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『テイルズ オブ』シリーズ30年の歴史を体感できた約3時間に涙。『ザ レイズ』や『クレストリア』などの曲も聴けた“テイルズ オブ オーケストラコンサート ~30thAnniversary~”レポート

文:編集O

公開日時:

 2025年12月15日にシリーズ30周年を迎えた『テイルズ オブ』シリーズ。“TALES OF 30th MUSEUM”の開催や記念映像が公開されて今後のリマスター化についてのアナウンスがあるなど、シリーズファンの期待値はぐんぐん加速中です。


 そんな30周年記念イベントのひとつとして、ファンには恒例となったオーケストラコンサート“テイルズ オブ オーケストラコンサート ~30thAnniversary~”が、12月21日にパシフィコ横浜 国立大ホールで開催されました。

 記事では多くのファンの心を掴んだ、大満足なオーケストラコンサートの見どころをレポートします!

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 鑑賞した方は感動の共有を、まだ未体験の人はアーカイブ配信が12月29日23:59まで行われているので、記事を読み込みながら鑑賞していっしょに30周年をお祝いしてみませんか?


<出演者(敬称略・順不同)>
指揮者:和田 一樹
演奏楽団:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
司会:名越 涼
スペシャルゲスト(演奏):桜庭 統・椎名 豪
スペシャルゲスト(歌唱):岩男潤子・KOKIA
その他ご出演:
 ボーカル/須藤まゆみ・カノン・中川奈美・Josiah・Michael
 笛/坂本 圭
 合唱/Voces Tokyo(Chorus master 木場義則)

<公演セットリスト/収録ゲームタイトル>

夢は終わらない ~こぼれ落ちる時の雫~/テイルズ オブ ファンタジア

【Tales of 30th Anniversary Battle Medley】
 
01.TAKE UP THE CROSS/『テイルズ オブ ファンタジア』
 
02.Progresses toward the end/『テイルズ オブ デスティニー』
 
03.CELESTIA BATTLE/『テイルズ オブ エターニア』
 
04.DONA NOBIS PACEM/『テイルズ オブ デスティニー2』
 
05.Full force/『テイルズ オブ シンフォニア』
 
06.Battle organization/『テイルズ オブ リバース』
 
07.バトル・アーティスト/『テイルズ オブ レジェンディア』
 
08.The arrow was shot/『テイルズ オブ ジ アビス』
 
09.遭遇/『テイルズ オブ テンペスト』
 
10.剣を以って切り拓け/『テイルズ オブ イノセンスR』
 
11.The more that I try/『テイルズ オブ シンフォニア -ラタトスクの騎士-』
 
12.不撓不屈/『テイルズ オブ ヴェスペリア』
 
13.神秘の武具ソーマ/『テイルズ オブ ハーツR』
 
14.悠久の果てに現れたもの/『テイルズ オブ グレイセスf』
 
15.拳を握って/『テイルズ オブ エクシリア』
 
16.その剣、華麗に舞って/『テイルズ オブ エクシリア』
 
17.突き進め、その刃尽きるまで/『テイルズ オブ エクシリア2』
 
18.翼を広げて未来を開け/『テイルズ オブ ゼスティリア』
 
19.Shout your soul/『テイルズ オブ ベルセリア』
 
20.Flame of hope/『テイルズ オブ アライズ』

End of Dream/『テイルズ オブ ザ レイズ』
蛍火/『テイルズ オブ レジェンディア』
Rising Up/『テイルズ オブ ゼスティリア』
猛りの滄我/『テイルズ オブ レジェンディア』
my tales/『テイルズ オブ レジェンディア』
good night/『テイルズ オブ リバース』
in between 1 and 0/『テイルズ オブ ジ アビス』
Starry Heavens(hiroic)/『テイルズ オブ シンフォニア』
そして僕にできるコト(hiroic)/『テイルズ オブ シンフォニア』
True will/『テイルズ オブ ベルセリア』

