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『終天教団』週末号外:終天教をよく知る2人の人物との接触に成功。謎多き新興宗教の真実に迫るインタビュー【第4回】

文:カワチ

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 絶望と混沌が満ちた世界に人類の滅亡を望むものが集まる新興宗教の“終天教団”。

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 その教祖が殺害された事件についての情報を追っている筆者ですが、今回は終天教団についてよく知るおふたりにインタビューすることができました。

 なお、ご本人たちの安全を考慮して顔写真はNG。名前も「K」と「N」という仮名にするということで承認をいただきました。
※本記事はDMM GAMESの提供でお送りするモキュメンタリー記事となります。

終天教団のキーマンにインタビューを敢行!

そもそも終天教とはなんなのか?

――本日はお時間をいただきありがとうございます。さっそくですが、おふたりは終天教について詳しいとのことで。

K氏
そうですね。この宗教の立ち上げから関わっています。

N氏
私はK氏の考えた全体構成を具体的な形にしていきました。

――K氏のアイデアを基にN氏が中心となって作り上げたものだったのでしょうか?

N氏
我々は終天教を作るとともに、新しい学校法人を設立するプロジェクトも動いていました。そちらのKの作業が本格的になっていったので私が宗教のほうの計画をまとめていきました。

K氏
終天教を作るにあたり、デザイン面では信頼できるSを配置しました。ポップでビビットなデザインで人の目に止まるようにしてもらいました。

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――終天教はどのような宗教なのでしょうか。

K氏
人類が滅ぶことを願いながらも平和を望んでいる特別な価値観を持った教団です。よりよい世界を目指している人たちではあるのですが、いざこざがあったことで今はチグハグな状況になっています。

N氏
人類が滅んでほしいと思いながら暴力はしません。しかし、そのなかで殺人事件が起きたり、教祖が殺されたりしているので我々としても困惑をしています。

幹部の人となりについて

――終天教の立ち上げに関わったそうですが、おふたりは教祖と面識はないのですか?

N氏
それは――。

K氏
(遮って)ノーコメントで。

――では、幹部についてお聞かせください。

K氏
いいでしょう。

――まず、法務省の犬神軋はどうですか?

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K氏
彼は……薬物中毒です。

N氏
切れ者ではあるのですが、言動がハチャメチャで掴みどころがない人物です。ただ、すべてにおいて公平であろうという信念を持っています。やるべき役割はしっかり果たしますし、能力は間違いないです。

――保健省幹部の丑寅に関してはいかがでしょうか。クセの強い幹部のなかでは常識人で良識のある人に感じました。

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K氏
豪快な人物ですが、頼りになるのかならないのかわからない……不思議な人物です。

N氏
幹部全員が教祖殺しの犯人にも見えるなかで、ひとりだけ仲間思いで情熱があり、一番いい人っぽく見えますね。ただ実際には神経質だったり目が据っていたりと怪しいところもたくさんあります。

――彼が犯人である可能性もあると?

N氏
それは……わかりません。

――そうですか。それでは、科学省の伊音テコはいかがでしょうか。

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K氏
幼い外見ですが、優秀な頭脳を持った人物です。

N氏
この街のテクノロジーやインフラをすべて管理する科学省の幹部ですからね。自分以外の人間を見下しているところもありますが、本心はわかりません。

――文部省の黒四館はどうですか?

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K氏
大人しそうな雰囲気ですが、底が知れない人物です。

N氏
隠してはいますが、野心家ですね。また、燃えるような恋をしたいという恋愛願望も持っています。

――年頃の女性であれば恋の願望があるのは普通のことなのでは?

N氏
そうですね……。ただ、彼女の場合はその恋を成就させるための行動が普通ではないんです。彼女自身がそういったことをすることには意味があるのですが……すいません、これ以上は話すことはできません。

――もう少しだけ教えてくれませんか?

