2024年10月22日から12月24日まで放送された、ドラマ『ウイングマン』。本作は、様々な特撮作品のオマージュはもちろん、作品の裏側のネタも散りばめられているなど、特撮ファンならば思わずニヤリとする要素が満載でした。
そこで本コラムでは、原作漫画とアニメをリアルタイムで見てきた特撮大好きなライターが、ドラマ『ウイングマン』に隠されている特撮の元ネタや、意外なネタをピックアップして紹介していきます。
そこで本コラムでは、原作漫画とアニメをリアルタイムで見てきた特撮大好きなライターが、ドラマ『ウイングマン』に隠されている特撮の元ネタや、意外なネタをピックアップして紹介していきます。
索引
4話の入浴シーンでアオイが遊んでるおもちゃにも目がいきますよね?【ドラマ:ウイングマン】
桃子が並べた“1番”のワード
桃子がアクション演劇部に入りたいとアピールした時、健太の「じゃあ一番好きなのは?」の質問に対して、「ギャバンの蒸着のようなワードの1番なんて~」と、いくつかの単語を挙げていました。それらの単語が登場する番組は以下のとおり。
蒸着:宇宙刑事ギャバン(1982年)
赤射:宇宙刑事シャリバン(1983年)
焼結:宇宙刑事シャイダー(1984年)
重甲:重甲ビーファイター(1995年)
超重甲:ビーファイターカブト(1996年)
燦然:超光戦士シャンゼリオン(1996年)
健太はもちろん、桃子も今から30年以上前に放送された、のちに“メタルヒーロー”シリーズと呼ばれる作品もバッチリ網羅しているようです。そのうえ、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』を手掛けた白倉伸一郎さんと井上敏樹さんがメインスタッフに名前を連ねている『超光戦士シャンゼリオン』も履修しているのも侮れません。
ちなみに余談ですが、『重甲ビーファイター』のオープニングでは、みなとみらいの横浜ランドマークタワー周辺が工事中だったころの様子が映っています。こういう、ロケ地の過去の姿が見られるのも特撮作品の楽しみ方の1つなので、ぜひチェックしてみてください!
アオイの入浴シーンで登場したおもちゃ
アオイがお風呂で遊んでいるおもちゃは、マスコット入り入浴剤の“びっくらたまご”シリーズより、『仮面ライダーオーズ』のシャウタコンボと『動物戦隊ジュウオウジャー』のジュウオウシャークです。
また、浮かんでいるアヒルのおもちゃは、『特捜戦隊デカレンジャー』でウメコがお風呂に浮かべていたアヒルのおもちゃで、ウメヨ、ウメノスケ、ウメゴロウの名前がついていました。
ギャバンショーの売店で売られている意外なものとは?
『宇宙刑事ギャバン』ショーの入口の物販コーナーのギャバンのスーツの横で、坂本浩一さんの著書『映画監督 坂本浩一 全仕事 ~ウルトラマン・仮面ライダー・スーパー戦隊を手がける稀代の仕事師』が売られているのも見逃せません。
ギャバンショーを見に来た客のなかに、かつて地球を守ったあの人の姿が
ショーでギャバンの登場に興奮して、美紅ちゃんの洋服にアイスをつけた子どもがいたシーンを覚えていますか? その子どもの母親を演じていたのは、『忍者戦隊カクレンジャー』でニンジャホワイト/鶴姫を演じた広瀬仁美さんです。
ちなみに、広瀬仁美さんは東映特撮ファンクラブ(TTFC)で配信中の『劇場版 仮面ライダーリバイス』の前日譚にあたるスピンオフドラマ『Birth of Chimera』や、『忍者戦隊カクレンジャー 第三部・中年奮闘編』などの坂本浩一さん監督作品にも出演されています。
5話に登場した、ポスターの文字すら見逃せない【ドラマ:ウイングマン】
特撮の聖地で爆破体験が可能!