【Tales of 30th Anniversary Battle Medley2】
 01.
石詠みの闘い/『テイルズ オブ リンク』
 02.
剣閃の瞬き/『テイルズ オブ アスタリア』
 03.
FAKE TO THE TRUTH/『テイルズ オブ ザ レイズ』
 04.
Dance of the Monsters/『テイルズ オブ クレストリア』
 05.
Battle 01/『テイルズ オブ ルミナリア』

Follow the Nightingale/『テイルズ オブ イノセンスR』
New Day,New Life/『テイルズ オブ イノセンスR』

【Tales of 30th Anniversary Special Medley】
 01.
TAKE UP THE CROSS/『テイルズ オブ ファンタジア』
 02.
Lion-Irony of fate/『テイルズ オブ デスティニー』
 03.
ETERNAL MIND/『テイルズ オブ エターニア』
 04.
One strike, One beat/『テイルズ オブ アライズ』
 05.
Never surrender/『テイルズ オブ ジ アビス』
 06.
選択の証/『テイルズ オブ エクシリア2』
 07.
スレイのテーマ/『テイルズ オブ ゼスティリア』

【アンコール】
 
Fighting of the spirit/『テイルズ オブ ファンタジア』
 
say goodbye & good day/『テイルズ オブ イノセンスR』

 
【Tales of 30th Anniversary Theme Song Medley】
  01.
white Light/『テイルズ オブ ゼスティリア』
  02.
TAO/『テイルズ オブ レジェンディア』
  03.
カルマ/『テイルズ オブ ジ アビス』
  04.
progress/『テイルズ オブ エクシリア』
  05.
flying/『テイルズ オブ エターニア』
  06.
夢は終わらない ~こぼれ落ちる時の雫~/『テイルズ オブ ファンタジア』

ミント・アドネードによる開演前の影ナレにはファンならニヤリとするポイントも


 開演を待つファンに向けて声をかけたのは、『テイルズ オブ ファンタジア』のミント・アドネードでした。

 ミントはパシフィコ横浜に集まったファンに丁寧に挨拶を述べると、「私のことをご存じの方がいらっしゃいましたら、カラーライトを振っていただけるとうれしいです」と優しく語りかけました。

 すると客席のファンは『ファンタジア』カラーである緑のライトで応え、ミントもうれしそうに「ありがとうございます」と感謝を伝えてファンの心を掴みます。

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 続けて、自分も来場したファンと同じように今日が楽しみであることを語り、その流れでクレスから「楽しんできてね!」と見送りをしてもらったことや、チェスターやアーチェからは、「横浜のお土産を忘れないように」と念押しされてしまったと告白。

 自分のことばかり話してしまったことを恥ずかしがるミントの雰囲気に、なんとも心地よさをかんじつつ、「彼らなら言いそうだ」と納得のトークが聞けたことにファンも大満足。

 その後、場内の注意事項をアナウンスする際、「あらかじめ」という言葉で少し言葉を噛んでしまう微笑ましい一幕もありましたが、「失礼しました」とミントらしく清楚に結び、そこにほっこりした方も多かったのでは?

 最後には「今日という日が皆さんにとって特別な一日になるよう願っています」と言葉を添え、大きな拍手に包まれながら開演前のテンションも最高潮へ!

岩男さんの歌声は“ファーストエイド”効果あり!? 聴いた者の心をいやした『夢は終わらない ~こぼれ落ちる時の雫~』の熱唱


 コンサート開園後の冒頭を飾ったのは、ミント役の岩男潤子さんが歌う『ファンタジア』の主題歌である『夢は終わらない ~こぼれ落ちる時の雫~』。

 岩男さんが歌い始めた瞬間、「あ、これ泣くわ」と思わせるほどの魅力的な歌唱力で、バックに流れるアニメーション映像と合わせて感動が止まりませんでした。

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 歌唱後は司会の名越涼さんが登壇し、本コンサートがシリーズ30周年の歴史を音楽で振り返る贅沢なイベントであると紹介。

