場で幕を閉じていきます。
年が明け21世紀には『ポケモン』も新たな局面を迎えることになります。そう……“ゲームボーイアドバンス”の登場です。
このときの私……いや、私だけでなく恐らくみなさんも、これまで一緒に歩いた仲間を、新たな世界に連れ出すことができないとはつゆしらず、年が明けて行くのでした……そんな続きはまた次回。よろしくお願いいたします。
今後の更新情報や、こちらのコラムで紹介しきれなかった『ポケモン』商品のことなど、SNS“X”アカウントにポストしています。『ポケモン』以外のお仕事や趣味のことなども雑多に呟いていますが、よろしければお気軽にフォローしてください。
※記事中の写真にあるグッズ類、本体、ゲームソフト類は私物撮影です。市野ルギア プロフィール
“ファミ通”で雑誌やムック、音楽やWeb番組を作っていました。現在はフリーのミュージシャンで編集ライター。ポケモン歴は1996年2月『ポケットモンスター 赤・緑』の発売日から。“週刊ファミ通”、“ファミ通 ゲームキューブ+アドバンス”で『ポケットモンスター ファイヤーレッド・リーフグリーン』と『エメラルド』のライティングを担当。
“ファミ通Wave DVD”や“ファミ通コネクト!オン”など多くの雑誌に企画・編集・ライティングで携わってきました。
電撃オンラインでは、『ポケットモンスター ソード・シールド』より『ポケモン』シリーズのプレイレポートを不定期で連載しています。
また、ゲーム曲やそのアレンジ、ラジオやテレビの主題歌など手掛けています。歌から物語を創る自身の音楽ユニット「終末のバンギア。」をプロデュース中。
これまでの経歴などは“ポートフォリオ”ページをご用意しておりますので、そちらをご参照ください。
・“市野ルギア”ポートフォリオページ