Nintendo Switch/Steam用ゲームソフト『ROAD59 -新時代任侠特区- 摩天楼モノクロ抗争』。2020年に舞台化されて話題となり、コミカライズなどのメディアミックス展開を広げる『ROAD59』シリーズのビジュアルノベルゲームです。
本作では、東京湾に浮かぶ架空の街“天海区”を舞台に、“ジンギ”と呼ばれる異能を持つ任侠者たちが命をかけて戦うストーリーが繰り広げられます。
今回は、ゲーム本編で解放されるエクストラシナリオを通じて、作品の重厚さや深いテーマを探っていきたいと思います。
本作では、東京湾に浮かぶ架空の街“天海区”を舞台に、“ジンギ”と呼ばれる異能を持つ任侠者たちが命をかけて戦うストーリーが繰り広げられます。
今回は、ゲーム本編で解放されるエクストラシナリオを通じて、作品の重厚さや深いテーマを探っていきたいと思います。
※本記事には『ROAD59 -新時代任侠特区- 摩天楼モノクロ抗争』の重大なネタバレが含まれます。未プレイの方はご注意ください。
■『ROAD59 -新時代任侠特区- 摩天楼モノクロ抗争』OP映像
なお、ダウンロード版が通常価格より20%オフになるセールが10月8日の23:59まで実施中です。お得にゲームをプレイできるこの機会をぜひお見逃しなく。
索引
閉じるエクストラシナリオで明かされる天海区特別警察側の視点。門崎と芹沢、盲信の危うさ【ROAD59】
『ROAD59 -新時代任侠特区- 摩天楼モノクロ抗争』本編のエンディングを迎えると現れるのが、天海区特別警察に属する女刑事・門崎 彗の視点で語られるエクストラシナリオ“都合のいい正義の味方”です。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/dengeki/52036/adddad47f710352939b3bfbd74c26c17b.jpg?x=1280)
これまで任侠サイドから描かれてきた抗争劇に、今度は天海区特別警察側の視点が重なっていくことで、作品の厚みが一気に増しました。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/dengeki/52036/a0a45ce0db39276f04958481369819362.jpg?x=1280)
このストーリーでは門崎に加えて、彼女が憧れる存在の芹沢鏡時が主軸となっています。
芹沢は門崎の先輩で天海区特別警察の人間であり、事件の犠牲者として語られてきたはずが、なぜか本編では天海区に再び姿を現します。存在そのものが謎に包まれており、物語全体を揺さぶるキーパーソンとして描かれるのです。
そして、同じく運命に翻弄される浮舟、新見、そして一色。彼らの関係性を通じて、正義と信念の脆さが浮き彫りになっていきます。
もっとも印象的だったのはやはり、物語の中心となる門崎の姿でした。彼女は正義感が強く、信じたものを胸に突き進む性格ですが、その信念が“妄信”にすり替わったとき、どれほど危ういものかを痛感させられました。
芹沢は門崎の先輩で天海区特別警察の人間であり、事件の犠牲者として語られてきたはずが、なぜか本編では天海区に再び姿を現します。存在そのものが謎に包まれており、物語全体を揺さぶるキーパーソンとして描かれるのです。
そして、同じく運命に翻弄される浮舟、新見、そして一色。彼らの関係性を通じて、正義と信念の脆さが浮き彫りになっていきます。
もっとも印象的だったのはやはり、物語の中心となる門崎の姿でした。彼女は正義感が強く、信じたものを胸に突き進む性格ですが、その信念が“妄信”にすり替わったとき、どれほど危ういものかを痛感させられました。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/dengeki/52036/a7dfe5137653d88c86a5a02ff71fa56b4.jpg?x=1280)
芹沢を必死に追い求める彼女の背中は、プレイヤーから見ても「そこまで信じ込んでしまっていいのか」と不安になるものでした。しかもその姿を、後輩である一色が間近で見ていたのです。
後輩の一色が門崎を盲信するように、門崎は芹沢を絶対的な「正義の味方」だと信じている。後輩を見れば自分の気持ちを客観的に理解できそうなのに、門崎自身はその危うさに気づけない。ここに深い皮肉を感じました。
後輩の一色が門崎を盲信するように、門崎は芹沢を絶対的な「正義の味方」だと信じている。後輩を見れば自分の気持ちを客観的に理解できそうなのに、門崎自身はその危うさに気づけない。ここに深い皮肉を感じました。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/dengeki/52036/ae11a372fd8148b8de6b2d66d98cf8670.jpg?x=1280)
本当に一色の思いに真摯に向き合っていれば、自分が芹沢に抱く“妄信”もまた危ういものだと悟れたかもしれません。けれど、門崎は一色の思いを見過ごし、流してしまう。結果として、一色の嫉妬や焦燥感も膨らんでいくのです。
一色も警察官として強い正義感を持っているものの、門崎と同じく非常に危ういものでした。
彼女にとっての正義は門崎であり、門崎が揺らげば一色もまた揺らぐ。依存に近い信頼の形は、正しさと同時に危険性をはらんでいます。
作中で一色が見せる激情は、プレイヤーにもさまざまな気持ちを呼び起こすものでした。
一色も警察官として強い正義感を持っているものの、門崎と同じく非常に危ういものでした。