 指揮の和田一樹さん、演奏の東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団を紹介し、会場だけでなく配信で見守る多くのファンへ、楽曲の思い出や熱い思いをコメントで寄せてほしいと語りかけました。

 続いて、冒頭に歌声を披露した岩男さんが登壇し挨拶すると、客席から「ミントー!」との掛け声が。そんな声に岩男さんは笑顔で応えていました。壇上では名越さんから今回の衣装について問われていたのですが、岩男さんはビジュアルに合わせた装いであることをうれしそうに明かしていました。

 また、伝説の始まりを飾った『夢は終わらない ~こぼれ落ちる時の雫~』を歌唱した感想について、岩男さんは「本当に夢のようで、皆さんの温かいまなざしに包まれるような演奏に感動しながら歌わせていただきました」と振り返っていました。

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 そして話題は、30年以上前の収録当時について。岩男さんは当時はキャスト全員が同じ時間にスタジオに揃って収録するのがメインだったと回想。のちにそれがいかに贅沢なことだったかを知ったとしつつ、当時はいつもみんなで和気あいあいと収録をしていたと懐かしんでいました。

 また、今年の“テイルズ オブ フェスティバル”でのエピソードも聞かれた際は、クレス役の草尾毅さんが少年のようにはしゃぎ、客席に降りて交流したあとに、ステージに戻ってきて「ミントー、蛇がいたよー」と(蛇が苦手な岩男さんに対し)満面の笑みで報告してきたのが印象に残っていると告白。

 「草尾さんというよりは、クレスさんがマントを翻して走り回っているようで愛おしかった」と語り、“テイフェス”を見ていた自分も「たしかに」と、その光景が脳裏に浮かんで思わずニヤリとしちゃいました(笑)。

 さらに、最近の“TALES OF 30th MUSEUM”の音声ガイド収録でも、草尾さんから「色紙にいっしょに“夢は終わらない”と書こう」「音声ガイドの締めくくりのセリフも台本になかったのですが、せーので“夢は終わらない”にしよう」と提案があったことを明かし、いまも変わらない『ファンタジア』メンバーの温かな絆に胸がいっぱいになったと語りました。

 その言葉に名越さんが「この温かさが30年歩んできたシリーズに受け継がれている」と応じ、さらに「50年、60年、70周年と行きましょう」と呼びかけると、岩男さんは深く頷きます。このやり取りに会場からは大きな拍手が送られていました。

手に汗握る戦いの記憶の引き出しが開けられる。名曲たちが披露された『Tales of 30th Anniversary Battle Medley』!

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 シリーズ30周年のコンサートに相応しいセットリストのひとつが、この『Tales of 30th Anniversary Battle Medley』。『ファンタジア』から『テイルズ オブ アライズ』まで、全20タイトルのバトルシーンをメドレーで披露されました。

 「すべて神曲!」と納得の選出ですが、印象的だったのは全体的にコーラスを採用して、原曲では決して聞けない豪華アレンジがなされている点。『テイルズ オブ イノセンスR』の演奏では、コーラスに合わせて指揮者の和田さんがジャンプしてノリノリな姿を見せるなど、「勢いがあるな」と見ている側のテンションもつられて上がっちゃいました。

 また、楽曲ごとにサビで軸となる楽器が用意されていた点も聴きごたえがバツグン。『テイルズ オブ エターニア』『テイルズ オブ ヴェスペリア』『テイルズ オブ エクシリア』ならばエレキギター、ピアノでしっとりと聴かせる『テイルズ オブ シンフォニア -ラタトスクの騎士-』や『テイルズ オブ エクシリア2』など、スポットが当たる楽曲でここまで印象が変わるんだと大満足でした。

 さらにバトル曲は全体的にノリがよくなるよう、激しくテンポが速い楽曲が多いなか、オーケストラアレンジでは、『テイルズ オブ グレイセスf』などあえてスローテンポにする曲もあり、そのビートの落差がいいスパイスになっていました。

椎名豪さんがピアノ演奏で参加したスペシャルな5曲。『テイルズ オブ レジェンディア』ファンはハンカチ必須のあの名曲が!!