N氏
すいません……。

――わかりました。では、警備省幹部の伏蝶まんじについて教えてください。

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K氏
警備省は治安維持を司っており、終天教の教えに納得しない異教徒と戦っています。好戦的な人が多いですが、そのなかでも伏蝶まんじはとくに荒れた性格をしています。

N氏
暴力的で乱暴な言葉を使って、一番人を殺しそうですが、一方で街の治安を守ることには真剣で、一番国のことを思っているのは彼女です。部下思いの部分もあり、頼れる姉御のようでもあります。

――彼女を庇うような言い方ですね?

N氏
いえ、我々はすでに終天教とは関係ありませんので。

――いったい終天教団とはなんなのですか?

K氏
2025年9月5日――その日にすべてが明らかになるでしょう。

――やはりなにか知っているのでは?

N氏
これ以上、深入りしないことをお勧めします。それでもどうしても気になるのであれば、9月5日にご自身の目で真実を確かめてみてください。

――わかりました。9月5日ですね。なにかはわかりませんがその日付を覚えておきます。

『終天教団』の開発に携わる小高和剛氏と中澤工氏にインタビュー!


 モキュメンタリー風にお届けしている『終天教団』週末号外の最終回。前半はK氏とN氏と濁した書き方をしましたが、じつは企画原案/シナリオを担当した小高和剛氏とシナリオ/ディレクターを務める中澤工氏へのインタビューをモキュメンタリー風に改変したものでした。

 ここからは、実際のインタビューの模様をお届けしますので、ぜひチェックしてみてください!
※インタビュー中は敬称略

宗教をテーマにする尖った作品

――まずはおふたりが本作にどのように携わったのか教えてください。

小高
企画の原案部分とシナリオの全体構成、一部シナリオを担当した小高です。

中澤
中澤です。全体のディレクションと一部のシナリオ、最終的なシナリオ監修、および調整を担当しました。

――本作の企画の成り立ちをお聞かせください。トゥーキョーゲームスさんは2025年4月に『HUNDRED LINE -最終防衛学園-(以下、ハンドレッドライン)』も発売しましたが、本作と同時進行だったのでしょうか?

小高
ピークはズレていましたが、重なっているところも多々ありました。中澤やしまどりるといった中枢のメンバーはこちらの『終天教団』に集中してもらう形でした。

 シナリオに関しては『ハンドレッドライン』の作業の合間に隙間があったので、そこで執筆しました。ほかのメンバーは『終天教団』のほうを先にやってから『ハンドレッドライン』に合流した形ですね。

――『終天教団』のほうが先だったんですね。

小高
シナリオの着手は『終天教団』のほうが先でしたね。『ハンドレッドライン』は100分岐するシナリオやシミュレーションRPGなど、いろいろな作業があるので、時間がかかった感じです。

――中澤さんは『ハンドレッドライン』よりは『終天教団』に注力していたののでしょうか。

中澤
当初は同時並行で関わっていたのですが、『終天教団』が本格化していくなかで、両立が無理だなということがわかってきて、途中から専任をさせてもらいました。

――『終天教団』は中澤さんが任される形に。

中澤
もともと『終天教団』をDMMさんと立ち上げるときに、どうしても『ハンドレッドライン』と平行になるから、こちらは任せると言われていました。作業が本格化していくなかで、どんどん僕の方が中心となって動いていくようになった感じです。

――本作のデザインはしまどりるさんが担当していますが、しまどりるさんを起用した理由は?

小高
『終天教団』はキャラクターだけでなく風変わりな街や教団も重要なので、しっかりデザインする必要がありました。しまどりるは『レインコード』や『トライブナイン』でも背景デザインを担当しているので、キャラクターと背景を同時に固めていくならば、やはりしまどりるにやってもらうのが一番いいなと思ってアサインしました。

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――宗教という難しいテーマを題材にした理由をお聞かせください。

小高
『終天教団』の根幹のアイデアとなる宗教を題材に5つの物語が展開するというものは、もともとインディーズゲームの規模でもいいから挑戦できたらいいなと考えていたもののひとつでした。DMMさんに「じつはこういうプロットがあるんですよ」とお見せしたところ、尖っていていいのではないかと賛同していただいた形です。

――アドベンチャーゲームのなかで5つのジャンルを作るということも最初から決まっていたのでしょうか?

