グラビティゲームアライズより8月29日(木)に日本先行で発売される、PS5/PS4/Nintendo Switch用ワールドクラフトRPG『神箱 - Mythology of Cube -』。その開発者インタビューを2回にわたって掲載します。
インタビューのお相手は、プロデューサーの神崎喜多(かんざき よしかず)氏とアシスタントプロデューサーの石井政仁(いしい まさひと)氏。インタビュー後編では、パズルやバトル、クラフトなど本作を構成する多彩なシステムについてお話を訊きます!
※記事内のゲーム画像は開発中のものとなります。
パズル、バトル、クラフトの3大要素で成り立つ『神箱』
――さまざまなジャンルが詰め込まれた『神箱』ですが、とくに大きな要素を挙げるといくつになりますか?
神崎喜多氏
(以下、敬称略) 『神箱』はパズル、バトル、クラフトの3大要素を掲げています。
ゲームの流れとしてはまず、バラバラになった土地を修復するためのパズルがあります。次に、パズルで直した土地にモンスターが現れるのでバトルが発生します。そして、モンスターを倒して平和になった土地で、さまざまなものを建てるクラフトが楽しめますよ、という感じです。
ゲームの流れとしてはまず、バラバラになった土地を修復するためのパズルがあります。次に、パズルで直した土地にモンスターが現れるのでバトルが発生します。そして、モンスターを倒して平和になった土地で、さまざまなものを建てるクラフトが楽しめますよ、という感じです。
ゲームシステムとして見ると、クエスト、マナパズル、マップクラフト、ダンジョンなども加わることになります。
――では、3大要素を制作するうえでこだわった点をお聞かせください。まずは、パズルから。
石井政仁氏
(以下、敬称略) パズルに関しては、誰でも触りやすい2マッチパズルになっているのが大きなポイントですね。パズルゲーム自体は年齢層の幅が一番広いジャンルなのですが、ユーザーさんによっては敬遠しがちな要素だとも認識しています。
そういう方々でも楽しめるよう2マッチパズルというシンプルなルールを採用し、そのなかで手数や時間制限を設けて、触りやすくも遊びごたえのあるゲーム性を目指しました。
そういう方々でも楽しめるよう2マッチパズルというシンプルなルールを採用し、そのなかで手数や時間制限を設けて、触りやすくも遊びごたえのあるゲーム性を目指しました。
神崎
“パズル”という単語から難しそうなイメージが想像されるかもしれませんが、中身は“誰でもできて解けるもの”という点に一番こだわりました。
石井
僕自身も普段パズルゲームはそれほど遊ばないのですが、『神箱』のパズルはテキトーに動かしていても気持ちよくピースを消せます。慣れてくると、ピースをまとめて消せる動かし方も見えてくるので、遊びながら自然とうまくなれる感じですね。
――最初はパズルの盤面も小さくてすぐに終わりますが、ゲームを進めるとギミックが追加されていきますね。
――最初はパズルの盤面も小さくてすぐに終わりますが、ゲームを進めるとギミックが追加されていきますね。
神崎
はい。ピースにおジャマ要素が出てきたり、途中でピースの色が入れ替わったりといったギミックが登場します。あと、修復者がアプリオリを使えるようになると、パズルのピースの色を変化させることもできます。
ベースは“誰でも触りやすく”ですが、パズルとしての難しさ、おもしろさ、応用などはしっかり練り込んでいます。
ベースは“誰でも触りやすく”ですが、パズルとしての難しさ、おもしろさ、応用などはしっかり練り込んでいます。
単なるターン制バトルではない“マナ管理バトル”を追求
――続いて、バトル制作でこだわった部分を教えてください。
神崎
主人公がメインで戦うのではなく、味方に力を付与して戦わせる独特なシステムで、ほかの作品とはひと味違うバトルになるようこだわりました。一番力を入れたのは“マナバトル”といっても過言ではないです。
石井
バトルの担当スタッフは、「単なるターン制にはしたくない」と言っていました。修復者のマナ総量と、毎ターン得られるマナを上手にやりくりしながら戦うリソース管理バトルにしたいと。
装備する武器によって消費するマナ属性が変わりますし、ダンジョンでは移動にもマナを使うので、戦闘であまり消費すると探索がままなりません。マナをいかに管理して攻略するかという部分で、ほかのターン制バトルにはないおもしろさを生み出せたと感じています。
神崎
本当にうまくリソース管理をゲームに落とし込めているので、ここは開発スタッフや石井の調整のおかげだと思っています。実際に遊ぶとわかるのですが、バトルで通常攻撃のみで戦うとすごくしんどいんですよ。序盤のアルクとミナスだけのパーティーで通常攻撃のみで戦うと、そこらへんのザコ敵にも大苦戦するくらいで。