彼女にとっての正義は門崎であり、門崎が揺らげば一色もまた揺らぐ。依存に近い信頼の形は、正しさと同時に危険性をはらんでいます。
作中で一色が見せる激情は、プレイヤーにもさまざまな気持ちを呼び起こすものでした。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/dengeki/52036/a9157b7711e2795d6436c8750af0e7bc0.jpg?x=1280)
正義を求めてそれぞれが行動した結果、悲劇的な結果を生み出すというのは、まさに『ROAD59』らしい展開であり、胸に迫る物語でした。
新見という存在の不運
一方で新見正宗は、天海区特別警察の人々の中でもっとも不運な人物だったと感じました。
黒条組の混乱に巻き込まれ、サイボーグとして生き延びた彼は、嗅覚や観察眼といった資質から見ても警察に向いている人物かもしれません。けれど、彼の歩んだ道はあまりにも過酷でした。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/dengeki/52036/a1d187ad7e11d6793f38267e682ecf989.jpg?x=1280)
最初は新見の事をあくまでも、「ジンギに対抗するための道具」としてしか見ていなかった門崎。しかし、「自分の大切な人を奪った相手に復讐を遂げたい」という共通の願いにより、次第に新見を信頼していきます。
ついには、「復讐でつながる同盟の証」として、盃を交わす場面は胸を打ちました。2人の関係性の変化は、このルートにおける一つの救いでもあったと思います。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/dengeki/52036/a3bd0351f959a927dfbebd6eb71046425.jpg?x=1280)
だからこそ、最後に訪れる驚きの展開の重さは計り知れません。詳細は伏せますが、“信頼”が“裏切り”や“喪失”に直結するのが『ROAD59』らしさであり、プレイヤーの胸を打つ仕掛けなのだと実感しました。
浮舟の立場と沈黙から生まれるもの
浮舟凌太郎は、事の顛末に関して何かを知っていながらも、決して全てを語ろうとはしませんでした。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/dengeki/52036/acb74597a2c3a91a55a0bea511421ae44.jpg?x=1280)
彼の沈黙は“守るため”なのか“恐れから”なのか? 理由は明かされませんが、その姿に強い無力感を覚えます。
真実を握っていながら口を閉ざすことは、結果として仲間を危険に晒してしまう。それでも彼の選択に「仕方がなかったのかもしれない」と思わせる説得力があったのは、彼自身の葛藤がしっかり作中で描かれていたからでしょう。
真実を握っていながら口を閉ざすことは、結果として仲間を危険に晒してしまう。それでも彼の選択に「仕方がなかったのかもしれない」と思わせる説得力があったのは、彼自身の葛藤がしっかり作中で描かれていたからでしょう。
感想:警察組織の視点から観る『ROAD59』の信念
芹沢を追い続ける門崎。門崎を慕う一色。真実を握りながらもあえて沈黙を選ぶ浮舟。
『ROAD59』の仁侠陣営側とはまた異なる、欲望渦巻く天海区の警察組織内の群像劇として、エクストラシナリオ“都合のいい正義の味方”は“正義”というテーマが深く描かれており、このルートを読むことによってメインストーリー、そして天海区で繰り広がられた抗争により奥行きを持たせていると感じました。
ぜひメインストーリークリア後は、エクストラシナリオもプレイいただきたいと思います。
■関連記事
『ROAD59 -新時代任侠特区- 摩天楼モノクロ抗争』作品概要
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/dengeki/52036/a51494b66b20eaec11fe501f5bdf797f4.jpg?x=1280)
ゲームストーリーあらすじ
東京湾に浮かぶ眠らない摩天楼、天海区では"ジンギ”と呼ばれる人ならざる力を持つ任侠者達が自らの生き残りをかけて血で血を洗う抗争を繰り広げていた。
狛浪組の跡取りとして産まれた平凡で心優しい主人公、氷室ショウは厳しい姉・静の命令により不本意ながら組長として背負うことになる。
しかし先代亡き後、勢力が弱まる一方の狛浪組を天海区で存在感を増す黒条組が襲撃する。
大切な家族を守るため、ショウは裏切りと欲望が渦巻く天海区での抗争の中で、自らの手で“選べない選択”を重ねていくこととなる。
果たしてショウが自らの選択の果てに手に入れたものとは――――。
キャスト・スタッフ
【CAST】
砂川脩弥/七海ひろき/美波わかな/相羽あいな/北村諒/末野卓磨
井上正大/工藤晴香/岡田夢以
君沢ユウキ/河内美里/前田誠二/白又 敦/鮎川太陽/山本康平
蒼井翔太/渡辺和貴/加藤里保菜
石川由依/津田健次郎/佐々木李子/谷江玲音/小林親弘
【STAFF】
企画・原作:ブシロード
キャラクターデザイン・メイングラフィッカー:ぎどら
開発:ロケットスタジオ
データ
ジャンル:ビジュアルノベルゲーム
対応機種:Nintendo Switch/Steam
プレイ人数:1人
ボイス:パートボイス
対応言語:日本語(英語、繁体字、簡体字の字幕にも対応予定)