アクション演劇部の部室には、健太が自宅から持ってきたのか、特撮ヒーローのおもちゃがいくつも飾られているので、つい目がいってしまいます。ところがそれ以上に気になったのは、ホワイトボードに貼ってあるチラシでしょう。チラシには、“特撮の聖地 栃木岩舟山”のほか、“爆破、火器、爆破のご相談コーナー”の文字が!
実在する岩船山は、近年の特撮作品の爆破などが行われるシーンのロケ地として有名で、実際に爆破体験ツアーが行われています。興味のある方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか?
チラシに映る“ポパイの朝食”の文字にもピンと来た?
チラシにはほかにも、“ポパイの朝食に舌鼓”の文字があることに気付きましたか? このポパイの朝食とは、東映特撮作品などの早朝ロケではおなじみの、ポパイというお店のおにぎり弁当のことだと思われます。
ちなみに『仮面ライダーガッチャード』41話“神の模造品(トレース)、虹の祝福(グレイス)!”で、ニジゴンと一緒に働いていた運送業者の2人が食べていたのが、そのおにぎり弁当とのことです。
なおこの41話の監督も坂本浩一さんで、運送業者の2人を演じていたのは『特警ウインスペクター』で香川竜馬(ファイヤー)を演じた山下優さんと、『特救指令ソルブレイン』で西尾大樹(ソルブレイバー)を演じた中山幸一さんです。
正体バレしてもOKなヒーロー、『仮面ライダードライブ』とは?
※以下、『仮面ライダードライブ』に関するネタバレを含みます。正体バレしてもOKなヒーローの例として挙げた『仮面ライダードライブ』は、序盤はその正体を隠したまま活動を続けていました。しかし中盤の25話で、泊進ノ介が特状課のメンバーの前で仮面ライダードライブに変身して正体がバレています。
ですが、じつは特状課の課長だけはもともと正体を知っているどころかベルトさんの協力者だったというオチも。これ以降はみんなの協力を得て、力を合わせて戦うことになります。
3年ぶりでキレが増してる! 6話で見られたまさかのポーズ【ドラマ:ウイングマン】
3年ぶりの仮面ライダー1号の変身ポーズ
6話と言えば、健太が「仮面ライダー1号、本郷猛の衣装とまんまじゃない?」とテンションが上がり、思わず仮面ライダー1号の変身ポーズを取るシーンが印象的です。
健太を演じる藤岡真威人さんは、2021年公開の映画『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』で本郷猛を演じたときに変身しているので、3年ぶりの変身ポーズとなります。
俳優デビューして間もない、18歳だった藤岡真威人さんの当時の変身ポーズと見比べてみるのも楽しみ方の1つでしょう。
爆破を仕掛けている人はまさかの
岩舟山での撮影のシーン。爆破を仕掛けている人は、なんと実際に『スーパー戦隊』シリーズなどで爆破シーンなどを担当されているベテランのスタッフの方です。前述の岩船山の爆破体験ツアーでも爆破を手掛けているそうなので、ツアーに参加してお会いした方もいらっしゃるのでは?
9話でさらに明らかになる、桃子の特撮好きっぷり【ドラマ:ウイングマン】
健太のスマホの着信音は、特撮ファンなら聞きなじみのあるあの音
スマホに福本からメッセージが届いたときに鳴った着信音が、仮面ライダー1号・2号が変身ポーズをとったときに鳴る音でした。
高校生が変身するヒーローの先輩、メガレンジャーの最終回とは?