そこに修復者がマナの力を付与することで、超強力な必殺技が使えるようになって、通常攻撃だけだと4ターンかかったバトルが一撃で終わる。このように、マナの重要性がシステム的にも設定的にも生きているのが見どころです。
そこに修復者がマナの力を付与することで、超強力な必殺技が使えるようになって、通常攻撃だけだと4ターンかかったバトルが一撃で終わる。このように、マナの重要性がシステム的にも設定的にも生きているのが見どころです。
バトルのチュートリアルで、マナによって力がみなぎったとアルクが興奮して語りますが、あの反応がそのまま『神箱』のゲーム性を表していますね。とにかくマナさえあれば、このゲームはラクになります(笑)。
――必殺技を実行しなかった場合、仲間キャラは通常攻撃をオートで繰り出すだけとなります。このあたりの簡略化は意識したものだったのでしょうか?
神崎
そうですね。テンポ感をよくしたかったので、そこはバッサリ切り詰めました。
石井
マナ管理バトルの面を押し出したかったので、通常攻撃については武器に付随する状態異常付与などで戦いの幅を出すくらいに留めています。あとは、プレイヤーに徹底的にマナ管理をしてもらうという方向に全振りしています。
――バトルについては、演出の簡略化が公式X(Twitter)にて発表されましたね。
石井
体験版を出して以降、SteamのユーザーレビューやXでのお客様の反応などは毎日チェックするようにしています。そのなかでゲーム内に入れ込めそうなものは随時改善していこうという形で進めています。
――体験版を遊んだユーザーの反応で印象的だったものは?
――体験版を遊んだユーザーの反応で印象的だったものは?
神崎
一番はバトル演出についてですかね。私たち開発陣は見慣れてしまっているからかバトルのテンポ感は悪くないと思っていたのですが、遊んだお客様からは「演出がくどい」といった意見が想像以上に届きました。
一応、バトルには2倍速機能があるのですが、ユーザーさんが求めていたのはそういうことではなく、バトルの各フェイズに挟まれる演出のくどさだったんですね。実際にプレイした方々がそう感じるのであれば修正したほうがいいと思い、改良バージョンの映像をXでも公開しています。
一応、バトルには2倍速機能があるのですが、ユーザーさんが求めていたのはそういうことではなく、バトルの各フェイズに挟まれる演出のくどさだったんですね。実際にプレイした方々がそう感じるのであれば修正したほうがいいと思い、改良バージョンの映像をXでも公開しています。
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— 神箱 - Mythology of Cube - (KAMiBAKO) 公式???♀? (@KAMiBAKO_mc) July 11, 2024
?? 皆さまへのお知らせ
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先日はバトル中の演出に関して
アンケートにご参加いただきありがとうございました??
・いただいたご意見をもとにバトル演出を簡略化し、
各フェーズの演出を別表示できるように仕様変更いたしました。
皆さま発売をお楽しみに!#神箱#KAMiBAKO pic.twitter.com/quZl37GE4u
――改良版を見ましたが、かなりテンポがよくなっていますね。
神崎
はい、テンポはよくなりました。ただ、演出が短縮されたことで、今度は武器スキルの先行入力が間に合わなくなるという問題を抱えています。このあたりの解決も含め、現在も調整を繰り返しています。
――ゲーム内に難易度設定がないのは、最近のゲームとしては珍しい気がしました。
――ゲーム内に難易度設定がないのは、最近のゲームとしては珍しい気がしました。
神崎
そのあたりはバランス調整に苦労したところです。パズル、バトル、クラフトのどれが得意な人でも、自由にやり込んでクリアできるように難易度は設計しています。「『神箱』って一本道だよね」という印象だけは絶対に避けたかったので、自由度の高さと難易度のバランスには気を配っています。
石井
幅広く探索をしていけば、そこで戦えるモンスターからだんだん上級素材が手に入ります。その素材を組み合わせてクラフトをすれば強い装備が手に入り、結果としてバトルも戦いやすくなるという流れになっているかと。
神崎
その地域で発生するサブクエストを進めていれば、まんべんなく強化されるようには調整しています。サブクエストである程度強化をし、次の場所へ進むという流れです。
サブクエストではクラフトのやり方や拠点の築き方、馬車の引き方など全部学べますし、クラフトの重要アイテムを敵が落としたりもしますので。困っている人を助ければ、ちゃんと我が身に返ってくるということですかね(笑)。
――戦闘中には敵にもレベルが表示されますが、これが挑む際の一種の目安になるのでしょうか?