小高
ゲームのジャンルにこだわりたかったというよりは、シナリオの雰囲気を変えたかったところが大きいです。そのうえでジャンルを変えることもできればベストだなと考えました。

――中澤さんはいかがですか?

中澤
小高が考えている企画が宗教をテーマにしたものだと聞いたときはすごくビックリしましたが、実際にプロットを見たときに「なるほどな」と納得しました。宗教ならではの雰囲気やストーリー、トリックというものがあり、このテーマを使う意義があるなと思いました。

 また、オムニバスであることも興味深いなと。通常のアドベンチャーゲームは周回するのが前提で作られていますが、基本的にはやることが同じなので、ストーリーは新鮮だったとしてもだんだん飽きてしまう部分もあったと思うんです。

 ただ、この作品は周回するごとに毎回違うことをするので、切り口が新鮮だなと。5つのジャンルというのも、この宗教の世界観とすごくマッチしたゲームシステムで調和が取れているものになっています。

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――終天教が教義で暴力を禁止している平和主義という設定は最初から決まっていたのでしょうか。

中澤
途中から入れましたよね。

小高
そうだね。お話の設定をより生かすために取り入れました。人類が滅ぶことを願いながらも平和を望んでいる特別な価値観を持った教団というのが、「この人たちはなんなんだろう」とユーザーが気になる要素になると思いました。教祖が殺されるという展開は最初から決まっていて、平和主義者という設定は後から追加したものですね。

中澤
終天教は人類が滅んでほしいと思いながら暴力は振るわないのですが、そのなかで殺人事件が起きたり、教祖が殺されたりします。どういうことなんだろうって疑問が生じますよね。そんな風に、どんどん先を知りたくなる要素がてんこ盛りになっています。

――テロなどの行為を起こすのではなく、静かに終末を望んでいるというのが不気味ですね。一方でその思考が現代的でもあるなと感じました。

小高
あまり語ってしまうとネタバレになってしまうのですが、よりよい世界を目指している人たちとして描いています。リアルの僕らの世界の人間よりも、よりよい人たちなんだろうなと。ただ、いざこざがあって今はチグハグな状況になっている形ですね。

――グラフィックに関してはいかがでしょうか? 宗教がテーマということでダークにすることもできると思ったのですが、本作はビビットな色合いでポップな感じになっていますが、どうしてこのようなイメージになったのでしょうか。

小高
当時は『呪術廻戦』なども流行していたので、ダークな雰囲気にしてしまうとほかの作品と似てしまうのではないかと考えました。宗教モノではあるけど、ビビットな色使いで奇抜なアートワークにして、不気味な気持ち悪さが出るといいなと思って、カラフルな方向に振ってもらいました。

――ディレクターである中澤さんはいかがですか?

中澤
宗教やオカルトと聞くとまず暗い方向にいくと思うんですけど、カラフルな色合いにしたことで得体が知れない宗教団体という設定にうまく機能したと思います。一体彼らが何者なんだろうという感じがすごく出たと思いますし、レトロチックな世界観と奇抜な色合いがマッチしてうまく溶け込んだなと思っています。

 世界観についてもプレイしていくなかで違和感があると思いますが、ストーリーを追うことでしっかり納得できるようになっています。

――本作は移動画面の構図も独特で引き込まれました。

小高
パーツが歪んでいるようにしようと思ったのは気持ち悪さを演出するための仕掛けですね。

中澤
絵画の中を歩いている感じを出そうという話をしましたね。絵の中で車が動いたりもするので、パーツが動いているようにも見えると思いますが、そういった部分も奇妙な世界であることを表現するための演出として取り入れました。

 ただ、開発を担当したネイロさんは制作に苦労されていましたね。パーツが歪んでいるので背景を動かしたりキャラクターを動かしたりするときにバグが起きたり、ちょっとズームをするだけで画面がおかしくなったりと大変だったそうです。ただ、おかげで本作ならではの演出になったかなと思います。

