グラビティゲームアライズより8月29日(木)に日本先行で発売される、PS5/PS4/Nintendo Switch用ワールドクラフトRPG『神箱 - Mythology of Cube -』。そのレビューをお届けします。
広大なゾフィール大陸を舞台に、断片化した土地を直す“修復者”の旅が描かれる『神箱』。パズル、バトル、クラフトなど多彩なジャンルの遊び要素が詰め込まれた、ぜいたくなRPGとなっています。
すでに体験版レビューや先行プレイ日記がアップされていますが、あらためて本作のレビューを掲載。これまで書ききれなかった部分も含め、総括的な感触をお届けしていきます。
※プレイしたバージョンおよび記事内の画像は開発中のものとなります。
あまりにも膨大だけどついつい進めてしまうクエスト!【神箱】
本音を言うと、このレビュー記事は本作をクリアしてから書きたかったです。かなり早い段階からプレイ用のROMをいただいたし、なにより内容が個人的にドツボだったので、これは是が非でもエンディングまで見届けてから執筆したい……と。
でも、ムリでした。単純にボリュームがありすぎて物量に負けました! 開発者インタビューで「ストーリーを追いかけるだけでもざっと100時間は超えると思います」と言われたあの話が、誇張抜きのマジだったと痛感しています。
本作は5つの地域に分けられたゾフィール大陸が舞台となり、このうち中央に位置するザンクトアリウムと、北方に広がるノーアトゥーンの地域で主にゲームが展開。ザンクトアリウムはチュートリアルがメインの地域ですが、それでも隅々まで遊び尽くすと十数時間はかかりました。
ノーアトゥーンはザンクトアリウムと比較にならない広さを誇り、点在する町村やダンジョンの数もグッと増えます。ノーアトゥーンに突入してからが『神箱』の本番で、100時間超えも納得の大ボリュームの冒険が待ち構えています。
プレイしているとグングン時間が溶ける本作ですが、その要因の1つがクエスト。プレイ日記ではほとんど触れていませんでしたが、本作にはメインとサブ合わせて膨大なクエストがあり、ゲームを大きく膨らませています。
ストーリーを進めるだけならメインクエストをクリアしていけばOKですが、各地の人々から受注できるサブクエストも小話がおもしろく、ついつい手を出してしまいます。報酬でパーティ強化がはかどるほか、話を通じて世界観の知識も深まるので、サブクエストが意欲的にプレイできるコンテンツとして仕上がっています。
また、仲間キャラの個別シナリオもクエストの一種として発生。各キャラにスポットを当てた個性的なシナリオは、長い旅におけるいいスパイスになっているので注目です!
仲間3人+アプリオリがそろってからがバトルの本領発揮【神箱】
ターン制かつセミオートである本作のバトルは、主人公が仲間に付与するマナの管理が重要となります。マナ付与によって繰り出せる武器スキルがバトルのカギであり、装備変更も考慮したスキルの組み合わせ方は無限大。
最初に仲間になるのはアルクとミナスの2人のみですが、仲間キャラは最大3人でパーティを組めるので、3人目が加入してからが真のバトルといえます。各キャラにつき2つの武器を戦闘中に切り替えられるので、選択できるスキルは計6つ。スキル内容も攻撃、バフ、回復など多岐にわたり、対象も単体と全体で用意されていて、スキルの組み合わせだけでいくらでも楽しめます。
また、各キャラには職業ごとの固有スキルが存在するほか、仲間キャラ自体も10人と多いので、編成が一辺倒にならないのも魅力的。100人のプレイヤーがいれば、100通りのパーティ編成があると言えるでしょう。
さらに、ゲームを進めるとアプリオリという精霊が主人公たちに力を貸してくれます。アプリオリの仕組みはスキルとほぼ同じで、戦闘中に対応属性のマナを仲間に付与すると、アプリオリにもマナがたまっていきます。アプリオリにマナが十分チャージされたら、任意のタイミングでスキルを発動可能。
アプリオリのスキルは、セットした種類に応じてバフやデバフ、回復などさまざま。仲間キャラのスキルよりも必要マナが多めなので、ここぞという場面で使う切り札となりそうです。
序盤のザンクトアリウムでもバトルの魅力は十分味わえましたが、仲間が3人になってアプリオリが解禁されるとさらに奥深さがアップ! 綿密なマナ管理とスキル発動タイミングが求められる、高度なコマンドバトルが満喫できます。
クラフトは難易度に直結する最重要システム【神箱】
本作はパズル、バトル、クラフトの3大要素で成り立つとのことですが、なかでもクラフトは最重要システム。ワールド“クラフト”RPGと銘打たれているので、当然といえば当然ですね。
クラフトには装備品や料理を作るアイテムクラフトと、マップ上に建物を作る施設クラフト(土地開発)がありますが、どちらも手をつけるかどうかでゲーム難易度が激変すると感じました。
アイテムクラフトは強力な武器や防具を作成できるので言うまでもなく大事ですが、土地開発もクラフト素材を資源として入手するために重要となります。個人的な苦手意識から、最初は土地開発をひたすら後回しにしていましたが、ノーアトゥーンに入ると深刻な素材不足に直面し、土地開発の重要性を痛いほど思い知りました。
一応、うまくプレイすればアイテムクラフトも土地開発も最小限で済むようですが、そこそこの難易度で冒険を進めたい人はクラフトも積極的に進めるのがオススメです。とくにノーアトゥーン突入後は敵の強さが段違いなので、できればザンクトアリウムの範囲でクラフトの基本を把握しておきたいところ。
本作はザコ敵との戦闘を避けられるうえ、クラフトをやるかどうかも任意なので、体感難易度はユーザーの遊び方で大きく変わると思われます。ゲーム内に難易度設定はありませんが、プレイスタイルで難しくも易しくもなるRPGです。
自分で考え、攻略していく。ゲームの原始的な楽しさが凝縮された作品【神箱】
濃密な世界観のもと、パズル、バトル、クラフトなどの要素が1つずつていねいに作り込まれている『神箱』。どこに注力して遊ぶかは完全にプレイヤーしだいで、少なくとも“一本道のRPG”という評価は絶対に当てはまりません。
ひたすら探索をしてマップを開いていくもよし、バトルを重ねて地道にレベルアップするもよし、本編そっちのけでクラフトに精を出すもよし。「遊び場は用意したので、あとは自由に遊んでください」という制作陣の声が聞こえてきそうなほど、フリーダムな冒険が味わえます。
数あるシステムのなかでも土地開発はかなり複雑なので、ややとっつきにくさを感じるかもしれませんが、仕組みを理解すると爆発的におもしろくなるかと。自分はゲーム序盤はテンション上昇曲線が緩やかでしたが、ノーアトゥーンに足を踏み入れたときと、土地開発のコツをつかんだときに一気に右肩上がりしました!
土地開発に限らず、システム解説はどれも最低限にとどまっているので、プレイヤーは自然と自分で考えて攻略していくことになります。思わぬ閃きや発想で道を切り開けたときの達成感は、ゲームの原始的な楽しさに通じるものがありますね。
UIまわりで少し気になる部分はあるものの、全体的に遊びやすく、高い中毒性と完成度を誇る本作。今までにないRPG体験になるのは保証できるので、興味がわいた人はぜひゾフィール大陸の冒険に飛び込んでください。現在体験版が配信中なので、まずはこちらからでも!!
『神箱』プレイ日記
『神箱』開発者インタビュー
スズタク:RPGとアクションをこよなく愛するライター。近年、シミュレーションRPGのおもしろさに気づき始める。