 バトルメドレーが演奏されたのち、スペシャルゲストとして作曲家の椎名豪さんが登壇しました。椎名さんは、袖で聴いていたバトルメドレーについて「皆さんの全力を感じた」と称賛。原曲の良さを活かしつつ、30周年にふさわしい特別なアレンジが素晴らしかったと熱く語りました。

 続いて、これから披露される椎名さんが手掛けた5曲を紹介。そのうち3曲(『レジェンディア』より『蛍火』『my tales』、『テイルズ オブ ゼスティリア』より『Rising Up』)で椎名さん自身がピアノ演奏で参加することについて、椎名さんは「幼稚園生レベルですけど、よろしくお願いします」と謙遜しつつ意気込みを語りました。

 そしてトークは椎名さんとピアノの深い関わりの話題に。ちょうど10年前の20周年記念コンサートが、椎名さんにとって生まれて初めてのピアノ演奏で、オーケストラといっしょに演奏するという初体験の場だったと告白。

 なので海外まで行き、1日6時間の猛特訓を2週間続けて本番に臨んだ、というエピソードを披露しました。 「自分のように演奏ができない作曲家もたくさんいるので、温かい目で見てほしい」と語る場面も。

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 さらに当時の猛特訓の末に、本番終了後に“マレット骨折(指の第一関節が伸ばせなくなるなどの症状)”をしていたと続けました。そんなアスリートのような衝撃的な裏話に、「だからあの魂を揺さぶる演奏だったんだ」と、当時来場して演奏を楽しんだ方たちも納得したのではないでしょうか。

 そして話題は今回の30周年コンサートでのこだわりに移ります。その問いに、椎名さんはアレンジャー陣の豪華さを挙げていました。宮野幸子さんや山下康介さんといった、椎名さんが信頼を寄せる作曲家たちが編曲を手掛けていることに触れ、原曲や今までのコンサートとの違いを楽しんでほしいとアピール。

 アレンジの変化をたとえるなら「ティーパックの紅茶がすごく高級な紅茶になった感じ」「説明は難しいけれど、とにかく高級で深い!」と力強く独特な表現で語り、会場は大きな笑いに包まれました。

 最後に、20周年の『レジェンディア』や10周年の『ゼスティリア』といった節目を迎えるファンに向けてメッセージを求められると、椎名さんはまさかの「皆さん、良いお年を」と挨拶(笑)。予想外の展開に名越さんが驚いて突っ込むと椎名さんは、これからの『テイルズ オブ』シリーズを皆さんに応援してほしいという思いを込めての言葉です、と笑顔でその真意を添えました。椎名さんらしくもあり、印象的でした。

 トーク後はファンの心に刻み込まれている名曲の演奏がスタート。『テイルズ オブ ザ レイズ』はボーカルの中川奈美さんの力強く伸びやかな歌声と、坂本圭さんの笛パートが印象的で、最後はしっとりと締めていました。

 遊んでいたプレイヤーとして、サービスが終了してしまったもの悲しさと重なっちゃいましたね……。

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 つづいては『レジェンディア』の名曲である『蛍火』。

 7月に開催された“TALES OF LEGENDIA ~20th Anniversary party~”でも鑑賞しましたが、あらためて心染み入る名曲だなとしみじみと耳を傾けちゃいました。笛の音も心地よかった。

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 3曲目は『ゼスティリア』の山場であるティアマット戦の後半で流れる楽曲『Rising Up』。

 椎名さんのピアノ演奏からスタートし、メインボーカルにカノンさん、コーラスに中川奈美さん、須藤まゆみさんが参加されるなど、原曲を超えたと言っても過言ではないアレンジに心が震えました。

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 4曲目は『レジェンディア』の第一部終了のバトルで流れる『猛りの滄我』。徐々に強さを増す音階が、強敵を前にセネルたちを押しするような力強さを感じます。