サブクエストではクラフトのやり方や拠点の築き方、馬車の引き方など全部学べますし、クラフトの重要アイテムを敵が落としたりもしますので。困っている人を助ければ、ちゃんと我が身に返ってくるということですかね(笑)。
――戦闘中には敵にもレベルが表示されますが、これが挑む際の一種の目安になるのでしょうか?
石井
そうですね。レベル40ぐらいまでは、同レベルか1つ上に上げるだけでだいたいなんとかなると思います。レベル40以降の敵は、装備やスキルをしっかり練らないと厳しいかもしれません。
ちなみに、装備は町でもある程度買えるので、相手の弱点属性の武器を買って装備させるだけでもだいぶラクになりますよ。
ちなみに、装備は町でもある程度買えるので、相手の弱点属性の武器を買って装備させるだけでもだいぶラクになりますよ。
欲求が高い人ほどやることが増えて沼と化すクラフト
――では、3大要素の最後であるクラフトで注力した部分は?
石井
『神箱』におけるクラフトは、好きな場所に好きな拠点を築いて、そこから未探索範囲のマスを開いていく要素として位置づけています。
RPGとしてどんどんシナリオを進めたい人には、最小単位の町さえクラフトすればそれで済むようになっています。逆にめちゃくちゃやり込みたい人には、建物や外観まで凝って自分の王国を作り出せるようなシステムになっています。
RPGとしてどんどんシナリオを進めたい人には、最小単位の町さえクラフトすればそれで済むようになっています。逆にめちゃくちゃやり込みたい人には、建物や外観まで凝って自分の王国を作り出せるようなシステムになっています。
神崎
クラフトについては、“人の欲求に応えられる”システムにしようと狙っていました。
たとえば、強い装備が欲しいなら、木材・鉄・鉱石などを集める施設を作って大鍛冶屋を作らないといけない。ダンジョンを効率よく踏破するなら、近くに宿屋などの拠点を作ってからアタックしたい。
キャンプで料理を食べたいとなると、自分でお肉や卵や野菜を育てないといけない。さらに上位の効果のあるいい料理を食べたいなら、農作物も育てないといけない。
たとえば、強い装備が欲しいなら、木材・鉄・鉱石などを集める施設を作って大鍛冶屋を作らないといけない。ダンジョンを効率よく踏破するなら、近くに宿屋などの拠点を作ってからアタックしたい。
キャンプで料理を食べたいとなると、自分でお肉や卵や野菜を育てないといけない。さらに上位の効果のあるいい料理を食べたいなら、農作物も育てないといけない。
こうした欲求にリアルに応えられるのがクラフトで、そういう意味で“ワールドクラフト”をしっかり形にできたかと。このゲームって、欲求が高い人ほどやることがどんどん増えて楽しくなっていくんですよ。
――たしかに、初めて土地開発が解禁されたときのワクワク感はすごいものがありました。
神崎
最初に土地開発で村を作った場所は、ザンクトアリウムの近くで木材と石と農作物がバランスよく採れる場所なんですよ。上級者になると、ザンクトアリウム全体を盛大な素材収穫所にすることも可能です。
石井
じつは、ザンクトアリウムは森や山、平原などのロケーションがキュッとまとまっている地域なんです。なので、素材獲得用の拠点をたくさん作っておくと、のちのちの冒険がすごくスムーズになります。これがノーアトゥーンになると、広すぎて拠点同士を繋ぐのが難しくなるんですよね。
神崎
素材があれば強い装備を作れますし、キャンプでいろんな料理も食べられます。クラフトで作る料理はバフが強力なので、土地開発で資源を得るメリットは主に装備と料理の2つです。
――自由に村や町を作れるだけでも驚きましたが、町村同士を繋ぐことで交易が発生するという作り込みにも脱帽しました。