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5つのルートの制作秘話

――続いて5人の幹部ルートについてお聞かせください。最初から決め打ちで5つのルートだったのでしょうか。それとも設定を考えていくうちに5つになったのでしょうか。

小高
決め打ちで5ルートにして、情報を振り分けていったらちょうどよかったという感じです。そのため、足したり減ったりといったこともないです。『終天教団』全体の謎も5つのルートに割り振っていったら、ちょうどよかったですね。

中澤
教祖のバラバラの死体の一部を幹部たちが持ち帰っているという設定で、失われた胴体を除く5つを探すというのも計算して作られています。

――一度ルートを選んだあとはそのルートのエンディングまで一気にプレイする仕組みになっているのは没入感を与えるためでしょうか。

小高
はい。ルートごとに起承転結が全部完結していますし、さきほども言ったようにシナリオの雰囲気が違うものを作りたかったので、この構成のほうが楽しみ方として合っているかなと思いました。また、こういう形式になっていることは物語的にもしっかり意味があります。

中澤
そうですね。1本ずつクリアしていくことにはしっかり意味があります。

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――どの順番からでもプレイできる本作ですが、オススメの順番はありますか?

中澤
お気に入りのキャラクターや好きなジャンルからプレイしてもらって問題ありません。そのルートではわからなかった手がかりが別のルートではあっさりわかったりすることもあるのですが、そういったサプライズはどの順番から遊んでも存在します。ぜひ好きな順番で遊んでみてください。

――本作はルートごとに違うジャンルのゲームを楽しむことができますが、すべて同じチームが製作しているのでしょうか?

中澤
ネイロさんの開発チームをすべて統括しているディレクターの方がいらっしゃって、その下にいくつかのチームがあり、フラグをガチガチに管理するゲームなのか、3Dのアクションがあるゲームなのか、得意なルートをそれぞれ担当していただいたそうです。

――続いてキャラクターについてお聞かせください。主人公の下辺零(しもべれい)はいかがでしょうか。男性かと思っていたので、女性という設定が明かされたときは驚きました。

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小高
最初は男性か女性かわからないようにするというアイデアもあったのですが、シナリオやキャラデザを進めていくなかで隠すのは難しいと気付き、性別を明かすことにしました。ただ、ゲームのなかでは性別不詳なので、中性的に描こうと思いました。声優が斎賀(みつき)さんになったのはDMMさんの推薦です。

中澤
斎賀さんが演じてくれたおかげで、女性的なところもありつつ、男性的な格好良さもあるキャラクターになりました。かなり長いセリフも多いキャラクターなのですが、とても素晴らしい芝居をしてくださいました。

――序盤の印象だと、巻き込まれ系のキャラクターという雰囲気がありましたが、ゲームを進めていくことで印象も変わるのでしょうか?

中澤
最初は記憶喪失の状態ですし、終天教国のこともわからないので、天使たちの言うことを戸惑いながらも受け入れるしかない状況です。ひたすら翻弄されながらも、いろんなことを知って経験することで、だんだん成長して、自分のやるべきことをだんだんと見出していきます。それぞれのルートで、零の成長の仕方も変わるので、印象は変わるかなと思います。

――天使のふたりについても教えてください。

小高
天使といいつつ、胡散臭いところがいいなと。もともとは1人のキャラクターとして作っていたのですが、『レインコード』と似てしまうと思って、2人に役割分担をさせた形になります。

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中澤
本人たちは天使と言っていますが、本当に天使なのかどうかはわかりません。ただ、零は記憶喪失でなにも知らないのでふたりに従わなければならない状況になっており、翻弄されていくことになります。