※以下、『電磁戦隊メガレンジャー』に関するネタバレを含みます。9話で、ウイングマンとして戦っている健太の姿がリークされたうえ、リメルに操られた日本政府はポドリムスとの平和条約の締結のため健太の身柄の引き渡しを要求することになります。そのニュースを見た桃子が言ったのが、「高校生に全部背負わせるなんてメガレンジャーの最終回じゃん」の台詞。
この『電磁戦隊メガレンジャー』は1997年に放送開始した作品で、5人の高校生が変身して邪電王国ネジレジアと戦う物語でした。終盤で敵に正体がバレて学校が襲われ、メガレンジャーたちが追い詰められてしまうなど、ドラマ『ウイングマン』と似たような展開になります。
49話から最終回となる51話までの怒涛の展開は、特撮ファンのあいだでもかなり有名です。まだ見たことがないという方は、この機会にぜひ東映特撮ファンクラブ(TTFC)などでご覧ください。
最終回(10話)を彩るキーアイテムは、当時のもの【ドラマ:ウイングマン】
桃子・布沢・福本に渡した超合金の秘密
最後の戦いに向かう前に健太は、桃子と布沢さんと福本の3人に超合金を渡してまわります。このとき桃子にDX超合金のダイデンジン、布沢にバイオロボ(スタンダード版)、福本にシャリバンの超合金を渡します。じつはここで渡している超合金は、漫画版と同じ組み合わせなのです。
重要なアイテムなので、当時のものを手に入れて撮影されたことが『コンプリートガイド』のインタビューで明らかにされています。
最後の戦いを盛り上げる劇伴は、あの名曲のアレンジバージョン
リメルとの最後の戦いに挑む健太が、歩きながらウイングマンに変身するシーン。ここで流れている劇伴は、宮内タカユキさんが歌うアニメ『夢戦士ウイングマン』の挿入歌『悪!裂!ウイングマン』のアレンジバージョンです。
これまでオープニングの『異次元ストーリー』やエンディングの『WING LOVE』のアレンジバージョンが流れましたが、まさかこの曲まで使われるとは驚きです。
見覚えのあるロケ地に、思わずニヤリ【ドラマ:ウイングマン】
本作では、特撮ファンならば思わずニヤリとするようなロケ地もたくさんあって、ワクワクしませんでしたか?
代表的なところでは、まず1話の最初のカットとなる、健太たちの通う私立傐額高等学校の校門。この校門はドラマなどでも使われることが多く、特撮作品でも福本役の丈太郎さんが出演された『ザ・ハイスクールヒーローズ』や、坂上役の大原優乃さんが出演された『ガールガンレディ』で使われていました。
同じく1話のシードマン・メレムと戦った場所は、『仮面ライダーガッチャード』32話“現る大王!人形たちのジレンマ(監督:坂本浩一)”での戦闘シーンなどで使われているスタジアムです。
4話でキータクラーに誘拐されたアオイが捕まっていた廃工場も、様々な作品で登場しています。続くギャバンショーが開催された場所も、『海賊戦隊ゴーカイジャー』14話“いまも交通安全”で、カーレンジャーにゴーカイチェンジして戦ったシーンなどで見たことがある人も多いことでしょう。
6話でアクション演劇部のPR動画が撮影された広場も、『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』の最終決戦が始まるシーンが印象的なロケ地です。
ほかにも8話でナァスと決着をつけた見覚えしかないアリーナの階段や、リメルとの最終決戦の地など、特撮ファンならば馴染み深いロケ地がたくさんあるので、ほかの特撮作品でどこのロケ地が使われているのかを探すのもおもしろいかもしれません。
簡単に語り切れないほどの愛とネタが詰まった名作【ドラマ:ウイングマン】
以上、2回にわたってドラマ『ウイングマン』に隠されている特撮の元ネタや、意外なネタをピックアップして紹介してきましたが、まだまだ語り足りません! 本作に込められたスタッフの愛情やネタの多さには、本当に驚かされました。
みなさんもぜひ配信で見直したり、3月26日発売のBlu-rayで見直して、気になるポイントをチェックしてはいかがでしょうか?
ドラマ『ウイングマン』をネットで見るには?
ドラマ『ウイングマン』は、DMM TV(月額550円)で視聴できます(2025年1月現在)。各要素が気になった方は、ぜひこちらでチェックしてみてください!
うま:かつては、とあるメーカーでゲームを作ったり、デパートの屋上で特撮ヒーローの中の人だったライター。学生時代はドライバーグローブを装着して学校に通い、サラリーマン時代はドライバーグローブ+ブーツで通勤していたほど、特撮とウイングマンが好き。