 後半のコーラスも見事に花を添えて、語彙力が足りない感じで恐縮ですが……ノリが本当にやばい!(笑)

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 5曲目の『my tales』は『レジェンディア』のエンディング曲。カノンさんとJosiahさんのツインボーカル仕様で、コーラスをMichaelさんが担当していました。

 カノンさんとJosiahさんが手を取り合いながら歌う姿は、作品のテーマが重なっていてグッときましたね。あらためてリマスター化、フルリメイク化を願う、椎名さんからのステキなクリスマスプレゼントでした!

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主題歌3曲とアプリのバトルメドレーで思い出を掘り起こす怒涛のコーナー


 その後は一度休憩時間を挟んで後半パートへ。

 『テイルズ オブ リバース』『テイルズ オブ ジ アビス』『テイルズ オブ シンフォニア』の主題歌4曲が演奏されたのち、『テイルズ オブ ベルセリア』の象徴的なイベントシーンで流れる『True will』へ。

 「ベルベットがいない世界なんて絶対に嫌だ!!」と叫ぶフィーの映像とシンクロする演奏は、気づくと鳥肌が立つほど心に染みましたね。

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 そしてバトルメドレー第2弾ではアプリの5タイトルが披露。

 こちらはいまは見ることができない映像とともに楽しむことができて、音楽に感動すると同時に、プレイしていた記憶の引き出しを空けることに夢中になっちゃいました。

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“KOKIA語”の裏話を聞いたうえで聴くとより感動が増した『テイルズ オブ イノセンス』『イノセンスR』の名曲!


 つぎに登壇したのはスペシャルゲストのKOKIAさん。名越さんから披露する楽曲の紹介を促されると、KOKIAさんは『Follow the Nightingale』と『New Day, New Life』を歌わせていただきます、と発表。会場からは期待のこもった拍手が沸き起こりました。

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 そして当時“KOKIA語”が盛り込まれていることでも大きな話題となった『イノセンス』の主題歌『Follow the Nightingale』について、楽曲制作時の思い出を問われたKOKIAさん。それは今から18年前の話ですが、昨日のことのように思い出せることにびっくりしたと語りつつ、笑顔を見せました。

 制作した当時、「ぜひ“KOKIA語”を使って主題歌を書いてほしい」というオーダーを受け、“ハナモゲラ語”(言葉を入れ替えて作られる意味が通じない言葉遊び)のような言葉を用いて書き上げたことを回想。

 この独特な言語についてはちゃんと意味があり、日本語で書いた言葉をローマ字に変換して、それをブロックのようにバラバラにして組み直して作った曲とのこと。驚きの創作秘話が明かされました。「解読してくださっているファンの方もいらっしゃいますが、今日はその意味や思いを込めて歌いたい」と語り、楽曲への深い愛着を示しました。

 続いて、ガラリと曲調が変わる『イノセンスR』の主題歌『New Day, New Life』について、名越さんが「光に包まれているような雰囲気を感じる」と感想を伝えると、KOKIAさんは喜びをあらわに。

 さらに、30周年という記念すべき舞台で歌うことへの思いを問われると、KOKIAさんは「袖で皆さんの演奏を聴きながら、30年分の物語があるんだなと感じていました」としみじみ語りました。

 「『テイルズ オブ』シリーズという一つのストーリーに集まった皆さんが、今日、音楽を通してまた一つになる。それがなんて素敵なんだろうと、分からない興奮に包まれています(笑)」と昂る気持ちを表現。一生に一度の思い出となるような音が届けられるよう、この日限りのパフォーマンスへの決意を口にしました。

 トークを終えると、KOKIAさんは歌唱の準備へ。一気に気持ちを込めるように深く集中しながらステージ中央へと進む姿が、会場の期待感をいっそう高めていたのではないでしょうか。

 『Follow the Nightingale』がスタートすると会場に響く歌声の美しさと、難しい曲なのにミスなく歌えるKOKIAさんのテクニックに圧倒されました。