 天使たちはあまり人前に出たがらないので助けてほしい肝心なときにいなかったりしますし、逆にどうしていいのかわからないときに登場して導いてくれたりもします。

 とても怪しいふたりですが、零が生き返ることは天使たちも望んでいるので、お互いの目的意識は一致しています。そう意味では信頼してもいいと思います。

――めちゃくちゃ怪しくて黒幕のようにも思えますが、ゲームを進めていくうちに愛嬌があることがわかって好きになりますね。

小高
そうかもしれないですね。ただ、ユーザーさんには好かれなくてもいいかなと思ってデザインしたキャラクターたちではありますね。

中澤
だんだん好きになるという意味では、幹部たちも同じですね。プレイしていくうちに違う顔が見えてくるんじゃないかと思います。

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――では、続いてそれぞれのルートと幹部の魅力についてお聞かせください。法務省幹部の犬神軋(いぬがみきしる)は薬物中毒というキャラクターですね。

小高
コンセプトとしては原作版のシャーロック・ホームズです。怪しい探偵のようなイメージで製作しました。

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――なるほど。では法務省のジャンルが推理アドベンチャーだったことは最初から決まっていたのでしょうか?

小高
そうですね。推理モノにすることと犬神のキャラクター設定作りについては同時進行でした。

中澤
犬神は切れ者だけど言動がハチャメチャで掴みどころがないキャラクターです。そして、どこまで本気なのかわからないところが彼の魅力だと思っています。信頼していいのか怪しんでいいのかわからない彼は探偵的な立ち回りをするのと同時に、物語をかき回すこともあり、おもしろいポジションのキャラクターになったかなと思います。

 また、法務省ルートでは事件を議論する会議パートがありますが、法務省幹部である彼が裁判官のような立ち位置で会議を仕切ります。いつもふざけている犬神ですが、すべてにおいて公平であることを大事にしているのでそこも注目してほしいです。やるべき役割はしっかり果たしますし、能力は間違いないです。

――推理アドベンチャーの部分に関してはいかがでしょうか?

中澤
手がかりを集めて、その手がかりをもとに謎を解いていくというものですが、それだけだとおもしろくないので、スナッピングという話題を掘り下げてさらに追及していくシステムを採用しました。会議パートも証拠を選ぶだけではなく、証拠を組み合わせて推理する要素も用意しています。法務省ルートに限らず、『終天教団』ならではの持ち味を入れるようにしています。

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――続いて保健省ルートについてお聞かせください。このルートは“極限脱出アドベンチャー”ということで、アドベンチャーゲーム好きとしてはこれだけでニヤニヤできますね。

小高
脱出ゲームというジャンルを入れたのはトゥーキョーゲームスらしさを出したかったというところもあります。

――VTuberのようなキャラクターがデスゲームを実況しているという構図もおもしろいですね。

中澤
このゲームならではの独自の切口がほしいと法務省ルートを担当しているシナリオライターと話をしているときに、フラッシュアイデアとして出てきたもののひとつが実況中継されていたらおもしろいのではないかという話でした。

 小高にも相談したところ、おもしろいのではないかと快諾されました。そこで本格的にシステムとストーリーが合致するようなものを作っていきました。実況者が3Dになっているのもゲームのなかで起きているストーリーとゴチャゴチャにならないようにするための工夫です。

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――ゲーム内のデスゲームもルールがしっかり作られていて、誰が味方なのか誰が敵なのかわからない読み合いの展開にハラハラさせられました。

中澤
デスゲームのルールはライターさんに考えてもらいました。脱出ゲームにもいろいろなものがあり、ガチガチに競技性があるゲームにする方法もあったのですが、心理戦に寄ったほうがいいかなということで現在の形になりました。

 ほかの相手と手を組むか、組まないか、情報を開示するのかしないのかといった駆け引きのほか、3Dの迷路の探索や論理パズルといった要素がデスゲームのギリギリ感を演出しています。

――保健省幹部の丑寅幽玄(うしとらゆうげん)に関してはいかがでしょうか。クセの強い幹部のなかでは常識人で良識のある人に感じました。

中澤
丑寅はジョセフ・ジョースター(編注:『ジョジョの奇妙な冒険』第2部の主人公)を意識したんですよね。

小高
そうそう。頼りになるのかならないのかわからないような二面性があって、豪快なところもあるような3枚目に近いキャラクターにしようと思いました。シナリオを作っていくなかで、また違うイメージにもなったキャラクターです。