――自由に村や町を作れるだけでも驚きましたが、町村同士を繋ぐことで交易が発生するという作り込みにも脱帽しました。
神崎
作ったものをどこかの拠点に運びたいよね、という意見から交易のシステムが作られました。特別やり込み要素として入れたわけではなく、土地開発の流れであり得る話だろうという考えから実装に至りました。
クラフトは言うなれば“インフラ整備”のようなもので、手をかければかけたぶんだけ旅が円滑になります。ただ、必須要素ではなく、最小範囲だけクラフトに手を出して、あとは冒険優先で遊ぶこともできます。
――施設クラフトは自由度がすさまじく高いぶん、どうすればいいのか悩むユーザーもいるかと思います。そういう人に向けて、開発者目線でちょっとしたアドバイスがあれば教えてください。
クラフトは言うなれば“インフラ整備”のようなもので、手をかければかけたぶんだけ旅が円滑になります。ただ、必須要素ではなく、最小範囲だけクラフトに手を出して、あとは冒険優先で遊ぶこともできます。
――施設クラフトは自由度がすさまじく高いぶん、どうすればいいのか悩むユーザーもいるかと思います。そういう人に向けて、開発者目線でちょっとしたアドバイスがあれば教えてください。
石井
何を建てたらいいか迷ったら武器屋、宿屋、パン屋を建ててみてください。この3つさえあれば、『神箱』はある程度どうとでもなります(笑)。目的地と既存の町の距離が長かったら、その中間地点あたりに拠点を建てると便利です。
ゲーム内にファストトラベルもありますが、利用できる地点はけっこう絞っています。ここは不便に感じるかもしれませんが、クラフトで拠点を開拓したり移動手段を快適にしたりできることを考慮して、意図的にそのようにしています。
――作った建物は、周囲を柵で囲って村化させたほうがいいのでしょうか?
ゲーム内にファストトラベルもありますが、利用できる地点はけっこう絞っています。ここは不便に感じるかもしれませんが、クラフトで拠点を開拓したり移動手段を快適にしたりできることを考慮して、意図的にそのようにしています。
――作った建物は、周囲を柵で囲って村化させたほうがいいのでしょうか?
石井
必ずしも村化させる必要はありませんが、柵で囲っていない建物は月日がたつと野盗などに壊されてしまいます。私がプレイする際は、壊されてもいいので宿屋を使い捨てでバンバン作っては先に進んでいます。
神崎
私は逆に、念入りに拠点を築いてインフラを整えてから先に進むタイプです。このやり方だと序盤にすごく時間がかかるのですが、後半になるほど移動が快適になってラクに進められるんです。どのようなスタイルで遊ぶかは、ユーザーさんしだいですね。
――最後に、発売を楽しみに待つユーザーへメッセージをお願いします。
石井
私自身、この作品をとても楽しく制作できたという実感があります。最初に世界観を濃密に固めたおかげで、開発陣一同、クリエイター歴に関係なく意見を持ち寄って作り上げることができました。そんなこだわり抜いた『神箱』で、未知の場所を開放していく楽しさを味わってください!
神崎
RPGといえば“剣と魔法で戦う勇者が世界を救う”というのが鉄板ではありますが、そういうRPGとは違うものを用意しました。主人公の修復者は土地を直したりクラフトしたりはできますが、戦う力はまったくなくて、だからこそ仲間と共に戦っていくというのが重要なテーマになります。
期待を裏切らぬようとことん作り込んでいて末永く遊べますので、ぜひ手に取っていただきたいです。
期待を裏切らぬようとことん作り込んでいて末永く遊べますので、ぜひ手に取っていただきたいです。
『神箱』開発者インタビュー
『神箱』プレイ日記
スズタク:RPGとアクションをこよなく愛するライター。近年、シミュレーションRPGのおもしろさに気づき始める。