 このボーカルの良さを増幅させるオーケストラ演奏もまたいいんですよ。

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 また、『New Day, New Life』はボーカルから入る曲で耳心地がよく、『Follow the Nightingale』との対比を聴き比べられる機会が本当に幸せです。

 とくに終盤に伸びやかに歌う姿が印象的でした。

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『テイルズ オブ』シリーズの立役者である桜庭統さんのスペシャルメドレーでは、30年前の制作苦労話も飛び出した


 公演のラストを飾ったのは、シリーズの楽曲を長年支え続けてきた桜庭統さんがピアノ演奏で参加した『Tales of 30th Anniversary Special Medley』。まずは演奏を前に桜庭統さんが登壇しました。

 5年ぶりとなるシリーズのオーケストラコンサートに、桜庭さんは「毎度言っているのですが、いつまでたっても緊張が治らなくて」と率直な心境を吐露。

 名越さんは、本番に入ればスイッチがパチンと入りますよ、とハードルを上げられるように励まします。桜庭さんは照れくさそうに笑みを浮かべていました。

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 そしてシリーズ30周年を迎え、第1作『ファンタジア』から関わっている桜庭さんは、この年月を感慨深げに振り返り、30年前の思い出について問われると、当時はとにかく音楽で新しいことをやろうと試行錯誤の連続だったと回想。

 とくにスーパーファミコンという限られた容量の中でボイスや歌を取り入れるため、音楽データを小さくする必要があったという開発当時の苦労を明かしました。そして「同じフレーズが続くとデータが圧縮されるので、なるべく繰り返しながら、かつ飽きないように作るのは結構難しかった」と語る桜庭さん。

 当時の工夫の結晶があの名曲につながったのだと、スーパーファミコン版をプレイしていた自分は、桜庭さんの情熱に頭が下がる思いでいっぱいでした。

 また、桜庭さんにとって『テイルズ オブ』シリーズとはどのような存在かを問われると、「このシリーズに関わっていないと非常に落ち着かないというか、日々の生活において物足りないような……」と、少し照れながらも“人生の一部”であることを告白。名越さんも、シリーズファンの一人としてその言葉に深く感動していました。

 これから演奏されるスペシャルメドレーのこだわりについては、この場でしか再現できないピアノを弾くつもりだとと宣言。アレンジャーによる素晴らしい譜面に対し、そのまま弾くのではなく自分なりにアイデアをプラスして工夫を凝らしたと語り、ライブならではの演奏への期待を煽りました。

 最後にファンへのメッセージを求められると、「我々作る側も思っていることですが、この先も40周年、50周年と何十周年も続いていくことを望んでいます」とシリーズの未来へ願いを込めていました。そんな桜庭さんですが大きな拍手で送られながら、温かい気持ちで聞いてくださいと、人柄を表すような柔らかい言葉をかけていたのが印象的でした。

 演奏は桜庭さんのピアノ演奏による『ファンタジア』からスタート。ピアノ旋律とコーラスの掛け合いが鳥肌ものでした。そして『テイルズ オブ デスティニー』はリメイク版のリオン戦の楽曲で、最後にピアノパートで締めるところがこのシーンのもの悲しさ、やるせなさなどの感情を表現しているなと涙。

 その後は一転してドラムから入る激しいテンポの『エターニア』のラストバトル曲へ。壮大で会場全体が震えていた感じがしましたね。つづいてはラスボスであるガイアス戦を演奏した『エクシリア』に。決戦の盛り上がりをコーラスと楽曲で表現しており、こちらもガッツリ心をつかまれました。

 さらに『アライズ』は宿敵・ヴォルラーンとの一騎打ちで流れる楽曲で、こちらはバックで流れる映像とのシンクロが見事で燃えましたね! さらに『ジ アビス』は第三部のバトル曲で、最後は静かに締めるところが聴きごたえありました。