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中澤
確かに5人全員が犯人のように思えるなかで、ひとりだけ仲間思いで情熱があり、一番いい人っぽく見えますね。ただ実際には神経質だったり目が据っていたりと怪しいところがたくさんあります。ほかの幹部たちとは違った意味でこの人物はなんだろうと気になるポジションになったのではないかと思います。

 教団幹部に関しては、それぞれが違う個性のキャラクターにできたかなと考えています。

――続いて科学省ルートについて教えてください。

中澤
このルートはもともとパズル要素のある脱出ゲームのようなものを考えていたのですが、保健省と似てしまうのでサウンドノベルになりました。とはいえ、ただのサウンドノベルだとほかのルートに見劣りをすると思ったので、ギミックとしてザッピングを取り入れました。

――最初にストーリーの枠組みを作ってからザッピングするキャラクターを決めたのでしょうか?

中澤
そうですね。ザッピングするからには複数のキャラクターが必要ですが、2人だとちょっと物足りないので最初から3人ぐらいは必要だなと思っていました。ひとりは主人公の零ですが、もうひとりは、幹部の視点もあったらおもしろいなと思って伊音に。もうひとりはどうしようというところはシナリオライターさんといっしょに考えていきました。

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――科学省幹部の伊音テコ(いおんてこ)はどのように生まれたキャラクターでしょうか?

小高
一番賢い頭脳派のキャラクターを作ろうと思い、あえて幼い少年がそのポジションであればおもしろいなと思いました。

中澤
伊音は頭が切れますし高潔な感じもありますし、人気になりそうなキャラクターですね。ザッピングのなかで表に出さない心持ちが見えたりもするので、彼がなにを考えているのかゲーム内で確認してみてほしいですね。

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――天才の頭のなかが見えるというシチュエーションがおもしろいです。

中澤
そうですね。ほかのルートも、その幹部がそれぞれ担当している分野や役割に関係した展開になっていて、シナリオに絡んでくることになります。

 法務省であれば事件の捜査や裁判のようなシーンがありますし、保険省であれば、命を救うべき医者が命の奪い合いをするゲームに翻弄されることになります。

 科学省の場合は、研究所で起こっているテロのストーリーで、伊音はこの街のテクノロジーやインフラをすべて管理するキャラクターです。そんな彼が自分の頭脳や技術を使って零をサポートするのがザッピングを通して描かれることになります。

――彼の相棒であるロボのアラレの声優が山口勝平さんというのも豪華ですね。

小高
そうですね。キャスティング周りはDMMさんによるものです。ベテランのほうがいいよねということで、山口さんにお願いすることになりました。

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――続いて文部省ルートです。恋愛アドベンチャーということでジャンルとしてはポピュラーですが、『終天教団』のなかにこのジャンルが入っていると異質な感じがありますね。

小高
バリエーション的にやっぱり恋愛もあった方がいいかなとは思いつつ、この状況でどう恋愛をさせるんだというところで二転三転しました。

中澤
そうですね。普通であれば主人公はこの状況で恋愛している気持ちになれないと思うので、どうやって恋愛アドベンチャーにするのか悩みましたね。文部省のルートは最初は謎解きがメインで、情報や文献を調べて謎を追うストーリーを考えていたのですが、あまりおもしろくならなかったんです。そこで困った挙句に狂った恋の話にしようと舵を切って今のようなシステムになった形ですね。

――文部省幹部の黒四館仄(こくしかんほのか)は恋愛アドベンチャーという設定が決まってから現在のようなサイコパス気味のキャラクターになったのでしょうか。

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中澤
野心家という設定は最初からありました。また、顔を隠していて得体が知れないということも最初から決まっていましたね。恋愛願望という部分はストーリーが決まってから作られた側面です。ただ、黒四館が恋にこだわるというのはストーリーとしても非常に重要な設定で、絶対に必要なものです。どの幹部にも言えるのですが、全員が信念や目的に基づいて行動しています。恋愛アドベンチャーだからといっておかしなことをしているわけではなく、ちゃんと一貫した思想があって行動しています。

――文部省ルートでは3人の女の子と恋愛をすることになりますが、彼女たちはどのように生まれたのでしょうか?

中澤
法務省ルートを担当している北山猛邦さんに文部省ルートの導入をどのようにしようか迷っていることを相談したとき、3人の女の子にして見ざる、言わざる、聞かざるの方針に沿った役割付けをしてみてはどうかというアイデアをいただきました。そのなかでいろいなことから目を逸らすクール系ととても賑やかな元気系、まともな会話が通じない電波系という3人のキャラクターが生まれました。

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――北山さんのアイデアだったんですね。

中澤
そうです。幹部の黒四館仄が眼帯とマスク、ヘッドホンをしているので、その一部を分解しているようなデザインにしています。そのなかでどれが本物の仄なのか探っていくストーリーになります。

――最後の警備省ルートについてお聞かせください。このルートはアクション要素もある展開になっていますね。

小高
一番作るのが難しそうだったので、最初に取り掛かったルートです。アドベンチャーゲームのなかでは一番派手なジャンルですし、ホラーもあったほうがいいかなと思って取り入れました。

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――アドベンチャーゲーム好きにはアクションが苦手な人もいると思うのですが、難易度には気を使いましたか?

中澤
そうですね。歯ごたえがある作り方もあるのでしょうが、『終天教団』は、お話を楽しんでもらいたいゲームなので、先に進めなくてストレスになるゲームは本末転倒だなと。あくまで怖い殺人鬼から追いかけられるというエッセンスを体感するための要素として入れています。難易度は試行錯誤をしていくなかで最初は難しくなりすぎたりもしましたが、何度かプレイすれば必ず進めるぐらいの難易度になりました。もしもやられてしまったとしても、ちょっと前に戻されるだけなので、安心してほしいですね。

――仕掛けの場所がわかっていればなんとかなると。

中澤
複雑な行動をする敵ではないので、見つかって追いかけまわされてもロッカーなどに隠れれば大丈夫です。1回か2回失敗すれば次は対策が取れると思いますし、クリアできなくて詰まることはないかなと。また、主観視点ではなく、見下ろしの画面を採用しているので、ネフィリムの位置がわかりやすいです。普段アクションをプレイしていない人でも遊びやすいのではないでしょうか。

――ホラー部分に関してはいかがでしょうか?

小高
ホラーというだけでニガテな人もいると思うので、本当に怖いというよりは怖い雰囲気を味わうぐらいのものにしています。ネフィリムもコミカルな感じにデザインしています。

中澤
難しい以前に怖くて遊べないという状況になってしまうのはまずいので、怖くなり過ぎないように気を配りました。

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――警備省幹部の伏蝶まんじ(ふしちょうまんじ)についても教えてください。

小高
警備省は治安維持を司っており、基本的に異教徒と戦っているところですが、そのなかで一番戦士っぽい好戦的な人物をボスとして考えました。この設定で男性だとそのままなので、あえて粗暴な女性のキャラクターにしました。

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中澤
暴力的で乱暴な言葉を使って、一番人を殺してそうなキャラクターですが、一方で街の治安を守ることには真剣で、一番国のことを思っているキャラクターです。すごく部下思いの部分もあり、頼れる姉御のようなキャラクターでもあります。ほかの幹部のキャラクターにも言えることですが、怪しい部分がありつつも、お話を追うことで違う一面も見えてくると思います。

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教祖殺しのトリックはぜひネタバレを見る前に体験してほしい

――多彩な魅力がある本作ですが、とくに注目してもらいたい本作ならではのポイントはどこにあると思いますか?