 そしてこちらも涙が自然とこぼれてくる方も多いであろう、ユリウスを前に選択を迫られる楽曲が演奏されたの『エクシリア2』。ピアノからスタートするのですが、竹笛の音が印象的でバックの映像でも泣かせてくるという演出に。

 締めはピアノパートでものすごく長尺で演奏されており、ルドガーの心の葛藤的というか、ぐちゃぐちゃな感情をアップテンポやスローテンポ、かつ低音パートを中心に弾く桜庭さんに脱帽でしたね。

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 そしてラストは『ゼスティリア』のスレイのテーマ。壮大な冒険の始まりを予感させる曲で、自分も大好きな1曲なのでこれが聴けるのは素直にうれしかったです。

 コーラスも加えて、オーケストラ映えする楽曲のひとつなのは間違いないですね!

あの曲は演奏しないの? そんなファンの声に応えたアンコール


 すべての演目が終わるももちろんそのままなわけがなく、会場からはアンコールを求める拍手が贈られ、和田さんが再び檀上に姿を見せると3曲(メドレー含む)を演奏する流れに。

 『ファンタジア』は精霊戦で流れる楽曲で、聴いた瞬間「これこれ!」と一気にテンションがあがっちゃいました。エレキギターの音が主役で、サビの間のくり返すパートでコーラスが挟まるのがいいんですよね。

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 そしてつづいてはKOKIAさんが登壇し、『イノセンスR』のエンディング曲を披露。

 「なるほど。タイトルの“say goodbye”にかけての選曲か。エンディングに相応しい曲だよな~」とジーンとしていたら、30周年記念ムービーに載せてのソングメドレーでの締めという展開に。

 「まさかこんな粋な演出があるとは」と感動し、心の底から「鑑賞できてよかった!」と思った幸せな約3時間でした。

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……と、ここで公演はすべて終わりなのかと思っていたら、なんと会場のスクリーンに“テイルズ オブ フェスティバル 2026”の開催が決定したとのアナウンスが!

 このうれしいサプライズに、“夢は終わらない”と満足したファンも多かったはずです。7月がいまから本当に楽しみですね!

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ミントによる終演後の影ナレも相変わらずほっこり度高し!


 公演が幕を閉じると、ふたたびミントによる影ナレがスタート。すばらしい演奏の余韻に、まだ胸の高鳴りが収まりません、と興奮を伝え、音やメロディーを耳にすることで当時の景色や思いがよみがえる不思議な力について語りかけていました。

 そこには楽しい思い出だけでなく、悲しみや苦しみを秘めた思いもあったかもしれないと寄り添いつつ、「それらすべてが、今の私たちを育んでくれた、大切な時間だった」という言葉に、「そうだよな」と同調した方も多いはずです。

 そして、「この先もずっと、私たちは皆さんといっしょに大切な時間を歩んでいきたい」と決意を述べ、今日の出来事をずっと覚えていてほしいとファンに想いを託していました。

 また、自分も帰ったらすぐにクレスたちへ今日のことを報告すると約束し、「きっと、皆さんのことを聞いたら、クレスさんたちも喜んでくれると思います」と語っていたのですが、この言葉は仲間たちとの絆を感じさせる内容で、楽しそうにクレスたちと話すミントの姿が目に浮かぶようでしたね。

 ミントは「私もすずちゃん(藤林すず)に見習って、最後は笑顔で皆さんをお送りしたいです」と締めたのですが、彼女らしい考え方で思わずほっこり。再会を誓う挨拶で、30周年の特別な一日は締めくくられました。

電撃オンラインにてタイトルごとのアンケート企画を実施中!


 電撃オンラインオリジナル企画として、『テイルズ オブ』シリーズの各タイトルごとのアンケートを実施しています。

 現在は『テイルズ オブ レジェンディア』と『テイルズ オブ ジ アビス』を募集中です(12月25日まで)。ご回答お待ちしております!


 過去の結果記事は下記にまとめました。熱意が感じられるコメントも多数掲載しています。

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

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