小高
宗教団体という特殊な状況と、そこで起こった教祖殺しの殺人トリックですね。入口としてもおもしろいですが、後半にいくほどギアが上がっておもしろくなっていく作品です。自分が作ったこれまでの作品はアドベンチャー以外のお客さんに訴求することが多かったのですが、今回は完全にアドベンチャー愛を突き詰めたような作品になっているかなと思います。

――豪華声優陣によるほぼフルボイスというところも本作の注目ポイントだと思いますが、収録の裏話はありますか?

中澤
みなさんベテランということで演技が非常にお上手ですし、「このキャラクターはこうだったんだ」ということを逆にこちらが教えられました。キャラクターに命を吹き込んでもらったことで、作品が完成した実感がありました。ほぼフルボイスということですごく時間がかかりましたね。実力派の声優さんが揃っているので、スケジュールの調整もすごく大変だったそうです。

 ただ、そのおかげもあって収録をしながらも同時にシナリオの調整をすることもできました。また、小高のほうから「こうすればもっとおもしろくできるのではないか」というテコ入れが入ったことがあり、ギリギリの段階で僕が全体的な修正をかけました。そこは音声収録もやり直しましたね。

――音声収録したあとに修正するのは大幅な改修ですね。

中澤
お話の根幹とまではいかないものの、雰囲気がガラっと変わるようなセリフになりました。とてもいいものになったので、撮り直してくださった声優さんも、対応してくださったDMMさんにも、とても感謝しています。

小高
終天教の独特な感じを強くするためにカルト感をもっと出したほうがいいかなと思いました。

中澤
神の試練や終天教の風習などはけっこう手を入れました。「この終天教団とは一体なんなんだろう」ということがより気になる作りになったので、プレイを続ける原動力に繋がったんじゃないかなと。

――ありがとうございます。音声以外でこだわった部分についてお聞かせください。開発会社のネイロさんにはどのようなところにこだわってもらいましたか?

中澤
バランス調整には時間をかけました。ゲームを作っている側からすると歯ごたえが欲しくて難しくしてしまいがちなので、そこは気を付けましたね。また、今回は演出面をすごく頑張ってもらいました。退屈せずにお話を読んでもらうために、特殊な演出をつけてもらったりしました。

小高
カットの数が膨大です。

中澤
どんどん追加されて、最後のほうは全部で何枚あったのかわからないぐらいぐらいでした。途中からは「もうこれ以上は増やさないでください!」と悲鳴をあげるぐらいに膨大でした。使いまわしもほとんどなく、一瞬しか登場しないカットも盛りだくさんなので、とてもリッチな作りになっています。

 また、こういった演出の実装に関しては1発でスパッと決まることはなく、何度も試行錯誤を重ねて仕様を組み直してもらいました。とてもこだわってくださったのでぜひ注目してみてください。

――ありがとうございます。では最後に発売を楽しみにしているファンにひとことお願いします。

中澤
小高の作品のファンはキャラクターが酷い目に遭ったり、心を締め付けられるような展開があったりする内容を想像しているかもしれません。もちろん、小高らしい展開もあるのですが、最後には救いがあるので安心してプレイしてほしいですね。そこは宗教というテーマとも絡んでいます。“信じる者には救いが与えられる”ということを信じて、好きなキャラクターのストーリーを追いながらプレイしてほしいと思います。

小高
教祖殺しのメイントリックはすごくおもしろいものができたと思っています。今までになかったゲームだからこそできるトリックになっているので、ネタバレをみてしまう前にこの驚きを味わってほしいなと。また、アドベンチャーゲーム愛が詰まった作品ではあるので、アドベンチャーゲームのファンには真っ先にプレイしてもらいたいですね。

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『終天教団』製品概要

ジャンル:マルチジャンルADV
プレイ人数:1人
言語:日本語/英語/繁体字/簡体字
プラットフォーム
  • Nintendo Switch
  • DMM GAME PLAYER
  • Steam
CERO:D
価格
  • 通常版:6,980円(税込)
  • 豪華版:13,580円(税込)
  • デジタルデラックス版:9,180円(税込)
発売日:2025年9月5日(金)全世界同時発売予定
※Steam版は同日16時より配信予定

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